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ヨーロッパのタラ資源 その2 北海編

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鱈は歴史的に利用されてきた資源だけに、既得権が絡み合い、資源管理が非常に難しい。
世界でもっとも有名な資源崩壊はグランドバンクの鱈であり、
現在、もっとも心配されている資源が北海の鱈だろう。

資源評価はここにある。これを参考に資源と漁業の現状を見てみよう。

資源は減少中で、かなり末期的。
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漁獲圧も減少中だが、もう一がんばりしないと駄目だろう。
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1996ー2000年までは、ICESのアドバイス通りの漁獲を行ってきたが、
資源の減少に歯止めがかからず、2001年からICESが禁漁を勧告。
いきなりTACをゼロにはできないが、翌年にはTACをほぼ半減、
その後もTACの削減を続けている。
漁獲枠は守られており、TAC制度はそれなりに機能していると言えるだろう。
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各国の漁獲量はこんな感じで推移している。
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狭い北海に、ごちゃごちゃと多くの船が出て行っている。
こういう状況では、なかなか合意形成は難しいだろう。
厳しい状況で各国とも、努力をして漁獲量を減らしているのが見て取れる。
漁獲枠が多いUKとデンマークのリーダーシップに期待をしたい。

今後の展望なんだが、2005年産まれが卓越年級であり、
成魚の自然死亡も低くなっているようなので、とりあえずは何とかなりそうだ。
しかし、ICESは強硬な姿勢を崩していない。

North Sea cod population recovering, scientists say
資源は増加しているが、さらなる回復を目指して、鱈の漁獲量を2006年の半分以下に下げることを研究者は勧告した。

ところが、EUは漁獲枠を11%も増やしてしまったので、非難囂々です。

NewScientist Environment: North Sea cod quotas raised against scientific advice
BBC: Minister criticised on cod quotas
Guardian: Increased cod quotas ‘disastrous’, campaigners warn
WWF: No justice, chance for cod recovery is lost
 

確かに、資源管理はうまくいっていないのだけど、日本と比べればずいぶんマシだと思う。
1) (TAC自体が過剰という問題はあるが、)TACが守られている
2) 研究者が漁獲枠の削減の必要性について、責任ある提言をしている
3) マスメディアによって、乱獲の問題が社会に伝えられている
4) EU各国は減船に取り組んでいる

研究者がしっかりとしているから、社会が乱獲の問題を正しく認識している。
科学者の勧告を無視していることにたいして、非難にさらされているし、
それに対して、政治家も見苦しいわけはしてない。
EUも、過剰努力量の解消の必要性を認めており、
EUの燃油高騰対策補助金の多くは、減船に費やされるだろう。
直接補償をして、税金で乱獲を助長する日本のような無茶は、欧州では通らない。
徐々にではあるが、良い方向に向かっていると思う。
ただ、資源は予断を許さない状況であり、間に合うかどうかは微妙なところだ。

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