- 2006-09-11 (月) 17:22
- 研究
マイワシのグラフにスケソの構成も加えると、
減少度はもう少しフラットになると思います。
また沿岸漁家だけで見ると、漁獲金額のピークはバブルの頃で
(たぶん)70年代よりこちらの方が景気は良かったように思えます。
コメントに従って、図を新たに作成してみました。
下の図が、マイワシ以外の多獲性の魚種を示したものです。
ご指摘のようにすけとうだらを抜いてみると、変動傾向はかなりフラットになります。
マイワシとすけとうだらの重要性が良くわかります。
スケトウダラの減少に関しては、国際漁場から閉め出されたのと、
日本近海資源の再生産が近年落ちている影響が大きいです。
マイワシ、すけとうだらを除いた漁獲量のトレンドです。
1970年代前半がピークでそれ以降、一定の減少という傾向は変わりません。
スケトウ込みの図よりも減少率は低くなりますね。
下の図は漁業種別の生産金額です。
沿岸は1992年がピークですので、厳しさを増す漁業経営という表現は実情に反しているようです。
「70年代よりこちらの方が景気は良かったように思えます。」というご指摘通りですね。
特に、高級品を抱えている浜は、べらぼうに景気が良かったのは間違いないと思います。
バブルの鰻登りの経済成長と比べると、全体の伸び率としては低いように思います。
漁獲統計をいじるのは、なかなか面白いから、癖になりそうだ。
データはネットで落とせます。
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Comments:5
- 県職員 06-09-14 (木) 12:06
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まじまじと統計グラフ見させて頂きました。同じ職場のものにも教えてあげます。たまに漁船に同乗させて思うのは,いまの船を50年前の海で操業させたら,今の100倍位とれんかな,なんて思います。イカ釣り漁船の集魚灯なんか,終戦直後は数百wで操業していたのが,180kwなんてとてつもない光力になってますし,ソナー,魚探,GPS,潮流計,下手したら衛星水温,海面高情報なんかも使ってるわけで,それでも漁獲量は減り続けているとすれば,資源量はとんでもなく減ってるって事ですよね。漁業経営も,高額漁労機器のローンその他諸々を考えると,海に出るのは魚を捕るためだか,ローンを払うためだかわからないですね。そうは言っても,海に出なきゃ一銭の収入もない(出てもマイナスの時もありますが)漁師というのは,ほんとにすごい職業だと思います。
- 勝川 06-09-15 (金) 12:16
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>それでも漁獲量は減り続けているとすれば,
>資源量はとんでもなく減ってるって事ですよね。
そうなのです。
漁獲量は、年々、上がっていますから、資源の減少はもっと深刻です。
特に、価格の弾力性が高い資源は、
減ると値段が上がるから、徹底的に漁獲されます。>漁業経営も,高額漁労機器のローンその他諸々を考えると,
>海に出るのは魚を捕るためだか,ローンを払うためだかわからないですね。
そういう状態の漁業者を大量生産した時点で、漁業の崩壊は秒読みです。
漁業者は、短期的に儲かりそうなら、装備に投資しますから、
それをなんとか抑えるのが、資源管理先進国の漁業政策です。
日本政府の対応は全く逆ですね。
漁業者の設備投資を税金で援助をする。
結果として、資源を枯渇させて、産業を行き詰まらせている。 - とんとん 09-05-11 (月) 11:04
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水産業については全くの素人ですが 中学生に水産業のことで質問され 調べているうちに このサイトに来ました。
この 真鰯、スケトウダラの魚種別の表を見て 教科書では よく理解できずにいた もやもやの原因がはっきりしました。教科書には・・・・
“鰯の乱獲による 沖合漁業の衰退” →ぼんやりと 漁師の責任だと子供達が思うような説明
”1945年 トルーマン米大統領が大陸棚及び漁業保存水域に関する宣言を発表”→全くふれず。歴史から学ぶことができない。
”「金はいくらでも出すから、採算を問わずに生産を上げろ」ということを
すでに何十年も続けてきて、この程度の生産量なのだから、
今後も増養殖が獲る漁業の代替とはなり得ないだろう。”→”各地に栽培漁業センターがつくられ。。” →非営利組織だとしても 利用するのに漁師は有料だと思っていた。
また、さいばい漁業について 何度も説明があるし テストでも問われるのに 肝心の意義、経済効果については 全く説明なし。(とる漁業から育てる漁業へ、と前向きな表現)それでも漁獲量は減り続けているとすれば,資源量はとんでもなく減ってるって事ですよね
漁業経営も,高額漁労機器のローンその他諸々を考えると,
海に出るのは魚を捕るためだか,ローンを払うためだかわからないですね。
そういう状態の漁業者を大量生産した時点で、漁業の崩壊は秒読みです。→「これからの漁業、漁業技術の進歩 近代設備を備え付けた船が多くなった」と表現。 その採算性については全くふれず あたかも科学技術の進歩で漁業の衰退を乗り切れるような印象を子供に与える。 「ここまでして 現在の漁獲量」というせっぱ詰まった状況は伝わらない。
この教科書の水産業を担当した人は どういう思いで この単元を書いたのでしょうか。 核心にふれられないけれどヒントはちりばめておくので いつか辿りついてほしい。。ということなのでしょうか? 未来を託す子供達の為に、もう一歩踏み込んで説明がほしいところです。
こちらのサイトで色んな疑問が解けてすっきりしました。 ありがとうございました。
- 勝川 09-05-13 (水) 14:15
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>この教科書の水産業を担当した人は どういう思いで この単元を書いたのでしょうか。
漁業に関する、まともなソースがないので、執筆者も実態はわかっていないでしょう。産業をあげて、大本営発表しかしないので、外部の人間は実態を知りようがないのです。執筆者は、過去の教科書に最近の水産白書のネタを取り入れる程度が限界でしょう。生産者サイドに都合の良い嘘ばかりで嫌になります。まあ、インターネットをつかえば、ツッコミは入れ放題ですが。
学習目的で当サイトにくる人も多いので、中学生ぐらいを対象に、日本の漁業をわかりやすく説明する文章でもかいてみようかな。と思いつつ、時間がないです(笑
- とんとん 09-06-03 (水) 10:34
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お返事頂いてありがとうございます。
<産業をあげて、大本営発表しかしないので、外部の人間は実態を知りようがないのです。執筆者は、過去の教科書<に最近の水産白書のネタを取り入れる程度が限界でしょう。
そうなんですか。 特に社会の教科書は血が通っていないというか 何度読んでも実態がつかめない内容ですが 実は執筆者が実態を掴んでいなかったのですね。 農業や工業分野も同じレベルなのでしょうか。 その他の産業に関しても このブログの様に参考になるものを もしご存じでしたら教えて頂けないでしょうか。
(余談ですが 食糧管理制度、新食料法、農業基本法、新農業基本法。。。何度読んでも どこが大事なのか理解できません。 ただ単に教科書が判りにくいのか、何か隠すべき事実があって 遠回しになっているのか。。 混乱してます。)
ありがとうございました。
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