- 2006-12-13 (水) 16:50
- その他
「わざわざ減船に金をかけなくても、漁業者は勝手に減るから良いだろう」
水産庁はそう思っているようにみえる。
確かに放置しておいても漁業者は減るが、
自然淘汰に任せていたら、漁業の衰退に歯止めはかからないだろう。
ここ30年以上、資源が枯渇していく中で、漁獲量は減少を続けている。
その結果、多くの経営体が淘汰されてきた。
過去20年の間に漁業就業者の数はほぼ半減している。
では、漁業者が減ったことによって、残された漁業者の経営は楽になっただろうか?
漁業者の数は激減しても、漁業経営は厳しさを増すばかりである。
淘汰される寸前の経営体は、少しでも赤字を減らすために、
なりふり構わず漁獲量を増やす傾向が強い。
その結果、資源をさらに枯渇させて、連鎖的な経営破綻を引き起こす。
漁業者を自然淘汰で減らしたところで、
漁獲努力量と資源の生産力のバランスは是正されないのだ。
それどころか、資源と他の経営体を道連れにする可能性の方が高い。
漁業者の高齢化が進んでいるので、今後も漁業者は減少するだろう。
漁業者が減ったところで、資源状態が悪化するので、
漁業者一人あたりの漁獲量は減る可能性が高い。
漁業者が減れば、加工や流通のコストが結果として上がることになり、
ますます日本漁業の国際競争力は失われるだろう。
漁業者は、生き残るために漁獲量を増やそうとしのぎを削っている。
確かに多く獲れる経営体の方が生き残る可能性が高いだろうが、
過酷なイス獲りゲームに勝ち残ったとしても、明るい未来は無いだろう。
漁業者の自然淘汰を待っていては、資源も漁業も失われてしまうだろう。
資源の生産力があるうちに、人為的に努力量を減らさないといけない。
税金を使ってでも、経営が成り立たない漁業を速やかに縮小した方が長期的な国益に適うはずだ。
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