水産基本計画(7) その正体は水産庁基本計画

基本計画の内容を検証した結果、次のような問題点が明らかになった。

目標の設定根拠が不明
「自給率を10%上げようぜ」といって、
ゴールに向かって定規で線を引いただけというレベル。

目標が非現実的
日本の漁業生産を左右する魚種は限られている。
それらの魚種を個別に見ていくと、目標達成はかなり厳しいことがわかる。
昨日の記事は、ネットで数字を拾ってから文章をアップするまで数時間の作業だが、
水産庁では、このレベルの作業すらしていない可能性が高い。

目標をどう達成するかというビジョンがない
自給率を上げるとか、漁獲量を増産するとかいいつつも、
具体的な計画は無きに等しい
今までと同じことをしていて、V字回復はあり得ない。
目標を達成する気があるようには見えない。

目標を達成できなくても良いらしい
5年経って、増えるどころか漁獲は減っている。
にも関わらず、計画の中身が変わっていない。
目標を達成する気はないと判断しても良いだろう。

水産基本計画は、漁業政策としては、計画のレベルまで達していない。
どうやって目標を達成するかなんて考えていないし、
目標達成が難しくなっても何の緊張感がないことからも、
基本計画が自給率増加のための計画でないことは明らかです。

水産基本計画は、漁業者や国民のための計画ではなく、
水産庁による水産庁のための水産庁基本計画と考えるとつじつまが合います。

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水産基本計画は、財務省から予算をゲットするための文書なのです。
一応、自給率や漁業生産量の目標がありますが、アレは飾りです。

水産基本計画の正しい読み方
例として、水産基本計画の一文を抜き出してみました。

国内の漁業生産の増大を図ることを基本として水産物の安定供給を確保するためには、漁業生産が水産資源の持続的利用を確保しつつ消費者や実需者のニーズに適合した水産物を供給できるよう、漁業者その他の関係者が、水産資源の適切な保存及び管理増養殖の推進漁場環境の保全及び改善等を図るとともに安全性や鮮度等の面での水産物の品質の向上、流通の合理化等積極的に取り組む必要がある。

さらに、これら資源の持続的利用や国民の需要への対応の基礎条件として、生産コストの削減、付加価値の向上等により漁業経営基盤を強化するとともに、担い手の育成及び 確保、水産業の基盤の整備新技術の開発と実用化漁協の事業及び組織基盤の強化等の課題に取り組む必要がある。

まず最初に、当たり障りのないスローガンがきます。
「漁業生産の増大」、「水産物の安定供給」、「消費者のニーズ」などがキーワード。
これらのスローガンには、誰も反対はしないでしょうが、内容的には意味がありません。
コンビニ弁当の葉蘭(緑のギザギザのやつ)みたいなものです。
どうでも良い部分なので、灰色にしてしまいます。
スローガンの隙間に、各種の施策が盛り込まれています。
水産庁は縦割り組織ですから、どの仕事はどこの部署という区切りが明確です。
例えば、「水産資源の適切な保全及び管理」は資源管理部、
「増養殖の推進」は増殖推進部という風に、
それぞれの施策がどこの部のなわばりかを色分けできます。
詳しく知りたい人は、http://www.jfa.maff.go.jp/jfasosiki/index.htmlを見て、
自分で考えてください。

kihon8.png

これが現在の水産庁内の勢力地図になります。
個人的には赤組と青組を応援しているのですが、
やはり、緑組と黄色組が強いですね。
緑組が番長、黄色組が裏番という感じでしょうか。

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水産基本計画(7) その正体は水産庁基本計画 への4件のフィードバック

  1. 県職員 のコメント:

    私も赤組に頑張って頂きたいと思います。資源管理先進国では赤組が強いのではないかと容易に想像できますがいかがでしょうか。魚がいなくなってしまっては,漁師がいくらいても仕方がないです。漁師は少数精鋭で!

  2. ユウラ のコメント:

    県職員様へ

    漁師は少数精鋭ですか・・・。

    それが理想ですが、これまで、小さな漁民がたくさんいることを前提とした卸売りのシステムを確立した日本にとってその衛生を決めるためにどれくらいの犠牲がつくでしょうか??

    淘汰された漁師の生活はどうなるのか??

    これが最大の課題ですよね・・。

    水産業のジレンマ(資源は大事だが、保護しようとすると漁師の生活が成り立たない)を国がいかに理解してくれるか、どのように対策を立てるか。

  3. オニダルマオコゼ のコメント:

    確かに,水産庁内のなわばり争いという側面もあるのかも知れませんが,
    対財務省向けというほうが大きいのではないでしょうか?
    つまり,今後の予算交渉の場面において,基本計画に項目の頭出しをしてあると予算要求しやすいけれども,頭出ししてないとダメ。というような。
    そのためにはできるだけ網羅的に項目を羅列しておき,とにかく抜けている項目のないように気をつかう必要がある,ということではないかと。

  4. 勝川 のコメント:

    県職員さん
    >私も赤組に頑張って頂きたいと思います。
    >資源管理先進国では赤組が強いのではないかと
    >容易に想像できますがいかがでしょうか。

    役所の力があるというより、社会的に
    合理的に管理しようというコンセンサスがありますね。
    管理の計画を研究者が議論をして行います。
    研究者が合意したものが、実行に移されて、漁業者はルールを守ります。

    相手が役所であっても、漁業者は理不尽なことには合意しません。
    その代わり、合理的なルールが決定すればちゃんと守るんです。
    このあたりが、ずいぶんと違いますね。

    オニダルマオコゼさん
    なるほど、そういう理由で、いつも一覧表なのか。
    財務省との折衝のための資料ということは、
    どちらにせよ、水産庁予算計画なわけですね。

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