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漁業者のTAC制度への不満

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今年の3月に、北海道の漁業者の希望によって、沿岸漁業のリーダー数人と話し合いの場を持った。そのことを、水研センター上層部(つまり水産庁OB)が、 トラブルを起こしたと問題視しているとのこと。これは、逆恨みもよいところだ。元を正せば、水産庁がデタラメなTACの入れ方をしたから、現場が混乱して いる。その混乱を納めるために、俺が奔走しているのである。

話し合いの内容については、このあたりを読んで欲しい。
北海道沿岸漁業者とのミーティング その1
北海道沿岸漁業者とのミーティング その2
北海道沿岸漁業者とのミーティング その3
北海道沿岸漁業者とのミーティング その4

今回の話し合いで痛感したことは、現場レベルではTAC制度に対する不満をなだめるために、大変な苦労をしているということ。不満の内容としては、主に3つ。

1)資源管理の有用性に対する無理解に基づく不満
2)TAC制度の方向転換に対して「だまされた」という不満
3)サバは獲り放題なのに、なんでスケソは規制するのかという不満

1)資源管理の有用性に対する無理解

沿岸漁業者は、資源管理の「魚がいるのに獲れない」というマイナス面は実感しているが、それによって、「自分たちの来年以降の漁獲が確保される」とか、「卵をもった価値のある魚が安定して獲れるようになる」といったメリットに対する理解は浸透していない。
現在、日本の沿岸漁業が衰退している一因は、大型船の先獲りである。大型船は沖で小さい魚を根こそぎ獲り、魚がいなくなれば、よそに移動する。これをやられると、漁場の移動ができない沿岸はたまったものではない。大型船の沖どり・早獲り問題は、日本全国の沿岸漁業の共通の課題であり、大型船の先獲りに一定の歯止めをかけるには、漁獲枠が必要なのである。
沿岸漁業者には、資源管理の必要性に関して、ちゃんと話せば、理解は得られる(すぐに実行に移せるかは別問題だけど)。北海道の場合も、過去のデータや事例を示しながら、小一時間も説明したら、「確かに、先生の言うとおりだ」と皆が納得してくれた。
こういった説明は、本来は、行政の仕事である。TAC制度を入れるときに、「これはあなた方の生活を守るための制度ですよ」と、漁業者にきちんと説明をしておくべきだった。きちんとした理解があれば、沿岸漁業者がデモをすることもなかっただろうし、俺がわざわざ説明に行くことも無かったのである。

2)TAC制度の方向転換に対する不満

残念なことに、水産庁の担当者は、全く逆のことをやった。TAC制度を導入するときに、水産庁の担当者は、「これは、韓国船を日本のEEZから追い出すための制度で、日本漁船を規制するつもりはない。日本漁船には、今まで通り好きなだけ獲らせてやるから、TAC制度を入れさせてくれ」と説明をして回ったらしい。複数の漁業者が、口をそろえていうので、まず間違いないだろう。

TAC制度の導入に携わった佐藤力生氏は、著書「本音で語る資源回復計画」のなかで、「くれぐれも少ないTACでもって船を止めようなどとはやってはいけない。これが当時からの筆者の考え方であった」「成果と言えば、・・・、TACの運用にもおいてもある意味で一定の歯止めをかけることができた。」などと書いている。最初から、漁獲枠で規制をするつもりが無かったのだ。国家公務員が、税金を使った事業を骨抜きにして、そのことを自慢している。その神経が、全く理解できない。

TAC制度は、資源管理ではなく、資源管理ごっこであった。資源の持続性を無視した過剰な漁獲枠を設定し、漁業者の要望があれば、漁獲枠はいくらでも増やす。実際に、初期のTAC制度は、そのように運用されていた。税金を使って、いい加減なことをしていれば、クレームがつくのは当然である。ABCを無視したTACに対して、社会的な非難の声が高まり、水産庁は今年から、TACをABCまで下げることにした。

この方針転換は、長い目で見れば良いことである。しかし、漁業者にしてみれば「だまされた」と思うのは当然だろう。都合の良いウソをついてTAC制度を導入し、水産庁が方向転換するときにはちゃっかり異動していた、当時の担当者に対する、漁民の怒りは、すさまじいものがある。担当者にしても、その当時はウソをついているつもりは無かっただろうが、見通しが甘かった。税金を使って、デタラメな資源管理ごっこが通るほど世の中は腐っていないのである。

漁民から裏切り者扱いの佐藤力生氏が一生懸命、言い訳をしているのがこれ。
http://blog.livedoor.jp/gyokyo/archives/1474072.html

1.暴力団より悪い霊感商法
2.霊感商法の論法と騙しの手口
3.TAC真理教徒の真の狙いは
4.資源状況が良くなっては困る
5.オリンピック制というレッテル貼り
6.鯨とマグロの権威かもしれないが
7.やたら科学を強調する者はだいたいが怪しい
8.MSY理論はもう古い

いやぁ、すごい見出しですね。この雑誌はどこで入手できるかわからないので、まだ、中身をみていないんだけど、どうせ、俺と小松さんを口汚く罵っているだけだろう (TAC制度正常化に向けて、外から圧力をかけたのが俺で、水産庁内部でTACをABCに近づける方針を作ったのが小松さんなのです)。佐藤氏には、是非、一般メディアで、「俺様が、TAC制度を骨抜きにしてやった」と自慢してほしいものです。期待してますよ。

3)サバは獲り放題なのに、なんでスケソは規制するの?

超低水準のサバは、今年も2回も期中改訂をして、漁獲枠を水増ししまくっている。一方、資源状態がそれほど悪くないスケソ太平洋系群は、増枠なしで漁獲停止である。これでは、北海道の漁民が納得できないのも当然だろう。

もちろん、改めるべきはサバの漁獲枠設定の方だ。サバの場合は、漁獲枠があってないようなものだから、結果として、資源が枯渇し、漁業が成り立っていない。こういう漁獲枠設定をしていたら、漁民がまともな漁獲枠を受け入れられづらくなる。サバ漁業を衰退させるだけでなく、他魚種の資源管理の脚を引っ張っているのだから、担当者は責任を自覚して欲しい。


まとめ

1)資源管理の有用性に対する無理解に基づく不満
2)TAC制度の方向転換に対して「だまされた」という不満
3)サバは獲り放題なのに、なんでスケソは規制するのかという不満

この3つの不満はすべて、TAC制度自体に起因するのではなく、水産庁がTAC制度をデタラメに運用してきたツケである。TAC導入時に、漁業者とおかしな口約束をして、ぐだぐだな体制でTAC制度を入れてしまった。これが元凶なのだ。TAC制度を正常化するには、漁業者の誤解を説いて回らなくてはならないので、新しい制度をゼロから入れるよりも大変だ。

まったく、一体、誰のせいで、俺が苦労していると思っているんだ。 👿

北海道ブロックの資源評価外部委員をクビになった

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水研センターの委託事業である、北海道ブロックの資源評価の外部委員というのを2004年からやっている。北海道の資源評価(スケトウダラ、ホッケなど)について、専門的な視点からアドバイスするのが役目だ。水研センターの上の方の意向で、「今年からは来ないでくれ」ということになった。その背景について説明しよう。

水研センターは、今回の事業仕分けの対象にもなった、水産庁の天下り先である。ただ、一般的な天下り法人とは違い、水研センターには、研究組織としての実態がある。水研センターは、北海道から沖縄まで、日本全国に拠点を持ち、日本の水産研究をリードしてきた由緒正しい組織なのだ。農水省由来の理事たちは、月給80万円で役所に都合が悪い研究をしているものがいないか監視しているわけだ。理事の経歴を一切書いていないのは、やましいからだろうね。(事情により一部削除、詳しくはコメント欄を参照)

研究機関である水研センターでは、水産庁の意向は絶対だ。上司の許可がないと論文も発表できない。中間管理職が水産庁の意向にそぐわない研究はないかと常に目をひかされている。「論文を書いたのだけど、上司に止められて、投稿できなかった」とかいう話を、しばしば耳にするのだけど、同じ研究者として胸が痛む。苦労して論文書いても、発表できないリスクがあるので、もめそうなテーマは誰も選ばなくなる。結果として、養殖だとか、産卵場探しだとか、海洋環境で魚が減っただとかいう研究ばかりに人が集まり、資源のことをやる人間はほとんどいない。社会からは、もめそうなテーマほど、科学が求められているのだけど、社会的要請に背を向けているわけだ(まあ、これは大学も同じだけどね)。

その水研センターが、水産資源の評価業務を一手に引き受けている。日本の大学で、資源をやっているところは、ほとんど無いので、水研センターがやるのは仕方がないのだけど、当然、水産庁の意向が色濃く反映される。マイワシだのサバだのは、TACを設定していること自体が非常識なほど資源が減っているのだけど、あり得ない量の漁獲枠が設定されている。最初に業界の意向ありきの資源評価になっているのだ。資源評価の担当者が、まず、業界と打ち合わせをするって、常識的に考えておかしいだろ。

国が設定する漁獲枠(TAC)は、科学者が推定した生物学的許容漁獲量(ABC)を大幅に超過していた。この問題をメディアでしつこく指摘したので、水産庁は去年からTACとABCを等しくする方針を示した。これ自体は良いことなんだけど、業界の言い値であったTACを本来のABCまで下げるのではなく、資源評価に介入し、業界意向に沿ってABCを上げているのが実情だ。

毎年、決定したABCを報告する全国評価会議というのがある。ちょうど東京にいたから、冷やかしで出席をしたんだけど、酷かったね。マイワシは、普通の国ならとっくに禁漁にしているような低水準なんだけど、資源を回復させようとしていない。「増えた分は根こそぎ獲っちまえ」というスタンスで ABCを決めていた。俺は次のように質問をした。

俺「昔(TACとABCが乖離していた時代)は、資源回復を目標にしてABCを設定し ていたが、なぜ回復させない方針に変わったのか?」
水研担当者「水産庁の中期的管理方針で、資源量を現状維持にせよとあるので、それに従ってABCを決定した」
俺「中期的管理方針でマイワシは回復させなくても良いということだが、それはどのような生物学的根拠に基づいているのか?」
水研担当者「わかりません」
水産庁担当者「この場では即答できないが、水産政策審議会の議事録をみれば解る」

というようなやりとりがあった。ABCを決める方針について、最終的な会議でだれも説明できない。こんなの、資源評価じゃないだろう。でもって、水産政策 審議会の議事録を隅から隅まで探したけど、そんな記述はどこにもない。マイワシのABCはなんの説明責任も果たしていないのである。

「TACとABCの乖離を無くしました」と水産庁は威張っているけど、そんなのそもそも当たり前。さらに、近年は、ABCへの行政の介入が増えているので、実態は何一つ変わっていないどころか、悪くなっているかもしれない。そんななかで、現在もTACがABCを大幅に上回っている魚種が一つだけある。スケトウダラだ。その理由は、北海道にはうるさい外部委員がいて、水産庁資源管理課の思い通りにABCを操作できなかったからである。
http://katukawa.com/2006/08/post_29.html
http://katukawa.com/2006/08/post_30.html
役所にとって、外部委員というのは、自分たちの方針にお墨付きをあたえて、素人を黙らせるための道具にすぎない。その道具に、自分たちの方針をひっくり返されたら、おもしろくないわけだ。理由を付けて排除をしようとするのは当然だろう。以前も「勝川を辞めさせろ」と上から圧力がかかったことがあった。そのときは、俺も必死だったし、いろいろあって続投をすることになった。当時の北海道ブロック会議では、俺一人が突っ張っている状況だったから、俺が抜けたら資源評価が骨抜きにされるという危機感があった。

今は、かなり状況が違う。漁業とは独立した音響資源調査も軌道に乗り、魚がいないということは漁業者も納得済みだ。研究者にも、資源評価の場として、ちゃんとした数字を出そうという意識が育っている。他の外部委員も、俺以上にびしっと言ってくれるようになった。俺がいなくなっても、北海道ブロックの資源評価はグダグダにならないと信じているので、今回は、安心して、辞めさせられることができる。

今後は、北海道ブロック以外のABCを批判していくつもりなので、外部委員を辞めるタイミングとしては悪くない。そもそも、外部委員なんて不名誉職であり、解任された方がかえってハクがつくというものだ。

中日新聞:水産資源 持続可能な管理を サバ 幼魚乱獲、枯渇に拍車:暮らしCHUNICHI Web

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しかし、水産資源管理に詳しい三重大生物資源学部の勝川俊雄准教授は懐疑的だ。「水揚げの九割を魚齢一歳までの未成魚が占め、産卵可能な成魚はほとんどいない。漁獲量を算定する科学的根拠もあいまいで、資源回復の芽を摘んでいる」と指摘する。

引用元: 中日新聞:水産資源 持続可能な管理を サバ 幼魚乱獲、枯渇に拍車:暮らしCHUNICHI Web.


サバの取材が来たので応じた。品川駅で1時間ほどの取材。記事全体としては、適切に日本漁業の問題をとらえていると思う。しかし、俺のコメントがいただけない。この日は、サバとマグロの話をしたのだけど、水揚げの九割を魚齢一歳までの未成魚が占めているのは、マグロの方だ。

マサバは、当たり年を食いつぶすような操業をしているので、当たり年が何歳かによって、漁獲の中心がずれる。2004年が当たり年だったから、2006年の漁獲の中心は2歳魚であった。持続的な漁業のためには、次の当たり年が確認できるまで、当たり年生まれを残すような獲り方をする必要がある。現在、2007年の小当たり年生まれを獲り尽くし、09年生まれを獲りだしたので、また、回復の芽を摘んでしまいました。

こういう漁業は、どんどん批判をしないといけない。しかし、批判をするなら、正確にすべきである。こういう勘違いを避けるために、出向する前に文字原稿をチェックする事にしている。こんな初歩的なミスは、専門家なら一目でわかる。今回は気がついたら記事が出ていて、さらに間違えていたので残念です。内容は素晴らしい記事だけに、実にもったいない。

乱獲で太平洋クロマグロが危機 大型魚減少、保護策必要に

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乱獲で太平洋クロマグロが危機 大型魚減少、保護策必要に
日本が大量に漁獲している太平洋のクロマグロは、産卵能力のある大きな魚が減るなど資源状況が悪化しているとの分析結果を三重大の勝川俊雄准教授らが11日までにまとめた。大型の魚の乱獲が進んだ結果、3歳以下で成熟前の小さな魚や産卵前の魚が漁獲の対象になるという、悪循環が進んでいるとみられる。
http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010051101000163.html

「日本海での巻網操業が本格化してから、近海物の大きなマグロが減った」というのは、マグロを扱う人間の共通認識だろう。大間はかろうじて漁獲量を維持しているのだが、それは高価なソナーなどの電子機器を惜しみなく導入した結果である。資源の減少は顕著であり、昔ながらの装備の船の漁獲はほぼゼロだ。また、200kg程度の大型魚をコンスタントに水揚げしていた石垣の某漁協でも、今年の水揚げは激減している。

19年 500本程度
20年 200本程度
21年 250本程度
22年  10本程度

例年、GWが漁獲のピークなのに、これでは商売にならない。

国内でゴールドラッシュのように広がった畜養も、黄色信号が点灯している。昨年度は、種苗となるヨコワの漁獲が激減したのだ。昨年の畜養マグロの出荷量は1万トンだったが、池入れ種苗が少なかったので今年は5千トンがせいぜいだろう。畜養フィーバーでヨコワの争奪戦が勃発し、価格は高騰している。こういう状況で、水揚げが半減したのだから、加入はさらに減っているはずである。クロマグロの加入も年によって変動するので、去年の加入がたまたま悪かったのか、それとも産卵量が激減し加入が維持できないのかは、現状では判断できない。今年のヨコワの漁期は7月から始まる。今年も何の規制もないなかで、0歳のヨコワを奪い合うのだろう。ここでも、もし獲れなかった場合、マグロ畜養バブルは弾けるかもしれない。

産卵場の巻き網操業で親魚が激減した上に、ヨコワ争奪戦で新規に成熟してくる魚も減っている。これでは、資源を維持できるはずがない。我々は、漁獲規制を作るように国に働きかけてきた。この声に応えてくれたのが、民主党の山田副大臣。水産庁は、太平洋クロマグロの漁獲規制をつくろうと調整と始めている。

今年も、6月から境港の巻き網、7月からヨコワ漁が始まる。規制は間に合わなかったので、漁獲枠もないまま、獲りたい放題の争奪戦が今年も行われるのは確実である。地中海は産卵場の巻き網操業だけで、2000年以降あれだけ減ったのである。日本近海は、2004年以降、産卵場の巻き網操業が活発化している上に、稚魚の争奪戦まで起きているのだから、地中海以上に危機的な状況にあると言って良いだろう。

クロマグロ騒動の問題点は… 元凶は日本人の異常な食欲

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http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100502/sty1005020700000-n1.htm
【現場発 ニュースを見に行く】クロマグロ騒動の問題点は… 元凶は日本人の異常な食欲

東大の大気海洋研の木村先生の記事だね。木村先生は稚魚の輸送などの専門家で、ウナギの輸送メカニズムの研究で有名な方だが、稚魚の飼育実験もされているので、養殖種苗の生産に関しても造詣は深い。木村先生のマグロ畜養に関する指摘はまったく正しい。よくぞ言ってくださった。

日本近海のクロマグロは、巻き網で捕らないなどの暗黙のルールが守られてきたが、最近は日本海でクロマグロの巻き網漁を行い、畜養する業者が出現。木村教授は、「これを続ければ、日本近海のクロマグロが大西洋・地中海産クロマグロ同様に国際会議の議題に上がる日も近い」と警鐘を鳴らす。

畜養向けのヨコワの漁獲はほとんどが曳き縄(釣りの一種)です。日本海の産卵場で成魚をまき網で巻いていますが、畜養をしているのは極一部であり、ほとんどが境港→築地ルートで食用として消費されます。また、近年、巻き網のヨコワの漁獲が増えています。これもほとんどが食用です。畜養は伸びていますので、気がかりな要因ではありますが、やはり未成魚(ヨコワ)の消費にメスを入れる必要があるでしょう。

日本近海は、大西洋よりも無秩序だから、へたをすると、国際会議の議題になる前に、クロマグロはいなくなる。国際会議ではなく、資源枯渇の心配をすべきだろう。最近、韓国での漁獲が急増しているので、むしろ資源枯渇を防ぐために国際会議や国際条約を利用していく必要があるでしょう。

そこで期待されるのが、クロマグロを卵から育てる完全養殖。国内でも成功例はあるが、「とても効率が悪く、実用は現実的ではありません」と木村教授。

これは、正しい指摘。専門家の間では、常識なんだが、声に出して指摘する人は少ない。木村先生、GJ。クロマグロ養殖とウナギ養殖は、技術的に一歩進んだと言うだけで、実用化には、あと数百歩必要。「養殖技術があるから、もう天然魚はいなくても大丈夫だよね」という勘違いを誘うような報道はどうかと思うよ。

木村教授は、「資源量の枯渇の一番の責任は、消費者である日本人にあるのは明白です。地中海の乱獲をあおったのも、日本人の異常な食欲です。今回の騒動を機に、もう一度クロマグロの食べ方を日本人一人ひとりが考え直すべきでしょう」と話す。

後半部分は全面的に同意だが、前半部分は少し意見が違う。安く、安定供給できれば、消費が伸びるのは当たり前。いくら安くなったとはいえ、クロマグロは、それなりの値段で消費をされていたわけだし、「異常な食欲」と言われるほど、日常的に食べていたわけではない。

もちろん、資源量からすると、異常な量を消費しているので、それ自体は褒められたモノではない。ただ、これは消費者ばかりを責める訳にはいかない。つい最近まで、一般の人は、資源が枯渇していることも知らなかったし、不正漁獲が蔓延していることも知らなかった。日本人消費者には、自分たちの乱食が、地球の反対側のクロマグロ資源を枯渇させているという自覚は無かったし、未来の食卓からマグロを奪っているという自覚もなかったのだ。消費者に、この自覚を持たせるような情報を流すのが、研究者やメディアの社会的役割である。研究者とメディアは、この責任を果たしてきたとは、私には到底思えない。その責任を棚に上げて「消費者の異常な食欲」と非難するのはどうだろうか。

後半部分の食べ方を考えなおすべき、という指摘は全面的に賛成だ。「刺身といえばマグロ」というような風潮は、コレを機会に是正しなくてはならない。消費者は、持続性に対しても関心と責任感を持つ必要がある。そうしないと、未来の食卓は守れないと言うことです。

結論もふくめて、全体として、良い記事だったと思います。

みなと新聞の連載(37)

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日本近海のクロマグロ漁業の現状 その3

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2004年以降、日本海のマグロ産卵群は急激に減少している。壱岐や対馬など、朝鮮半島と日本の間の離島には、一本釣りで生計を立てている漁業者がたくさんいる。2003年までは、漁獲が安定しており、30代の若者もかなりの割合を占める。世代交代ができている日本では数少ない優良漁業だったのだ。マグロの一本釣りで有名な日本海離島の某組合のマグロの売り上げは近年激減している(下図)。一本釣りの2009年の漁獲はほぼゼロ。巻き網が産卵場で操業を始めてから、大型個体がみるみる減っているのだ。この組合は、若い漁業者も多い。30代中頃で、小さな子供を抱えている。借金をし て、船を買っているので、このままマグロがいなくなったら、どうなるかは容易に想像ができる。彼らの生活を守らなければならない。日本人が離島で生活をしているというのは、領土問題を考えても重要なことだ。壱岐や対馬の産業が無くなれば、竹島みたいになるのは時間の問題でだ。離島 で、自立して生活している人たちの生活を守るのは、国防上も非常に重要である。国として、取り組むべき課題である。


2009年には、巻き網の漁獲量も激減した。今年も、巻網船はクロマグロ産卵群の通り道で待機をしていたが、クロマグロが産卵場に帰ってこなかったのだ。クロマグロの泳ぐ水温帯は狭いので、複数の船団が横に並んでソナーで探せば必ず見つかるはずだ。にもかかわらず、獲れなかったと言うことは、産卵群が激減したと考えるのが妥当だろう。大型個体の減少は顕著であり、境港に水揚げされる魚の体重は小型化傾向がみられる。1980年代には、漁獲の平均体重が110-160kgであったものが、現在は50kg前後。08年から、境港市は「むやみに捕っている との誤解を招きたくない」として詳細なデータを隠すようになった。トン数は出すけど、本数は隠すようになったので、平均サイズを計算できないのである。ここでも、「くさいものには蓋」である。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/econpolicy/314718/

境港がいくら隠したところで、探すところを探せばデータは出てくる。境港で水揚げされたマグロはほぼすべて築地にいくので、市場統計を漁ればどんな魚を捕っているかは大体わかる。08年は50kg、09年も似たようなものだった。クロマグロは4歳で50%成熟する。そのときの体重がだいたい50kg(下図はhttp://kokushi.job.affrc.go.jp/H20/H20_04.pdfよ り引用)。その上のサイズがほとんど獲れないということは、ようやく成熟して産卵場に初めてやってきた親を、一網打尽で、ほぼ獲り切っているのであろう。これでは資源が潰れるのは時間の問題だ。

さて、このような現状に対して、日本の研究機関はどのような情報を発信してきたか。境港を擁する鳥取県の水産試験所は、一貫して、巻網漁業を擁護してきた。近年、漁獲が増えたのは、資源が増えたからで、持続性には問題が無いと主張してきた。去年は産卵群がなかなか戻ってこなかったのだが、7月には「境港近辺の水温がいつもより低いから、産卵が遅れている」と主張していた。結局、最後まで、魚がこなかったら、「今度は魚は北朝鮮に行っているに違いない」と言い出した。本当にマグロがいなくなるまで、あれこれ言い訳をつけて、資源が減ったことを認めず、最後は「マグロがいなくなったのは、地球温暖化にちがいない」と主張するのだろう。日本の公的研究機関では、良くある話。

日本海のクロマグロの分布が、ここ数年変化しているのは事実である。これまで少なかった韓国沿岸での漁獲が増えているので、探餌分布が北に移動しているようである。ただ、漁獲はほとんどが35kgぐらいで、漁期も産卵期前の3月なので、境港で獲っているマグロとは生活し段階が違う。韓国はすでに主要な漁業をIQで管理していて、資源が回復しつつあるという(現在、確認中)。マグロも餌が豊富な韓国にどんどん移動するかもしれない。摂餌期の魚が餌を追って分布を変えるのは良くある話なんだけど、どんな生物でも産卵場はそれほど移動しないことが知られている。クロマグロの産卵場が大幅に北に移動したという鳥取県水産試験所の主張は、可能性として低いと思います。

本日の[WBS]ワールドビジネスサテライトは水産資源管理です!

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3月26日放送予定

物価が下がり続けるデフレ状態の日本経済。だがその陰で、原材料価格は高騰し始めている。今後の製品価格への影響は。絶滅が危惧されている のはクロマグロだけではなかった。水産資源の管理の必要性にフォーカスする。

漁業を取り上げていただき、本当に嬉しいです。どんな番組になるのか、どきどきしますね。昨日、インタビューを撮影したので、俺もちらっと登場するかもしれません。テレビ東京は、ガイアの夜明けでも良い番組を作ってくれたので、期待していますよ 😛

日本の漁業は、壊滅的な状況です。その根底には、資源の枯渇、不合理漁獲という問題があります。漁業の現状に対して、問題意識を持って貰った上で、資源管理の必要性に対する世論が少しでも高まることを期待します。

日本近海のクロマグロ漁業の現状 その1

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タイセイヨウクロマグロは極度に減少しており、日本の輸入が減少するのは確実である。また、ミナミマグロもじつは、大西洋クロマグロよりさらに減っているので、ほぼアウト。日本の高級マグロ市場における、太平洋クロマグロ(本マグロ)の重要性は、今後、ますます高まるだろう。日本近海のクロマグロの持続的有効利用を図ることが急務である。日本近海のマグロの漁獲はどんな感じかというと、こんな感じ。(ソース

現在の漁獲の中心は、0歳、1歳のヨコワ(3kg未満)で、9割以上獲っているのだ。資源の有効利用の観点からも、産卵親魚維持の観点からも、問題アリだろう。現状がこれだけ非合理的なのだから、適切な規制によって漁獲量を増やす余地は大きい、ともいえる 😛

現在、日本近海のクロマグロ漁業には、2つの問題がある。それぞれを分析してみよう。

1)未成魚への強い漁獲圧
2)産卵場での無規制な巻網操業

1)未成魚の漁獲を止めるとどうなるか?

本マグロは、多くの段階で異なる漁業者によって利用されている。主な漁業としては、引き縄および巻き網によるヨコワ(未成魚)の漁獲、大型巻き網による日本海産卵群の漁獲、一本釣りによる大型魚の漁獲などを挙げることができる。ヨコワ漁をやめて、一本釣りで獲るとどうなるかを試算してみよう。

本マグロの生態はよくわかっていない。研究が進んだ近縁種大西洋クロマグロと自然死亡が同じだと仮定すると、ヨコワを獲り残した場合に、巻き網サイズまで生き残る確率は35%、一本釣りサイズまで生き残る確率は28%となる。ヨコワを1尾漁獲すると、漁業の長期的利益が13万円失われる計算になる。

年齢 体重(KG) 単価(\/Kg) 生残率 期待単価
ヨコワ 1歳 3 550 100% 1650
巻き網 5歳 52 1350 35% 24570
一本釣り 7歳 97 5000 28% 135800

漁業全体の損失を計算する

漁業全体の損失を計算するには、今、日本全体でヨコワをどれぐらい獲っているかのデータが必要になる。しかし、クロマグロの年齢別の漁獲統計はどこにもない。上の図はあるのだから、データ自体はあるはずだ。遠洋水産研究所の知り合いに問い合わせてみたら、「政治的にセンシティブだから出せません」とのこと。海外の自然保護団体への対策として、日本のマグロの漁獲統計は完全に非公開だそうです。日本の研究者が、日本の漁業を良くしようという意図であっても、まともな試算すらできないのが、日本の寂しい現状。窮余の索として市場統計を使 うことにします。

市場統計によると、日本の産地市場に水揚げされたヨコワは、2004-2008年の平均で年間4856トン、生産金額は平均で27億円であった。ヨコワを1歳魚と仮定すると、4年後に巻き網で獲れば408億円、6年後に一本釣りで獲れば2235億円の生産金額が期待できる。目先の小さな利益のために、将来の大きな利益の芽を摘んでいることがわかる。もちろん、大型個体の漁獲が増えれば、相場が下がる可能性はあるが、それでも桁違いの利益が期待できる。

ヨコワは九州地区で主に夏に消費される。マグロは夏に産卵をするので、夏のマグロは身が痩せて食えたものではない。ヨコワは未成魚なので、夏でも味が落ちない。成魚と比べるとタンパクで、うまみがないのだけど、マグロが枯れる夏には珍重されるのだ。値段も安いしね。ただ、その代償として、将来のマグロの漁獲が失われている。

日本のマグロ市場は、日本のマグロで支えられる

日本の高級マグロ市場は4万トンと言われている。もし仮に、大西洋クロマグロとミナミマグロの輸入が無くなっても、ヨコワを諦めれば、近海本マグロのみで国内消費を持続的に支えることができるのだ。

日本の政治が取り組むべき問題は、次の2つ。

1)ヨコワの漁獲規制
2)ヨコワを獲って生計を立てている漁業者への補償

本マグロの場合、規制をすると、生産額が大きく増加するので、27億円ぐらい、簡単に補償できるはずだ。非合理漁獲を抑制し、漁業全体の利益を大きくした上で、利益が公平に配分できるような枠組みをつくることが、国家の役割である。

日本政府は非合理的なヨコワ漁獲の存続のための外交努力を行い、大型巻網船のためにヨコワの漁獲枠3800トンを確保した。それ以外に、ひき縄、小型巻き網での漁獲は無規制である。近海の本マグロの大型個体は目に見えて減少している。現在の獲り方を続けて、いったい誰が得をするのだろうか 😕

水産外交を国益の観点から考える

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背景となる情報を集めていけば、日本政府の主張は、矛盾に満ちていることがわかる。資源は危機的であり、現在の漁獲を支えることはできない。ワシントン条約を阻止すれば、これからもマグロを食べられるという主張はウソ。また、ICCATの管理下で、不正漁獲が蔓延している現状がある。不正漁獲は、ますます取り締まれなくなる方向に進んでいるのだから、すでに破綻しているICCATの枠組みで十分という日本政府の主張は説得力がない。そのことは、主張している本人も承知だろう。そもそも持続的枠組みを模索する国が、不正漁獲の元締めのリビアと組むわけないだろうに。

日本政府は、ワシントン条約さえ阻止できればそれでよいと判断し、無理を承知で駄々をこねたのだろう。そのこと自体を責めるつもりはない。外交の場では、嘘も必要だ。問題は、その嘘が日本の国益につながるかどうかである。

今回の締約国会議では、次の5つの可能性があった。付属書I(留保する、しない),付属書II(留保する、しない)、ワシントン条約では規制をしない。それぞれ、どんな感じかをまとめると次のようになる。

付属書I留保

日本漁船は地中海で操業を続行する。ワシントン条約に留保したリビアなどから、黒いマグロが日本にくる。EUの正規漁業は止まるので、不正漁業と日本漁船の天下になり、短期的には美味しい思いができる。当然、漁獲規制は、有名無実になり、資源は消滅。欧米で、日本製品不買運動が広まる。

付属書I留保せず
ほぼ全ての漁業が停止するが、資源は守られる。

付属書II 日本留保
日本漁船とEUの正規漁獲が中心になるが、日本は黒いマグロも買えるので、不正漁業も生き残る。漁獲枠は守られず資源は減少。欧米で、日本製品不買運動が広まる。

付属書II 日本留保せず
日本とEUの正規漁獲のみ生き残る。漁獲枠は、守られ、資源は徐々に回復。輸入も維持できる。

ワシントン条約の規制がなし
不正漁獲が蔓延し、漁業が消滅。ワシントン条約の枠組みを破壊した黒幕として、後ろ指を指される。


当初は、タイセイヨウクロマグロは、付属書Iになると思われていた。日本政府は、付属書Iなら留保をすると明言していた(留保というのは、ワシントン条約を無視して、国際取引を続けるという宣言)。漁業関係の利得、すなわち上の表の青色の部分だけを見れば、留保をした方が得になる。しかし、留保をすると漁業以外の産業に深刻なダメージを与えてしまう。「留保をすれば、確実に日本製品不買運動は起こるだろうね。特に欧州はひどいことになるんじゃないか」というのが欧米人の共通認識。漁業は、日本のGNPの1%にも満たないマイナーな産業。そのマイナーな産業のなかで、タイセイヨウクロマグロなんて、量にしても、金額にしても、ほんの一部分であり、日本経済からすれば、耳くそみたいなスケール。しかも、食料安全保障とは無縁の贅沢品であり、その上、タイセイヨウクロマグロは、資源としては、ほぼ終わっている。禁漁に近い規制をするか、獲り尽くすかの2択しかない。

水産庁は、大西洋クロマグロをあと2~3年輸入して食べ尽くす権利と引き替えに、輸出産業に大打撃を与えようとしていた。「火中の栗を拾う」なんて、生やさしい物ではない。ガソリンを頭からかぶって、火事の家の中に、栗の皮を拾いに行くレベルの愚行である。輸出産業で働いている人間は、一揆を起こしても良いレベルのむちゃくちゃだ。日本国民が、そうなることを納得ずくで、留保に賛成するのであれば、俺は何も言う気はない。「国の経済を傾けてでも、最後の最後までタイセイヨウクロマグロを食べる」という決意があるなら、ある意味、立派なものだ。でも、そんな議論は、日本国内では、一切無かったはずだ。

ワシントン条約の対応は、国際課という部署が担当している。日本の遠洋漁業は、マグロぐらいしか残っていない。マグロ漁業の消滅は、すなわち、国際課の存在意義の消滅なわけで、彼らとしてはマグロ漁船を是が非でも残したい。国際課は、留保をすれば、日本製品不買運動が起こることは、当然知っていたはずだ。日本国民が将来負うことになる負担は隠したままで、「食文化のために、欧米の資源囲い込みと闘う」などと称して、世論を誘導したのである。

俺が、主張したかったのは、国策を決めるに当たって、背景と国益に関する議論が完全に抜け落ちていたと言うこと。

1.タイセイヨウクロマグロは激減しており、すでに資源として利用できる状態にはない
2.地中海では漁獲枠よりも多い不正漁獲が存在し、ICCATもそれを認めている
3.不正漁獲されたマグロのほとんどは日本で消費された

これらの事実を積み重ねれば、ワシントン条約に留保をすれば、欧米で不買運動が起こることは容易に想像できる。冷え込んでいる日本の景気をさらに押し下げ、輸出産業に大打撃を与えるわけだ。この当然予想される結果が知らされていなかった。俺には、水産庁は、国益よりも、自分の縄張りを優先したように見える。そのためにEUという仮想的を作って、メディアをつかって大本営発表をした。メディ アは、断片的に正しい情報を混ぜたかもしれないが、それと明らかに矛盾する水産庁の政策に対して無批判であった。情報を使って、水産庁の方向性が正しいか どうかを検証しなかった。情報を集めた上で、国益の観点から政策分析を行い、権力を監視するのがメディアの本来の役目を放棄した。こんな突っ込みどころ満載の外交を、ロジカルに批判をするメディアは皆無であった。これでも、メディアは正しい情報を伝えて、国民はきちんと納得をした上で、水産庁の政策を支持したと言えるのだろうか。

タイセイヨウクロマグロ資源には死亡フラグが立ってしまったけれど、今回のワシントン条約は、付属書Iにならなくて本当に良かった。付属書Iに留保をして、日本が単独で矢面に立っていたら、タイセイヨウクロマグロ漁業とは比較にならない、大きなものを失っていた。まあ、ラッキーだったんじゃないでしょうか。

水産庁は、水産物の安定供給とか、資源の持続性なんて、重要視していない。日本近海に生息する太平洋クロマグロは、日本漁船によって、0歳、1歳と言った未成熟な段階でほとんど漁獲されている。産卵場での巻き網操業は野放しだ。日本漁船の乱獲を抑制すれば、日本のEEZで十分なクロマグロが捕れるのである。水産庁は、日本沿岸での太平洋クロマグロの乱獲を、何一つ取り締まるどころか、漁業者の乱獲の権利を守るために、必死の努力をしている。地球の裏側の資源を乱獲するために国際的な努力をするのではなく、自国の資源を持続的に利用すべきである。

(予告)次の記事では日本漁船による、日本のEEZ内でのクロマグロの乱獲について紹介します。

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from 18 Mar. 2009

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