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漁業システム論(4) 環境変動という免罪符

  • 2006-10-11 (水) 16:45
  • 研究
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乱獲の渦に巻き込まれる原因は多数あるが。
新漁具開発・設備投資のための融資(及びその結果の借金)などは、
漁業者が希望しているものである。
必然的に、その他の原因がクローズアップされることになる。
なかでも、自然環境のせいにすれば、相手は反論できない。
その結果、「資源が減ったのは、環境変動が原因だ」という大合唱になる。

でも、少し待って欲しい。
生物資源の生産力が自然に変動するならば、。
そのことを前提とした漁業システムをつくらないといけないのではないだろうか。
自然に変動するとわかっているものを、
変動をしないことを前提に利用していたら、行き詰まるのは必然だ。
そして、行き詰まったら、「環境変動が悪い」では、通用しない。
生物資源の生産力が、自然に増えたり減ったりしても
乱獲の渦に巻き込まれないような政策が必要なのだ。


規制がない漁業では、生産力の変動が過剰努力量を生み出す。
そのメカニズムを見てみよう。
ここでは、生物の生産量が一時的に増加してまた元に戻る場合を考える。

規制がない漁業

system3.png

1)最初に、生物の生産力と漁獲努力量が釣り合っているとしよう。

2)生物の生産力が増加すると、収入が増加する。
これを設備投資にまわすことで、漁獲努力量は時間遅れで増加する。

3)生物の生産力が再び元の水準まで戻ると、
増加した漁獲努力量が過剰努力量となる。
漁獲努力量>生物の生産力 となり、乱獲状態になる。

4)採算がとれなくなった経営体が撤退することで、漁獲努力量は縮小する。
資源の生産力と漁獲努力量が釣り合った段階で、資源の減少は止まる。
どの段階まで、乱獲が進行するかは、過剰努力量が淘汰されるまでの時間で決まる。
過剰漁獲量が淘汰されなければ、資源はどこまでも減るだろう。

 

乱獲を回避するにはどうすればよいか?
このようなメカニズムを理解すれば、獲るべき政策は明らかだろう。
まず、生物の生産力が上昇したからといって、努力量を安易に増やさないことだ。
漁獲努力量は増やすのは簡単だが、減らすのは難しい。
もし、設備投資をするならば、
その投資が過剰努力量に繋がらないかを慎重に判断する必要がある。
「本当に資源の生産力に余裕があるのか?」
「資源の生産力の増加は、どの程度の期間、維持できそうか?」
「設備の減価償却期間は、どのくらいか?」
といったことを考慮した上で、問題の無さそうな投資のみ許可すべきだ。
思慮のない設備投資をすると、投資した本人だけでなく、
同じ資源を利用する全員に損害を及ぼすのだから。

また、注意をしていても過剰漁獲量が発生してしまうこともあるだろう。
この場合は、速やかに漁獲量を資源の生産量と釣り合った水準まで落とすことだ。
その上で、資源が回復するまでの年数を考慮して、
努力量を処分するか、休漁状態で維持するかを決めればよい。

適切な管理システム

system4.png

自然変動する資源を持続的に利用するためには、
努力量を如何に抑えるかがポイントになる。

 


日本の漁業システム

system2.png

1)最初は生物の生産力と漁獲努力量が釣り合っていたとしよう。

2)公的な融資によって、すばやく設備投資を行うことが出来る。
資源が増えるとすぐに設備投資をして、高い漁獲をあげることができる。

3)資源の生産力が減少すると、大量の過剰努力量を抱えることになる。
一転して、資源は厳しい乱獲に晒されてしまう。

4)資源が減少をしても、借金があるから、漁業者は操業を止められない。
また、休漁補償によって収益が悪化した経営体を生き残らせ、
結果として肥大化した努力量を維持しつづけることになる。
カツカツの状態で維持された努力量は、
回復の兆しが見えた資源に殺到し、回復の芽を摘むのだ。

 

ここにも書いたけれど、
「資源が減ったのは、環境変動が原因で、漁業は悪くない!」というのは違うと思う。
確かに、資源の生産力の低下が、乱獲スパイラルに突入するきっかけになったかもしれない。
でも、問題の本質は、そこではない。
資源の生産力が少しでも下がったら、必然的に乱獲になるような状況を
人為的に作り出す現在の漁業システムには根本的な問題があるのだ。
漁業システムの構造的な問題点に目を向けずに、全てを環境変動のせいにしている限り、
今後も同じことを繰り返すだろう。

Comments:12

県職員 06-10-12 (木) 10:24

連日勉強になります。

・漁業の民主化
勝川氏や,このブログをご覧になっている方々にとってはわかりきっている事だとは思いますが一言。戦後の日本の漁業法改正にあたって目玉とされたのが漁業の民主化。県では,水産施策に関して漁業調整委員会を設置し,選挙で選ばれた漁業者代表委員や学識経験者に意見を聞き,政策を決定する。本県で問題となっているのは(と私が思っているだけかも),この委員会の活用の仕方。諮問機関ではなく決定機関的になってしまっていて,漁業者の意見でかなりのことが決まってしまう。

(例) ある魚の小型魚(まもなく1歳)が獲れる漁業がある。養殖用種苗として獲るためにもっと獲れるように漁期を変更してくれという要望が出てくる。行政担当や,水試はまだ産卵群にも加入していないので獲らせるべきではないという意見を持っており,調整委員会の中でもそのように主張する。しかし,漁業者代表は,生活が苦しいので何とかしてやって欲しいとの意見だ。学識経験者も,漁業者の泣き落としには強くは言えない。調整委員会ではほぼ漁期の延長は認められそうだ。
この魚種は広域回遊種で,本県で獲らなくても,他の県でどんどん獲られる。親魚の漁獲は本県ではあまり無い。
さあ,どうなる。どうする。

1.資源状況をきっちり評価した上で,適切な対処法をこうじる。
2.一般論的に未成魚の漁獲はいかんと行政と研究者でつっぱねる。
3.この資源を利用する複数県で対応を協議する。
4.泣き落としに負け,調整委員会の意見通り,県知事は許可してしまう。

本県の場合ほとんどの事例が4。水試も漁協との関係悪化を恐れて,獲るなとはあまり強くは言えないし,広域回遊種となると十分なデータもない。どこの県もそうとは言えないけど,これでは資源は守れない。

おっ,これって国の財政状況が逼迫しているのに,国会議員が地元に大型公共事業を誘致している図式によく似てません。まあ,人間って見える範囲のことでしか物を考えられないですから。
僕らも同じ,給料下げられたら反対しちゃいます。

・環境変動や,資源変動に迅速に対応できる漁業のシステム作りという考え方は大事ですね。心がけてみます。他国での資源管理の成功事例あたりがもうそろそろ紹介されないかなあと期待しています。私もせっかちな人です。

田舎漁師 06-10-12 (木) 20:25

 そう云えば広島県はTACやTAEに取り組んでいるのだろうか?
 TAEは漁業許可の期間制限で取り組んでいると言えばそうなのかもしれないが、TACについては聞いたことが無いなぁ~
 むしろ県職員さんが書いているのと同じような「無き落とし?」に負けて鰯網漁や巻網は漁獲圧を高める方向に向かって行っているような気がします。
 数年前に研究者代表の調整委員と話す機会があった時に、その委員は鰯網漁は『今の漁業者が止めたときには新規や代替(身内の後継では無い)には許可を出さない』と言っていたけれど、現実には・・
 以前の鰯網漁は中層から上の群れを目視で見つけて中層から上で漁をしていたけれど、今では魚探を使って上中下層の群れを見つけ、どこにいても獲れるような網に改良しているので昔は獲れなかった底物のカレイやヒラメ、エビなども獲れるとか。
 その上最近では鰯網漁の許可なのに鯛やスズキ、タチウオなど鰯以外の魚種を主目的に獲っていて、公然と「鰯漁では○○の船団には負けるがタチウオやスズキを獲らせたらワシ等の方が上手い!」と言っている者もいます。
 許可魚種以外を狙ってはいけないようなことは許可書に書いているけれど、漁業者の生活を考えれば何も云えないんでしょうねぇ。
 巻網漁についても以前はそんなに多くはいなかったのにいつの間にか船団数が増えてきている、外海と違い瀬戸内は海が浅いから巻網は海底にまで達しているケースがおおく、一度囲まれたら逃げる場所が全く無い、まさに一網打尽の網だけど、鰯網漁や巻網に漁獲制限が課せられているとは聞いたことが無い。
 広島県でこれら以外に漁獲制限をかけるとしたら本当の零細漁民にかけるしかないのだが、さて、どうやってかけるのだろうか?
 減反政策のように一律でみんなにかければ、減反で大多数の農家がやっていけなくなったようにほとんどの漁業者が生計を維持出来なくなるだろう。
 となると減船による調整になると考えられるが、その場合どういった形で減らしていくのだろうか?
 補償金をもらって暮らしている者等は、元々補償金をもらうための漁業(格好)をしている者が多いから漁獲圧も普通に漁業をしている者よりも低いので、こちらをカットしてもTACへの貢献度は少ないから、漁獲圧を下げてTACをまもるには普通の漁業者を減らすしか無いだろうな、というようなことを考えてしまっています。 
 
 と云うか、そもそも広島県はTACとか、考えているのだろうか?

匿名で甘えさせてもらっているヒト 06-10-12 (木) 23:39

県職員さんへ

>水試も漁協との関係悪化を恐れて,獲るなとはあまり強くは言えないし

これって,マジですか?
それは,変な水試ですね。
ちゃんとした調査を行って,データを重ね,解析し,その上で出した結論については,はっきり話してますょ。

その「結論」が漁協,行政,あるいは,その上?の方々に利用してもらえるかどうかは,別の話ですが(色々,「大人な世界」があるようなので),・・・この点については,氏のブログに腐るほど書いてありますね。

「獲るべきではない」という水試の見解を漁協にまっすぐに伝えて,たとえ,その時一時的に,組合の偉いヒトの顔が曇ったとしても,基本線では,「関係悪化」にはならないんですけど・・・なんか変?

ただし,別なところで述べましたが,小定置のような,複数魚種を漁獲してしまう漁業の場合は,それぞれの魚種の持つ「重さ」によって,天秤にかけます・・・このときも,具体的な危険性等については,率直に話します。

あっ!
マジ話は,公の会議の席では,あまりしないかも・・・そのことをおっしゃっているのでしょうか?
率直な「現実」は,事前に話をします。
もっとも,何かを決めるような大きな会議に,直接,公式メンバーとして選ばれることも少ないですけど・・・そういうのには,当たり障りのない,偉いヒトが行くのかしらん。。。(〃_ _)

オニダルマオコゼ 06-10-13 (金) 0:39

結局,硬直的な漁業許可制度が諸悪の根元というふうに私には思えるのですが,いかがでしょうか?
それに替わる効果的なシステムとは?

勝川 06-10-13 (金) 2:15

県職員さん
やったもん勝ち、獲ったもん勝ち、では、
全体の長期的利益を犠牲にしてでも、
個人の短期的利益が優先されてしまいますね。
正直者がバカを見ない漁業システムが絶対に必要です。

他国の事例はもう少し先になりそうです。
基本は努力量の徹底的な削減と、
大規模禁漁区による資源の最低水準の維持ですね。

田舎漁師さん
資源が減った中で、選択性が低く、収益が確保できる漁業に
人が流れていると言う理解で良いのかな。
魚探をつかって一網打尽をすると、
取り返しが付かないぐらい資源を減らす危険性があります。
まあ、そんなことも言ってられないのでしょうね。

>そもそも広島県はTACとか、考えているのだろうか?
まあ、資源管理を今までしてこなかったのだから、
知識も人材も国内にはほとんどいません。
大きなボロが外から見えないようにするので精一杯で、
長期的なビジョンなど無いところが多いと予想されます。

オニダルマオコゼさん
>硬直的な漁業許可制度が諸悪の根元というふうに私には思えるのですが,
>いかがでしょうか?
確かに漁業許可制度には問題が多そうですね。
ただ、それを何とかすれば問題が解決するとは思えません。
沿岸環境の破壊も大問題だし、流通もいろいろありそう。

>それに替わる効果的なシステムとは?
それを模索していくのが、当ブログの課題ですね。
資源の持続的利用に関して言えば、
余計なことを止めるだけで、大きな効果があると思います。

県職員 06-10-13 (金) 9:06

匿名で甘えさせてもらっているヒトさんへ

>水試も漁協との関係悪化を恐れて,獲るなとはあまり強くは言えないし

これって,マジですか?
それは,変な水試ですね。
ちゃんとした調査を行って,データを重ね,解析し,その上で出した結論については,はっきり話してますょ。

→言葉が足りませんでした。当然きちんとしたデータ等がある場合には,水試の意見としてはっきりと伝えます。ただし,その意見が絶対に通るように何が何でも駄目!とまでは抵抗しないということ。漁調委の皆さんの「それはねねえ,わかってるんだけどねえ,生活が苦しいといっているし,なんとかならんかね。」攻撃に折れ,会が進んでしまう事が多いですね。そこに利害が対立する漁業種の代表的な人がいると援護射撃をもらえますけど,そうでない場合には最悪,四面楚歌。

過去に水試ではなく行政の担当の立場で必死のパッチである事案に反対してみたことありました。敵もさるもの,毎年毎年要望をあげてくる。諸事情がわかっているので,漁調委の議題にはさせず,科学的知見に基づき行政判断で却下。3年位は抵抗し,現在の所なんとか阻止。未だにその要望を出した組合長には恨まれている模様。地元で話が付いてるからいいやろうと何度も言われる。水試に来た今でもその漁協には近寄りにくい。

匿名で甘えさせてもらっているヒト 06-10-13 (金) 22:06

県職員さんへ

状況,理解しました。
多寡,強弱,温度差等々,あるかと思いますが,基本的な部分は,どの地域も似たり寄ったりですね。

>地元で話が付いてるからいいやろうと何度も言われる

このような考え方が大いに問題アリと思いました。
地元で付いている話って,継続的に資源を有効利用していける内容なのかどうか?・・・おそらく,「今は」ってところなんでしょう?

私は漁師がスキですし,職人として尊敬の念も抱いています。
しかし,「思い込み」や「迷信」には早く気づいて欲しいものです(これは,試験研究に携わる者が手助けすることなのですよね)。
また,「独占的に水域を利用できる権利」が「自分のためだけのモノ」という考え方も,見直してもらいたいなぁ,と考えています。

くどいようですが,「水産資源を漁業者が獲り,消費者の食卓にのる」というのは,つまり,漁業者も消費者も双方とも,水産資源の恩恵を受けているわけで,「おらが浜のもんだから」と獲り尽してしまって,はい!終了,では,消費者的にはたまりませんもの。
独占権を得ている漁業者は消費者に対しての責任をも持っていることを自覚してもらいたいものです。もちろん,自然保護の観点も重要ですが・・・これは,漁業者だけが背負うものではないですけどね・・・

あと,遊漁者の問題もありますが・・・

県職員 06-10-14 (土) 23:29

漁業者の中には何を勘違いしたか「規制緩和の時代に規制強化してどうする。」なんて事をいう人がいます。こっちは「何を言ってるんですか。漁業はこれからますます規制強化が必要なんです」なあんて反論したりしてたんですが、まあこれは単に言葉尻だけを聞きかじっていて中身が全く分かっていないのでしょうが、考え直すと漁業の世界も規制緩和をして競争させるのがよいのかなと思います。ここで言う規制緩和は誰でも漁業に参入できるようにすること。当然、その参入の条件には、資源管理に意欲的に協力し、かつ純利益を多くあげられることなんかを入れ、そういった人たちに優先的に許可を出すようにするとよいですね。資源にやさしく、そして経営上手な漁業者が増えてくることが大事ではないかと。そうでない方には陸に上がっていただくということで….

田舎漁師 06-10-16 (月) 20:21

>あと,遊漁者の問題もありますが・・・
 
 見境なく獲ったり、小遣い稼ぎの感覚で獲った物を販売する輩がいっぱいいますからねぇ。
 
 広島では、サザエ、アワビ、ナマコは漁業者より多く獲っていますからねぇ(広島には許可漁としての海士はいない)
 なんとか規制できないものだろうか?
 漁師ばかりに規制をかけても片方で野放しだったら意味が無いような気がするのは私だけだろうか?

勝川 06-10-17 (火) 0:37

県職員さん:
限られた生物の生産力を有効利用できる体制を作るためには、
収益の割に資源の再生産に大きなダメージを与える漁業はなくすべきです。
そういう意味での淘汰は不可欠だと思います。
ただ、自然淘汰では資源状態が悪くても
まとめて獲れる漁業が生き残ってしまうので、
人為的な淘汰が不可欠です。
不合理漁獲をなくす方向に進むには、国益論で書いたように、
水産資源は誰のものなのかをはっきりさせる必要があるでしょう。

田舎漁師さん
釣り人だってマナーを守って釣りを楽しむ人が大多数です。
そういう釣り人は、「漁業者は一網打尽に資源を獲り尽くすのに、
なんであんなに権利を主張するのだろう」と思うでしょうね。
漁業も遊漁も資源を有効に利用するための合理的なルールを決めて、
それを守れない人間は、淘汰する必要があるでしょう。
ルールを徹底すれば、遊漁と漁業の共存は可能だと思います。

匿名で甘えさせてもらっているヒト 06-10-17 (火) 22:51

氏へ

>漁業も遊漁も資源を有効に利用するための合理的なルールを決めて、
>それを守れない人間は、淘汰する必要があるでしょう。

遊漁の最も大きな問題は,組織化されていないところにあります。
つまり,全ては個人の意識(モラル)次第なのです。
遊漁者の問題点については,ここでは触れませんが(長くなるので),目を覆うものがあることは確かです。

さて,漁業者のほとんどは漁業協同組合に所属しているため,それが,たとえ「機能していないコミュニティー」であったとしても,何らかの規制や負担(金銭的な受益者負担,磯や浜の掃除,樹木植林等々)が科せられます。また,「密漁」がばれれば,法的なものとは別に,ペナルティーがコミュニティーによって科せられる場合もあります。

ところが,遊漁者の場合,よほど目に余る大業ではない限り,罰せられることはありませんし,何より,「負担」がありません。

「税金を払っている」・・・そんなのは,釣りをしないヒトも漁業者も一緒です。払ってます。

何を言いたいのか・・・
漁業者の場合,さまざまな規制をかけられるし,何より,生活がかかっているので,漁が無くなれば,「淘汰」されていく運命を背負っています。
しかし,遊漁者は,魚が獲れなくなったら別の場所,別の魚種に変わればよいだけの話で,生活もかかっていないので「淘汰」の力は働きません。
実に,不公平です。

良い例かどーか分かりませんが・・・
80年代に,伊豆半島で,ダイバーと漁業者の間で揉め事(論争)がありました。専門誌でよく取り上げられていたものです。
ダイバーは「海は誰のものでもないから,ドコで潜っても自由だ! ウニやアワビだって,自然のものなんだから,自分で食べる分くらい獲るのは自由だ!」
漁師は,「海底が荒らされている。俺たちには,生活がかかっている。管理して増やす努力だってしているんだ!」
両者平行線でしたね。
へたくそなダイバーが海底を荒らすのは事実ですし(その最たるのが,さんご礁です),自分で食べる分以上を,伊豆の漁師には禁止されている「スクーバ潜水」で獲るわけだし,あくどいのになると,畜養中のサザエを盗む輩も(これは極端な例)。
ダイバーを見ると石を投げ込むコトもあったとか・・・

この落とし所は「1.決められた場所で潜る。2.潜るときは許可を得たダイビングショップのツアーを利用する。3.船は地元漁船をつかう。4.獲らない」だったかに記憶しています。
今はどうなっているか定かではありませんが,双方,良い関係を築く努力を感じさせた事例です。

勝川 06-10-19 (木) 16:38

確かにバスの密放流とかの話を聞くと、釣り人のモラルも相当に低いですね。
遊魚に関しても、ルールをつくって、
守れない人間は罰則で淘汰する必要がありますね。
ただ、現在の漁業が生態系を守っているとは言い難いので、
しっかりと資源管理をした上で、胸を張って権利を主張して欲しいです。

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