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「NZのITQは、資源管理としては機能していない」とか、誰か言ってなかったっけ??

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そういえば、「NZのITQは経済政策としては成功したが、資源管理としては機能していない」とかいう、面白レポートがあったよね(http://katukawa.com/category/study/reform/nzreport)。あの検討会の議事録は、政府の公式文書として認めてもらえなかったという話を小耳に挟んだけど、内容が内容だけに、仕方がないだろう。

レポートでは、NZのITQが資源管理として機能していない根拠として、ホキ(白身魚)のTACが近年減少していることを挙げていた。実際には、NZの漁業者は過剰漁獲をしていたわけではない。卵の生き残りが悪くて、一時的にホキ資源が減少した。それを素早く回復させるために、NZ政府は予防的に漁獲枠を絞ったのだよ。いくらでも魚が捕れる段階で、漁獲枠を半減できたのだから、立派なもんだ。すぐに元の水準に戻るだろうと予想していた(http://katukawa.com/category/study/species/%E3%83%9B%E3%82%AD)が、予想以上に早く回復したみたいだね。

nzhoki
(みなと新聞6月9日より引用)

ノルウェーのカペリンでもわかるように、魚はちゃんと残せば、ちゃんと回復する。早めにブレーキを踏めば、それだけすぐに回復をする。自然変動が原因だろうと、何だろうと、魚が減ったら、漁獲圧をゆるめるのが世界の常識であり、資源が減ったら、漁獲圧が強まる日本のマイワシ漁業のような状態はあり得ないのである。獲りたい放題獲っておいて、「地球温暖化が悪い」とか居直っているから、漁業は衰退を続けるのだ。

もちろん、ノルウェーやNZの漁業だって完璧ではないし、直すべき問題点は山ほどある。しかし、これらの国の漁業が、資源を持続的に利用しながら、経済的にも成り立っているのは、紛れもない事実である。「日本とは状況が違うので、参考にはならない」と居直ったり、生半可な知識で揚げ足取りをしても、かえって自らの無知を晒すだけだ。それよりも、これらの漁業国の成功を謙虚に認めた上で、その長所を日本漁業にどのように取り込むかを議論すべきだ。お互いに、もっと有意義なことに時間をつかいたいものである。

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