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北海道沿岸漁業者とのミーティング その3

  • 2010-03-12 (金) 5:59
  • 日記
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沖底と沿岸という対立する2つの漁業は、どちらも資源を獲り切るだけの漁獲能力を持っている。ノーガードで打ち合えば、資源はどこまでも減る。1年、2年というスケールではなく、10年、20年というスケールで漁業が生き残るためには、漁獲量の規制は不可欠である。

沿岸としては、「大型トロールで根こそぎ獲られてしまう」という危機感があるようだが、「沖底だってTACを守っているのだから、根こそぎ獲られることはないでしょう」というと、理解はしてくれたようだ。自分たちの漁獲枠が資源を獲り切るような水準ではないということは、沿岸の漁業者も実感としてあるわけで、だから、ある程度未来には楽観的になることができる。サバのように過剰な漁獲枠が設定されていたら、それこそ根こそぎ獲られてしまう。漁獲枠が低めに設定されているというのは、沿岸漁業にとっても、良いことなのだ。そのことは、繰り返し強調しておいた。漁業者が、安心して魚を残せるように、持続的に漁獲枠を設定した上で、対立する漁業間で予め分けておく必要がある。

今後も漁業を続けていくためには、漁獲枠は必要である。限られた漁獲枠のなかでどうやったら利益が出るかを模索して欲しい。そのためのポイントは2つ。

目指すべき方向
1)漁業全体の利益を最大にする
2)利益を公平に配分する

多く獲るという選択肢がない以上、高く売れる魚を獲るしかない。スケトウダラは、卵に高い価値がある魚であり、卵巣が発達する12月と1月が単価のピークになる。今年は、魚価が安い11月に漁獲枠を速いペースで漁獲枠を消化してしまい、魚価が上がった1月に漁が終わってしまった。値段が上がることは、わかっているのだから、もったいない話である。今シーズンの来遊群は、初めて産卵をする魚が主体であり、卵巣は未発達で商業価値がすくない。もう1年待つと卵の値段はかなり上がるだろう。

沿岸漁業者も11月の漁獲量を抑えるために、いろいろな調整をしたことは理解している。たとえば、刺し網の長さを減らしたり、様々な努力をしてきた。それでも、獲れるときには獲れてしまうのが漁業なのだ。全体の漁獲枠が決まっているのだから、努力量ではなく、水揚げ量の調整をして欲しい。11月には、全体の漁獲枠の何%までしか消化しないといったような、自主的な枠を設けるのが良いかもしれない。

沿岸漁業は、産卵場に向かう群れを様々な組合が利用している。単価の上がる12月・1月を中心に漁獲を限定すると、結果として、組合間の漁獲に不平等が生じてしまう。不平等が生じるからといって、オリンピックをやれば、結果として、漁期はじめに漁獲が生じて、全体の利益がおちてしまう。漁業全体の利益を増やした上で、内部調整を行い、所得の均質化を図る必要がある。プール制のようなかたちで、収入の一部を回収し、魚をあまり獲れなかった漁業者に配分するのが一般的だろう。たとえば、組合BとDが割を食った場合、組合A・Cの所得の一部が再配分されるようにする。リベニューシェアという考え方だ。

やるべきこと
1)単価が高い(卵が良い時)期を中心に漁獲をする
2)売り上げの一部を回収し、収入の平坦化を図る

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