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水政審はTACへの説明責任を果たしてください

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水政審でTAC制度の見直しをするらしいのだが、コメントを聞くと水産庁の従来の主張を繰り返しているだけだ。水政審はTAC制度が批判を受けている理由が理解できていないのだろう。

資源研究者が、水産生物の持続的な利用のための漁獲量の閾値(ABC)を毎年計算している。それを元に、実際の漁獲枠(TAC)が設定されることになっている。本来は漁獲枠(TAC)は持続性の範囲(ABC以下)でなければならないのだが、日本ではABCを大きく上回る漁獲枠が慢性的に設定されている。そして、そのような乱獲とも思われるTACが許容されている根拠が示されていない。さらに、いくつかの魚種でTACを大幅に超過する漁獲が野放しにされている。TAC制度が批判されている点を箇条書きすると次のようになる。

  1. ABCを大幅に上回るTACが慢性的に設定されている
  2. TACの値を設定する根拠が全く示されていない
  3. TACを超える漁獲が野放しであり、資源管理としての実効性がない。

残念ながら、水政審は、これらの問題に真摯に対応するつもりはなさそうである。

 資源管理分科会の櫻本和美分科会長(東京海洋大教授)も現在のTAC制度について「早急に見直しを行い、制度を改善する必要がある」との見解を示した。「従来の日本の管理方式とは異なるものの、システムとしては洗練されたものとなってきた」としながら、一方で「不満がないとは言えない。TACが資源管理に有効に機能していないとの批判が出ており、資源管理分科会としてもこれを真摯に受け止め、説明責任を果たす必要がある」と強調した。

実際の漁業への影響力がないABCのあら探しをしている暇があったら、実際に管理で使われているTACに対する説明責任を果たしていただきたい。 水政審には、TACの設定根拠を明らかにした上で、ABCよりもTACの方が妥当であることを説明する責任がある。きちんと筋を通した上でABCを無視するなら、文句を言うつもりはない。水政審は、自らが承認したTACの根拠を示さずに、ABCのあら探しをしているだけでは論外である。

 具体的には、TACがABCより大きく設定されている批判に対しては①漁場形成などの関係からTAC達成率の低い魚種に対しては、ABC=TAC達成のためには「ABC÷TAC達成率=TACとすることが必要」(すなわち、TACはABCより大きく設定しなければならない。ただ過去のデータから妥当性を検討すべき)と説明。

漁場形成が変化しても漁獲量をTAC以下に抑える漁獲枠配分システムを作れば良いだけの話であり、漁場形成を口実に安易にTACの水増しをすべきではない。「ただ過去のデータから妥当性を検討すべき」という部分もぶっ飛んでいる。ABCを超えるTACを設定しておきながら、その妥当性は検証してないってことだよね。無責任にもほどがある。

加えて②ABCの定義の問題として、唯一のABCの値があたかも絶対的なものと解釈されている。TACがABCより大きいことがすぐ乱獲であると一般に理解されるが、ABCはあくまでも人間が定義するもので、研究者間でも合意が得られていない。合意できるABCの再定義が必要。

「ABCを少し超えた」というレベルではなく、倍や3倍は当たり前なんだから、明らかに乱獲である。マイワシのTACなんか現存量を超えていたのだ。こういった漁獲枠の妥当性に対する水政審の見解をお聞きしたいですね。 ABCが絶対に正しいとはおもわないけど、マイワシのTACは絶対に間違えていると思う。

 研究者の合意が得られてないと言うが、合意していない研究者って誰だろう。俺が知っている範囲で、ABCに文句を言っているのは、自称研究者の天下り役人ぐらいなんだが。TACと違って、ABCは公開の会議で議論の上、承認されている。納得いかない研究者がいるのなら、ブロック会議で意義を唱えれば良いだけの話である。

Comments:1

業界紙速報 08-03-07 (金) 16:52

3月12日に太平洋広域漁業調整委員会があるとのことですが、みなとの2月4日の水政審資源分科会におけるTACの議論を詳細に伝えた記事の書き振りに対する氏の怒りが尋常でないと思われますので、水経の書き振りも見てもらいましょう。概ね以下のようなものです:

5日の資源管理分科会では、議題の1つだったスケソウの20年TACが研究者の示す生物学的許容漁獲量(ABC)と大きく乖離。また、マイワシが19年TACを超過したという報告に関連して、スケソウとサンマ以外のTAC対象魚種には罰則の強制規程がないことなども問題視されるなど、「制度が資源管理に有効とはいえない」などと、出席していた委員からは制度そのものに改善を促す意見が相次いだ。
これを受けて分科会長を務める櫻本和美東京海洋大学海洋科学部教授は「TACがABCより大きく設定されてしまうような現象を真剣に考えなくてはならない」と指摘。①漁獲枠設定の根拠を明確にする②ABCの定義を外部有識者会議に諮り再定義する③スケソウやサンマ以外の魚種でも資源を超過した際のルールを作成する―などの観点で、「現制度の改善がなされるべきだ。19年度内をめどに結論を出してほしい」と要望した。
一方、規制改革会議からは資源管理の見直しについて、①TAC設定の厳格化、決定プロセスの透明化②TAC設定魚種の拡大③TAC厳守に向けた合理的操業モデルの樹立④IQ制度の導入対象魚種拡大と譲渡可能個別漁獲割り当て(ITQ)制度検討―などの提言がなされている。水産庁はこれらと併せ、「年度をまたいだ大掛かりな検討が必要」とし、検討会を立ち上げて年内をめどに方向性を示すこととした。

以前、小子は「水経は規制改革会議の提言を併せて掲載することにより、規制改革会議の議論に沿った見直しがなされる(べき)との方向性が見て取れる」と報告しましたが、改めて記事を読み直してみるとそのような方向性が見えるわけではないですね。一方で、あまりに当たり前に書いてあるので見落としていましたが、「スケソウとサンマ以外のTAC対象魚種には罰則の強制規程がない」なんて知りませんでした。それにしても、みなとはABCの定義に問題があることに主眼を置いた書き方、水経はTAC制度のあり方を検討するとの書き方で、その報道姿勢には大きな違いがあり、実際の資源分科会での議論はどちらに重きを置いていたのかわかりません。今後の成り行きに注目しているのですが、大掛かりな検討が始まった様子はない、ですよね。

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