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勝川俊雄公式サイト

カウンターがついたよん

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今日は、アクセスカウンターをつけてみた。
心機一転、アクセス数もゼロからやり直すことにする。

定番のアクセスカウンタープラグインを導入したんだけど、これが実に多機能。
ユニークアクセスや月別の統計も取ることが出来るみたい。
いまは、データが空っぽだから、何も表示されないけど、
データが蓄積されるのがたのしみだよ。

WordPressは楽しいなぁ。

え、そんなことより書きかけの記事の続きを書けって??

vicuna.extでwp_page_linkプラグイン

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vicuna.extでwp_page_linkプラグインを使うには・・・

function.phpのL300ぐらいにあるfunction vicuna_paging_link関数を以下のように書き換える。

function vicuna_paging_link($args = ”) {
if(function_exists(‘wp_page_numbers’)){wp_page_numbers();}
}

以上。

講演のお知らせ

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海洋シンポジウム

「海洋環境の保全 -海洋生物とその環境の保護・保全の政策化をめざして」

海洋は、気候の調整をはじめとして、移動、食糧確保、エネルギー資源、レジャーなど、わたしたちの生活にさまざまな形で寄与しています。しかし、人間活動によって海洋環境は悪化し、乱獲による資源の減少、海洋汚染など、海洋生物の生存は深刻な危機に直面しており、早急な対策が必要です。特に、水産資源が重要な食料の柱である日本にとって、海洋環境の悪化、資源の減少による影響は将来の世代に負の遺産をもたらす恐れがあります。

その課題を解決するため、国際的には、①国連環境開発会議(リオサミット)のアジェンダ21 では“海洋保護区を設けること”に言及し、②生物多様性条約では“「保護地域」の設定を柱とする生物多様性の保全制度の整備”が示され、③国連海洋法条約では“海洋環境の保護及び保全”について示され、④持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)の「実施計画」で“海洋保護区の設定”が示され、⑤第5回世界国立公園会議(世界保護区会議)で“生態的に意義のある海洋保護区を公海上に少なくとも5つ指定すべきである”との勧告が示されました。以上のように「海洋保護(区)」に関して、さまざまな場面で論じられ、また実行されつつあります。

国内を見てみると、「海洋保護(区)」に関連する現行法として、自然公園法に基づく「自然公園」、「海中公園地区」、自然環境保全法に基づく「海中特別区域」、水産資源保護法に基づく「保護水面」などがあります。しかし、その目的が“景観の保護”に重点が置かれていることや、指定されてもその保護や管理が徹底されないなど、その課題は少なくないものと考えます。また、「海洋基本法」が制定され、それをきっかけにして、海洋の保護、保全について本格的な取組みが求められ、「生物多様性基本法」制定により“生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進”することが求められており、「海洋保護(区)」に関する政策化とその取組みの促進が必要だと考えます。

上記のような経緯や課題をふまえ、“海洋環境を保全し、海洋生物を保護することを目的にした具体的な政策化”をめざし、本シンポジウムを開催したいと思います。

●開催日時:2009年3月28日(土) 13:30~16:30

●開催場所:弘済会館・きく (案内図

(住所:東京都千代田区麹町 5-1 TEL:03-5276-0333)
JR中央線・総武線 「四ッ谷駅」 麹町出口 徒歩5 分/地下鉄丸の内線・南北線「四ッ谷駅」 1 番出口徒歩5 分

↑間違えて海洋大の住所が入っていましたが、こちらが正しいです。

●参 加 費:1,000円

●主  催:海の生き物を守る会(HP

海洋環境政策ネットワーク

●後  援:日立環境財団(HP)

セブンーイレブン緑の基金(HP)

●内  容:

第一部 基調報告

1.日本の水産行政の問題点と方向性(海洋保護区の可能性を含めて)

:勝川 俊雄さん(三重大学大学院生物資源学研究科 准教授)

第二部 問題提起・話題提供として

1.日本における海洋保護区(自然公園法を事例として)

:環境省(予定)

2.海洋保護区の設置と制度的課題

:清野 聡子さん(東京大学大学院総合文化研究科 助教)

3.持続的利用のための海洋保護区はどうあるべきか

:向井 宏さん(海の生き物を守る会/京都大学フィールド科学教育研究センター 特任教授)


4.海洋保護・保全法(素案)の提案

:海洋環境政策ネットワーク

(*他、調整中)

第三部 ディスカッション

パネリスト:基調報告者・話題提供者

コーディネーター:伊沢 あらたさん(アミタ株式会社/水産学博士)

●連絡・申込先:海洋ネット事務局

TEL:03-5226-8843/FAX:03-5226-8845

Mail: kobayashi@c-poli.org

http://homepage1.nifty.com/IKAN/news/090227.html

成田の水産物輸入

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月末の講演のための資料集めに追われています。
相変わらず、ピンチです。
本当は、ブログなんていじっている場合じゃないんだけど、WordPressおもしろすぎ。

輸入について調べているんだけど、この減り方は、マジ、ぱねぇっす。
某社の買い付け担当者が、「本当に買えない!!」と嘆いていたのも肯ける。

これは成田の水産物輸入なんだが、毎年10%ぐらい減っている。
養殖の餌とかは船で大量で輸送されるのに対し、高級鮮魚は空輸される場合が多い。
成田の輸入が激減しているということは、高級鮮魚の輸入減を示している。

image0903166

ここまで壊滅的とはおもわなかった。ちゃんと情報を集める必要があるな。
国産魚の漁獲なんてサンマぐらいしか増やせないんだから、いったいどうなるんだろう?
水産物の大幅値上げで、庶民はやむを得ず魚離れになるのだろうか・・・・

引っ越しました

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今後は、こちらのサイトを更新するので、よろしくお願いします。

引っ越し作業中

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現在、この本を参考にしながら、ブログの引っ越し作業中です。

WordPress 2.7対応「導入&カスタマイズ」実践ガイド―個人ブログも企業サイトも簡単&無料で構築できる!

三重大の生協には、WordPressの本がこれしかなかったので、
あまり考えずに買ったのだけど、かなり良かった。

導入の手順が詳しく書いてあり、すぐにwordpressを立ち上げることが出来る。
WordPress自体のインストールは、そもそも簡単なんだけど、
レンタルサーバの設定についても詳しく書いてあって助かった。

また、「立ち上げて終わり」ではなく、将来的な運用を見据えた実践的なTipsも充実している。
ウェブだと情報が集めづらいプラグインなども、丁寧に解説されていて、大満足。

MTからWordPressに移行するための方法も記述されていて役に立ったよ。こんなにスムーズにブログの引っ越しができたのは、この本のおかげといって良い。
MTのテンプレートを使って、WP形式で出力するというのは、実によいアイデアだと思う。ただ、ソースが長いので、ウェブにでも置いておいてくれたらもっと良かった。

また、掲載されていたソースは俺の環境では動かなかったので、要変更な点をメモしておこう。
MTSetVarBlock関数は、MT4の新機能なので、俺のMT3ではそのままでは走らなかった。

17| <MTSetVarBlock name=”ecount”><$MTBlogEntryCount$></MTSetVarBlock>
18| <MTEntries lastn=”$ecount”>

公開されているエントリーの数を532個であることを直接代入することにした。
俺の場合は532個のエントリーがあったので、17行目を削除し、18行目を<MTEntries lastn=”532″>とした。
一回だけの処理だから、これでよかろう。

あと、一カ所、$MTEntrybody$となっているが、正しくは$MTEntryBody$。
俺の環境では、bを大文字にしないと、ちゃんとエントリーが出力されなかった。

と、まあ、ちょっとした問題があったものの、この本のおかげで、カテゴリーの情報もまとめて引っ越しできた。ネットを検索すると他の方法も山ほど見つかるのだが、この本以外ではカテゴリー情報が残せない。あとから、カテゴリーを全て手動で設定し直すのは、かなり大変な作業だ。本書の方法は、実に洗練されているだけに、そのままでは走らないのが実に残念だ。ある程度、ソースが読めれば、これぐらいは何とでもなる。でも、そうではない人にとっては、これは致命的だろう。一生懸命、長いソースを打ち込んで、挙げ句の果てに動きませんでは、悲惨すぎる。内容が良いだけに、この点は実に、もったいないと思う。

新しくブログを始める人、既存のブログからWordPressへの移行を考えている人に、
自信を持っておすすめできる1冊。興味がある人は是非。

水産庁のNZレポートを徹底検証する その6

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漁村への影響 漁業のみに依存した村は少なく、漁村への影響は考慮せず

漁業に依存した村は存在し、そのいくつかは衰退している。 ウェリントンの北部の漁村は消滅したとか、 そういう話はちゃんと調べればいくつも出てくる。 これは日本の沿岸漁業にとって重要な問題なので、 きちんと論じておく必要があるだろう。 まず、バックグラウンドとして、ITQを導入した当時のNZの状況をおさえておこう。

戦後のニュージーランドは、イギリスを主な貿易相手国とする農産物輸出国として発展し、世界に先駆け高福祉国家となる。しかし、1970年代にイギリスがECの一員としてヨーロッパ市場と結びつきが強まり、ニュージーランドは伝統的農産物市場を失い経済状況は悪化した。さらに、オイルショックが追い打ちをかけた。国民党政権は農業補助政策を維持する一方、鉱工業開発政策を開始するなど財政政策を行うもいずれも失敗し、財政状態はさらに悪化した。 wikipedia

政府による統制経済・補助金行政によって、国の財政が悪化し、80年代には首が回らなくなった。 その結果、国として、補助金行政からの方向転換を余儀なくされたのである。

NZの沿岸漁業は、そもそも生産性が低く、補助金に依存していた。 国が財政破綻した時点で、経済的に成り立たない漁村の運命は決まったのである。 これらの漁村の衰退は、ITQの導入よりむしろ補助金行政の終焉に起因する。

NZでは、ITQの導入に際して、漁獲枠を実績配分した。 今後はオークションに切り替えるようだが、今まで基本的に過去数年の実績ベースで配分してきた。NZの多くの資源を回復させて、それに伴い商業漁獲枠(TACC)が増加した。 NZの漁獲枠は、TACCに対する比率で設定されているので、 TACCの増加に応じて、個々の漁業者の漁獲枠は増加をしたはずだ。 ITQによって、小規模漁業者の権利が剥奪されたという考えは誤りである。 小規模漁業者にも、そこで漁業を続ける権利もあったし、漁獲枠も与えられていた。 にもかかわらず、いくつかの漁村は消滅したのである。 ITQによって小さな漁村がつぶれたのではなく、漁業者が移動をしたのである。いくらITQでもあまりに非経済な漁村を救うことは出来ないのだ。 NZでは国内に魚の需要はあまりない。 国際市場で価値を上げることが、資源の有効利用につながるのである。 交通の便が悪い小規模漁村に水揚げしても、魚に経済価値はつかない。 限られた自然の生産力を、経済的に有効利用するには、 むしろ、空港や加工場へのアクセスが良い場所に水揚げすべきである。 たとえば、サンフォード社の魚市場は、オークランド中央部から車で10分ほどの場所にあり、 空港へのアクセスも良い。この魚市場は、小規模漁業者からも魚を買い取っている。 こういう場所に水揚げすれば、安い国内価格ではなく、適正な国際価格で買い取ってもらえる。 労働力の移動が起こるのは当然だろう。 遠隔地で水揚げされた魚は、移動のコストがかかるので、必然的に地産地消になる。 人が生きていくには、魚以外のものも必要だ。 漁業しか産業がないような場所で、地産地消しかできない漁村は、 輸入だけをする国のようなもので、経済的に成り立たない。 遠隔地の漁村で地産地消というのは、構造的に破綻しているのだ。

例外は、観光地など、地元での水産物消費で外貨が稼げる場合のみだろう。 遠隔地地産地消漁業は経済的に成り立たず、維持するには、公的資金が必要になる。 その価値はどこにあるのだろうか? 地産地消の漁村を維持したところで、外部の人間には何のリターンもない。 むろん、国益上重要な漁村も存在する。離島の漁村は、国防上、実に重要である。 これらの漁村を維持するための離島政策をNZ政府はきちんと実施している。 NZを代表する離島としては、チャタム島がある。 この島は、アワビの名産地で、毎年、シーズンになると大勢の漁業者が飛行機に乗ってやってくる。 この島の漁獲枠は、公的機関が運営していて、漁業の収益は地方自治体に入る。 漁業からの税収で、学校や病院を建てることができたそうである。 離島の魚の利益が、その地域に入る仕組みをつくることで、地域経済を維持しているのだ。 地域コミュニティーを維持する手段として、漁獲枠を地域に与えるのは有効であろう。 では、日本の離島はどうかというと、まるで駄目。 小松さんがいろいろと計算していたのだけど、日本のEEZの8割は離島の存在による。 しかし、離島に水揚げされる水産物はごくわずかに過ぎない。 離島によって得たEEZの漁獲のほとんどは本州の港に水揚げされ、離島の経済に全く寄与しない。 俺には、今の日本の漁業システムが、遠隔地の漁村の維持に適切だとは思わない。 声が大きな地域に、場当たり的にあめ玉を配っているだけじゃないか。 「漁村の存在」を理由に、資源管理に反対する人間は多いのだが、 肝心な「漁村をどのように維持するか」という戦略は皆無であり、 本気で漁村のことを考えているとは思えない。 NZの経験は、実に示唆に富むものである。 まず、漁業の経済性を向上させ、持続的に利益が出せるようにする。 その上で、国益上重要な地域を特定し、その地域を漁業で維持できるような仕組みを導入する。 実に、合理的ではないか。 米国もITQの導入を進めているが、管理システムのなかで「地域への配分」というのが、 かなりのウェイトをしめるものになりそうだ。後だしジャンケンだけに、米国はよく研究している。

いろいろ、はまってます

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うわぁぁぁん、仕事がおわらないよぉぉぉぉ。
というわけで、中々ブログを書く暇がありません。こまったな。

3月末に、一般向けの講演がいくつか入ったので、その準備に追われています。
素人にわかりやすい話をするのは、とても難しいことだけれど、
それが出来ない限り、漁業の閉塞的な状況は変えようがない。
高い山だからといって、避けて通るわけにはいかんですたい。
でもって、こんな図をいろいろ作ってます。こういう作業は、なかなか楽しい。
img09030904.png

いつまでも海洋研のサーバに間借りをしているのも何なので、
三重大にサーバを立てる計画が着々と進行中。
「お手軽にセキュアがよいから、RHELでいいんじゃね?」というような懐具合ではないので、
フリーのlinuxを物色したのだが、なかなか、どれも素晴らしい。
SlackwareのX-windowの設定で四苦八苦したのも、全て過去の話ですね。
サーバ用途ということで、第一候補はCentOSにしたんだが、
オンボードのLANを認識しないので却下。
第二候補はUbuntuにしてみた。これは、凄い。
CDからブートしていきなりGnomeが立ち上がり、FirefoxもOfficeも何でもありだ。
オンボードのlanもちゃんと認識してくれる。
ただ、rootでログインできないというのが、もどかしいです。
デスクトップではなく、サーバ用途がメインなので、いちいちsudoはちょっとだるい。
これさえ何とかなれば、Ubuntuで決まりなのだが・・・ 

ブログソフトは、MovableTypeから、WordPressに変更予定。
こういうサービスは、数が力だということを、Blosxomで思い知りました。
(まあ、あれはあれで、おもしろかったけど)
メジャーなものを使っていれば、インポートも引っ越しも思うままだし。
インストールでちょっと手間取る。というか、まだ、ブログを作れていない。
CMS的な運用でブログ以外のパートも作り込んでいこうと思っているんだけど、
かなり先になりそうなので、まいっちんぐです。

さて、今日は妻が出張だから、買い物をして、子供たちのお迎えに行って、
飯を食わせて、風呂いれて、寝かさなければ・・・

水産庁のNZレポートを徹底検証する その5

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漁船の減少

ITQの導入以降、NZの漁船数は4割減少した。
減少の大半は10m未満の小型船である。
一方、40m以上の中型船・大型船の数は倍増していいるので、漁業者の減少は1割であった。
漁船の総トン数は、むしろ増えているかもしれない。

日本の漁船数は3割減少である。
特に大型の漁船ほど、減少率が大きいことがわかる。

NZ
 

<10m
10~40m
40-70m
70m>
total
1988 2137 1060 123 88 3408
2001 940 880 190 166 2176
日本
 

<5t
5-200t
200-500t
500t>
total
1988 131948 28822 1378 57 162205
2001 94976 25037 807 12 120832

NZの漁船数の減少は、漁業の衰退ではなく、大型化・効率化という産業構造の変化である。
ITQ導入当時は、沿岸資源が乱獲により疲弊していたので、
小型漁船の減少はITQが理由とはいえないだろう。
何もしなければ小型船はもっと減っていたはずだ。

一方、日本の漁船は全てのサイズクラスで減少しているが、
特に、大型船ほど減少率が激しい。
日本の漁船の減少は、産業の衰退、弱体化の表れである。
また、日本の小型漁船の減少率が低いのは、
年金生活の60歳以上の人間が漁業にとどまっているからである。
企業だったらとっくに倒産しているような状態である。

漁民であるか否かにかかわらず、経済活動の一環として割当てに対する投資が行われており、割当ての集中が継続

割り当ての集中があるのは事実。また、外部からの投資もある。

トップ10企業による漁獲枠の保持率
 1987:   67%
 1999:   82%

そもそも、ニュージーランドは、政策的にこの方向を目指していたのだ。
ニュージーランドをはじめとする多くの漁業国は、大企業かを国策として進めている。
世界の水産市場で勝負するためには、効率的な経営戦略が要求されるからだ。
大企業化のスケールメリットと、漁獲枠取引の自由化による外部資金調達によって、
国際競争力を高めようという戦略なのだ。

NZの割り当ての集中や、外部からの投資は、制度設計によるものである。
日本はこれらを望まないのであれば、そうならないITQの制度設計をすればよい。
漁獲枠保有の上限を下げるだとか、地域(漁協)に譲渡不可能な枠を一定量を配分しするとか、
いくらでもやり方はあるはずだ。

水産庁のNZレポートを徹底検証する その4

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漁業者数、漁船数ともに減少

水産庁&御用学者は、「ITQをやると漁業者が激減する」と脅しをかけている。
でも、ITQで実際にどの程度漁業者が減ったという具体的なデータは示さない。
「漁業者の数はかなり減少したということでございます」とあたかも資源管理によって漁業者が減ったかのように説明しているが、
実際にITQの導入でNZの漁業者がどれぐらい減ったのかを見てみよう。

下の図は、NZがITQを導入した1986年から2000までの漁業者数を比較すると、
日本が4割減少でNZは1割減少。ITQを導入していない日本の方が明らかに減っているんですが・・・
Image0903012.png

もう一つ、おもしろいデータを示しておこう。
漁業に携わっているのは漁業者だけではない。
加工もまた、漁業による雇用である。
NZの漁業者と加工業者の合計はこんな感じ。
加工も含めれば、NZ漁業の雇用は増えているのだ。

Image0903011.png

人間の漁獲能力が自然の生産力を遙かに超えている現状では、
魚を捕る人間はそれほど必要ではない。
過剰な漁業者は、資源を持続的に利用していく際のリスクでしかないのだ。
漁業を成長させる鍵は、自然の生産力をいかに高く売るかである。
上の図からわかるように、NZの漁業は全体の雇用を増やすと同時に、
過剰な漁獲分野から、必要な加工分野へと労働者が移動することで、
「多く獲る漁業」から、「高く売る漁業」へと、産業構造が変化した。
資源管理は、単に魚を守るというレベルの話ではない。
ITQは漁業者のインセンティブ(動機付け)を変え、
持続的な産業構造への自己改変を可能にするのだ。

乱獲を放置している日本では、漁業生産は下り坂だから、
加工・流通も、漁業者と同じかそれ以上に減少している。
何もしなければ、10年後には流通業者は半分以下になりそうな勢いである。

日本の漁業者は60歳以上が大半で、50代が「若手」という浜もある。
沖合い漁船の乗組員は、インドネシア研修生に置き換わっている。
沿岸も沖合も、新規加入が途絶えて、縮小再生産にすらなっていないのである。
ITQを入れようが何をしようが今後も確実に漁業者は減る。
このまま何もしなければ、あっという間に半分以下になるだろう。

資源管理をしなければ、漁業は産業として成り立たず、雇用が減少する。
漁業者を減らすためにもっとも有効な手段は、資源管理をしないことだ。
逆に、漁業者の減少を食い止めるために必要なことは、
適切な資源管理による漁業生産額の安定である。
そのためにITQが有効な手段であると言うことはNZの事例からも明らかである。

「漁業者の数はかなり減少したということでございます」などと印象操作をせずに、
日本漁業の危機的状況を認めた上で、漁業の雇用を増加させたNZから謙虚に学ぶべきである。

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