英国紙ガーディアンが気仙沼のサメ漁業を叩いている件についてわかる範囲で情報をまとめます。
http://www.guardian.co.uk/environment/2011/feb/11/shark-fishing-in-japan
気仙沼のサメの水揚げの80%はヨシキリザメ(blue shark)です。
このサメは、気仙沼周辺に多くいるというわけではなく、マグロ延縄船の混獲で多く漁獲されます。マグロを捕ろうとしたら、サメが獲れるというわけです。以前は、ヒレを切って、胴体を捨てていたのですが、現在は、ヒレだけでなく胴体も持って帰るように水産庁が指導をしていますが、実際、どの程度の船がルールを守っているかは不明です。未だにヒレだけのサメもあるみたいです。
こんな写真もあります。
http://www.pangeaseed.com/pangea/samenyusu/Entries/2010/6/18_qi_xian_zhaosamerepoto2009nian.html
ヨシキリザメは絶滅しちゃうの?
ヨシキリザメに関する資源評価はここにあります。
http://kokushi.job.affrc.go.jp/H21/H21_37.html
1992-2008の漁獲量はこれ
http://kokushi.job.affrc.go.jp/H21/H21_37/Fig1.gif
気仙沼の過去5年のヨシキリザメの水揚げ量
過去20年にわたり、混獲で1万トンもコンスタントに獲れてきたので、資源としては安定していると思われます。逆に、太平洋では減っているという証拠がありません。
IUCNは、Near Threatenedとしています。絶滅危惧ではありません。
http://www.iucnredlist.org/apps/redlist/details/39381/0
This abundant pelagic and oceanic shark is widespread in temperate and tropical waters. It is relatively fast-growing and fecund, maturing in 4–6 years and producing average litters of 35 pups. The Blue Shark (Prionace glauca) is taken in large numbers (an estimated 20 million individuals annually), mainly as bycatch, but there are no population estimates and many catches are unreported. The few fishery assessments carried out suggest relatively little population decline. There is concern over the removal of such large numbers of this likely keystone predator from the oceanic ecosystem.
数少ない資源評価事例では、資源は余り減っていないという結果でした。大規模な漁業が行われている上に、資源管理がなされていないので、今後注意が必要なことは間違いないです。ただ、すぐに絶滅するような状態にあるとは、思えません。漁獲も資源も激減しているクロマグロやミナミマグロとは、全く次元が違う話です
結論
漁獲量のトレンドをみるかぎり、ヨシキリザメが危機的な状況にあるとは思えません。マグロ延縄船が減っていく中で、漁獲量が横ばいということは、前よりも獲れやすくなっていると言うことです。ただ、ヒレだけでなく本体も持ち帰るというルールが導入されて以降は、それまで報告されていなかったものが、水揚げされることになります。実際に、獲れる量が増えているかどうかは、漁師でなければわからないでしょう。
ヒレのみの持ち帰り禁止のルールが守られていないようだ。取り締まりを厳しくしても、アンダーグラウンドの取り引きが増えそうなので、難しい問題もあります。
データを集めて、安全性に配慮をしていくのが望ましいのですが、ヨシキリザメに関しては、漁獲統計を見る限り、それほど危機的状況にはみえません。
日本の市場はオープンだから、誰でもショッキングな写真が撮れる。これが、保護団体を引きつける大きな要因でしょう。
サメ類全体について
日本のさめ類全体の漁獲はこんな感じになります。種によっては、かなり減っています。
サメの保護については、ここに書いてあることが、私の意見に近いです。今すぐ危機的とは思わないが、情報がなさ過ぎる。今すぐ禁漁にすべきとは思わないが、中長期的な対策が必要。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/4515/conservation.htm#3.rearity
気仙沼市のウェブサイト(サメ物語)は、ちょっと暢気すぎるような・・・
http://www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1236226486795&SiteID=0
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Comments:2
- 774 11-02-14 (月) 15:27
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潜水漁やダイビングが盛んな地域ではサメの駆除をやってるけどそれについては保護団体は何かコメントを出しているのでしょうか?
- katukawa 11-02-17 (木) 15:25
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「サメはそれほど人を襲うわけではないから、過敏に反応しないで」という声は耳にしますが、
安全目的の駆除はそれほど叩かれていないように思います。
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- trackback from Red Fox 11-02-25 (金) 21:38
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ガーディアンの気仙沼サメ漁批判記事の背後にグリーンピース
図1:上位20ヶ国の2000-2008の年間捕獲の平均 (トン、未加工の重量)
インドネシア (1位)
インド (2位)
スペイン (3位)
台湾 (4位)
アルゼンチン (5位)
メキシコ (6位)
パキス…