- 2006-09-14 (木) 15:00
- 研究
基本計画が発動してから5年が経過し、今年は途中見直しが行われている。
当ブログでも、勝手に水産基本計画の達成率を査定してみよう。
基本計画策定後の漁獲量のトレンド
最近の漁獲率のトレンドは以下の通り。
今までと同じようにだらだら減っているように見える。
基本計画策定後にトレンドは変わったか?
基本計画開始前後で、漁獲率のトレンドに変化があったかどうかを詳しく見てみよう。
基本計画策定前の(1979-2000)のマイワシを除く漁獲量を直線回帰してみた。
回帰式は240394 – 117year であった。
直線的な減少傾向が統計学的にも有意であった。
毎年11.7万トンずつ減っていることになる。
では、この回帰直線と基本計画策定後の漁獲量を同じ図に書いてみよう。
青い点が基本計画前、赤い点が基本計画後の漁獲量である。
直線は基本計画前のデータ(青い点)から求めた回帰直線である。
赤い点が回帰直線の上に載っていることから、
基本計画の開始前後で漁獲量の減少傾向は変わっていないことがわかる。
正直、ここまできれいに一致するとは思わなかった。
以上の結果から、わかることは
- 基本計画開始前と同じペースで漁獲量は減少をしている
- 資源量もだらだらと減り続けている
- 水産基本計画は、漁業にも資源にも影響を与えていない
- 5年前と比べて、資源量が減少したので、目標がさらに遠ざかった
漁獲量を積極的に削減しなかった当然の帰着といえるだろう。
おそらく、今回の中間見直しで、数値目標を下方修正するだろう。
お家芸のムーンウォークだ。
今後の動向
水産基本計画策定後も、漁獲量は以前と同じ割合で減少している。
今後も同じ割合で漁獲量、および資源量が減少すると考えるのが自然だろう。
黒線が今後の漁獲のトレンド。
青線が2012年に達成予定であった海面漁獲量。
赤点が現在までの漁獲実績。
回帰直線に従って漁獲量が減少を続けるなら、平成24年の漁獲量は478万トンである。
これは海面漁獲量の目標値の71%であり、目標を3割も下回ることになる。
582万トンから、669万トンに増やしますと公約した。
87万トン増やすつもりが、104万トンの減少になるわけで、
水産基本計画の達成率は、-120%となり、C評価ですね。
おそらくはこの線で進むと思うのだけど、
最終年あたりに目標漁獲量に近づけるために漁獲率を上げさせそうな予感がする。
そうなると、資源的に非常に厳しくなるので、それだけは止めて欲しいな。
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