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サバ類6000トン 1kgあたり17円

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12月23日の漁獲統計を見て、自分の目をうたがったよ。これは、あまりにも酷い。

銚子 5053トン 単価17円
波崎 1048トン 単価17円

養殖のエサにしかならない最低の小サバでも、普通の取り方をすれば50円ぐらいにはなる。17円なんて、初めて見たよ。情報筋によると、6000トンのほぼ全てが150g前後のジャミマサバであったらしい。

2年待って、500gの食用サイズにしてから漁獲をするとどうなるか、試算してみよう。

  • この日の売り上げは、6101*1000*17=1.0億円
  • 水揚げされたマサバの個体数は、6101*1000000/150=4067万尾
  • 獲らなければ、2年後に生き残ったのは、4070*exp(-0.4)=1828万尾
  • これを漁獲した場合、重量は1828*500/100=9138トン
  • 500gの鮮魚の単価を250円とすると、売り上げは9138*1000*250=22.8億円

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サバ資源は、食卓を支える大黒柱であり、ちゃんと獲ればドル箱になるのに。資源回復計画と称して、こういう乱獲を税金で支えている。その上、税金で船の大型化までしてあげようと言うんだから、つける薬がない。

官民一体となっての日本漁業の破壊作業は、順調に進んでおります

アルゼンチンも2010年からITQを導入

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FIS – Worldnews – Individual catch quota law regulated.

common hake, hoki, Patagonian toothfish, southern bluewhitingの4魚種にITQが導入されるようですね。ITQ導入に向けて、12年間も準備をしてきたのか。南米もITQが主流になっている。現地の情報がなかなか得づらいのだけれど、どういう議論を経て、どのような制度を入れたのか、一度調べてみる必要がありそうだ。いつになったら、時間がとれるのか全く不明。

アルゼンチンですらITQを導入できるのに、水産庁は「お金が無いから、IQすらできません」と言っている。2800億円も予算があって、恥ずかしくないのだろうか?

なぜ入口管理は機能しないのか? その2

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なぜ入口管理は機能しないのか? その1の続きです

入口管理の失敗の歴史を振り返ってみよう。入り口管理は、一般的に、ライセンス制度→エフォートコントロール→テクニカル・コントロールの順番に進んでいく。そして、結局は思ったような効果が得られず、出口規制が導入されることになるのである。

1)ライセンス制度の導入(Limited Entry)

1960年代ぐらいから、漁業国の多くは、自由参入による過剰な漁獲圧を防ぐことを目的に、ライセンス制度の導入を始めた。ライセンスを持たない人間は、漁業から排除された。ライセンス制度によって、漁業者の数を制限することが可能になった。しかし、そもそも、漁業者が多すぎた上に、個々の漁業者が漁獲能力を増強させたために、ライセンス制度のみでは、何の抑制効果も得られなかった。

2)エフォート・コントロール

次のステップとして、出漁日数等のエフォート・コントロールが導入された。しかし、これらの取り組みはほとんど機能しなかった。絶え間ない技術革新によって、漁船の能力が飛躍的に向上したからである。出漁時間・日数が限られると、漁業者は短期間により多くの魚を漁獲をするために、設備投資を行う。早どり競争が激化し、結果として、漁獲能力がさらに押し上げられる。

漁船の性能は日進月歩である。出漁隻数や、出漁日数を制限したところで、個々の漁船の能力が急激に進化すれば、元の黙阿弥である。漁船の能力は、船の大き さ、エンジンの馬力、漁具の種類、魚群探知機などの電子機器、漁労長の能力など様々な要因に左右される。新しい漁具漁法の開発によって、漁船の漁獲能力は 年々向上している。これをTechnology Creepと呼ぶ。豪州で漁船の漁獲能力の増加を定量化したところ、年間3~5%程度であった。最近はソナーの登場によって、漁獲能力が一気に跳ね上がっ た。

例えば、マグロの一本釣りで有名な大間では、マグロの漁獲量は安定しているのだが、ソナーをつけた船が釣果を伸ばす一方で、ソナーが無い船はほとんど 釣ることが出来ない状態が続いている。大間に来遊するマグロの群れは年々減少しているのだが、低水準資源を効率的に漁獲するテクノロジーの進化によって、 漁獲量を維持しているのである。

3)テクニカル・コントロール

そこで、漁船のサイズ、エンジン、漁具、漁法、など漁獲努力量に影響を与える要因を細かく規制するテクニカル・コントロールが導入することになった。しかし、これも十分な効果を上げることが出来なかった。漁業者はルールの下で、漁獲を増やすように工夫をするからである。

以前は、漁船を見ればその国の規制がわかると言われていた。欧州は船の長さを制限したので、コロコロと丸い船体になった(写真)。一方、日本はトン数を制限したので、居住空間を極限まで切り詰めている。結果として、日本の漁船は、船室の屋根が、腰の高さまでしか無い場合も多い。漁業者は常に規制の影響を最小にするように工夫をする。その結果、規制は当初考えられていたような効果を得ることが出来ない。また、規制に適応するために無駄なコストがかかる。船体を丸くすれば燃費が悪くなるし、住居スペースが狭くなれば、労働環境が悪くなる。思ったような効果が得られないばかりか、漁業の生産性を損なうことになる。

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テクニカル・コントロールは、効果がない割に、規制を守らせるのが難しいという問題もある。日本では、漁船のエンジンの馬力や、集魚灯の光量に規制を設けているが、あまり遵守されていないのが実情である。漁船の検査が終われば、エンジンを載せ替えたり、不正はいくらでも出来る。入り口規制で、漁獲圧をコントロールしようという試みは、終わることのないイタチごっこであった。

テクニカルコントロールは、徒競走を障害物競走にしたようなものであった。障害物の数を増やしたところで、漁業は障害に対して適応し、漁獲を増やしていく。漁業者に余計なコストを課すだけで資源は守れなかったのである。




1960年代、1970年代は、世界の漁業管理の中心は、入口規制であった。しかし、入口規制は、漁業者のより多く獲りたいという欲求の前には無力であった。食材をローファットに変えたところで、食べる量が増えていけば、ダイエットには成らないのである。量を規制するしかないというのが、世界の共通認識となっている。出口規制で総量をコントロールした上で、混獲を減らすためにテクニカルコントロールを併用するというのが、今日では一般的なアプローチである。

もちろん、全てのものには例外がある。欧州では、出漁日数を漁船べつに割り振るIEQ(Individual Effort Quota)が成功を収めている例もある。ただ、この方法が機能するのは、EUがITQを選んだ理由でも書いたように、努力量と漁獲量が強い相関を持つ場合、すなわち、船や漁具の規格化が可能な小規模な漁業に限定されるでしょう。また、そういう漁業でも、ソナーのような道具が入ると、努力量当たりの漁獲量が跳ね上がることはあり得る話なので、漁獲量のモニターは必要でしょうね。

つぎは、出口管理のことを書きます(つづく)

なぜ入口管理は機能しないのか? その1

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読者のI. Sakaguchiさんから、次のようなコメントをいただいた。

国内漁業の管理の問題がより重要になると考えております。ただし、国内資源の場合は条約を作って規制する云々の話にはなりませんので、基本的には学習や政 策拡散が重要となります。こういったプロセスを分析するのが研究課題となり、ITQの世界的広まりに興味を持っています。国内ではefforts controlとITQの間で政策的議論が繰り広げられているようですが、フェロー諸島の漁業管理(鱈など)は前者の譲渡可能版のように見えます。漁獲能 力の増強をコントロールできればこれも有力な選択肢にも見えます。機会がありましたら、こういったシステムの可能性についてのお考えもウエブなどでお聞か せいただければ幸いです。

これは重要な問題だと思うので、少しまとめてみよう。

議論の前提として、用語の整理をしておこう。漁獲圧を規制する方法としては、入口規制と出口規制の2つのアプローチがある。

1)入口規制
出漁する船の数、出漁時間、曳網回数などに上限を設けるアプローチで。出漁時間など漁獲努力量を制御するエフォートコントロールと漁具や漁法の規制をテクニカル・コントロールが含まれる。

2)出口規制
港に水揚げされる漁獲物の量を規制するアプローチ。全体の漁獲枠を早い者勝ちで奪い合うオリンピック方式と、漁獲枠を予め個々の経営体に配分する個別漁獲枠方式がある。

沿岸国による一般的な漁業管理は、以下のような順序で進化した。

1)ライセンス制度

2)テクニカルコントロール

3)漁獲枠(オリンピック)

4)個別漁獲枠

こういう順序になるのは、理由がある。1)から4)の順に、導入のハードルが高くなるのだ。どの国も、入れやすい制度から順次導入していったが、効果が無かったので、徐々に管理のハードルを上げていき、結果として個別漁獲枠に到達したのである。

ここで、注意しておくべきことは、それぞれの方法はAlternativeではなく、併用される点である。ほとんどの漁業は、ライセンス制度を導入した上で、テクニカルコントロールも行い、漁獲枠を設定した上で個別配分している。国内の有識者は「入口規制と出口規制のどちらが優れているか」というような議論を延々としているのだが、そういう議論をすること自体が無知の証である。

「入口規制のみでは、水産資源の持続的利用は無理」というのが、世界の漁業国の結論である。水産庁は、かたくなに出口規制を拒んでいるのだが、日本の漁業がなすすべもなく衰退していることからも、入口管理では不十分なことは明らかであろう。

(つづく)

Dr. Daniel Pauly: Fish As Food: A Love Affair, Issues Included

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Dr. Daniel Pauly: Fish As Food: A Love Affair, Issues Included.

ダニエル・ポーリーが、水産物の消費に関する倫理的な話しをしておる。これは、特に消費者倫理の欠如した日本人にとって重要な指摘だと思う。魚食文化といいつつ、持続性に関する倫理観が欠如しているのは恥ずべき状態である。


In other words, you do not know where they are from, and indeed, what they are.

あなた方(消費者)は、その魚がどこから来たかをしらないし、実は、その魚で何であるかすら、知らないのである。

We need to seriously ask why the morality of advocating for increased fish consumption in developed countries is not as questionable as driving a Hummer or wearing a tiger skin coat.

先進国の人間が水産物の消費を増加させるのは、倫理的に考えて、(燃費の悪い)ハマーを運転したり、(絶滅のおそれのある)虎の毛皮を着るのと、どこが違うのだろうか。

日本漁業の現状と課題 後編(動画)

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前日の続きです。
結論からいうと、「政治主導で、個別漁獲枠の導入を急げ」ということです。

動画のリンクを直しました。

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日本漁業の現状と課題 前編(動画)

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今日は、これからプレゼンです。準備をしたついでに、動画を作成してみた。前編と後編に分けてアップしますね。

内容は、今まで、主張してきたことの繰り返しですので、常連の皆様におかれましては耳タコだと思いますが、まあ、継続は力なりということですよ。

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ノルウェーの政府関係者の聞き取りメモ

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24 June 2009
Ministory of Fisheries, Norway

small scale fishermen policy

漁業、社会経済、環境については、40年間同じ目標だが、ウェイトは変わってきた。持続的でなければ、漁業は成り立たない。目的が、より多く獲ることから、長期的な漁獲を増やすことに変わった。TACについて議論はほとんど無い。

ノルウェーは魚種が少ないので、管理をしやすい

14000名の漁業者
船は7000隻

558加工工場 
13000人の雇用

昔は、漁業は魅力的ではなかった
大勢が漁業を離れた→離れて何をした?→オイル産業などに転職
漁獲量は一定で、船を減らす→利益がでる。

管理システム
いくつもの異なる手法を併用している→どの漁業をどう管理するかは、誰がどうやって決める?→漁業者の話し合い
漁獲枠、ライセンス

15年間の実験のフィードバックで確立された。マスタープランに従って進んだわけではない。
大きな改革はない。小さな修正を徐々に積み重ねてきた。
もっとも大きな改革は####聞き取れず

ノルウェーの方法を輸出するのは難しいかもしれない。EUの共通漁業政策は大きな改革をしようとしているが、ノルウェーはそのような経験がない。

漁獲枠がICESの勧告を超えることはある?
以前はあったが、現在は、ICESの勧告内になった。
ICESの勧告を守る強制力はない。

2つの要素
precautionary and stability
漁獲圧は控えめにすべき、

blue whitingは漁獲枠が勧告を超えている。→joint managementの失敗、no agreement at all, free fishing going on.  2年以内に、漁獲枠を減らす計画がある。

shrimpはIVQがあるが混獲枠はトロール漁業全体で設定。
メインターゲットにしかIVQはない。それ以外は、テクニカルレギュレーション。
若齢魚が多くなったら、その海域を閉鎖する。

cod haddokは予防的枠の範囲になっている。

cod haddokは魚種別の漁獲枠だけど、それ以外はエコシステムベースのアドバイスを行っている。
海洋生物の保全に対するnew acts , new obligation
monitor and consider impact of bycatch

ノルウェーのトロール

3-4 target
10-14 bycatch
20種で90%ぐらい。
100魚種ぐらいが商業価値を持つ。

変化をとらえるindicator をモニターし、よからぬ兆候があれば、triggerが発動する

混獲物を持って帰らせることが第一歩。

1987年に、バレンツ海のdiscardを持ち帰るようなルールを作った
2003年 19種-75種に増えた。
持って帰れば、養殖の餌に使える。海に捨てるよりもマシな使い方がある。

どうやって、漁業者にそうさせるかが重要。
獲れたものは、全部持って帰る。投棄には厳しい罰則。
持って帰ると利益の80%は没収される。
minimum allowed size以下の魚でも20%の収入は入る。
持って帰るインセンティブが生じる。

FAO unwanted mortalityをへらすためのガイドライン
国際的な関心になりつつある。

最初から、魚はノルウェー社会に属している。
ノルウェー人か、それとも州に属しているかという議論があった。
魚はノルウェー人のもの、漁業の利益は漁業者の私有物
リソース・レントはとらない。
資源維持のためのリソースレントの導入が議論をされたことはあるが、導入には至っていない。

open accessは失敗
IVQの導入

1890年 ロフォーテンで漁業規制
60年代前半から、資源管理が徐々に導入される
科学が進むにつれて、行政・漁業者・大衆に、漁業管理の重要性が理解された。
1970年代にヘリングが崩壊することによって、気運が高まった・

ノルウェーの漁業者は科学的アセスメントを重視する。
科学者が警告をすると、漁業者は、生活を守るために、自ら漁獲制限を求める

漁業者14000人
4000はパートタイム
4000はラージスケール(船が20m以上)
6000はスモールスケール

船は7000隻
4500は、10m以下

small scale (<10m cod) gross income 1mil NOK some are 2mil NOK
沿岸の小型船の売り上げは、1500万円ぐらい。多い人は3000万円。

補助金政策
水揚げ地から、加工工場まで距離がある場合に、輸送を補助する補助金があるぐらい(南北問題か)

liscence
漁業の参加するためのライセンスが必要:年間許可と永続許可がある。
ライセンスには漁獲枠がついてくる。
漁船のライセンスが必要
個々の漁業にはライセンスがある。
ライセンスがない漁業もあり、生活ぐらいはできる。

漁船の大きさは、作る人間の自由。漁獲枠に見合ったサイズになる。
サイズと漁具によって、操業可能海域が決定される。
many different line
非常に複雑な線引きがされている。
conflictを避けるために、必要。
大型トロールは4マイルまでは入れない。
最初は漁具の接触を避けるためであったが、徐々に保全が目的になってきた。

15m以上の船にVMS VMS 10000 – 15000 NOK
排他的な漁業権を行使する以上、ルールに従う義務がある。

産業の生産性が増すと、自立した方が良いので、補助金の要求は無くなった。
補助金は変化へのインセンティブを失わせるので良くない
漁業補助金の問題点については、OECDレポートにある。

水産分野の事業仕分けについて、専門家の視点から分析してみる

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事業仕分けが盛り上がっているね。国民の見える場所で議論をするのは大事だと思うよ。水産分野もびしびし削られている。実に、めでたい話でございます 😛

たとえば、漁船構造改革が全額返納になった。俺は全面的に支持する。現在、日本の漁船は明らかに過剰な状態。魚もいないのに漁船ばかりある。結果として漁業が儲からずに、船の固定費すら払えないので、漁船の老朽化が進んでいる。こういう状態で税金で大型船を増やすのは愚の骨頂である。こんな馬鹿な国は日本ぐらいだよ。ノルウェーを筆頭に、まともな漁業国は、適正規模まで漁船を減らすために税金を使っている。

たとえば、波崎地区の取り組みを見てみよう。事業計画はここにある。

http://www.suisankai.or.jp/gyogyou/hasaki-keikaku.pdf

中身を見ていこう。

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巻き網の乱獲によって、日本近海からはイワシもサバも消えてしまったわけだ。100船団あった物が現在27船団まで減ったのだが、まだ船が多すぎる。資源が少し回復するとよってたかって、たたいては回復の芽を摘んできた。すでに経営が成り立っていない漁業に対して、「資源回復計画」と称して、乱獲資金を提供しているのが実情だ。マサバ太平洋系群は資源回復計画の予算の7割だかを入れているんだけどいっこうに回復しない。

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↑これのどこが回復基調なんだよ 👿
水産庁は、マサバ回復計画を成功例として祭り上げているのだが、他の回復計画はもっとひどいのだ。資源回復計画も数えるのも面倒くさいぐらい数を増やしているのに、まともに回復した事例はゼロ。何もしなくても、偶然回復する資源が1個ぐらいありそうなものだが、「下手な鉄砲数打っても当たらない」状態だ。

マサバは、92年、96年と卵の生き残りが良かったけど、乱獲で回復の芽を摘んだ。最近は、04年、07年と、卵の生き残りが良かったが、同じように資源をつぶしつつある。今年度は、毎月前年割れで、前年の6割しか獲れていない。まだまだ、漁獲圧が過剰なのだ。で、業界は二言目には「経営も考慮して、漁獲枠を増やせ」と主張してきた。現状では、船が多すぎるから、乱獲をしないと経営が成り立たない(まあ、どっちみち成り立ってないけど)。船が多すぎるのは自明だろう。で、なんで、税金で船を増やさないといけないの???

まず、この計画は現在4隻で操業している巻き網船団を3隻に減らすということ。ここでのポイントは探索船を減らして、網船を大型化するということだ。一般人のために、巻き網漁業について説明しよう(くわしくはここでもみてください)。日本の巻き網は4~5隻で船団を組む場合が多い。魚群を探す探索船、網で魚を巻く網船、魚を積んで港に水揚げをする運搬船の3種からなる。現在はソナーなどの探魚技術が進歩して、すべての船が探索船の機能を持っているので、純粋な探索船はぶっちゃけ無くても良い。漁獲能力は運搬船の容量に比例するのだが、この計画では運搬船は同じトン数なので、漁獲を減らす気はさらさら無いことがわかる。この企画書に書かれているように、資源は回復基調で、水揚げ量を減らすなら、普通に考えて網船を2.5倍に大型化する必要は無いはずだ。戦闘能力の高い最新の大型網船を税金でゲットして、残り少ないサバとイワシを独り占めする腹づもりなのだろう。

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「儲かる漁業創設支援事業」と言うより、「自分だけ儲かればよいと思っている漁業者支援事業」ではないか。省エネとか、適当に見栄えのするお題目を唱えておけば、何でも通ってきたのである。

収益の見通しもおかしい。

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水揚げ量と水揚げ高から、水揚げの単価が計算できる。現状でKg単価が54.6円だから、養殖のえさにしかならないような小魚ばかりを獲っている船だと言うことがわかる。人間が食べるサイズになる前に乱獲をしているような船は、食料安定供給の面からはマイナスでしかない。計画後の単価は、54.8円。高付加価値とかいいながら、現在の操業を変えるつもりはないのだ。日本人が食べるサイズの魚を捕れば、どうやったって100円にはなるはず。高付加価値とか言うなら、150円ぐらい書けばよいのに。

普通に考えて、あり得ない計画なのですが、運営者は元水産庁次官ですね。

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漁業にとって害のある予算が止まって本当によかった。漁船構造改革も、中にはまともな計画もあった。たとえば、石巻の計画は同じ巻き網ながら、トン数を大幅に減らし、漁獲をへらしながら、収益を確保するようになっている。こっちは残しても良いと思う。玉石混淆で石が多すぎるから、まとめて削った上で、時間をかけて玉の敗者復活をはかってほしい。あと、資源回復計画も、名前だけで、内容は乱獲資金をばらまいているだけだから、早く削ってください。水産庁の予算なんて、省エネや食料安定供給を口実にしたお土産や無駄な土木事業がほとんどだから、まとめて削ったうえで、本当に必要な予算を後からつければ良いと思います。

乱暴でも良い、たくましく削ってほしい

マイワシも輸入の時代です

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この前、釧路に行ったんですよ。フライトの時間が迫っていたから、帰りに空港でお弁当を買ったのだ。

ほっかぶり寿司

味は、ふつうに美味しかったんだが、表示を見てびっくり。
ついに、イワシも輸入ですか!!オレゴンあたりのイワシでしょうか。

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超低水準のマイワシを、未成熟なうちに、獲れるだけ、獲っているから、食用サイズをまともに供給できない。安定生産が不可欠な加工業者は、海外から魚を買わざるを得ない。結果として、単価が高い市場は、全部外の魚に獲られてしまう。それで、「魚価が安い」とか、言ってるんだから、へそが茶を沸かすよ。img09110503

2歳で成熟する魚を、0歳と1歳で7割漁獲とか言って、終わってるんですけど。こんな獲り方をしておいて、なにが「レジームシフト」だよ。どうみても乱獲じゃないか。しかも、水産庁が中期的管理方針だとか訳解らんものを持ち出して、来年のABCを増やしているんだからつける薬がない。

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