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水産庁のNZレポートを徹底検証する その8


レポートの右半分にもツッコミをいれてみよう。

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NZでは、ほとんどの魚種で資源評価が行われていない?

ほとんどの魚種で資源評価が行われていないということだが、資源評価の結果は、ここにある。そのままだと全体像がわかりづらいので表にまとめてみた。94魚種、176系群の記載があるが、そのうち、資源状態が不明な者は98資源。約半数が不明であった。約半数は資源評価をしているのに、「ほとんど資源評価がおこなわれていない」というのは、不適切だろう。

日本との比較

ここまでNZのことを批判する日本は、どんなに素晴らしい資源評価をしているのだろうか。多岐にわたる水産資源を利用している日本のことだから、さぞかし、多くの魚種を評価しているんだろうと思いきや、資源評価票の対象はたったの45種。しかも、この45種の多くは、漁獲量の統計があるだけ。資源量の推定値があるのはたったの17魚種・29系群であり、漁業の規模が日本の10分の1で、漁獲組成も単調なNZよりも少ない。

日本とNZの比較表

日本 NZ
TAC魚種数
7
94
TAC系群数
19
178
資源評価系群数
29
78
予算
4000億円
70億円
財源
国民負担
漁業者負担
漁業生産
長期低迷
持続的成長
漁業経営
破綻
良好

日本は資源管理も資源評価も、まるで出来ていないことがわかる。NZがほとんど資源評価できていないなら、日本は全く資源評価できてないと言うべきだろう。資源管理反対派は、日本は魚種が多いから、NZやノルウェーは参考にならないと、繰り返しているのだが、日本が資源管理・評価の魚種数で負けている時点で、漁業対象種の多さは言い訳にならない。資源管理のカバー率で負けるのは仕方がないとしても、日本の方が資源管理をする魚種数が少なくても良いはずがない。

ついでに日本の水産庁とNZの漁業省の予算を比較してみよう。予算金額は日本が圧倒的が。ただ、この予算のほとんどは漁港建設に回されている。NZの漁業省の予算状況はここにある。1NZ$=80Yenとすると、予算総額はたったの70億円。今のレートなら、1NZ$=55Yenで、48億円となる。NZは、少ない予算の23%を研究に回している。また、日本とNZの最大の違いは、漁業省の予算は漁業者負担という点だろう。予算の4割は業界から回収したCost Recoveryという資源利用料でまかなっている。

これだけ国民の税金を投入しておきながら、日本は漁業が衰退し、縮小再生産すら出来ていない。日本は、漁業経営が破綻しており、燃油代すら公的資金に頼るような有様だ。一方、NZは高い税金を国に納めながら、漁業を持続的に成長させて、高い収益を上げています。燃油補填どころか、今年から、炭素税が導入されるとのこと。

NZの漁業政策も完璧ではないかもしれないが、世界的に見て、うまくいっている事例である。NZの漁業省は、国益に対する長期的ビジョンを持ち、少ない予算と人員で良くやっている。資源管理に限定せず、水産行政のあり方全般について、NZから学ぶべき点は多い。

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