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勝川俊雄公式サイト

過去の出版物を整理します

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大きな仕事を抱えて、時間がとれないです。仕事が順調なのはよいけれど、時間が無い。更新しないのも何なので、この機会に、過去の書き物を整理していこうとおもいます。

時代は温故知新ですよ

しばらくは、こちらのページに順次アップをしていくので、よろしく。

まずは、2年前のみなと新聞の集中連載から。かなりの評判を呼んだようで、みなと新聞から月一の連載依頼があり、今日に至っているのです。

ただ、今読み返すと、ちょっと恥ずかしい部分が多いです。2年前と今とでは、持っている情報の量も質も違うから、いろいろとアラが見えたりもします。「今なら、別の表現をするなぁ」という箇所も多々あるのだけれど、基本的な方向性はまったく正しい。これを書いたときは、まだ、ノルウェーにも、ニュージーランドにも行ってなかったんだよね。その後、現地を何回も訪問し、理解を格段に深めたのだが、それによって、資源管理をちゃんとやれば漁業の未来は明るいという確信は深まるばかりだ。


今日は、内部検討会だ

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今日は内部検討会ですね。
早起きをして、特急の始発に飛び乗りました。もうすぐ品川です。
例によって例のごとく、今の段階ではノーコメントです。 👿

そんなことより、今日はアルゲリッチ姐さんのbox 7枚組の発売日です。わーい。

Martha Argerich: The Collection, Vol. 2 - The Concerto Recordings

ずいぶん前に予約注文をしたのに、まだ、発送しましたメールが来ないんだけど、大丈夫かな。

待ち遠しくて仕方がないぜっ

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世界漁業は成長産業 その3

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主要な輸入国の輸入量は次のようになる。

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ここでも日本のみが減少傾向、他が増加傾向である。特に2002年以降の日本の輸入量の減少が顕著である。その理由は、輸入単価のトレンドから明らかである。

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不況の影響で、日本の輸出単価は1990年代中頃から下降傾向にあった。2002年に、輸入単価が上昇中の欧州に追いつかれたのである。その後は、欧州との魚の奪い合いにより、同調して単価が上がっている。2002年以降に日本の輸入単価が上昇しているのは、この価格以下なら、日本市場が要求する水準の水産物が確保できないからだ。不景気の中で、値段が上がれば、当然のことながら、量が減る。日本の輸入量の減少は、消費者の魚離れではなく、国際価格の高騰による買い負けである。水産庁は「自給率が上がった」などと、大々的に宣伝をしているが、日本が貧乏になって魚を輸入できなくなっただけである。

先日訪れたチャタム島でも、80年代は、ロブスターの9割が日本に輸出されていたが、現在は5%しか日本に行かないそうだ。

世界漁業は成長産業 その2

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世界の漁業生産が、過去最高水準で安定的に推移しているのは、各種統計から明らかである。ただ、漁獲量の統計のみでは、世界の漁業の現状を把握するのは難しいだろう。近年の世界漁業の発展は、量よりも質の向上によるところが大きい。

漁業を取り巻く状況が近年大きく変わってきた。50年前の水産物は、地産地消が基本であった。漁獲物は、比較的短期間のうちに、水揚げ地周辺で消費されてきた。冷凍技術と輸送技術の発達により、水産物が世界中を移動する時代になった。

世界の水産物の貿易量と金額を次の図に示した。漁業生産が頭打ちになった90年代以降も、水産物の貿易は順調に増加していることから、地産地消から、地産他消へのシフトが進んでいることがわかる。水産物の貿易の重量はコンスタントに増加しているが、値段はそれ以上に増加している。

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重量ベースで見ても、金額ベースで見ても、水産物の貿易は伸びているが、特に金額ベースでの伸びが著しい。これは輸出単価の上昇を意味する。水産物の輸出平均単価を図にすると次のようになる。

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長期的な上昇傾向にあることがわかる。近年、日本国内では魚の値段が低迷しているが、世界市場では2000年以降、急速に単価が上がっているのだ。90年代以前であれば、日本の価格の低下は、そのまま世界市場の価格の低下につながったが、現在はそうではない。日本が買わなくても、世界の魚の値段は上がっているのである。水産物国際市場は、急激な日本離れが進んでいるのだ。

世界漁業は成長産業 その1

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「東京湾漁業は高度成長期以降の旺盛な湾域開発によって漁場環境は変貌し、湾内漁業は経済優位な産業に駆逐され衰退の一途を辿っている。加えて、漁業自身 の抱える問題-乱獲、魚価の低迷、魚病の発生等-も大きいが、資源の管理・環境保全(生態系サービス)を念頭に置いた漁業は今や高収益の成長産業であるこ とが明らかになってきている。」と記したところ、「高収益の成長産業であることが明らかになってきている」という具体的事例を示せ、という指摘を受けてい るところです。事例収集、解析等についてご教授くださると幸いです。

世界の漁獲統計をみれば、成長しているのがすぐにわかります。世界の漁獲量は90年代以降、極めて安定的に推移しています。その間に、世界の水産物の価格は急増しているので、産業規模として拡張傾向にあるのは明白です。SOFIAあたりを見ていただければ、一目瞭然です。高収益というのは、経費も含めた統計が必要になるので、示すのが難しいですね。ノルウェーはそういう統計を出していますが、NZは国としての統計はありません。一部の上場企業の業績をみれば利益は確実に上がっています。

世界の漁獲量のトレンドはこんな感じです。
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(FAO FishStatより引用)
逆V字で50年前に逆戻りの日本漁業とは異なり、世界の漁業生産は右肩上がりで増加している。

主要な漁業国の1977年と2007年の漁獲量を比較するとこんな感じになる。
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漁獲量を大幅に減らしているのは日本のみ。ノルウェーも漁獲量は減少しているが、日本とは全く異なる理由である。日本は世界の漁場から閉め出され、国内の資源も乱獲で減少し、捕る魚が無くなっている。それに対して、ノルウェーのEEZの資源は、1977年から、倍ぐらいに回復している。魚はたくさんいるが、厳しい管理によって、漁獲量を増やしていないのである。1977年には赤字であった漁業を改革し、高利益体質へと変貌している。ノルウェーの漁獲量の減少は、漁獲量を追求する漁業から、漁獲物の質と安定性を追求する漁業へと改革をした結果なのだ。魚を獲り尽くして、自滅をしている日本とは対照的である。

主要漁業国の過去50年以上の漁獲量のトレンドはこんな感じになる。
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中国、インドネシア、米国、チリ、は右肩上がりもしくは、高め安定傾向。ペルーは主力のアンチョビの変動に大きく左右される不安定な産業構造ながら、健闘している。そして、ノルウェーは高価格戦略で、順調に利益を伸ばしている。ここでも、日本のように漁獲量が減少している国は他に見あたらない。

栄養と料理 9月号に原稿が掲載されました

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栄養と料理9月号(8月8日発売)
消費者が知っておきたい、漁業と水産環境の現状
魚はいつまで食べられるのか?
p100-107

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。

今年は、消費者に漁業の問題を訴えようということで、取り組んでいます。
漁業の現状を厳しく批判すると同時に、消費者にも厳しいことを書いています。
漁師は、多く獲ることしか頭にない。消費者は、安く買うことしか頭にない。
今の日本の魚食は、とても文化と呼べるような代物ではない。
漁師は持続的に獲るし、消費者が持続的に大事に食べる。
そういう持続的な魚食を実現するには、
業界も変わらなければならないし、消費者も変わらなければならない。

安全安心の日本の干物

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おもしろい調査があったので、紹介します。
事後処理はアレだけど、調査自体はとても意義があると思います。

緑茶・塩干魚介類の表示に関する特別調査の実施結果について
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/090520.html

19,689点の塩干魚介類の表示状況の調査を行ったところ、4,692点(23.8%に表示の欠落等の不適正な表示が確認されました。
img09072703

不適正な表示及び表示内容に疑義が認められた商品については、当該商品に表示された販売者、製造業者等に対し指導を行うとともに、不適正な表示の原因や事実確認のための調査を行いました。原料原産地の判別の結果、不適正な表示が確認された1業者に対し、指導等を行いました

不正な表示への対応:指示1件、文書54件、口頭786件

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要約すると、「1/4に不正の表示があったから、口頭注意しておいたよー」ということですね。こんな中途半端な処分では、消費者の不信感を増大させるだけでしょう。消費者の食の安全と、適正な表示をしていた76.2%の業者を守るためにも、不正表示業者のリストを公開すべきだろう。

NZに行ってきたよ

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またまた、NZに行って参りました。1週間と短い滞在でしたが、密度が高かった。前回の訪問と、その後のメールのやりとりで、NZサイドも我々の目的を理解してくれたようで、まさに、この人というような人物を紹介してくれた。ありがたいです。あと、今回は、チャタム島にも行ってきた。

チャタム島というのは、NZ本島のはるか東に浮かぶ孤島である。本土から、40人載りの小型飛行機が週に2便でている。約2時間半のフライトである。島の住民は570人。この島の主な産業は漁業と畜産。国から島に出る補助金は全くない。ITQが小規模漁村コミュニティーにダメージを与えるなら、この島が最初に淘汰されただろう。しかし、事態は全く逆なのだ。ITQのおかげで、漁業が利益を生み、島の生活が成り立っているのである。

島の主要な漁業は、アワビ(paua)、ロブスター(crayfish), Blue cod (アイナメ)、Kina(ウニ)である。アワビの漁業者の93%がITQを支持している。ロブスターの漁業者も数人の例外を除いて、ITQを支持している。島の加工場、漁業者組合、漁業者などに聞き取り調査をしたが、異口同音に「QMSが無かったら、漁業は無くなっていたよ」と語ってくれた。漁業者のインタビューもばっちりとってきたので、こうご期待。

チャタム島は面白いところだったよ。島に着いたら、まず、先住民の部族の歓迎セレモニーを受けた。マオリよりも前からいる、モリオリ族に招待されたのだ。セレモニーは女性を先頭にして、訪問するのがルールとのこと。戦争ではなく、平和を求めているという意思表示だそうだ。部族の方も、女性が出迎えてくれる。いざセレモニーになると、それぞれのグループのリーダー(男)が儀式をする。ここでは女性は一歩下がった場所で、発言も許されていないようだ。一通り、儀式的なやりとりが終わった後、鼻と鼻をくっつけて、挨拶をして、セレモニーは終わり。手作りのケーキや、アワビなどで、ウェルカムパーティーをしてもらった。

太平洋の真ん中の離島でも、伝統的なコミュニティーがしっかりと生き残っている。そのコミュニティーを支えているのは、補助金ではなく、漁業だ。コミュニティーは、NZ政府から経済的に独立している。コミュニティー内部では相互援助の精神で、たくましく生活をしている。彼らの生活を支えている漁業を支えているのが水産資源であり、水産資源を支えているのが、資源管理なのだ。チャタム島に関しては、いろいろ、書きたいことだらけです。

先生も、なかなか楽しいものだ

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情報科学基礎という授業を、受け持っている。俺の担当はプレゼンテーション。昨年までは、パワーポイントの使い方を説明していたようなのだが、そんなのわざわざ教える必要ないよね。ということで、今年は、「人前で話をするときに知っておくべき基本中の基本」をしっかりと叩き込んだ。でもって、最後に、学生にいろんなプレゼンをしてもらうのだが、なかなかの力作揃いで面白かった。みんなが、いろんなことに関心を持っているのがよくわかり、先生はうれしかったYO。

まだ、半分残っているので、次の授業が楽しみだ 😛

マグロ養殖、富より未来 豪業者、乱獲の埋め合わせ

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Bloomberg/マグロ養殖、富より未来 豪業者、乱獲の埋め合わせ – FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE.

オーストラリアも同じようなことをやっていますね。
技術的な問題はクリアしたとして、後は採算ですな。

界の漁獲高の8割を食べ尽くしているのは、世界最大のマグロ消費者である日本人だ。クロマグロは高級日本料理チェーン店「ノブ」など多くのレストランで供されているが、ノブ・ロンドンのメニューでは絶滅の危機を訴え、別の料理を注文するよう呼びかけている。

クロマグロの消費について、欧州では風当たりが強まっている。日本料理店でも、クロマグロのメニューに(持続性の観点からオススメしない)と但し書きを入れるようになった。保護団体などは、それでは不十分として、クロマグロをメニューから外すように要求している。マグロは、第二の捕鯨になりそうな雲行きであります。日本がイニシアチブをとって漁獲規制をすれば、風当たりも弱まると思うれど、自国の産卵場で、卵を産み戻ってきたクロマグロを根こそぎ巻いているような状況だから、どうしようもないです。

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from 18 Mar. 2009

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