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その他 Archive
鹿児島に寄港しました
- 2008-08-08 (金)
- その他
東シナ海でトロール実習を行ってきました。
ひたすら暑かったです。
ずーっと、こんな天気でした。
漁獲のほとんどがヒラツメガニです。
ひたすらカニを選別します。勢水丸は現代の蟹工船だねっ!!
「えーっと、これは何の魚かな?」 「よくわからないから、海に捨てちゃおうか」
一仕事おわったあとは、これ。
カニVSヱビスビール
鹿児島に到着。
おや、どっかで見た船がいるよ? 世間は狭いですな。
1週間ぶりににネットにつながりました。
おそるおそるメールをチェックしたら、特に急ぎの用事もなかったので、一安心。
これから気合いを入れて原稿書きです。
AFCの原稿を急いで仕上げねば。あとみなと新聞の原稿も書かなきゃ。
それから、北海道の評価票の原案にも目を通さねば。
なんか、夏休みの宿題に追われる小学生のような感じですよ。とほほ・・・
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共同通信から記事が出ました
- 2008-08-01 (金)
- その他
シーフードショーの後、共同通信の井田さんとあって、いろいろ話をしたのだ。
そのときのインタビューが記事なりました。
さっき、記事を読んだ漁業者から電話がかかってきて知ったのだが、
31日にいくつかの地方紙に写真入りで記事が出てたみたい。
三重大の図書館でチェックしたら、三重新聞にも載っていました。
ちょうど745億が決まった直後で、実にタイムリーでした。
―日本の漁業の現状をどう見るか。
「公海でも日本の近海でも水産資源は減少が目立ち、漁獲量が低迷、収益は上がっていない。魚は少なくなったのに、収益確保のため、より多くの魚を捕ろうとしているので、ますます魚が減る。この負の連鎖を続けている限り、どこまでも衰退を続けるだろう」―日本の資源管理の問題点は。
「日本は全体の漁獲枠を決めているだけなので、他に先駆けて早く大量に魚を捕れば、自分の取り分が多くなる仕組みだ。この結果、高く売れないことが分かっているのに、小さな魚を捕り、資源を食いつぶし、漁業者も不幸になっている」―燃料価格の高騰と魚の価格の低迷が話題になっているが。
「海外では、適切な資源管理を行い、燃料価格が高騰しても収益が上がる漁業はたくさんある。日本の漁業は、早捕り競争によってエネルギーを浪費しながら、価値が出る前の小魚を多く漁獲するので利益が出ない」―水産行政に問題は。
「行政は持続性を無視して、目先の漁獲量を増やすことを主眼に置いている。これは第二次大戦直後の食糧難時代の発想だ。日本では資源を持続的に維持できるレベルを大きく上回る漁獲枠が設定されており、資源管理など、ないに等しい」―燃料費の補助が決まったが。
「日本の漁業補助金は極めて不透明で、資源管理に役立っていないどころか、乱獲を招き、持続的でない漁業を続ける結果を招いている。燃料費の補てんも同様。今のような操業を続けるために税金を投入しても資源の枯渇が早まるだけだ。今回の補助金は漁業の将来にとっても、国民にとっても最悪の選択だ」―漁獲量の減少が収入源の原因か。
「自然の生産力は限られている。漁獲を増やして収益を上げるとの考えを抜本的に改め、高値で売れる魚を持続的に捕り、質で勝負しなければならない。世界では水産物への需要が高まり、価格は上がる傾向にある。漁業は成長産業だ。日本の漁業者は、国内市場しか見ていないから買いたたかれる。国際市場に通用する魚を安定供給すれば、価格は上がるはずだ」―補助金の在り方は。
「資源管理をきちんとして、良質の魚を売る漁業者は、燃料費が高騰しても利益を上げている。補てんをしているのはいずれも資源管理が不十分な国だ。補てんというその場しのぎではなく、資源管理と漁業の構造改善に補助金を使うべきだ」―解決への提案を。
「漁船ごとに漁獲枠を割り当て、これを相互に売買できる譲渡可能個別漁獲枠、ITQという制度が各国で採用されている。この制度を導入すれば無益な早捕り競争がなくなり、早さと量を競う漁業から質を重視する漁業に転換できる。収益が上がらない漁業者は、収益性のいい漁業者に枠を売ることで利益が得られる。こうすれば燃料費の補てんなど不要になる」
いつも言っていること、そのままですね(笑
当ブログの読者は、すでに耳にタコができていることだろう。
我ながらワンパターンだと思うけれど、信念と熱意を持って、同じことを繰り返すのが大切だ。
じわじわと共感者は増えているのを実感する今日この頃です。
継続こそ力なり。
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補助金が、必要な変化を妨げる
- 2008-08-01 (金)
- その他
この前のテレビで驚いたのは、関サバの漁師。
この半年1尾も釣れてないにもかかわらず、毎日300隻も船が出しているという。
交代で1隻か2隻ぐらいを出漁させて、
魚がいることがわかってから皆で出るぐらいのことがなぜできないのか。
「燃油が高い、高い」と文句を言う割に、コストへの配慮が欠如している。
真っ先に、「月夜」に一斉休漁をしたイカつり漁船も同様である。
少ないイカを漁業者間で奪い合うから、規制違反の明かりを炊くことになる。
宇宙を煌々と照らしながら、ストをする前に、業界内でルールを徹底するのが先ではないか。
関サバやイカつりばかりでなく、たいていの漁業は魚の奪い合いだ。
他の漁業者よりも早く漁場に行くために、
小さい船に不釣り合いな大馬力のエンジンを積んで、
規定の時間になると一斉にスタートする。
先を争って、値段がつかないような小魚まで必死に獲って、
未来の収益をどぶに捨てているのだ。
早い者勝ちの日本では、無駄に早いエンジンも、
漁場に急ぐために使われる燃油も、すべて必要経費である。
この経費をけちったら最後、何も獲れないのだから。
他の部分は極限まで削っても、
早取り競争のための投資は削ることができない。
無駄なコストの削減に関してはノルウェーは徹底している。
ノルウェーのサバは、日本人には脂がのりすぎている。
成熟が進むにつれて、体の栄養が卵に移り、徐々に脂が抜けている。
毎日、調査漁獲で脂の具合をモニターし、
最も良いタイミングで皆で獲りに行く。
業界全体で協力することで、コストを抑えて、利益を最大化できるのである。
ノルウェーの漁船漁業は常に最新の設備を使っているが、
より早く獲るためではなく、漁獲物の質の向上のために設備投資をおこなっている。
今回の燃油高騰は、無駄が多い日本漁業のあり方を見直す契機になったはずだ。
無駄な競争を続ければ共倒れになるのは明らかだから、
漁業者同士で協力をして無駄な競争をやめる以外に道はないのだ。
過剰競争を緩和する手段としては、個別漁獲枠、ローテーション出漁、
プール制など、やり方ならいくらでもある。
ローテーション出漁なら、1回の漁でより多くの魚をもち帰るために、
過剰に獲るだろうし、プール制だと良質の魚を生産しても、リターンがない。
最も操業の自由度が高く、合理的なのは個別漁獲枠だろう。
ただ、ローテーション出漁も、プール制も、問題はあるものの、
導入は、個別漁獲枠よりも容易であり、その気になればすぐにできる。
何もやらないよりは100倍マシだ。
ピンチとチャンスは表裏一体である。
人間というのは、必要性があって、初めて変化ができる。
無駄な競争をやめて、ほどほどに獲って、ばっちり儲ける。
俺が常々唱えている「持続的に儲かる漁業」への一歩を踏み出すチャンスだったのだ。
その芽を摘んだのが、今回の直接補償だ。
(政府は直接補償ではないと言っているようだが、どうみても直接補償だろ)
漁業者はこれからも、安心して過剰競争をつづけることができる。
価値の低い小魚を水揚げしておきながら、
魚価が安いのは、消費者がわるいと、愚痴り続けるだろう。
この無責任きわまりないばらまきののツケは、
すべて未来の世代が返していくのだ。
国産魚は食べられず、国の借金だけが残る。
かつて漁業を補助金漬けにして、乱獲に苦しんだノルウェーでは、
みなが口を揃えて、補助金の害悪とそれを断ち切ることの必要性を強調した。
「補助金は、必要な変化を遅らせるだけで、漁業にとってマイナスでしかない」と。
いまの日本の状況が、まさにそれだ。
安易な直接補償ではなく、持続的に儲かる漁業への転換を手助けするべきだった。
漁業者に、いくつかの資源管理のオプションを提示する、
話し合いの場所を設ける、専門家を派遣して方策を検討する。
そいうったことを、もっと積極的に行って欲しい。
政府や漁業団体は、EUの漁業補助金を見習えと言う論調が多かったが
EUの補助金は、休漁支援、生活保障、構造改革であり、直接補償ではない。
これらの漁業の変化を助ける補助金ですら、世界的には非難に曝されている。
俺個人としては、変化のための補助金は必ずしも悪いものではないと思うし、
こういう方向を目指すのであれば、目くじらを立てるつもりはない。
しかし、日本の745億円の補助金は、すでに破綻している現在の漁業を
そのまま延命するためのものである。
必要な変化を遅らせても、漁業がますます衰退するのは明白だ。
政治家は、目先の票のために、漁業の未来を破壊している。
次の選挙に頭がいっぱいで、漁業を破壊しているという自覚すらないかもしれない。
「他人のふんどしで、問題先送り」というのは、
漁業独自の問題ではなく、日本という国家全体の問題でもある。
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燃油補填が漁業を滅ぼす
- 2008-07-30 (水)
- その他
今の漁業は完全に過剰漁獲の状態にある。
漁業者間の魚の奪い合いで、エネルギーを浪費しながら、資源を食いつぶしている。
大型魚を取り尽くし、小さな未成魚からなりふり構わず獲っている漁業も多い。
こういう漁業は、単価も安いし、利益も出ないので、燃油が上がると真っ先に行き詰まる。
今回、これらの赤字漁業が採算のとれない操業を続けるために、税金を投入する。
すでに非持続的な漁獲圧を維持しても、資源の枯渇が早まるだけであり、
将来の食糧供給に対して、利益がないどころか、害でしかない。
資源が枯渇すれば、ますます漁業の収益は悪化して、
今後も補助金を要求され続けるだろう。
今回の補助金は、漁業の将来にとっても、国民にとっても、最悪の選択だ。
また、補助金の条件である10%の燃油消費削減も、全く本質的ではない。
資源管理もしないで、魚を獲りたいだけ獲っていたら、
燃費が10%良くなったところで、経営が行き詰まるのは、時間の問題である。
よく引き合いに出されるEUの補助金は、構造改善のためである。
EUは問題の本質は過剰漁獲であると明確にした上で、
休漁・減船を行い、自然の生産力とバランスがとれた大きさまで、漁業を縮小させるのが狙いだ。
休漁・減船による資源の回復こそ、今の日本漁業に必要である。
漁業者の痛みを和らつつ、減船・休漁ができるように、補助金を使うべきだ。
また、休漁・減船だけでなく、資源管理をしっかりとすることが肝要だ。
資源管理をしなければ、過剰努力量に陥るのは時間の問題だからだ。
補助金をつかうならば、次の3点を柱にすべきである。
- 休漁による資源回復
- 非効率経営体の減船
- 資源管理の導入
これらの方向に進んでいけば、適切なコストで安定供給ができるようになるので、
長い目で見て納税者にも利益がある。
ただ、構造改善のための補助金に対しても、EUでは非難の声が上がっている。
漁業以外の業種では、自らの投資で構造改善を行うのが当たり前である。
漁業だけが、補助金で助けてもらえるのは、おかしな話だ。
補助金を出した結果、漁業がどう改善されるのか、
それによって国民にどのような利益があるかを明確にした上で、
国民の審判を仰ぐ必要があるだろう。
燃油の差額補てんには基本的に反対である。
100歩譲って補てんをするにしても、資源状態が良い漁業に限定すべきである。
資源が枯渇している漁業に、税金で船を出させても、
乱獲が進行するだけで、国民には良いことなど一つもないのだ。
俺は、乱獲されている魚は食べたくないから、買わないことにしている。
しかし、税金で有無を言わさずに、これらの漁業に金をむしられ、
漁業の未来が奪われようとしている。
こんな馬鹿な話はない。
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日本に帰ってきました
ネルソンのホテルはネットにつなげなくて、結局、尻切れトンボになってしまった。
帰ってきたら、すぐ授業だったり、シーフードショーで講演だったりで、
えらく忙しいです。
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ウェリントン その2
今日の新聞では、食品価格の値上がりが特集されていました。
政府は価格調整などは一切しない方針みたいです。
Fish Serve
午前中は、FISH SERVEを訪問した。
FISH SERVEは、漁業ライセンスの管理、漁獲枠の管理、
漁獲報告の収集などを行っている。
ITQを導入している国には、ノルウェーのFisheries Direktori、豪州のAFMAのように
資源管理を行う独立の機関がある。
漁船の登録、モニタリング、漁獲量の集計などの手続きが煩雑になるので、
漁業に近い実働部隊が必要になるのだろう。
FISH SERVEのユニークな点は、政府組織ではなく民間企業だと言うことだろう。
もともとは、漁業省の一部であったが、現在は完全に独立した企業になっており、
予算は業界が全て出しているとのことであった。
政府を小さくするために、事務手続きを行う部署を外に出すことにした。
もともと漁業省の該当部門にいた人間は、
1999年にdata.comという一般企業の社員になった。
FISH SERVEがビジネスとして成り立たなかった場合に、
社員が路頭に迷わないための措置だという
2年後の2001年に新しい資源管理制度が導入されるのにあわせて、。
FISH SERVEが組織として独立し、DATA.COMから分離された。
DATA.COMに残った社員はいなかったという。
FISH SERVEになってから、経営の自由度が増した。
また、金を払う人間と常に接することで、コスト感覚が磨かれた。
収益を高めるためにコスト削減を進めているが、
サービスの質は向上している。
この経験を生かすために、コンサルタント業も開始した。
公務員と一般企業の両者視点をもっているので、
両者を結ぶような仕事を得意としているようである。
公務員からサラリーマンになった感想を聞いてみたら、
「企業だから倒産の危険性があるし、安定性は前よりもない。
でも、新しいことにどんどんチャレンジできてやりがいがある。
FISH SERVEに移って、本当に良かったよ」とのことでした。
日本でも、こういうキャリアパスがあると良いかもしれないね。
SeaFIC
さて、午後はSeafood Industry Council(SeaFIC)におじゃまをして、
ゼネラルマネージャーのAlastair Macfarlane氏から、話を伺ってきました。
Sea FICは、業界の利益のために、政府によって作られた団体で、
沿岸漁業、沖合漁業、養殖に関わる組合だそうです。
いわゆる全漁連に相当する組織なのでしょう。
ITQに対する漁業者の意識を質問してみました。
昔は漁業者よって、ITQに対する意見の相違があった。
しかし、今は小規模漁業から、大会社まで産業全体で、強くサポートしている。
早獲り競争では、だめだということです。
あと、漁獲枠を既得権として認めることで、漁獲枠が資産および収入補償になるので、
銀行から資金の調達が容易になったことが良い効果を及ぼしたそうです。
組合として、燃油価格高騰の補填を政府に求めるかを質問したら、笑われました。
「補助金がもらえるなら、誰だってもらいたいけど、そんな補助金はあり得ない」らしいです。
それどころか、来年の1月から、燃油に二酸化炭素排出税が課されるそうです。
「このタイミングで燃油に税金なんて、正気かよ?」と思いきや、
こっちの漁業者は魚の値段が上がっているからあまり困っていなさそう。
SANFORDも業績が良くて株価を上げているらしいし・・・
ニュージーランドで、ITQが導入できた理由を、当時の時代背景から詳しく説明してくれました。
あと、どの漁業でも、漁獲枠の値段は、ACEで売る場合の約10倍になるとか、
いろいろおもしろい話がありました。今日も勉強になった。
Macfarlane氏のインタビューも録画したけれど、編集してアップするのはいつになることやら。
オーストラリア、ニュージーランドで、いろんな立場の漁業関係者に会いましたが、
皆、ITQのことを高く評価していました。
また、タクシーの運転手も含めて、漁業は儲かっているかどうかを聞き込みしましたが、
「漁業者は儲けている。漁業は良い仕事だよ」というのが共通認識でした。
今回の訪問で、自分が進んできた道が間違えていなかったことを実感したよ。
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ウェリントン滞在記 その1
宅間さんとのミーティングの後、オークランドからウェリントンへ移動。
荷物が飛行機に乗り遅れたみたいで、夜中にホテルに届くという事故があった。
まあ、出てきて何よりですな。
でもって、今日はオーストラリアの漁業省でミーティング。
朝から晩まで缶詰でした。
ニュージーランド人は早口で、英語について行くのが大変。
昼ご飯を食べた後に、集中力がとぎれがちだった。
漁獲枠管理の技術的な部分や、立法的なことも含めていろいろと話を聞けた。
NZで漁業改革を担当した人の話が実に興味深かった。
ITQに対する漁業者の拒否反応は強くて、
トマトを投げられたり、チーズを投げられたりで、大変だったらしい。
「最初の10年は大変だけど、漁業は確実に良くなるから、がんばれ」と激励をされた。
いろいろな国を回っていると、ITQと一口で言っても、運用が全然違うことに気がつく。
漁獲枠システムを見ると、ピュアなITQはNZとアイスランド。
既存の漁業がら徐々に移行させていったのが豪州。
漁業者の既得権を維持しながら、部分的に移行したのがノルウェー。
それぞれ国の事情と、制度を照らし合わせると、なかなか興味深いです。
やはり、現地にいって話を聞くのは重要ですね。
夕方、町をタクシーで一回り。展望台からの見晴らしです。
夜は、小規模漁業を営んでいる漁業者とディナー。気さくでとても楽しい人でした。
彼によると、政府の方針には、いろいろと問題が有るようです。
たとえば、新しいルールが2週間前にいきなり公表されたりと、
やり方が強引すぎるということです。確かに、納得がいく話で有りますな。
「俺たち漁業者は大学教授というだけで、聞く耳を持たない。
さらに東京から来たなんて言ったら、そこで終わりだよ」とのこと。
こちらから、「じゃあ、どうすればよいと思う?」と質問をすると、
「漁業者サイドに、理解者を作ることだね」と言われました。
うーむ、確かにその通りですね。
ITQ制度について、どう思うかを聞いてみました。
「NZ政府の運用がひどいだけで、ITQ自体はとても良いシステムだよ。
ただ、NZのITQシステムをそのまま日本に持って行くは無理だろう。
目的を明確にした上で、日本漁業の特色にあったITQ制度を
模索していく必要がある」とのこと。
なんだかんだ言って、ITQに対しては好意的でした。まあ、それもわかる話です。
車も立派だし、家は高級住宅地だしで、彼も儲けているんだろう。
漁業というのは、ちゃんとした制度の下で、ちゃんとやれば確実に儲かる。
日本は、###が###で、##だから、###だけど・・・・
原油補助金はあるかどうかを聞いたら、「政府が金をくれるなんてあり得ない」とのこと。
NZの漁業者にとって、政府はひたすら金を奪っていく存在のようです。
NZでも衛星をつかって漁船をモニターするシステム(VMS)が導入されたんだけど、
「俺たちの金でシステムを開発しておいて、さらに、それを売りつけるんだぜ」と怒ってました。
ITQによって、漁業が儲かるようになったから、ITQには賛成だけど、
儲けの一部を管理費用として徴収するから、漁業省は嫌いみたい。
漁業省は、漁業者との相互理解を重視しているという話だったと思うけど、
漁業者からみると、まだまだ努力が足りないようです。
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日本の流通システム その5 産地市場と消費地市場
- 2008-06-13 (金)
- その他
勝川さんが説明された「卸売市場」に関し、是非、「産地市場」と「消費地市場」に分けて整理されることをお勧めします。
このエントリーで言及された「卸売市場」とは、恐らく「消費地市場」についてであって、「市場外流通」の話も漁船が直に水揚げしている産地市場の現状とは別次元と思います。
産地市場で取引された水産物(主に鮮魚)は、そのまま小売店経由で消費者に流れるもの、消費地市場を通ってから小売店・消費者へと流れるもの、消費地市場から更に消費地市場に流れて同消費者へ流れるものなど、流通経路は想像以上に複雑です。また、養殖魚の流通は、一般の鮮魚とも経路が少し異なります
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/06/post_359.html#comments
ある水産関係者さんから、アドバイスをいただいたので、少し整理してみた。
地方卸売市場(産地市場)というのは、水揚げする場所に市場があるような感じ。
産地市場では、セリが今でも主役である。
産地の小売りに卸すよりも、中央卸売市場(消費地市場)の方が値がつくものは、そちらに送られる。
地方卸売市場には、地域の台所としての役割と、他の地域へ送る魚を選別する機能がある。
中央卸売市場(消費地市場)は、大都市に設置されている。
日本各地から集めてきた魚を、その都市の消費者に流すのが目的だ。
日本を代表する消費地市場の築地には、日本中、世界中から、魚が集まってくる。
前述のように、中央卸売市場では、セリ以外の取引が主流になっている。
昨日、築地で飲んできたのだが、9時半頃には市場は動き出していた。
そのときに聞いた話では、築地では商品は毎日2回転するらしい。
1回転目はスーパー用の商材で、市場としても利益はでない。
スーパーの鮮魚コーナーの8割は赤字だから、利益が出るはずがない。
2回転目は、おそらく仲卸の相対が主体なのだろう。
そして、2回転目の終わりにセリがある。
セリは築地の中心行事ではなく、1日の終わりの合図なのである。
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とくダネが無事放映されました
- 2008-06-05 (木)
- その他
マサバの小型魚輸出の問題や、土木工事に偏重する予算など、様々な問題がわかりやすく整理されていたと思います。
俺の発言は4つ 。俺の発言の意図をくみ取った上で、適切な利用をしてもらったと思う。
次のような質問に答えた部分から抜き出したものだ。
Q:漁業者が減っているという話だが?
A:漁業者が減っているから、漁獲量が減っているのではない。魚がいないから、漁獲量が減る。そうすると生活が成り立たないから、新規参入者が閉め出され、結果として高齢化と漁業者の減少が続いているのです。このまま漁業が衰退していけば、漁業者が減って漁業が成り立たなくなるか、魚が減って漁業が成りたたなくなるか、のどちらかでしょう。まあ、最終的にどちらになるかはわかりませんが、一つ言えることは明るい未来は無いと言うことです。
Q:日本とノルウェーの違いはなんですか?
A:2つの大きな違いがあります。一つは、漁獲枠をあらかじめ船に配分する。自分の枠は一年でどう使おうとその人の自由。他の漁業者よりも早く獲る必要が無くなれば、無駄な競争を抑制しコストを削減できます。、もう一つは漁獲を自然の生産力以下に抑えることです。そうしなければ持続的な漁業生産は期待できません。
Q:日本のサバ漁業の問題点をまとめてください
A:日本のサバは適正サイズになる前に二束三文でたたき売られている。非常に残念なことだと思います。
Q:日本漁業の戦略にどのような問題点があるのか
A:戦略に問題があるというより、日本の漁業には戦略がないのです。とにかく魚を多く捕ることしか考えてこなかった。限りある自然の生産力を有効利用するという視点が欠落しています。ノルウェー漁業と日本漁業の違いは、戦略がある国と戦略の無い国の違いです
俺が例によって、小サバ輸出を痛烈にDISしたあとに、例によって水産庁の言い訳が入る。
「日本の場合は漁業の種類がものすごくたくさんあって、
それぞれ個別の割り当てをモニターしていかないといけない。労力もコストもかかる」
日本漁業は他国とは違うから、資源管理はできません、というおきまりのパターンだ。
日本の漁業は多様なら、その多様な漁業を管理する努力をすべきなのに、何もやっていないじゃないか。
たとえばノルウェー漁業のサバの漁獲枠を見てみよう。
http://www.sildelaget.no/kvoteoversikt.aspx
16種類の漁業に個別に漁獲枠が配分されている。
水産庁が主張するように、日本には漁業の種類がたくさんあるなら、
少なくともノルウェーよりは漁獲枠を配分する漁業の種類を増やす必要があるだろう。
では、現状はどうなのか。日本では大臣許可と知事許可の2つにしか分かれていない。
最低限、ノルウェーと同じレベルの漁獲枠配分の細分化をしてから、こういう主張をして欲しいものだ。
それぞれの漁業をモニターするにはコストがかかるのは当然だ。
ノルウェーはコストをかけて、日本とは別次元のモニタリング体制を確立している。
その上で、しっかりと利益を出しているのである。
端から資源管理などやる気がなくて、
日本漁業の独自性とやらを、資源管理をしない言い訳につかっているに過ぎないのである。
どの国でも、その国独自の漁業はあるわけで、他国と違うのは当たり前だ。
日本の独自性云々を持ち出す人間は、日本以外の国の漁業はすべて同じだと思っているのだろうか。
あと、俺の肩書きが準教授になっていたが、正しくは助教だ。
ちゃんと「助教」と書いてある名刺を渡したはずなんだけど。
助教を助教授と勘違いしたのかな???
これはスタッフのうっかりミスでしょう。
俺がノルウェーで獲ってきた画像が使われていました。
メモ代わりにハンディカムで撮ったものなので、
テレビ放映に耐えるような画質ではないんだけど、無いよりはマシでしょう。
今度行くときは、三脚をもっていって、まじめに撮ってこようかな。
今回の番組は良くできていた。俺も出演して良かったと思う。
ストーリーとしてわかりやすかったし、その場その場で出てくる画像も適切だった。
サバに関しては、小サバの輸出を止めて、国内鮮魚向けに大きくしてから獲れば、
漁業者にも消費者にも利益があるというような説明が欲しかった。
まあ、時間も15分と短い中で、そこまで論じるのは難しいかもね。
詰め込みすぎて消化不良になるより、シンプルなストーリーの方が良いかもしれない。
オンエアーまではいろいろと不安もあったが、俺的には大満足の良い番組でした。
引き続き、漁業の情報を報道してもらえるとうれしいです。
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