宅間さんとのミーティングの後、オークランドからウェリントンへ移動。
荷物が飛行機に乗り遅れたみたいで、夜中にホテルに届くという事故があった。
まあ、出てきて何よりですな。
でもって、今日はオーストラリアの漁業省でミーティング。
朝から晩まで缶詰でした。
ニュージーランド人は早口で、英語について行くのが大変。
昼ご飯を食べた後に、集中力がとぎれがちだった。
漁獲枠管理の技術的な部分や、立法的なことも含めていろいろと話を聞けた。
NZで漁業改革を担当した人の話が実に興味深かった。
ITQに対する漁業者の拒否反応は強くて、
トマトを投げられたり、チーズを投げられたりで、大変だったらしい。
「最初の10年は大変だけど、漁業は確実に良くなるから、がんばれ」と激励をされた。
いろいろな国を回っていると、ITQと一口で言っても、運用が全然違うことに気がつく。
漁獲枠システムを見ると、ピュアなITQはNZとアイスランド。
既存の漁業がら徐々に移行させていったのが豪州。
漁業者の既得権を維持しながら、部分的に移行したのがノルウェー。
それぞれ国の事情と、制度を照らし合わせると、なかなか興味深いです。
やはり、現地にいって話を聞くのは重要ですね。
夕方、町をタクシーで一回り。展望台からの見晴らしです。
夜は、小規模漁業を営んでいる漁業者とディナー。気さくでとても楽しい人でした。
彼によると、政府の方針には、いろいろと問題が有るようです。
たとえば、新しいルールが2週間前にいきなり公表されたりと、
やり方が強引すぎるということです。確かに、納得がいく話で有りますな。
「俺たち漁業者は大学教授というだけで、聞く耳を持たない。
さらに東京から来たなんて言ったら、そこで終わりだよ」とのこと。
こちらから、「じゃあ、どうすればよいと思う?」と質問をすると、
「漁業者サイドに、理解者を作ることだね」と言われました。
うーむ、確かにその通りですね。
ITQ制度について、どう思うかを聞いてみました。
「NZ政府の運用がひどいだけで、ITQ自体はとても良いシステムだよ。
ただ、NZのITQシステムをそのまま日本に持って行くは無理だろう。
目的を明確にした上で、日本漁業の特色にあったITQ制度を
模索していく必要がある」とのこと。
なんだかんだ言って、ITQに対しては好意的でした。まあ、それもわかる話です。
車も立派だし、家は高級住宅地だしで、彼も儲けているんだろう。
漁業というのは、ちゃんとした制度の下で、ちゃんとやれば確実に儲かる。
日本は、###が###で、##だから、###だけど・・・・
原油補助金はあるかどうかを聞いたら、「政府が金をくれるなんてあり得ない」とのこと。
NZの漁業者にとって、政府はひたすら金を奪っていく存在のようです。
NZでも衛星をつかって漁船をモニターするシステム(VMS)が導入されたんだけど、
「俺たちの金でシステムを開発しておいて、さらに、それを売りつけるんだぜ」と怒ってました。
ITQによって、漁業が儲かるようになったから、ITQには賛成だけど、
儲けの一部を管理費用として徴収するから、漁業省は嫌いみたい。
漁業省は、漁業者との相互理解を重視しているという話だったと思うけど、
漁業者からみると、まだまだ努力が足りないようです。
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Comments:2
- beachmollusc 08-07-28 (月) 17:54
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http://www.economist.com/world/europe/displaystory.cfm?story_id=11534582
EUの漁船用燃料の高騰で漁民のデモなどが起きていることをECONOMIST誌が批判的に論評しています。それを読んでいたら、なんだか日本のことのような気がしました。
この論説に対する読者コメントの一つで、NZの漁業者から意見が出されているのを見て、勝川さんの情報と整合していることが明快にわかります。
- 勝川 08-07-28 (月) 23:51
-
ここで、批判されているEUの補助金は、
日本のような「ばらまき」とは違います。
EUの補助金は、過剰努力量を削減し、
変化に対応できるような漁業に改変するための費用なんですよね。日本は資源管理もせずに、
乱獲するための資金を税金で与えて、
漁業を滅ぼすつもりなのでしょうか。
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