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その他 Archive
今日のブログはお休みです
- 2008-05-15 (木)
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みなと新聞の原稿を鋭意執筆中です。
今日が締め切りなんだけど、まいったなぁ。
というわけで、今日はブログを書く余裕がないです。
今回は、Wormの2048年漁業消滅説の解説をします。
国内のネタは扱いませんので、
肩の力を抜いてお楽しみください。
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無責任発言時代か 岩崎寿男 その1
- 2008-05-12 (月)
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TAC制度をちゃんと見直すように、厳しく批判をしたところ、変なところから反論(?)がきた。
この人は水産庁から、北巻き理事に天下ったんだけど、業界の守護神を自認しているみたいで、
俺に関する怪文書をばらまいたり、いろいろとがんばっているのだ。
水産庁&北巻きといえば、俺が常にやり玉に挙げているツートップであり、
水産庁から北巻に天下った岩崎氏は、当事者の中の当事者と言えるだろう。
岩崎氏が部外者だったら、当事者なんて日本に一人もいなくなるというレベルのバリバリの当事者だ。
にもかかわらず、みなと新聞では「漁業経済学会会員」とか「「民間の学識経験者」とか名乗っているから、
あきれてしまう。
まあ、確かに天下りしたら民間人だし、金を払って学会に入っていれば学識経験者と言えないこともない。
嘘ではないかもしれないが、当事者が当事者であることを隠して批判をするのは、フェアではない。
このあたりの行動が岩崎氏の本質をよく表していると思う。
まあ、岩崎氏が自らの過去を隠しても、俺が書いちゃうから、隠している意味はないんだけどね。
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みなと新聞連載 08年3月 後編
- 2008-05-10 (土)
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みなと新聞 3月21日
TAC制度の見直しに入る前に、問題点を指摘しておこうと思ったんだけど、
問題点を列記していくときりがないんだよ。
当時のブログにはこんなことが書いてあったりする。
水産庁が4月からTAC制度を見直すらしい。良い機会なので、みなと新聞の連載用に「TAC制度の問題点と改善案」をまとめてみたのだが、気がついたら9ページもの大作になっていた。連載記事の目安は1500文字なんだけど・・・
ど う す れ ば い い ん だ ?
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/03/post_311.html
1回で納まるようにがんばって削ったんだけど、結局、2回になってしまったよ。
みなと新聞が太っ腹だから、全部載せてくれたのでよかった。
この連載で言いたかったことは、
1)TAC制度は資源管理になっていないので、現状を正当化するのは無理。
2)ABCが駄目だとか居直って、何も変えないつもりなら、後で困るよ。
3)だから、気合いをいれて見直した方が良いよ。でないと後で公開するよ
ということだ。
これだけストレートに書けば、誰が読んでもわかるだろう。
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みなと新聞連載 08年3月 前編
- 2008-05-08 (木)
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TAC制度を見直しするとはいうものの、聞こえてくるのはABCへの非難ばかり。
使いもしないABCじゃなくて、TACを何とかしないとだめだろうに。
ということで、「今のままじゃ駄目なんだから、ちゃんと見直してください」と熱いエールを送ったのがこれ。
みなと新聞の08年3月20日の1面に掲載されました。
エールは届いたかな?
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TAC制度の見直し会議1回目の感想
- 2008-05-01 (木)
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みなと新聞4月28日 1面より引用
ついにTAC見直し審議が始まりましたね。
プレスリリースはこちら→http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kanri/080417.html
委員についての詳細はこちら→http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kanri/pdf/080417-01.pdf
まず、須能委員の「水産業管理という視点が必要。漁業者だけでなく、加工・流通を含む国民的視点で議論を」という発言には全面的に賛成。また、川本委員の「金額により漁業が成り立つかが最大の眼目」というのは、資源が無ければ漁業は無くなるので、それだけではだめでしょう。重量ではなく金額(利益)ベースで考えるという視点は、大切なことですね。限られた自然の生産力の範囲で、最大の利益を得られるようなサプライチェーン(漁獲→加工→流通)を構築することが重要です。その上で、漁業者・加工業者・流通業者に利益が平等に配分できるような枠組みを模索すべきでしょう。
馬場座長代理は、いつもの「反対!!反対!!」ですね。
黒倉・大倉委員の「納得できるプロセスを設けるべき」というのは、「誰が」納得するのかが不明です。「国民が」なのか、「特定漁業者が」なのか、「水産庁が」なのかによって、大きく異なるはずです。藤島委員の「漁業者が納得しないと無理」というのは、「漁業者が反対するから資源管理は無理」という意味なのか、「資源管理をするために漁業者を納得させる必要がある」という意味なのか判断がつきません。魚がいなくなれば、漁業がなくなるわけですから、納得しようがしまいが、乱獲はだめでしょう。漁業者だけの問題ではないのですから。ただ、漁業者にも納得できるように説得をすることは重要だと思います。
大倉委員の「(TAC)対象となる要件が曖昧」という批判は当たらないでしょう。重要な広域資源を網羅するという意味では、現在のTAC対象魚種はかなり妥当な判断だと思います。ただ、問題がある資源も無いわけではない。TAC対象でも分布の中心が日本のEEZの外側にあり、資源評価ができないようなものは、国際的な枠組みで管理をすべきでしょう。また、ブリやイトヒキなどはTAC対象とすべきだろう。「いたずらに対象種を増やす」べきでないのはあたりまえだが、この部分はちゃんと議論をする必要がある。6回も会議があるんだから、1回ぐらいはTAC対象の見直しにつかっても良いだろう。
長屋委員の「ITQは構造政策に関係する」というのはまさにその通り。今の構造ではだめだから、ITQを導入して構造を変える必要があるのだ。川本委員の「ITQは寡占化を招く、非常に問題を含んでいる」というのは論外でしょう。「ITQを導入しなければ寡占化を防げると思っているなら、とんだ世間知らずだなぁ」と思ったら、全巻関係者でした。納得。
日本の漁業者は激減し、20万人を割り込み、さらに減少中だ。60歳以上が約半数を占める一方で、24歳以下は3%にも満たない。つまり、ITQをやらなくても、漁業者は減り、寡占化は進むことは確実なのだ。
日本漁業は、どう転んでも、ある程度の寡占化は不可避なのだ。ただ、今まで通りの早いもの勝ちを続けるか、生物学的な漁獲枠を遵守するITQを導入するかで、その先の漁業の行く末は大きく異なる。
早い者勝ちの無管理状態では、より早く、より根こそぎ獲った漁業者が生き残る。乱獲力の高い漁業者が生き残り、資源の枯渇は加速していく。今のままでは、資源をどこまでも減らし、漁業者もどこまでも減るだろう。行き着く先は漁業という産業の崩壊である。
漁業者の減少を食い止めるには、ABCを遵守して資源の減少を食い止める必要がある。その上で、ITQを導入すれば、漁獲枠あたりの利益が多い漁業者が生き残る。漁獲枠あたりの利益の向上が、漁業者の維持につながる。一定の漁獲枠から得られる利益が倍になれば、倍の数の漁業者が生き残れる。生物学的な漁獲枠を遵守するITQこそ、漁業者の減少を最小限に抑える方策なのだ。
「非常に問題を含んでいる」のはITQではなく、資源管理を放棄してきた日本漁業の方である。ITQは日本漁業の構造的な問題の一部を解消するのに役立つだろう。
長屋委員が指摘するように、ITQの導入は漁業のあり方を大きく変えることになるので、いきなりITQを導入というのは、難しいだろう。まずはIQを導入し、漁獲枠の譲渡に関しては時間をかけて議論をしていくのが良いと思います。
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「漁業不振は諫早干拓が原因」賠償など求め漁業者が国を提訴
- 2008-05-01 (木)
- その他
長崎県の国営諫早湾干拓事業を巡り、有明海の漁業不振は同事業が原因として、同県諫早市と佐賀県太良町の漁業者41人が30日、国を相手取り、潮受け堤防の常時開門や総額約2億4800万円の損害賠償などを求める訴訟を長崎地裁に起こした。同事業を巡る訴訟で諫早湾内の漁業者が原告となるのは初めて。
訴えたのは、諫早市小長井町漁協の9人と佐賀県有明海漁協大浦支所の32人。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20080501-OYS1T00187.htm
この裁判は要チェックですね。干拓事業と漁業不振の因果関係を裁判で証明できるかがポイントでしょう。
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書評「築地 魚河岸三代目」
料理漫画といえば、お○しんぼが有名だが、もうぐだぐだみたいだね。美味しんぼに関してはここのレビューが秀逸。100冊まとめて振り返るとという、そのエネルギーに脱帽だ。
初期を「山岡アウトロー編」、その次を、栗田との恋愛関係を描いた「恋の鞘当て編」そして「東西新聞の危機編」最後に「もうただなんか食ってるだけ編」といった感じ。
この分析も実にわかりやすい。アウトロー編は楽しかったんだけどなぁ。
それはそうと、料理漫画といえば、これですよ、「築地 魚河岸三代目」。映画化されるみたいだから、人気があるのでしょう。
この漫画の特徴は、しっかりと一次情報に取材をしたうえで、事実をふまえてストーリーを組み立てていることろだろう。たとえば、21巻のハンスさんは実在するし、22巻の海和商店は亀和商店のことだろう。フィクションというよりは、ドキュメンタリーのような感じだ。取材をしないことで有名な某長寿漫画とはえらい違いだな。いろいろと勉強になることは多いんだけど、特に今日紹介する21巻と22巻は絶対に読んでおくべき。
21巻のみどころは、ノルウェー編です。三代目がノルウェーにいって、現地の漁業&サーモンの養殖を見学します。 ノルウェーの漁業を見た後の隠居(二代目)と三代目の会話が実に良い。
隠居 「近代的な捕鯨や遠洋漁業などの水産業は主にノルウェーから学んだのだよ。俺はノルウェーに来て日本の水産業はもう一度、ノルウェーを見習う必要があると思ったんだ。」
隠居 「ノルウェーの水産業がすばらしいのは、官・学・民の協力体制によって行われていることだ。」
隠居 「それは、官も学も民も同じ目的意識を持っているからだと思う。」
三代目 『同じ目的意識・・・』
隠居 「ああ・・・絶対にコモンズの悲劇を起こしてはならないという、強い共通の意志だ。」
俺もノルウェーに行って、ご隠居と同じことを思った。
22巻は「海を守るロゴマーク」の話が良い。MSCの生い立ちや現状がわかりやすく書かれている。俺がこれまで目にしたMSC関連の文章の中で、この漫画が一番わかりやすい。漫画には、漁業の現状を憂える千満四代目(小学生)が登場する。この四代目のストレートな発言が実ににすがすがしい。
四代目「ばかじゃないの?魚を獲るのが仕事なんでしょ!
魚を根こそぎ捕ったら絶滅しちゃうじゃん!
魚のすみかやえさ場まで破壊したりしたら、次からとれなくなっちゃうじゃん。
なんでそんなことがわからないんだよ!!」
四代目「やっぱり僕は無駄だと思うよ。
・・・
生産者側の意識が高くても消費者側の意識が低ければ話にならないんじゃないの?
・・・
そんな日本でMSCが広まると思う方がどうかしているよ・・・・」
まあ、実際その通りなのですが、それをどう変えるかを真剣に考えていかないとね。
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日本の食は安すぎる
- 2008-04-28 (月)
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講談社
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だんだんむかついてくる
突っ込み不足の感
安いのはいいことですけど
勉強すべきは消費者であるという強いメッセージを認識すべし。
実に読み応えがあった。本書は、ありがちな告発本ではない。
生産者の視点から、日本の消費者が食材とつきあう方法を根本から問い直している。
まず最初に、ミートホープの問題から入り、食料生産者がおかれている厳しい状況について説明をする。
その後は、「日本の・・・は安すぎる」という章が続く。
それぞれの章は独立しており、似たような構成になっている。まず、前半部分で、安売り品がどのようにコストカットをし、その結果本来の味が失われたかを説明する。そして、後半部分では本来の味を大切にする良質な生産者を紹介する。良質な生産者の製品はかなり割高になるが、中身を考えれば適正な価格であるというのが筆者の主張だ。紹介される食品は、漬け物、豆腐、納豆伝統野菜、ネギ、牛肉、豚肉、ハム、卵、牛乳、ラーメン、ハンバーガー、山菜そば、椎茸、お酢と多岐にわたる。ここまで多くの農作物の生産現場を紹介できるのは、筆者の職業が農作物流コンサルタントだからだろう。普通の農家にはこの本は書けない。
最終章では消費者が行動を変えることの重要性を説いている。
筆者の主張を要約するとこんな感じ
生産者:自然な味の安全な食品を、コストに見合った適正な価格で販売する。
消費者:製造工程を理解した上で、適正価格を判断する
実に考えさせられる内容だったし、全体として賛同できる。
この本を読んでいて、農業と漁業の違いも実感した。自分の畑は自分の物だから、こだわり農産物を生産しても、顧客が着けば商売として成り立つ。一方、漁業は資源を共有しないといけない。IQ(個別漁獲量割り当て)のような資源管理を徹底しない限り、農業と同じ土俵にたてないのだ。
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ウエカツ水産さまへのコメント
ウエカツ水産:
to:勝川さま
各国の事例を紹介いただき,ありがとうございます。そしてノルウエーの事例を知り,驚きました。というより,まさにそれが,私どものここ4年間で歩んできた道であったらからです(おそらく)。乗るウエー行政の,当面の場当たり的な妥協ではない,将来を見据えた調整能力を感じます。
私には、世界の漁業は一つの方向に向かっているように見えます。境港も試行錯誤の末、同じ方向に行き着いたというのは実に興味深い事例です。
過日この場をお借りして境港ベニズワイ漁業が各船個別割り当てに至った経緯を紹介させていただきましたが,それに対する勝川さんのご指摘には,今後の取り組みに向けて多くを学ばせていただきました。
そして今回のエントリーで,あらためて,過去も現在も含め,日本の多くの資源管理施策が“青い果実”であることを,はっきり認識いたしました(むしろ前浜が村有・郷有であった時代の共産的資源管理の方に結果として合理性があったように思います)。
小規模な閉じた社会であれば、「前浜が村有・郷有であった時代の共産的資源管理」でも良いと思いますが、当時の漁業と今の漁業ではずいぶんと違います。大規模化・効率化した現在の漁業に適した管理システムを模索しないといけないのですが、日本ではその取り組みが遅れています。
ひとつでも多くの地域,ないし漁業が,このようなイメージをきっかけに,自分たち,ひいては国民にとっての糧を子々孫々持続的に資源を利用できる方法を,“日常の中で”考えるようになれば,そう悪いことにはならん感じがいたします。少なからず希望が湧いてきました。
日本国内で個別漁獲枠というのは、貴重な事例ですので、いろいろ教えていただき、感謝しております。今後も当事者の観点から、いろいろとご教授ください。ちゃんと資源管理をすれば、日本漁業は必ず復活します。
ところで,
『日本以外の先進漁業国はおおむね条件を満たしている。
先進国では、乱獲を放置していたら、国民が許さないから、
行政もしかりとした対応をとらざるを得ない。
科学的なアセスメントをしっかりやって、その結果に従うことで、
資源の持続的利用への説明責任を果たしている。』
とのことですが,先進国(?)で乱獲が行われていることを,どこがどのように国民に伝えているのでしょうか。教えていただけませんでしょうか。
このような国民視野に立った事実の報道や行政としての対応というものは公務として当然のことであり不可欠と思うものの,実質あまり伝わっていないと思うので。
欧米では、環境保護団体の政治力が強いです。環境への関心の高さ故に、漁業は常に強い圧力と非難にさらされています。環境への関心の高さの副作用として、センセーショナルに悲観的な研究がもてはやされたりもします。たとえば、Wormの「2048年漁業消滅説」は内容にかなり無理がありますが、世界中で話題になりました。資源管理が機能している事例もたくさんあるのに、ちょっと悲観的すぎるようにおもいます。
この状況を打開する鍵は、漁業者以外への説明責任を果たすことでしょう。ノルウェーの漁業者ミーティングには、環境保護団体の代表も参加します。有権者の関心も高いので、漁業者の都合のみで乱獲などできません。ノルウェーの行政官は、「社会的な関心が無くなれば、漁業は良くない方向に必ず向かう」と言って、情報公開の重要性を強調していました。国民全体への説明責任を心がけているからこそ、第三者から見ても、合理的な資源管理システムになるのでしょう。
また加えて,我が国では「資源評価」なるものを「科学的に」といって算出しておりますが(水産研究所が独立法人化したこともあってか)魚種によっては無理矢理はじきだしている感もあり,結果として,現場の我々がサカナを獲りつつもヤセ我慢すればなんとかやれそうだと感じていても,一方で調整不能な(つまりそれに忠実に従って資源管理を実行すればその漁業自体が死滅するような)数値が出されているように感じておりますが,あれが「科学的アセスメント」と言うものなのでしょうか。これでは仮に行政や研究者が説明責任を果たしたところで,何の意味があるのかと思う次第です。
「魚種によっては無理矢理はじきだしている」というのは、その通りだし、自覚もあります。本来、ABCの数字を出せない資源に対して、無理矢理数字を出しても、信用を失うだけです。科学的なアセスメントの限界に対する説明責任を果たすべきでしょう。
たとえば、私が関わっている北海道では、ロシアに分布の中心があり、日本沿岸への来遊量で日本の漁獲量が決まる資源があります。ロシア側の情報が無いのだから、ABCなど計算できるはずがありません。でもABCは計算しないといけない。困り果てた水研の担当者が「この資源は、ABCが推定不可能と書きたい」と提案したところ、水産庁サイドから「委託事業だから数字は出してください」という話がありました
「ABCが計算不可能な資源に関しては、管理のあり方を見直す必要がある」というのは、何年も前からある話なのです。ただ、なかなかそこまで手が回らないのが正直なところでしょう。今回のTAC制度の見直しで、ぜひ議論をしてもらいたいものです。私としては、スケトウダラのオホーツクや根室海峡はABCの計算対象から外すべきだと思います。もちろん、分布の中心がロシアにあるからといって、何をしても良いと言うことにはなりません。未成魚はとらないような工夫をしつつ、来遊したものを有効利用すればよいでしょう。
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