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勝川俊雄公式サイト

赤福の憂鬱

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赤福というお菓子がある。餅とあんこのシンプルな食べ物だが、なかなか旨い。しかし、強烈に偏りやすいという、致命的な欠陥がある。少しでも斜めにしようものなら、箱の中身が一方に激しく片寄ってしまうのだ。

赤福を買うには、相応の覚悟が必要だ。残りの道程において、箱のバランスに留意し続けるという義務を受け入れる覚悟は当然だが、それだけでは不十分だ。どれだけ気をつけていても、箱を開けると寄っているのが、赤福の本当の恐ろしさなのだ。細心の注意をして、神経をすり減らしたあげく、「土産物、一つ、平らに運べない人間」という汚名をかぶることになるのだから、泣きっ面に蜂というしかない。最悪の事態を受け入れる覚悟が無いなら、赤福は避けた方が無難だろう。

かくも、敷居が高い土産物が、名古屋駅の売店では、ことどとく「人気No1」の名を欲しいままにしている。今日もまた、大勢の人間が、赤福という高い壁に挑み、無残にも散っていくのだろう。

12月21日発売のSPAにマグロの記事がでるみたい

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http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG16/20091221/77/

マグロ釣り大会で300キロ超の大物を釣り上げ2年連続優勝を果たした芸能界の大御所・松方弘樹氏。単なる芸能人の<お遊び>なのかと思っていたら、漁業環境や乱獲、資源保護などを大いに危惧し、問題を訴えているお方だったのだ。松方氏が語る日本の漁業の危機とは?

俺のコメントもちょっとだけ載るようだ。水産資源の枯渇が一般人の目に触れる機会は重要です。

先ほど、Sugakiyaデビューを果たしました

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うーむ。微妙。まずくはないのだが、微妙だ。

麺は悪くないけど、スープの化学調味料の濃度は反則だろう。

ラーメンフォークも微妙。麺を食べるには箸の方が便利だし、スープを飲もうとするとフォークが微妙に邪魔。

なんというか、異文化?  😕

Them Crooked Vultures

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Them Crooked Vultures

Dave Grohl
Joshua Homme
John Paul Jones

と、まあ、説明不要のとんでもないメンバーではあるが、期待以上のできだった。DaveとJoshuaは、QOTSAで一緒にやっていたりして、想像の範囲内であったが、JPJがくるとは驚き桃の木。3人の作り出す音が、実になじんでいるのだよ。House of Holyに通じる退廃的な雰囲気がたまらんね。オリジナルは、モノがちがいます。だがしかし、単なるZEPリバイバルではない。グランジやストーナーを経た新しい音で、プリミティブなロックを指向している。

ちょっぴり太ったDaveはNirvana時代よりも太い音で、ボンゾのごとくたたきまくっている。でもって、Joshua Hommeは、いつも通り、良い仕事をしている。緩急自在なリフのかっこよさは相変わらずだ。あと、いつもよりも声に張りがある。

残念なのは、Kyuss時代の緊張感がないこと。アルバムは、印象に残らない曲が多い。8曲40分ぐらいに絞った方が、よかったかもしれん。俺的には、だらだらと曲が続くのも好きだから良いけど。

まあ、つべこべ言うより、聴いた方が早いでしょう。にこやかにプレイする御大が印象的です。


雑誌 選択12月号に取材協力をしました

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http://www.sentaku.co.jp/

12月号のp86-87です。

書店には置かない雑誌のようです。1冊もらいましたが、なかなかディープな雑誌ですね。

なぜ入口管理は機能しないのか? その2

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なぜ入口管理は機能しないのか? その1の続きです

入口管理の失敗の歴史を振り返ってみよう。入り口管理は、一般的に、ライセンス制度→エフォートコントロール→テクニカル・コントロールの順番に進んでいく。そして、結局は思ったような効果が得られず、出口規制が導入されることになるのである。

1)ライセンス制度の導入(Limited Entry)

1960年代ぐらいから、漁業国の多くは、自由参入による過剰な漁獲圧を防ぐことを目的に、ライセンス制度の導入を始めた。ライセンスを持たない人間は、漁業から排除された。ライセンス制度によって、漁業者の数を制限することが可能になった。しかし、そもそも、漁業者が多すぎた上に、個々の漁業者が漁獲能力を増強させたために、ライセンス制度のみでは、何の抑制効果も得られなかった。

2)エフォート・コントロール

次のステップとして、出漁日数等のエフォート・コントロールが導入された。しかし、これらの取り組みはほとんど機能しなかった。絶え間ない技術革新によって、漁船の能力が飛躍的に向上したからである。出漁時間・日数が限られると、漁業者は短期間により多くの魚を漁獲をするために、設備投資を行う。早どり競争が激化し、結果として、漁獲能力がさらに押し上げられる。

漁船の性能は日進月歩である。出漁隻数や、出漁日数を制限したところで、個々の漁船の能力が急激に進化すれば、元の黙阿弥である。漁船の能力は、船の大き さ、エンジンの馬力、漁具の種類、魚群探知機などの電子機器、漁労長の能力など様々な要因に左右される。新しい漁具漁法の開発によって、漁船の漁獲能力は 年々向上している。これをTechnology Creepと呼ぶ。豪州で漁船の漁獲能力の増加を定量化したところ、年間3~5%程度であった。最近はソナーの登場によって、漁獲能力が一気に跳ね上がっ た。

例えば、マグロの一本釣りで有名な大間では、マグロの漁獲量は安定しているのだが、ソナーをつけた船が釣果を伸ばす一方で、ソナーが無い船はほとんど 釣ることが出来ない状態が続いている。大間に来遊するマグロの群れは年々減少しているのだが、低水準資源を効率的に漁獲するテクノロジーの進化によって、 漁獲量を維持しているのである。

3)テクニカル・コントロール

そこで、漁船のサイズ、エンジン、漁具、漁法、など漁獲努力量に影響を与える要因を細かく規制するテクニカル・コントロールが導入することになった。しかし、これも十分な効果を上げることが出来なかった。漁業者はルールの下で、漁獲を増やすように工夫をするからである。

以前は、漁船を見ればその国の規制がわかると言われていた。欧州は船の長さを制限したので、コロコロと丸い船体になった(写真)。一方、日本はトン数を制限したので、居住空間を極限まで切り詰めている。結果として、日本の漁船は、船室の屋根が、腰の高さまでしか無い場合も多い。漁業者は常に規制の影響を最小にするように工夫をする。その結果、規制は当初考えられていたような効果を得ることが出来ない。また、規制に適応するために無駄なコストがかかる。船体を丸くすれば燃費が悪くなるし、住居スペースが狭くなれば、労働環境が悪くなる。思ったような効果が得られないばかりか、漁業の生産性を損なうことになる。

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テクニカル・コントロールは、効果がない割に、規制を守らせるのが難しいという問題もある。日本では、漁船のエンジンの馬力や、集魚灯の光量に規制を設けているが、あまり遵守されていないのが実情である。漁船の検査が終われば、エンジンを載せ替えたり、不正はいくらでも出来る。入り口規制で、漁獲圧をコントロールしようという試みは、終わることのないイタチごっこであった。

テクニカルコントロールは、徒競走を障害物競走にしたようなものであった。障害物の数を増やしたところで、漁業は障害に対して適応し、漁獲を増やしていく。漁業者に余計なコストを課すだけで資源は守れなかったのである。




1960年代、1970年代は、世界の漁業管理の中心は、入口規制であった。しかし、入口規制は、漁業者のより多く獲りたいという欲求の前には無力であった。食材をローファットに変えたところで、食べる量が増えていけば、ダイエットには成らないのである。量を規制するしかないというのが、世界の共通認識となっている。出口規制で総量をコントロールした上で、混獲を減らすためにテクニカルコントロールを併用するというのが、今日では一般的なアプローチである。

もちろん、全てのものには例外がある。欧州では、出漁日数を漁船べつに割り振るIEQ(Individual Effort Quota)が成功を収めている例もある。ただ、この方法が機能するのは、EUがITQを選んだ理由でも書いたように、努力量と漁獲量が強い相関を持つ場合、すなわち、船や漁具の規格化が可能な小規模な漁業に限定されるでしょう。また、そういう漁業でも、ソナーのような道具が入ると、努力量当たりの漁獲量が跳ね上がることはあり得る話なので、漁獲量のモニターは必要でしょうね。

つぎは、出口管理のことを書きます(つづく)

「かゆ強制は人権侵害」大阪弁護士会が大阪刑務所に勧告 : ニュース : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

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「かゆ強制は人権侵害」大阪弁護士会が大阪刑務所に勧告

大阪刑務所が肥満や高血圧などの治療を理由に受刑者にかゆ食を強制したのは人権侵害に当たるとして、大阪弁護士会は14日、医療措置には受刑者の同意を得るよう大阪刑務所に勧告した。

うーむ、俺の感覚からすると、これは食育なんだけど。

肥満や高血圧、ぜんそくなどの症状があった受刑者にかゆ食をたべさせるのは、素晴らしい取り組みです。肥満や高血圧を、薬ではなく、食事で治療するというのは、医食同源という考え方。大阪刑務所は、実に進歩的だ。20ヶ月で15kgの減量なら、リバウンドも少なそうだし。健康になるし、医療費は減るしで、本人にも、納税者にも良いことずくめです。マクロビみたいに、「動物性タンパク質一切なし」とかなら、人権侵害と言われてもしょうがないけど、ご飯がおかゆになるぐらいは普通にアリだとおもうけどな。

というか、三重大の学食は揚げ物ばかりで、健康に良くない。大阪刑務所を見習って欲しいものである。

損益分岐点が2500円で、えさ代が5000円はないだろう

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クロマグロを死守せよ:「獲る」から「育てる」に活路-漁獲規制で – Bloomberg.co.jp.

採算性についても、三重大学生物資源学部生 物圏生命科学科の勝川俊雄准教授は「マグロを1キログラム太らせるには、サバやイカなどの生餌が15キロ程度必要。損益分岐点が1キログラム当たり 2500円にもかかわらず、餌代だけで5000円程度かかる」と指摘。その上で「完全養殖であるなしを問わず、ブリやマダイなど日本の養殖業者が衰退した 歴史を繰り返すだろう」と懐疑的だ。

餌代15kgで、5000円とかいって、笑うところですね。これだから学者先生はダメなんだよな。普通に考えれば、1kgあたり70円ぐらいのジャミサバを15kgで、えさ代は1kg当たり1000円前後、自分で獲ってくる経営体も多いからさらに安くなる場合もある。5000円というのはあり得ない価格だ。というか、えさ代が5000円で、損益分岐点が2500円というのがあり得ないことぐらい、誰だってわかるだろう。バカな学者もいるもんだ。って、俺じゃねえか!!!

この記者は、飲み屋で多数で雑談をした時に名刺をもらった。その場で、「日本の養殖政策にグランドデザインが無くて、今のままでは産業として育たない」という話はしたような気はする。取材というような席でも無かったし、えさ代5000円なんて、酔っていてもそんな間違いしないだろう。飛ばし記事を書くのは結構だが、俺の名前を勝手に使うんじゃない。内容はいい加減だし、確認もなにもなし。取材のやり方として、問題があるんじゃないのか。とりあえず、抗議のメールを送ることにする。(→追記:bloomberg社の対応は、丁寧で素早かったです)

水産庁も、メディアも、「マグロ養殖の未来はバラ色」と言わんばかりに煽っているけど、近い将来、立ち行かなくなると見ている関係者は少なくない。マグロの養殖は、需要を見極めた上で、利益が出るような規模を維持しながら、徐々に拡大させていく必要がある。また、大規模化は、完全養殖が軌道に乗ってからでも遅くない。天然魚も減っている中で、猫も杓子もマグロ養殖を始めて、ヨコワ争奪戦が発生している現状を放置しておいたら、養殖が育つどころか、漁業がつぶされてしまう。こいうことで、こういう記事が出ること自体は、意義があるのだが、内容が・・・ですね。

それはそうと、ノルウェーの養殖戦略というのが、また、凄いんだよ。これが。今年、ノルウェーの漁業庁の人間から、養殖政策についてもみっちり聴いてきたんだが、実に興味深い内容だったなぁ。ノルウェーの養殖サーモンが伸びる理由がよくわかったよ。時間があったら、これについても書きたいです。

なぜ入口管理は機能しないのか? その1

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読者のI. Sakaguchiさんから、次のようなコメントをいただいた。

国内漁業の管理の問題がより重要になると考えております。ただし、国内資源の場合は条約を作って規制する云々の話にはなりませんので、基本的には学習や政 策拡散が重要となります。こういったプロセスを分析するのが研究課題となり、ITQの世界的広まりに興味を持っています。国内ではefforts controlとITQの間で政策的議論が繰り広げられているようですが、フェロー諸島の漁業管理(鱈など)は前者の譲渡可能版のように見えます。漁獲能 力の増強をコントロールできればこれも有力な選択肢にも見えます。機会がありましたら、こういったシステムの可能性についてのお考えもウエブなどでお聞か せいただければ幸いです。

これは重要な問題だと思うので、少しまとめてみよう。

議論の前提として、用語の整理をしておこう。漁獲圧を規制する方法としては、入口規制と出口規制の2つのアプローチがある。

1)入口規制
出漁する船の数、出漁時間、曳網回数などに上限を設けるアプローチで。出漁時間など漁獲努力量を制御するエフォートコントロールと漁具や漁法の規制をテクニカル・コントロールが含まれる。

2)出口規制
港に水揚げされる漁獲物の量を規制するアプローチ。全体の漁獲枠を早い者勝ちで奪い合うオリンピック方式と、漁獲枠を予め個々の経営体に配分する個別漁獲枠方式がある。

沿岸国による一般的な漁業管理は、以下のような順序で進化した。

1)ライセンス制度

2)テクニカルコントロール

3)漁獲枠(オリンピック)

4)個別漁獲枠

こういう順序になるのは、理由がある。1)から4)の順に、導入のハードルが高くなるのだ。どの国も、入れやすい制度から順次導入していったが、効果が無かったので、徐々に管理のハードルを上げていき、結果として個別漁獲枠に到達したのである。

ここで、注意しておくべきことは、それぞれの方法はAlternativeではなく、併用される点である。ほとんどの漁業は、ライセンス制度を導入した上で、テクニカルコントロールも行い、漁獲枠を設定した上で個別配分している。国内の有識者は「入口規制と出口規制のどちらが優れているか」というような議論を延々としているのだが、そういう議論をすること自体が無知の証である。

「入口規制のみでは、水産資源の持続的利用は無理」というのが、世界の漁業国の結論である。水産庁は、かたくなに出口規制を拒んでいるのだが、日本の漁業がなすすべもなく衰退していることからも、入口管理では不十分なことは明らかであろう。

(つづく)

三重大学で、新しいプロジェクト。その名も水産ルネッサンス

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ルネッサンスといっても、何がなんだか、よくわかりませんね。実は俺もよくわかっていません 😛

どうやらやりたいようにやればいいようなので、資源管理をベースに、加工・流通も含めて、持続的な成長戦略をつくるわけですよ。ノルウェーやNZの成功のエッセンスを取り込んで、日本漁業の未来像を想像するような、おもしろ愉快なプロジェクトにしたいと思います。
詳細は、追って、公開しますね。

なんか、おもしろくなってきたよ!

日本漁業、始まったな

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from 18 Mar. 2009

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