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勝川俊雄公式サイト

オリンピック調達方針のパブコメが今日まで


オリンピック水産物の調達方針(案)が先日公開されました。ロンドン以降のオリンピックでは第三者が透明性を持って、持続性を確認した食材のみを提供することになっていたのですが、東京大会は「国産の水産物は漁協の自己チェックでOK」という驚愕の内容になっています。このままでは日本は水産物の持続性に関心が無いということを世界に示すことになりかねません。この件についてのパブリックコメントが今日の17時まで受け付けられていますので、本文を読んで共感された方は、是非投稿してください(投稿用の例文は文末に準備しました)。

背景

「なぜ、オリンピックで水産物の持続性なのか」という背景から説明します。ロンドン以降のオリンピックでは、レガシーという概念が重視されています。オリンピックのような大規模イベントは、どうしても環境に負荷を与えてしまいます(下図の緑線)。しかし、大会をきっかけに人々のライフスタイルが改善できれば、長い目で見れば環境にプラスなイベントにすることが可能です(下図の赤線)。つまり、レガシーとは、オリンピックが、未来の世界に対して有益なイベントになるためには不可欠なのです。

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ロンドン大会のレガシーの中には、水産物の持続性も含まれています。ロンドン大会以前は、英国における持続的な水産物は単なる言葉だけのものでした。だれも魚の生産プロセスに関心を持っておらず、公共設備や高級レストランを含む至る所で、絶滅危惧種の魚が提供されていました。

ロンドン大会では、持続的な漁業や環境負荷が小さな養殖業に由来する水産物のみを提供することにしました。未来に続いてくような漁業を応援し、それをサポートする文化をレガシーとして残そうとしたのです。そして、ロンドン大会をきっかけに、英国では持続的な水産物が一気に普及しました。

ロンドンオリンピックの持続的な水産物の基準を英国全体に広げるために「持続的水産物都市」という新しいプログラムが立ち上げられました。消防署など多くの公共機関の食堂で、持続的な水産物が提供されることになった。交通局400万食、警察500万食。これは始まりに過ぎない。主要なケータリングサービスで、オリンピック基準が採用された。学校、刑務所、軍隊など多くの場所で持続的な食が提供された。これらを合計すると2億食になる。2012年のフードレガシーは現在でも至る所で実感できます。

リオ大会でもロンドン大会を踏襲し、透明性が高く世界的に評価が高いMSCのエコラベルを調達方針としました

これまでの議論

魚食大国の日本はどのようなレガシーを東京大会で残すのか。世界の注目が集まっています。私も日本の消費者が水産物の持続性に関心を持つきっかけになれば良いと期待をしていました。つい先日公開された調達方針(案)は、輸入についてはこれまでどおりMSC認証を要求する一方で、国産については漁協の自己申告でOKにしようという明らかなダブルスタンダードです。

問題点についてはこちらに整理しました。

外部のサイト(シーフードレガシー)ですが、こちらも良くまとまっています。

水産物の調達基準(案)は、以下の点において、持続性が示されたもののみを提供するというIOCの基本理念に反しています。

1)加工品については、主原料すら調達基準が適用されない
2)国際基準に準拠しているとは言い難い国内の業界団体認証(MEL/AEL)を採用している
3)認証がない水産物であっても、漁協や行政の自己チェックのみで調達可能としている

私としても、東京大会は国産の食材でおもてなしをしたいという気持ちはあります。だからといって、これまで五輪が培ってきたレガシーを無視して良いことにはなりません。オリンピックは国際イベントですから、国際的な基準を尊重する必要があります。国産品が調達しやすいように恣意的にハードルを下げたならば、日本全体のイメージダウンは逃れられません。

パブコメ例文

このままでは、後に残るのは負の遺産ばかりになってしまいます。このままではまずいと思う人は、パブコメに意見を送ってください。(パブコメの詳細はこちら

エクセルファイルで提出をしないといけないので、こちらで記入済みのものを準備しました。

パブコメ例文ファイル:ダウンロードはこちら

御自分の名前と連絡先を記入したうえで、メールに添付して、sustainability@tokyo2020.jpまで送ってください。メールの件名は、「持続可能性に配慮した調達コード(案)に関するご意見」と記載ください。

私たちの声で、東京五輪をより良い大会にしましょう!

なぜ、巻き網やトロールは、魚が減っても漁獲が維持できるのか。そのメカニズムを解説


巻き網やトロールでは、資源が減っても魚をとり続けることが出来ます。一方、釣りや定置などは、資源が減ると漁獲量が減少し、毎年の漁獲量の変化が大きくなります。それはどういう理由なのかを説明します。

サバやタラなど、多くの魚は群れをつくって回遊します。群れの大きさや密度は資源状態にかかわらず一定ということが知られています。魚が半分になると群れの密度が半分になるのではなく、群れの数が半分になるのです。下の図で言うと右側ですね。

弱い魚が群れるのは、捕食者に襲われたときに、群れの一部が補食されているうちに、残りが逃げられるようにするためと考えられています。捕食者だって、一度に食べられる量には限界があるので、逃げられる確率が増します。産卵群の場合は、有効な精子と卵子の密度を維持するためにはそれなりの個体数が必要です。つまり、生物にとって最適な群れの大きさがあり、その群れの大きさが維持される傾向があります。これは長い年月、進化の過程で培ってきた自然の知恵です。この生物の知恵が、ここ100年で急速に発達した人間の漁獲に対しては、裏目にでています。

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巻き網やトロールは高性能の魚探やソナーで遠くの群れを発見して、群れごと一網打尽に出来ます。最近は、衛星写真や無人ヘリなどのテクノロジーも投入されいます。資源が減少しても、群れを探す時間が多少増えるだけで、漁獲の効率はそれほど落ちません。一方で、群れを見つける能力が低い漁法や漁場が限られている沿岸漁業は、資源量の低下が漁獲量の低下に直結します。また、狭いエリアに群れが来てくれるかどうかで、その年の漁獲量が大きな影響を受けることになります。沿岸漁業でも、狭い海域で一時的に水揚げが急増して、「近年にない豊漁」と大々的に報道されたりするのですが、広範囲で継続的に水揚げが増えていない場合は、資源の増加を意味しないと考えた方が良いでしょう。

日本の巻き網船団は、日本海の産卵場に卵を産みに来たクロマグロの群れを一網打尽にしています。こういう漁法なら、資源量が低下しても、漁獲が維持できるので、低水準資源に甚大な影響を与える危険性があります。大西洋のタラ資源は、産卵群をトロールで漁獲していたのですが、資源が崩壊する直前までトロールの漁獲効率はほぼ一定でした。今のテクノロジーだと、漁法によっては、本当に獲り尽くすまで、魚が効率的に捕れてしまうのです。

これまでクロマグロを生業としてきた沿岸漁業は、水揚げが落ち込み、年による変動も大きくなっています。巻き網団体の「産卵場の巻き網は水揚げがあるから、資源には問題が無い」という主張には無理があります。実態は、「巻き網ですら産卵場でしか獲れなくなっている」という危機的な状態なのです。また、大型巻き網の漁獲は温存しながら、沿岸漁業ばかり熱心に規制をする水産庁の方針は本当に国益に適うのか。大いに疑問を持ちます。数ばかり多くて漁獲量が少ない釣り漁業より先に、大型巻き網漁業の産卵場での漁獲を規制すべきです。

ハタハタの不漁は海洋環境が原因という説を検証


秋田県沿岸のハタハタが不漁です。「ハタハタは豊富にいるけれども、海洋環境の影響でたまたま沿岸に来なかった」ということになっているようです。「沖では獲れているので資源は豊富であり、漁獲枠を増やすべきだ」という声が漁業関係者から上がっています。本当にそうでしょうか。

季節ハタハタ漁、男鹿中心に低調 「本隊接岸の実感ない」
秋田県の今季の季節ハタハタ漁が低調だ。県水産振興センターによると、13日時点の漁獲量は約240トンで漁獲枠480トンのほぼ半分。漁は既に終盤だが、男鹿市沿岸を中心に水揚げが振るわず、市内の漁業関係者は「大きな群れが来ないまま終わってしまうのか」と困惑している。
http://www.sakigake.jp/news/article/20161219AK0005/

ハタハタ資源が豊富な時代は、秋田県でも1万トンを超える水揚げが安定してありました。また、年による凸凹はあるにしても、漁獲量が比較的安定していました。資源が豊富だった時代と比べて、現状の資源状態が悪いことに疑問の余地はありません。

確かに、獲りやすい場所に、魚の群れの密度がまとまるかどうかで、毎年の漁獲量は変動します。問題は、近年は変動のベースとなる水準があまりに低いことです。また、魚の量が減ると、分布が狭まり、年による当たり外れが大きくなります。環境条件がかみ合わないと漁獲量が激減すること自体が、魚が少ないことの証なのです。ハタハタ資源は依然として低水準であり、漁獲枠を期中改定して増やすような状況ではないと考えます。

(http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1226650318985/files/hatasuii.pdfより引用)%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%97%e3%83%81%e3%83%a3

 

沖合トロールで水揚げがあるからといって、資源が豊富とは限りません。研究によって、群れを作って回遊する魚は、資源量が減ると群れの大きさを維持したまま、群れの数が減ることがわかっています。巻き網、トロールのように、魚探やソナーで魚群をピンポイントで一網打尽にできる漁業は、資源が減ってもその影響をあまり受けません。とくに県をまたいで広範囲の漁場を利用できる沖合トロールの場合は、船頭の腕が良ければ、本当に魚がいなくなるまで、水揚げをすることが出来ます。一方、漁場が限定された沿岸漁業は、資源が減った影響はまともに被ることになります。沿岸漁業者は、漁獲規制を恐れて「今年はたまたまとれなかっただけで魚はいる」と主張し、規制に反対するケースがほとんどです。規制が導入されない結果として、大規模漁業が魚を獲り尽くすのをアシストし、自分たちの獲り分を減らしているのです。

資源の持続性を考えると、最低でも初期資源の20%程度の水準は維持したいところです。本来であれば、秋田県でも3-5千トンぐらいは安定してとれる水準までは、資源の回復を優先すべきです。予想より魚が多いのであれば、今すぐに獲ってしまうのでは無く、資源回復に回すべきです。トロールでまとまった水揚げがあるたびに漁獲枠を増やしていたら、いつまで経っても資源は回復しません。

漁業者からの増枠の要求があったにもかかわらず、秋田県水産振興センターは、資源回復のために漁獲枠を増やさないという判断をしました。妥当な判断だと私は思います。とはいうものの、他県や沖合トロールが水揚げをしているのに、秋田の漁業者だけが我慢をするのは難しいことも、同時に理解できます。秋田県水産振興センターは調整に大変なご苦労をされただろうし、それを受け入れた漁業関係者にしても苦渋の決断であったでしょう。最大の漁獲県として、率先して規制をするという姿勢には頭が下がります。

本来であれば、日本海のハタハタの資源回復は、資源を利用している全都道府県の漁業者が、共通の枠組みで行うべきです。県をまたぐ回遊資源の規制は国(水産庁)の役目です。国が音頭を取って、長期的な回復計画を策定し、一時的な減収補償をしつつ、スピード感と強制力をもって漁獲規制をすべきと考えます。

持続性を無視する東京五輪の水産物調達方針


ロンドン以降の五輪では、ホスト国は持続的な水産物を提供することが期待されています。オリンピックのスタンダードからすると日本の漁業は持続性に問題があるという話はすでに指摘したとおりです。2020東京大会での調達基準(持続可能性に配慮した水産物の調達基準)の(案)が公開されて、パブコメにかけられています。「国際的なハードルが高いなら、日本漁業が現状でもクリアできるような国産の基準を作ればよいじゃないか」ということで、思いっきりハードルを下げてきました。

https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/opinion-sourcing-code/data/fishery-products-code-JP.pdf

細かいところまで指摘していると切りが無いので、大きな穴について指摘していきます。

1.本調達基準の対象は、水産物の生鮮食品(※)及び水産物を主要な原材料とする加工食品とする。
サプライヤーは、生鮮食品については、本調達基準を満たすものを調達することとし、加工食品については、主要な原材料である水産物が本調達基準を満たすものを可能な限り優先的に調達することとする。

「生鮮食品については、本基準を満たす」というのは当たり前ですが、問題なのは加工品です。「本調達基準を満たすものを可能な限り優先的に調達することとする」となっており、単なる努力目標です。「努力はしたんだけど…」といえば、主要な原材料ですら基準を満たす必要が無いのです。「調達基準を満たさない食材でも、混ぜて加工すればOK」ということです。加工食品には、多くの食材が少量含まれるようなケースもあり、その全てにおいて持続性の証明が難しい場合もあります。ロンドン大会やリオ大会で採用されたエコラベルMSCは、加工品については水産原料の95%以上が持続的であることを要求します。

(改善案)
1.本調達基準の対象は、水産物の生鮮食品(※)及び水産物を主要な原材料とする加工食品とする。サプライヤーは、生鮮食品については、本調達基準を満たすものを調達することとし、加工食品については、水産物由来の原材料の80%以上が本調達基準を満たすものを調達することとする。

二番を見てみましょう。

2.サプライヤーは、水産物について、持続可能性の観点から以下の①~④を満たすものの調達を行わなければならない。
①漁獲又は生産が、漁業関係法令等に照らして、適切に行われていること。
②天然水産物にあっては、科学的な情報を踏まえ、計画的に水産資源の管理が行われ、生態系の保全に配慮されている漁業によって漁獲されていること。
③養殖水産物にあっては、科学的な情報を踏まえ、計画的な漁場環境の維持・改善により生態系の保全に配慮するとともに、食材の安全を確保するための適切な措置が講じられている養殖業によって生産されていること。
④作業者の労働安全を確保するため、漁獲又は生産に当たり、関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。

①と④は当たり前なので、「関係法令等を遵守していること」と簡潔にしても良いでしょう。

②と③は実に曖昧な書きぶりとなっていて、科学的な情報を踏まえて計画的に乱獲を継続している漁業は日本国内にいくらでもあります。「科学的」「計画的」などという単語が何を意味するかは、判断をする人間の解釈次第となります。当事者・関係者が甘い基準で判断すればなんでもOKになります。

オリンピックは国際的なイベントですから、FAOの「責任ある漁業の行動規範」や「天然水産物のエコラベリングに関するガイドライン」などの国際的な基準に準拠している水産物を調達する必要があります。エコラベルが本当にFAOのガイドラインに準拠しているかどうかをチェックするGSSIという国際機関があります。GSSIに認定された水産エコラベルで認証を受けた水産物をつかっておけば間違いないでしょう。ついでに、トレーサビリティについても入れておきましょう。

(修正案)
2.サプライヤーは、水産物について、持続可能性の観点から以下の①~④を満たすものの調達を行わなければならない。
①漁獲及び生産などすべてのプロセスが、関係法令等に照らして、適切に行われていること。
②The Global Sustainable Seafood Initiative (GSSI)がFAOの水産エコラベルガイドラインに準拠していると認定した水産エコラベルの認証を取得していること。
③個々の漁船や養殖場までさかのぼれるトレーサビリティを確保すること。

さらに続きます。

3 MEL、MSC、AEL、ASC による認証を受けた水産物については、上記2の①~④を満たすものとして認める。このほか、FAO のガイドライン注に準拠したものとして組織委員会が認める水産エコラベル認証スキームにより認証を受けた水産物も、上記2の①~④を満たすものとして同様に扱うことができるものとする。

MSCとASCは、世界的にも実績がある透明性が確保されたエコラベルであり、ロンドン大会、リオ大会でも調達基準として利用されてきました。これらのエコラベルを調達基準としても海外の理解は得られるでしょう。同列に並べられているMELとAELは、日本の業界団体による審査の緩い認証制度です。例えば、MELは、日本海の産卵場で絶滅危惧種のクロマグロを一番多く獲る巻き網船団を認証しています。産卵期のクロマグロが、持続的な水産物として東京オリンピックで提供されたら、世界の人々はどう思うでしょうか。輸入水産物についてはMSCという極めて厳格な認証が要求されるのに対して、国産水産物については業界団体の甘い審査でOKというのは、明らかなダブルスタンダードです。

MELについては、「業界団体ラベルだからダメ」ということではありません。オリンピックまでに大幅な改善をして、GSSIのベンチマーキングをパスすれば、調達方針に含むことは可能です。ただ、現状ではFAOのガイドラインから逸脱しているのは明白なので、現段階でMELを含むべきではありません。国産・輸入にかかわらず、持続性については同じハードルを設定した上で、国産原料を優先して調達するのが筋だと思います。

指定されたエコラベルの認証を得ていなくても、「組織委員会がFAO のガイドラインに準拠したと認めた水産エコラベルならOK」ということですが、こういう記述が出てくること自体がFAOのガイドラインを理解できていない証拠です。FAOのガイドラインは細かいところまで決められていて、準拠しているかどうかをチェックするのは、専門家がかなり時間をかけて丹念に作業をする必要があります。GSSIの場合は、チェックの仕方をBenchmarkというドキュメントにまとめているのですが、300ページ以上のボリュームで専門用語が満載であり、組織委員会に対応できる内容ではありません。日本国内にはベンチマーキングのノウハウがないので、GSSIのような国際機関に透明性を持ってチェックしてもらう必要があるのです。

持続性に関して、国内外でダブルスタンダードな調達基準を設けるのは不適切です。3番は削除して、改善案2②に示したように、「The Global Sustainable Seafood Initiative (GSSI)が、認定したFAOの水産エコラベルガイドラインに準拠した水産エコラベル」で一本化するのが適切です。

とどめの大穴が4番です。

4.上記3に示す認証を受けた水産物以外を必要とする場合は、以下のいずれかに該当するものでなければならない。
(1)資源管理に関する計画であって、行政機関による確認を受けたものに基づいて 行われている漁業により漁獲され、かつ、上記2の④について別紙に従って確 認されていること。
(2)漁場環境の維持・改善に関する計画であって、行政機関による確認を受けたも のにより管理されている養殖漁場において生産され、かつ、上記2の④につい て別紙に従って確認されていること。
(3)上記2の①~④を満たすことが別紙に従って確認されていること。

国産についてはハードルを下げまくったのですが、そのハードルすらクリアできなくても、「行政(1,2)と漁協(3)が認めればオッケー」ということです。確認プロセスについては何の記述もありません。透明性も、第三者性も、説明責任も、ことごとく欠如しています。まさに、何でもありですね。

さらに進みます。

7.サプライヤーは、使用する水産物について、上記3~6に該当するものであるこ とを示す書類を東京 2020 大会終了後から1年が過ぎるまでの間保管し、組織委員会が求める場合はこれを提出しなければならない。

書類の保持が1年って短すぎますよね。あと、サプライヤーが組織委員会に書類を提出できるようにするだけでは不十分です。組織委員会は、世界の人々に対して、東京オリンピックの食材の持続性に関する情報発信すべきです。4年後の次の大会に、東京大会が参考になるように、最低でも4年はウェブ上に情報を残してはどうでしょうか。

(改善案)
7.組織委員会は、サプライヤーから、使用する水産物が本調達基準を満たしているものであることを示す書類を収拾し、東京 2020 大会終了後から5年が過ぎるまでの間、ウェブ上に公開する。

この原案を読む限り「国産の水産物はなんでもOK」ということになると思います。ロンドンでは、オリンピックをきっかけに持続的な水産物の消費が拡大しました。リオ大会も同様の効果が期待されています。2020東京大会は「持続性よりも国産」ということで、オリンピックが培ってきたレガシーを捨て去る選択をするようで、実に残念です。

WCPFC(マグロの国際会議)への識者の声


今回のWCPFCでは、日本の水産外交のこれまでのやり方がひっくり返されました。日本の水産外交は大きな転機を迎えているといえます。そのことを指摘する識者のコメントを転載します。真田さんは、会議に実際に参加されたので、誰よりも一次情報をおもちです。そして、井田さんは長年この問題をフォローされている国内メディアでの第一人者です。

WCPFCオブザーバー 真田さん

【WCPFC所感】
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)にオブザーバーとして出席しましたが、いろいろ感ずるところがありました。
まず、非常に驚いたのが、WCPFCで日本側の提示する科学的見解にクレディビリティが問われる場面を少なからず見ました。近年日本近海でカツオが獲れない現象が続いていることから、日本はカツオの資源保護をWCPFCで訴えています。
しかし、WCPFCの下で行われる科学アセスメントでは、資源は悪化していないとされています。そこで日本はそうとは言えないとの対案を提示しています。この対案は中国と台湾も支持しています。ところが、WCPFCでこの日本の対案資源評価に対する支持の声を、私は思い出すことができません。
なぜこのようなことが起こったのでしょうか。それは日本側の提示する資源評価(特に太平洋クロマグロ)が余りに自国に都合の良いような手前勝手な解釈を行っている、と捉えられているからだと思われます。太平洋クロマグロなど北部太平洋資源については、ISCという資源評価グループによって行われていますが、これは事実上日本の水産庁の関連機関である組織を中心に構成されています。確かに現在の親魚資源量が初期資源量比2.6%と劇的に少ないとの資源評価を行ったのはこのグループで、こうしたアセスメントはWCPFCでも受け入れられています。しかしでは今後どうしたらよいのか、ということなどについては、現在の資源管理措置でも資源は当初の暫定資源回復目標を達成すると判断される評価を行うなど、日本の主張を概ね擁護するものとなっています。こうした日本の方ばかり持つかのような姿勢に対して、各国は多大な疑念を持っているではないかと思われます。
そもそも、現行の管理措置でも大丈夫だと日本側が強弁する太平洋クロマグロの初期資源量比は2.6%、これに対して現行の管理は不十分だと日本側が訴えるカツオは初期資源量比で58%、日本側の提示する対案資源評価でも41%です。これをダブルスタンダードと言わずして、何をダブルスタンダードと言うのでしょう。
自らの主張の科学的正当性を主張するなら、まずそれが科学的に公正中立であると各国から尊重されることが必要不可欠です。しかし、現在のところ、悲しいかな、WCPFCにおいて日本はそう見られていません。WCPFCで日本の利害と類似している国は中国・台湾・韓国など少数派で、数では勝てません。科学はWCPFCで日本が使うことができる、ほぼ唯一と言ってよい非常に貴重なカードです。残念ながら、少なくとも現在のところWCPFCで日本側は、この唯一のカードを自らへし折って捨てているように見えます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1145041818941897&set=a.108469785932444.16403.100003082693313&type=3&theater

国際漁業問題に詳しい共同通信の井田さん

太平洋中西部のクロマグロ資源管理を議論する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の本会議は、下部組織の北委員会に
1)遅くとも2034年までに初期資源の20%まで資源を回復させる保存管理措置
2)加入量の著しい低下が発生した場合に緊急的に発動する緊急措置を来年の年次会合での採択することを目指すよう要請した。
って書くと大したことないように思うが、WCPFCの本会議は北委員会の決めたことをほぼそのまま承認していただけにこれは非常に大きく、重要な展開だ。
日本が実質的に仕切っている北委員会の取り組みが不十分なことに本会議のメンバーが業を煮やして、トップダウンで新たな宿題をやってくるように命じたことを意味する。日本がWCPFCに加盟したのは、自分で議論をリードできる北委員会の決定が本会議でも尊重されるめどが立ったからだったのだが、太平洋のクロマグロに関しては日本が仕切る北委員会の歩みの遅さに各国がダメ出しをした形になった。
長期管理方策について、2030年までの次期中間目標を、来年の北委員会で作成することと、そのために必要となる科学的な検討を行い、その結果を議論するための関係者会合を、来年春に日本で開催することも決まった。真面目に宿題に取り組んできちんとした回答を持っていかないと日本が世界からさらなる袋だたきに会うだろう。 水産庁のリリースからはそんなことは読み取れないが・・・。
https://www.facebook.com/ida.tetsuji/posts/1476019769092372?pnref=story.unseen-section

マグロの国際会議で日本がフルボッコにされたようです


大変なことになりました。マグロの国際会議で日本がフルボッコにされたようです。

12月5日~9日に、フィジーで西太平洋のカツオやマグロの漁業管理を議論する国際会議WCPFCが開催されました。そのなかで、クロマグロの決議が前代未聞の紛糾をした模様です。

クロマグロについては日本が中心となり、北小委員会という独立した組織で協議した内容を本会議で承認することになっています。北小委員会は、議長も事務局も科学委員も全部日本が仕切っています。これまでのWCPFCでは、日本が北小委員会を仕切って決めたことが、ほぼ自動的にWCPFC本会議で承認される仕組みになっていました。

今年の北小委員会では、米国が中長期的な回復計画をたてようと提案したのに対して、過去最低の稚魚の加入が3年連続しない限り漁獲にブレーキをかけないという日本が対立し、新たな規制が何ら合意できませんでした(詳しくはこちらをご覧ください)。この北小委員会の決定に対して、本会議では非難囂々のようです。リンク先にある記事を書いたのはParties to the Nauru Agreement(PNA)という、ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプアニューギニアなどの島嶼国の巻き網漁業の団体で、自然保護団体ではありません。他国の漁業団体から見ても論外な状況なのです。

http://www.scoop.co.nz/stories/WO1612/S00041/refusal-to-address-northern-bluefin-tuna-collapse.htm

水曜日に、北小委員会の代表(水産庁)は、「北太平洋のクロマグロ漁業には何ら制限しないことを勧告した」と報告した。Forum Fisheries Agency(全てのPNAメンバーが含まれる島嶼国漁業の団体)の代表は、行動の欠如を強く非難した。WCPFC本会議が、北小委員会に、委員会の懸念を反映したクロマグロ漁業の保全措置を勧告するように再調整することを求めるという、前代未聞の事態になった。

Representatives of the Northern Committee reported Wednesday that they recommended taking no action to limit fishing in the northern Pacific bluefin fishery. Representatives of the Forum Fisheries Agency, which includes all members of PNA, strongly criticized this lack of action. In an unprecedented action, the WCPFC directed the Northern Committee to reconvene to address the concern of the Commission that conservation measures be recommended for this fishery.

日本が主導で「何もやりません」という方針をつくり、本会議で報告したら、他の参加国からフルボッコにされて、「そんなもん、通るかっ。やり直し」となったのです。まさに、前代未聞ですがどうなったのでしょうか。「わが代表堂々退場す」になってないと良いのですが…

月曜日には、詳しい情報が入ってくると思うのでご期待ください。

現在のクロマグロの漁獲規制は、普通の漁業国から見ると「何やっていない」に等しい状態なのですが、国内メディアは、日本が主導で素晴らしい規制をしているという論調の報道をしてきました。水産庁の自画自賛をそのまま報道するという、戦中の大本営発表と同じ構図になっています。今回の会議の内容も「日本が主導で厳しい漁獲規制を提案した」という風に日本国内では報道されるのでしょうか。

中国の領海拡大にくさびを打つデュテルテ比大統領の妙手


フィリピンのデュテルテ大統領が、中国との間で領土問題なっている海域を禁漁区にする構想を習近平国家主席に提案したそうです。これは実に上手いやり方で、デュテルテ氏はフィリピンの国益に配慮した戦略的なカードを切ったと言えます。

【緊迫・南シナ海】禁漁区構想でドゥテルテ比大統領「漁業資源維持が狙い」 – 産経ニュース.

中国は、補助金で遠洋漁業を拡大しているのですが、その背景には漁業既得権を突破口にした領海の拡大があると見られてます。まず漁船を派遣して操業実績をつくります。乱獲で資源がなくなれば、他国の漁船は消滅し、燃油も氷も全て補助金でまかなわれている中国船だけが残ります。そうすれば「中国漁船しか使っていない海域だから、中国のものだ」と実効支配しやすくなるという仕組みです。紛争海域を禁漁区にするというのは、主権を明確にせずに、中国漁船の進出を牽制する妙手です。産卵場を保護区にするというのは、国際的な支持が期待できるし、中国としてはNOという姿勢を示しづらい。海洋保護区にしてしまえば、中国のお家芸の「埋め立てて基地を造る」もできなくなります。中国の領土拡大の橋頭堡を造らせないうえで、効果的なカードなのです。

もちろん、その海域で操業するフィリピンの漁業者は反対するでしょう。では、規制をせずに放置しておけば、フィリピンの漁民が守られるかというとそうではありません。これらの海域が、中国漁船に実効支配されて、資源も漁場も失ってしまうのは時間の問題でしょう。そのことは東シナ海の漁場も資源も失った日本の現状を見れば明らかです。自国の漁民が反対したとしても、禁漁区にした方が長い目で見て自国の漁業のためにもなるのです。この点からもデュテルテ大統領が単なるポピュリストではなく、長期的な戦略眼とリーダーシップをもった人物であることがわかります。「肉を切らせて骨を断つ」というのは、言うのは簡単ですが、実行するのは困難です。

 国内調整しか考えず、フィリピンとは逆のことをして、漁場と資源を中国に譲り渡してしまった日本の失敗について振り返ってみましょう。

日本と中国の間に広がる東シナ海はかつては豊穣の海でした。戦前から日本のトロール船が乱獲していたのですが、1980年代ぐらいから、中国船が進出し、資源をほぼ獲り尽くしてしまいました。

複数の国の200海里が重複する場合は、陸地からの中間線を排他的経済水域の境界とすることになっています。日本と中国では離島の帰属で合意できていないケースが多く、日本は中国に対して200海里の宣言をできませんでした(韓国に対しても同じ)。そこで、中国との漁業のルールは二国間交渉で決めました。それが日中漁業協定です。領土問題で合意できない海域を暫定水域として、双方が操業できることにしました。「合意できないことについては棚上げする」ということで、グレーゾーンをグレーにしたまま、漁業活動の継続を優先させたのです。現在も下図のような広範な暫定水域が残されています。

◆漁業協定の暫定水域等略図海上保安庁のサイトから引用

暫定水域では、双方の国の漁船は相手国の許可無く、自国の法に基づいて操業が可能です。相手国の違反を発見した場合は、注意を喚起すると共に相手国に通報することは出来るのですが、強制力を持った取り締まりはできません。つまり、中国船は中国の法律に基づいて自由に操業できるし、日本政府はそれを取り締まれないのです。日本漁船も同じ条件で、中国政府から取り締まられないのですが、中国が一方的に境界線ギリギリまでやってきて、ほぼ排他的に操業しているのが現実です。

なぜ日本は、このような自国に不利な条約を締結してしまったのでしょうか。歴史をひもといてみると、実は大きな暫定水域と操業の自由を要求したのは、むしろ日本の側であったことがわかります。初期の協定が結ばれた当時(1950年代)は、日本が一方的に攻める立場で、日本側漁船の中国沿岸における乱獲, およびそれに伴う資源枯渇が問題になっていたのです。当時の状況についてはこちらにまとめました。
1970年代からパワーバランスが中国よりにシフトとしていく中で、日本は守りに入らざるを得なくなる。そうなると、暫定水域を狭めると共に、規制を強化する方向に舵を切るべきでした。その最大のチャンスが、1997年に日中間で締結された日中漁業協定です。残念ながら、戦略性を欠いた日本は、抜本的な変化を避けて、問題先送りしてしまいました。その結果が、資源が枯渇し日本漁船がほぼ消滅した東シナ海の現状です。

日中漁業交渉についてはこちらが詳しいです。
http://www.geocities.jp/fematerials/etc/jcf.html

もし、1997年の時点で、日中暫定水域が禁漁区になっていたら、今頃どうなっていたでしょうか。まず、日中漁船の衝突は起きていません。相手国の違法漁船の取り締まりも容易です。そして、暫定水域の豊富な水産資源がにじみ出すことで、どちらの国の漁業も利益を得ていたはずです。そして、暫定水域を越えて漁船を進出させられないので、中国が領海を広げるのは極めて困難になります。禁漁区が領海問題における紛争を未然に防ぐ非武装地帯として機能するのです。

今回のフィリピンの提案は、日本の失敗をよく学んだ結果だと思います。日本を反面教師にして、東シナ海での失敗を南シナ海では繰り返さないで欲しいと思います。

成長する米国漁業~自由競争を諦めたところがスタート地点


漁業の現状(漁獲量は増えずに生産金額が増える)

最近の米国漁業がどうなっているかというと、漁獲量(重量)はほぼ横ばいです。緑の線が貝類で、青の線が魚類です。1990年代よりも、最近の方が水産資源は回復しているのですが、漁獲規制はどんどん強化されているので、漁獲量を増やすことが出来ないのです。

fig1

金額ベースで見ると2002年までは減少傾向で推移していたのが、2003年から増加傾向に転じています。米国人は貝が大好きなので、漁獲量としては少なくても金額ベースでは魚と良い勝負なのです。
fig2

これらの図は、Fisheries of the United States 2014(FUS2014)からの引用です。

漁業制度の変遷

なぜ、漁業の生産金額がV字回復したかというと、漁獲規制のやり方を変えたからです。それでは、自由競争の早い者勝ちだったところを、漁獲枠を個別配分して早獲り競争を抑制する政策をとったからです。

こちらに米国の個別漁獲枠制度(米国ではIndividual Fishing Quota もしくは Catch Shareと呼ばれています)の歴史について簡単にまとめられています。

1990年代に、アラスカのスケトウダラなど、一部の漁業に個別漁獲枠が導入されました。これが米国内で大きな論争となりました。自由競争が国是の米国では、野生生物の利用に既得権を設けることに強い感情的な反発がありました。また、個別漁獲枠を導入することは、天然資源の私有化や不公平な利用に繋がるという懸念、漁村コミュニティーに悪影響があるのではないかという懸念がありました。

一部の関係者から、個別漁獲枠の禁止を要求する声が上がり、米国の議会は1996年に、2000年まで新しい個別漁獲枠プログラムの導入を禁止しました。そして、米国科学アカデミーに、個別漁獲枠制度について検証して、議会に提言するように依頼しました。アカデミーはモラトリアムを解除して、新しい個別漁獲枠プログラムを開発するように提言しました。

アカデミーが個別漁獲枠制度についてまとめたレポートがこちらです。

十分な時間を使って、国内外の事例について丹念に調べて、それを元に、米国の漁業がどうあるべきかが論じられています。古い本ですが、今日でも通用する内容が多く含まれています。2002年に個別漁獲枠プログラムのモラトリアムが解除され、Catch Shareプログラムの策定に向かいます。議会は個別漁獲枠プログラムを推進するために、2007年に米国における漁業法であるMagnuson-Stevens Actの改正を行いました。自由競争の国、米国ですら、国を挙げて漁獲枠の既得権化を進めているのです。

Catch Shareプログラムは、個々の現実の漁業の現実に合うような形で徐々に導入されています。多くのプログラムに共通する目的は、資源の保全、経済効率の改善、過剰な漁獲能力の削減、早獲り競争の抑制、海難事故の防止などです。アラスカでは、先住民の漁業権を保障するために、特別な漁獲枠が設定されています。独占を防ぐために、個々の漁業者が持てる枠には上限が決められています。米国は漁獲枠で全てを規制するつもりはなく、従来のライセンス制度、最小サイズ規制、漁期や漁場の規制などを併用しています。

成長する米国の漁業

米国の漁業の経済指標のレポートはこちらにあります。

fig4

雇用(Jobs)は2010年から2013年の間に、12%増加しました。売り上げなど全ての経済指標が順調に増えていることがわかります。このように米国の漁業は今も成長を続けています。米国漁業の復活についてはこちらの記事にも書きました。

米国漁業の再生に果たした政府の役割について、経済学者のクルーグマンは次のように述べてます。。

ポール・クルーグマン「漁場再生:政府介入が役に立ちましてよ」

気候変動と戦うのだって,漁場を救うのとそれほどかけはなれたことじゃない.やるべきとわかりきってることをちゃんとやりさえすれば,いまどんな人が予想してるのよりも,首尾よくかんたんにやれるんだ

米国の個別漁獲枠制度の本格導入は、ノルウェーやニュージーランドよりも20年遅れてしまった。しかし、後追いならではのメリットをいかして、先行者の失敗から学び、良い仕組みをつくったと思います。米国の歩みはゆっくりかもしれないが、一つ一つ議論をしながら、改善を続けている。これからも時間をかけて、Catch Shareプログラムを増やしていくだろうし、既存のプログラムについても社会・経済的な指標を精査しながら、改善を重ねていくだろう。基本に忠実に、データに基づいて、政策決定できるところにアメリカという国の強みがあると思います。

日本の輸出についてのデータをちょっと整理しますね


ここから2015年の輸出統計のデータをダウンロード出来る。

http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kokusai/houkoku_gaikyou.html#r27

水産物はホタテ、真珠、サバ、ぶり、カツオ…マグロ、乾燥ナマコなど。

品目 金額(100万円)
ホタテ貝(生鮮・冷蔵・冷凍・塩蔵・乾燥) 59,079
真珠(天然・養殖) 31,905
さば(生鮮・冷蔵・冷凍) 17,896
ぶり(生鮮・冷蔵・冷凍) 13,840
かつお・まぐろ類(生鮮・冷蔵・冷凍) 13,776
乾燥なまこ 10,306
練り製品(魚肉ソーセージ等) 8,168
その他 120,731

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サバの輸出について財務省統計で調べてみた。

品目コード

0303.54 000 -- さば(スコムベル・スコムブルス、スコムベル・アウストララシクス及びスコムベル・ヤポニクス)

 

国名 KG 金額(1000円) 単価
タイ 53679544 4608412 85.85043
エジプト 43405037 4181326 96.33274
ベトナム 16986760 2117200 124.6382
フィリピン 18223097 1542127 84.62486
インドネシア 14286295 1121779 78.52134
中華人民共和国 8230686 1013119 123.0905
ガーナ 5300430 558974 105.4582
マレーシア 4952822 517923 104.5713
カナダ 3749685 463015 123.481
モザンビーク 2829000 305486 107.9837
シンガポール 1507065 175094 116.1821
ケニア 1797750 156784 87.21124
台湾 1453700 154805 106.4903
ブルキナファソ 1352700 140069 103.5477
メキシコ 1695861 119675 70.56887
コートジボワール 1068085 99183 92.86059
南アフリカ共和国 558120 63172 113.1871
タンザニア 575000 51618 89.77043
スリランカ 597904 49571 82.90796
モーリシャス 360000 41080 114.1111
コンゴ民主共和国 458250 39261 85.67594
大韓民国 135975 38031 279.6911
ナイジェリア 294000 36607 124.5136
ブルネイ 241230 35106 145.5292
スリナム 165000 23072 139.8303
パナマ 182000 20713 113.8077
アメリカ合衆国 68719 18558 270.0563
ルワンダ 192000 16967 88.36979
ロシア 120750 16429 136.058
ベナン 173250 15116 87.24964
トーゴ 123750 11044 89.24444
フィジー 91000 10616 116.6593
セネガル 80000 9040 113
ペルー 57800 7801 134.9654
コンゴ共和国 74250 6592 88.78114
香港 7632 6556 859.0147
リビア 49500 4683 94.60606
グアム(米) 25554 3084 120.6856
カンボジア 42000 2937 69.92857
セーシェル 20000 2400 120
ブルンジ 24000 2212 92.16667
マルタ 24750 2160 87.27273
アラブ首長国連邦 3600 969 269.1667
オーストラリア 500 560 1120
ミャンマー 2160 245 113.4259

こうすれば中国漁船が来なくなる! そのために日本がやるべきこととは?


中国漁業の膨張について、Financial Timeにおもしろい記事がありました。

Chinese fishermen caught up in Asian geopolitical conflict

Local fish stock collapse pushes fleet further away from domestic waters

https://www.ft.com/content/364a5172-5ec5-11e6-bb77-a121aa8abd95

中国沿岸の水産資源が減少した結果として、より遠くの海域まで中国漁船が進出し、それが各地で紛争を引き起こしているという内容です。日本のメディアは「中国の野郎が俺たちの魚を獲りやがって」という被害者の視点しかないのですが、FTの場合は中国の漁師にも取材して、中国漁業の現状がわかるようになっています。

ここに書かれている中国漁業の実態は、興味深いですね。

  1. 魚が減ったので、遠くの漁場に行かざるを得ない
  2. 漁業の生産性は低く、燃油の公的補助金をやめれば漁船は半分になる
  3. 漁業者は自分の代で最後

日本の現状とかぶる部分が多いのですが、2に中国の膨張を押さえ込むヒントがあります。乱獲に結びつく漁業補助金を禁止してしまえば、中国漁船は稼働できず、縮小されるのです!

すでに、世界はその方向に議論を進めています。

漁業補助金:乱獲助長の補助金禁止へ13カ国連合 – 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160916/ddn/008/020/025000c

米通商代表部(USTR)は14日、魚介類の乱獲を助長するような漁業補助金の世界的な禁止を目指し、米国主導で13カ国が連合を結成したと発表した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に盛り込まれた補助金規制の規定を土台に、世界貿易機関(WTO)加盟の有志国で具体策を議論する。日本は参加を見送った

記事の元となった、米国政府の発表はこちら

持続性を無視した補助金による漁業拡大を食い止めるために、米国、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、コロンビア、ニュージーランド、ノルウェー、パプアニューギニア、ペルー、シンガポールなど多くの水産資源保有国が立ち上がったのです!

しかし、日本は参加をしませんでした。

中国の隣に位置して、大きな被害を被るであろう日本が、世界の沿岸漁業国の中国包囲網の足並みを乱しているのは残念です。日本が参加を見送ったのは、乱獲助長の補助金を禁止されると、自国の漁業者に行っている、燃油の補填やら、大型巻き網船の造船補助やらが出来なくなる恐れがあるからでしょう。その代償として、日本近海の水産資源を中国にプレゼントすることにならなければ良いのですが。

私は、それほど遠くない将来、中国は乱獲に繋がる補助金の禁止に賛同すると考えています。大きすぎる漁獲能力を国費で維持しておくのは、中国の国益に合致しないからです。この分野でも、国益では無く、庁益で動く日本だけが獲り残されることになりそうです。

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