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水産養殖は、世界では成長産業、日本では衰退産業


日本では1970年代から、「これからは養殖の時代だ」と言われ、作り育てる漁業のために多額の公的資金を投じてきました。しかし、残念なことに、日本の水産養殖業は生産性は低く、縮小傾向です。逆に世界に目を向けると、水産養殖業は急激に成長しています。FAOの統計をつかって、日本の養殖生産のトレンドが、世界からいかに乖離しているかを見てみましょう。

養殖生産量のトレンド

下の図は、大陸別の養殖生産(重量)を1995年の水準で基準化したものです。どこの大陸でも養殖業の生産は順調に伸びているのですが、伸び率は途上国の方が高くなっているようです。アフリカは急激に伸びているのですが、元が少ないので絶対量はそれほど多くありません。絶対量が多いのは中国を含むアジアです。

FAOfishstat

養殖生産重量 (FishStat FAO)

養殖生産金額のトレンド

次に生産金額を見てみましょう。やはりアフリカがぶっちぎりですね。また、世界的に魚価が上がっているので、生産量よりも生産金額の方が増加しています。世界的にコンスタントに成長している養殖業が、日本では特異的に衰退していることがわかります。

漁業生産金額のトレンド (FishStat FAO)

漁業生産金額 (FishStat FAO)

最後に主要漁業国の国別の生産金額のトレンドを見てみましょう。チリとノルウェーが大きく生産金額を伸ばしています。これらの国はサーモン養殖が急成長しているからです。中国、カナダ、英国は、順調に成長しています。逆に、伸び悩んでいるのが米国とフランス。どちらも50%程度の低い成長率です。そして、日本は28%の減少でした。

FishStat

漁業生産金額 (FishStat FAO)

1995から2011までの16年間に、世界の養殖生産金額は3.2倍に増えました。同じ時期に日本の養殖生産は28%も減りました。「日本の養殖技術は世界一ィィィィ!!」などと浮かれていないで、水産養殖業では日本の一人負けであることを認識した上で、養殖が成長している他国から謙虚に学び、方向転換していく必要があるでしょう。

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引っ越しました


このブログを設置しているレンタルサーバを引っ越しました。と言っても、ドメインの移管もしたので、アドレスも変わっていないし、外観もそのままですが・・・

去年の夏に、こんな事件がありました。

「ロリポップ」のWordPressサイト改ざん被害、原因はパーミッション設定不備
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1308/30/news127.html

実は、このサイトはレンタルサーバ「ロリポップ」でWordPressを使っていたので、ビンゴの環境でした。

レンタルサーバというのは、誰が住んでいるかわからないマンションのようなものと考えてください。マンションの入り口にカギがあり、さらに個々の家にもカギがあるわけです。ロリポップの場合は、マンション入り口のカギはかかっていたけど、個々の家のカギはちゃんとかかっていなかった。悪意を持った人間が、内部に侵入し、1万件近いブログが書き換えられてしまったのです。

俺が引っ越ししようと思った理由は多々あるのだけど、

まず、発表が遅かった。ロリポップのサーバがクラックされているって、ツイッター経由でこのサイトで知ったわけです。ロリポップからメールがきたのは29日の夕方ですよ。

その内容も意味不明。「サーバはクラックされていないから、パスワードの強度を高めろ」と言われたんだけど、何千ものサイトが一気にブルートフォース(パスワード総当たり)でやられるとは考えづらい。最初の突破口はブルートフォースかもしれないけど、すでに入られているのだから、パスワードの変更が根本的な問題解決にならないことは素人でも想像できる。案の定、その後の調査で、「簡単インストールの仕様とサーバー側の設定不備が改ざんの主な要因」と判明。

その後にのけぞったのは、不正操作の原因。簡単インストールサービスをつかってブログを設置した場合、データベースのパスワードが記録されているファイルのパーミッションが444だったのです。つまり、厳重に守るべきファイルが、同じマンションの住人なら、誰でも覗ける設定になっていたわけ。

安さに惹かれて、ロリポップを使っていたのだけど、「さすがにこれは危なすぎる」と言うことで、引っ越しました。

宮城県復興特区における漁民の自治の侵害について


宮城県が復興庁に申請していた「水産業復興特区(水産特区)」について、所管の水産庁は、
1)地元漁民のみでは養殖業の再開が困難である
2)地元漁民の生業の維持
3)他の漁業との協調に支障を及ぼさない
という要件を満たすと判断し、昨年4月にゴーサインをだした。これをうけて、復興庁は昨年4月23日付で、宮城県が申請していた水産特区を認定した。そして、今年の9月の漁業権の一斉更新によって、水産特区に申請をしていた有限責任会社「桃浦かき生産者合同会社(桃浦LLC)」が漁業権を得ることになった。漁業震災から、2年半が経過して、ようやくの船出である。一方で、未だに宮城県漁協は、特区に対して反対の姿勢を崩していない。

特区に関して、多くのメディアは批判的な報道を繰り返してきた。たとえば、これを読んでほしい。

視点・論点 「漁業再生」
これに対して、漁民らは漁場利用の秩序が乱れると猛反発しました。
水産特区は、漁場を自ら管理してきた、漁民の自治を無視した考えと批判されてもしかたないのです。
民主主義を重んじる漁民の自治を排除した、漁民不在の構想でした。

NHKの視点・論点といえば、社会的な影響力がある番組だ。そこで、「水産特区は、漁民の自治の排除である」と非難されている。「NHKが呼んでくるような立派な専門家がいうなら、そうなんだろう」と一般の人は思うだろう。筆者は全く逆の意見を持っている。漁民の自治の結果が水産特区であり、それに反対している宮城県漁協の方が漁民の自治を侵害していると思う。一般の人には、「漁業権」といわれても、なじみが無いだろうから、「漁業権とは、そもそもどういうものなのか」から、じっくり説明しよう。

漁業権って何?

農業と漁業の大きな違いは、生産基盤が私有物か共有物かということだ。農業の場合、土地は農家の私有物である。自分の土地で農業を営むには、特別な「農業権」を取得する必要ない。「土地の所有権=農業権」なのだ。一方、海や河川は、公共の空間であり、漁師の私有物では無い。これらの「公共の空間で排他的な漁業をする権利」が、「漁業権」である。ちなみに、陸上養殖(陸上にいけすをつくって行う養殖)の場合は、農業と同じく漁業権は必要が無い。

ポイント その1
農業の生産基盤 → 農地 → 農家の私有物 → 土地の所有権がすなわち農業権
漁業の生産基盤 → 海・河川 → 公共用物 →  公共の水面で漁業を行うには漁業権が必要

「海はみんなのもの」というルールだけでは、漁業という産業は成り立たない。たとえば、「共有の土地で農業ができるか」を考えてみよう。共有地の作物は、誰の物でも無いので、誰でも収穫できてしまう。この状態では、まともな農業は成り立たない。沿岸漁業も同じように、誰でも獲れる状態では、獲った者勝ちになる。外から誰でもやってきて、自由に獲れる状態では、利益が出ないような状態になってしまうのは時間の問題である。ということで、海はみんなのものだけれど、「そこで排他的に漁業をする権利(すなわち漁業権)」を、認めておく必要があるのだ

漁業権の歴史

貝塚などの遺跡からもわかるように、有史以前から、沿岸の住民は漁業を行ってきた。自分が住んでいる前浜を、自家消費に近いかたちで利用していたのだろう。現在の日本漁業制度の起源は、江戸時代といわれている。昔から、沿岸のアワビや海藻などをめぐって、漁業者間の紛争が絶えなかった。江戸幕府はそれぞれの漁村集落の縄張りを定めて、前浜の排他的利用権(および納税の義務)を認めたのである。このように地域集落に漁業権を与える方式は、地域漁業権(regional fisheries right)と呼ばれ、日本以外でも、伝統的に利用されてきた一般的なやり方である。

当時の日本の漁船は、一本の櫓(ろ)をつかう和船であった(時代劇の渡し船をイメージしてほしい)。漁業権が設定されたのは、和船の櫓が海底につくところまで。つまり、沿岸のごく浅い場所のみに地域集落の排他的漁業権を認めたのである。当時は遊泳性の魚を乱獲するほどの漁獲技術が無かったので、資源を巡る競争が無い沖まで線引きをする必要は無かったのである。これが、いわゆる「沖は入り会い、根は地付き」という制度である。

くわしくはこちらを読んでください。→ http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h21_h/trend/1/t1_11_2_3.html

川とか海に面している土地の所有者が、その土地の地番先の川とか海の公有水面を利用出来る権利を、地先権(ちさきけん)と呼ぶ。日本の漁業権制度の根底にあるのが地先権なのだ。漁業の場合は、個人では無く、地域コミュニティーが、地先権としての漁業権を伝統的に行使してきた歴史がある。地先権は、慣習上の権利であり、法律上の権利ではない。そこで、地元漁業者の地先権を保障できるように、漁業法という法律があり、地域の漁民がつくる漁協に漁業権を与えている。漁業権の行使について、その地域の漁業者が話し合う場として、それぞれの浜に漁協を組織した。「沿岸漁場の利用は、そこで漁業をしている漁業者がみんなで話し合って決める」ということ。

ポイント その2
日本の漁業権の基礎にあるのが地先権。地先権を尊重する漁業権運営をするために、漁協に漁業権が与えられている。

かつては、日本の沿岸の至る所に、漁協があった。昭和42年には全国に2443の漁協があり、それぞれの漁場を分割統治していたのだ(http://www.jfa.maff.go.jp/hakusyo/11do/11hakusyo.htm)。浜の意志決定機関である漁協が決めたルールで漁場が利用されるという点では、地先権に基づく地域コミュニティーによる自治が成り立っていたのだ。(残念ながら、民主的とは言いがたい運営がされている漁協も多々あるのだけれど)

平成の大合併

1970年代から、日本の漁業は衰退の一途をたどった。漁師の子供は漁業を継がず、高齢化が進み、漁業者の数はピーク時の1/5まで減少した。漁協の存続には、最低25人の正組合員が必要になる。正組合員の資格を得るには、年間100日漁業に従事する必要がある。原則として、25人の正組合員がいない漁協は解散するか、合併することになる。

新規加入が途絶えた状態で、高齢化が進み、25人の組合員が確保できない漁協が急増した。引退してほとんど漁に出ていない人を正組合員として登録して、数あわせをしていた漁協も少なくない。着実に漁村の限界集落化が進む中で、こういった一時しのぎは限界に達していた。

本来ならば、地域の漁業を支えるのに最低限必要な人員を確保できるように、漁業の生産性を改善した上で、外部から参入できるような仕組みを作らなければならなかったのだが、そうはならないのが日本の漁業村だ。これまでの枠組みを維持しつつ、正組合員の数あわせをするために進められたのが、漁協の大規模合併である。「県の漁協を一つにまとめてしまえば、組合員不足の危機は乗り越えられる」という考えだ。また、組織をまとめることで、財政が悪い漁協を護送船団方式で守ろうという意図もあっただろう。漁協の生き残りのために大型合併を、水産庁と地方行政が協力に後押しした。

漁民の高齢化・減少が深刻な宮城県でも、2007年に県内のほとんどの漁協が合併し、JF宮城(宮城県漁協)になった。一般的に、経営が悪い漁協は合併を望み、経営が良い漁協は合併をいやがる。単独でやっていける漁協が、業績が悪い漁協と経営統合したくないのは当然だろう。宮城県の中でも経営状況が良かったいくつかの漁協は合併に抵抗したが、、結局は2009年に併合させられてしまった。その直後に震災である。

桃浦の漁民はなぜ特区を申請したのか?

話を水産特区に戻そう。特区を申請した宮城県石巻市の桃浦地区では、残った漁民全員が60歳以上の高齢で、後継者がいなかった。なんでも、女の子ばかりが産まれたらしい。震災前から、「もう5年先は無いだろう」という状態であった。緩やかに消滅に向かっていた浜が津波で流された。この浜の主要な漁業は、カキ養殖である。養殖の資材をゼロからそろえるとなると、それなりの資金が必要になる。高齢で、跡継ぎがいない桃浦の漁民にとって、ゼロから立ち上がるのは困難であり、このままでは皆が廃業せざるを得ない状況であった。

桃浦の漁民は話し合いをした結果、自力での復興は困難と考えて、宮城県の水産特区を利用することにした。桃浦地区のカキ養殖の漁業者14名が,有限責任会社「桃浦かき生産者合同会社(桃浦LLC)」を設立し,地元の水産物卸売会社の仙台水産が経営参画した。桃浦地区には、刺網の漁業者が1名いるが、漁業形態が完全に異なるために、特区には参加していない。

震災前から、桃浦で漁業をしてきた人間15人中、14人が特区を利用する決断をしたのだから、桃浦の漁民の総意といっても差し支えないだろう。「当事者の合議制で漁場の利用を決める」という本来の考えに従えば、彼らの意見が優先されるのは当然である。もし、桃浦漁協が存在したなら、桃浦特区は何の問題も無かったはずだ。実際に、地元の合意の元で企業が漁業に参入している例は、いくつか存在する。静岡県では、「雇用と漁場を守るには、それなりの資本が必要」という判断から、企業を定置網に参入させている。その結果、地元に雇用がうまれ、漁師の平均年齢は60代から、30代に若返った。合併前なら、何ら問題が無かったのである。

桃浦地区が合同会社形式になったとしても、他地区の漁業活動に支障を及ぼすとは考えづらい。なぜなら、牡蠣の養殖は桃浦の漁場で完結しているので、余所の浜ともめる要因が無いのだ。俺が周辺の浜の漁業者と話をしたときには、「桃浦の人たちとは、小学校から一緒で、彼らの苦しい状況はわかる。応援したい気持ちはあるが、県漁協から反対するように言われて、しかたなく反対している」と、苦しい胸中を語ってくれた。去年の8月に牡鹿半島を訪問したときには、道沿いに下の写真のようなのぼりがずらっと並んでいたが、浜を分断しているのは、いったい誰なのか。
nobori

今後の漁業権のあり方を考える

宮城県の復興特区にまつわる一連の騒動から、今後の漁業権のあり方を考えてみよう。漁協の大型合併を機に、漁業権の法的な主体が、浜ごとに設置された漁協(単協)から、県漁協という大きな組織に移行した。宮城県漁協は、宮城県全体の組織であり、それぞれの浜の代弁者では無い。漁業権を前浜は失ってしまったのである。

平時に、これまで通りの漁業活動を行うならば、漁業権の法的主体の変化は、大きな摩擦を起こさなかっただろう。現に、県一漁協に合併をした他の県ではそれほど大きな問題は今のところ生じていない(いろんな県の漁業者と話をしたが、合併して良かったという声は皆無だけど)。宮城県では、桃浦の漁民が特区を選択したことによって、地域漁民と県漁協が対立構図になり、この問題が顕在化した。宮城県漁協からみれば、「俺たちの権利を勝手に切り売りしやがって」ということになるだろうし、逆に、桃浦の漁民からすれば「なぜ、前浜のことが自分たちで決められないのか」ということになる。

漁業権が漁協に与えられた経緯を考えれば、宮城県漁協と桃浦のどちらの主張が正当化は明らかだろう。そもそも、地元漁民が地先権を行使できるように漁協に漁業権を与えていたのである。その理念に立ち返れば、桃浦の漁民の選択が優先されるべきなのだ。しかし、漁業法がつくられた当時には予想もできなかった沿岸漁業の衰退と、漁協の大合併によって、漁協がそれぞれの浜の代表機関では無くなってしまった。県一漁協という大組織が漁業権を持っているが故に、地域漁民の自治(地先権の行使)が妨げられるという本末転倒な事態になっている。漁民の自治が、漁協や漁業権によって、疎外されているのである。

宮城県に限らず、多くの都道府県で、漁協の合併が進んでいる。今は、顕在化していないかもしれないが、いずれ地域漁民が変化を望んだときに、宮城県と同じ状況に陥る可能性はある。地域の漁業の消滅を食い止めるには、漁業の生産性の改善(漁師が魚を獲って生活できるようにすること)が不可欠である。特区が最良の回答かどうかはわからないが、当事者である漁民が新しいことにチャレンジしようというのを、漁業権によって妨害されるのはおかしな話である。地先権を漁業権の根拠という基本理念に立ち返るなら、県一漁協ではなく、各支所に漁業権の行使の最終決定が出来るようにすべきだと思う。

視点・論点では何が語られなかったのか?

ということで、NHKの視点・論点 「漁業再生」とは全く逆の結論に到達したのだが、視点・論点の文章を読み返しながら、そうなった原因を考察してみよう。

一番のポイントは、視点論点では、特区に賛成の漁民の存在が完全に無視されていることだ。

以上の二つの例は、民主主義を重んじる漁民の自治を排除した、漁民不在の構想でした。
漁民らは漁場利用の秩序が乱れると猛反発しました。確かに、漁民らの主張は否定できません。
行政庁は、一方的に復興方針を決めて押しつけるのではなく、漁民の自治を尊重しつつ、その意向を通して、復旧・復興を進めていくことが肝要です。

漁民の反対を押し切って、知事が独断で企業を参入させようとしているというような論調である。当事者である(地先権をもっている)桃浦の漁民が、特区を選択したという重要な情報が抜け落ちている。宮城県知事が地元漁民の意向を無視して、企業を押し込んでいるなら、非難されても仕方が無いのだが、実際は地元漁民が選択したから、桃浦の特区が成立したのである。

ここでいう漁民とは、ようするに宮城県漁協のことである。宮城県漁協の方針の賛同しないは、漁民と見なされないのだろうか。一番の当事者である桃浦漁民の存在を無視することで、「宮城県漁協 VS 桃浦地区の漁民」という対立構図を、「漁民 VS 企業」という構図にすり替えているのだ。この論者が守りたいものは、地先権に基づく漁民の自治権ではなく、漁協の既得権としての漁業権なのだろう。

その他の反対理由についても、俺には理解しがたい。

同じ漁場の中で複数の漁民が養殖業を営む場合には、もめ事が多くなります。そのため、漁民らは漁業権行使規則などの自主ルールを策定して、それに基づいて喧嘩にならないよう漁場を共同管理しています。漁協はまさに漁民の自治の場です。漁協に漁業権の管理権が優先的に免許される理由はここにあります。

とあるが、桃浦で牡蠣養殖をしているのは、特区のメンバーだけ。牡蠣の養殖は、場所を固定して行うので、他の浜との競合は起こりえない。水産庁がきちんと調べたうえで、「他の漁業との協調に支障を及ぼさない」と判断したことからも明らかだろう。

これまで漁民は、漁業権という「権利」を得るだけでなく、漁場利用のためのコストを支払って、秩序形成を図ってきました。それは漁民の「責任」です。そのような漁民らと、「責任」を背負わなくて良い漁民会社とが、もし漁場で競合することになれば、漁場紛争は避けられません。

たしかに、漁場維持のために漁民がコストを払ってきたのは事実である。その責任が企業だから、免除されるというのは、おかしな話である。企業にも、漁協と同等の責任を負わせれば良い。それだけの話だろう。また、漁業権を行使する上で負うべき責任については、きちんと議論をする必要があると思う。組合であろうと、企業であろうと、資源の持続性に対する責任を負うべきである。

桃浦特区があまりに誤解されているので、見るに見かねて、このエントリを書いてみた。ただ、本来はこういう説明は、部外者の筆者の仕事では無い。新しい枠組みを作ろうというなら、その枠組みの正当性を外部の人間に認めさせるのは、当事者の義務である。今後は、当事者の積極的な情報発信に期待したい。

水産業における世界の常識と日本の非常識


BBCに水産資源管理の記事が掲載された。なかなか面白い記事なので、要約をしてみた。

Collective rights ‘offer hope for global fisheries’

http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-24209950

アイスランドのアーナソン教授の見解。(Prof Arnason outlined his views at the ICES science conference in Iceland.)

世界の水産資源は乱獲と、生態系の破壊という深刻な問題を抱えている。
一部の海域では、水産資源の減少が停止したようである(オセアニアや北米の資源管理をしている国のことを指す)
世界中の最も貴重な水産資源は壊滅的な状況だが、良いニュースもある。乱獲問題を解決する方法がすでに発見されているのだ。
その方法とは、個人の漁獲権利を保障するような枠組みの漁業管理を導入することで、操業者が、長期的な視点から、漁業の持続性や資源回復に関心を抱くようにすることだ。。

“We have a severe problem of over-exploitation of global fish stocks, with the associated damage of marine ecosystems,” he told BBC News ahead of his presentation.
“There is some indication that things may have stopped declining – at least in some parts of the world.
“However, we have essentially devastated the world’s most valuable fish stocks but the good news is that we basically know how to solve the problem.
“That is by installing fisheries management regimes based on individual rights to fisheries or fishing communities so that operators, on behalf of the population, will find it in their own interests to treat the fisheries carefully and sustain or even rebuild them with long-term benefits to them and others.”

 

漁場に行って、捕れる魚を捕らなければ、他の人間が漁獲してしまう状況では、乱獲をしなかった漁業者は、結果として、さらに多くを失うことになる。漁業者間の協調関係がなければ、乱獲をせざるを得ない状況に追い込まれる。そうすることが良くないことだと解っていたとしても。これが、共有地の悲劇である。

“If you are only one of many and you cannot co-ordinate your actions with others then you are almost forced to overexploit, even if it is against your better knowledge.
“But if you do not go out and take what you can then others will and you will lose even more – this is the tragedy of the commons,” said Prof Arnason,

機能することが経験的に知られている唯一の方法は、個人の所有権を認めることです。

“The only system that empirically has been found to function have been based on private property rights,” he recalled.

一般的に行われているのは、漁場の利用権を漁業者グループに与えることです。これは地域漁業権と呼ばれています。こういう方法は貝のような定住性の資源を管理する場合に有効です。

“In fisheries, this is usually done by saying that an area of the ocean belongs to a group – this is called territorial rights. It works pretty well if you have sedentary species, such as shellfish.

移動性の資源では定量的に漁獲する権利を与えるのが一般的です。全体の漁獲枠を定めた上で、たとえばその1%と言った具合に、決まった割合を個人に配分します。

“When you are dealing with fish stocks that are moving about then you usually have quantitative catch rights. So out of the total allowable catch for that particular stock, you would get a fixed [allocation], for example 1%.

そうすれば仲間の漁業者と競争をしないで済むのです。その権利が長期的なものであれば、漁業者は水産資源の持続性に関心を払うようになります。水産資源/生態系が良い状態に保たれることによって、自分に配分される漁獲枠が増えるからです。

“You then do not have to race or compete against your fellow fishermen. If this right is a long-term right, you also have a greater interest in the welfare of the fish stock and ecosystem because the amount you are allowed to catch increases as the state of the fish stocks/ecosystem improves.

会社の株主が、会社の成功を望むような感じになるのです。

“So you become a little bit like a shareholder in a company, you want the company to succeed.”

こういった管理を行うには、強制力と監視が必要になります。そのための費用は先進国では大した負担にはなりません(水揚げ金額の3%ぐらいです)。しかし、何千もの小規模でローテクな漁船がひしめいている途上国では、管理コストが問題になります。

But he explained that these measures have to be enforced and monitored.
While, he argued, this was not prohibitively expensive in fleets of industrialised nations (about 3% of the value of the landed catch), it became problematic in many developing nations, where fisheries were made up from thousands of small-scale low-tech fishing vessels.

管理費用がまかなえない途上国では、漁業者のコミュニティーに漁業権を与える方式が良いだろう。
その場合には、すでに減少した資源をどのように回復するかという難しい問題がある。
世界の漁業はこちらの方向に向かっているので、私はその未来については楽観している。

 総評

「小規模定住性資源は地域漁業権で、遊泳性資源は個別漁獲枠方式で」という彼の主張は、世界の水産資源研究者の間では常識になっている。本当に当たり前の話なんだけど、その当たり前の話が理解できている研究者が日本にはほとんどいない。日本では、細かく区切った漁場の排他的利用権を地元の漁協に与えている。この方式で管理しうるのは小規模定住性の資源だけ。この場合、移動性の魚は、「誰かに獲られる前に獲っておけ」と言うことになる。日本では、サバもクロマグロも商業価値が出るまえの未成魚の段階でほとんど漁獲されてしまう。なぜそういうもったいない捕り方をするかというと、「自分が獲らなくても他の誰かが獲ってしまうから」だ。日本の漁業は、この記事で批判されているような「仲間との競争で乱獲をせざるを得ない状況」にあるのだ。

キャプチャ

遊泳性の資源は国が全体の漁獲量の調整をしたうえで、早獲り競争にならないように、漁獲枠を個別配分しなければならない。そうしなければ、魚の奪い合いになってしまう。「早獲り競争を放置していたら漁業が非生産的になる」というのは水産資源学の常識なのだが、日本の水産業はまさにその状態にある。構造的な問題を放置したまま、場当たり的に補助金を配って、問題をごまかしてきた。

ノルウェーでは、この記事で書かれているように、全体の漁獲枠を定めた上で、個々の漁業者に漁獲枠を個別配分をしている。漁業者は、自分の取り分が確保されているので、ライバルよりも早く魚を捕る必要が無い。だから、一番良い時期に、一番価値が高いサイズのサバを捕るように努力をする。日本で獲っているような未成熟な小型のサバの群れは、注意深く避けて操業する。結果として、日本ではサバが安定供給できないが、ノルウェーでは良質のサバが安定供給できる。日本のサバの加工品は、押し寿司にせよ、へしこにせよ、ほとんどがノルウェー産だ。この違いは、日本とノルウェーの漁業者のモラルの問題では無い。この状況を招いたのは、遊泳性の資源を適切に利用する上で必要な漁獲規制が日本には無いからである。日本の漁獲制度の欠陥の問題なのだ。

日本がやるべきことは決まっている。アジ・サバ・イワシ・クロマグロなど遊泳性の資源に個別漁獲枠制度を導入することである。この記事にも書かれているように、この方法が大規模資源の乱獲を解消する特効薬なのだ。

TPPが日本の水産業に与える影響について


「TPPで日本の水産業にどういう影響がありますか?」と質問される機会が多いので、私見を書いておきます。結論から言うと、「日本に安い輸入魚が殺到して、魚の値段が下がって、国内の水産業が衰退する」というような事態は起こりません。その理由は以下の通りです。

1)水産物の関税はすでに低い

現在の水産の関税は3.5%~7%程度です(http://www.customs.go.jp/tariff/2013_4/data/i201304j_03.htm)。日本の水産物はもともと輸出産業だったので、外から魚が入ってくることは想定しておらず、関税が低く設定されています。何百%という関税で守られている農業とは、そもそも現状が違うのです。
日本が外国から魚を買うときに問題になるのは、関税よりもむしろ為替です。円・ドルのレートは2007年に1USDが120円だったのが、2012年には1USDが80円まで円高になりました。日本から見れば、北米の魚は3割安で買えるようになったのです。それで水産物の輸入が増えたかというとほぼ横ばい。それなのに、関税を無くしたとたんに、山ほど輸入魚が入ってくるというのは、あり得ない話です。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h23_h/trend/1/t1_2_1_3.html

2)購買力が低下した日本は、水産物争奪戦に負けつつある

近年は世界的な魚価の値上がりによって、日本の水産物の輸入量が減少しています。ここ数年は、空前の円高によって、首のかわ一枚でつながっている状況。世界規模での水産物争奪戦が繰り広げられているのに、日本は蚊帳の外なのです。バブル期ならいざ知らず、購買力が低下した今の日本に、世界の水産物が集まるようなことは、あり得ません。
実際に、水産の貿易に携わっている人と話をすると、「TPPで安い魚が日本にどんどん入ってくることはあり得ない」ということで意見が一致しています。誰が書いたかしりませんが、こちらの回答がわかりやすいです。私もほぼ同感。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6325459.html

 

「TPPで日本の水産業が大打撃」という主張の根拠

「TPPで日本の水産業が壊滅的な打撃を受ける」と主張するひとが、良く引用するのが次の資料です。

農水省の括的経済連携に関する資料
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/pdf/rinsui_hinmoku.pdf

「関税を撤廃したときに国内産業がうける影響を積み上げていくと、4200億円になる」という内容ですが、輸入先がTPP加盟国に限定されていないので、この試算をもって「TPPの影響」とするのは妥当ではありません。残念ながら、この4200億円をTPPの影響試算として使った人は、少なくありません。これとか、これとか、これとか。

農水省は、TPP加盟国に絞った影響試算結果を今年の3月に発表しました。

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/3/130315_nourinsuisan-2.pdf

平成22年11月に公表した全世界を対象に関税撤廃した試算では、農林水産物の生産減少額を4.5兆円程度と試算。これと同じ方法で、TPP交渉参加11ヶ国に対して関税を撤廃した場合の農林水産物の生産減少額は、3.4兆円程度となるようです。水産分野はこんな感じ。

どう変わったかを見てみましょう。まず、サバのところから、ノルウェーという文字が無くなりました(ノルウェーはTPPと無関係)。TPP加盟国から輸入実績が無い品目については、ゼロになりました。そして、TPP加盟国から輸入実績が少しでもあるものは、一律9割になりました。

微々たる関税を無くしたら、国内のシェアが3割~6割も奪われるというのも凄い話ですが、現在のシェアに関わらず、つまり、関税を撤廃したときに入ってくる水産物のシェアは、TPP加盟国が9割というのも無茶苦茶です。

サバについて見てみましょう。TPPによる生産量減少率が30%というと、約15万㌧程度ですね。ノルウェーのサバは大量に入ってきていますが、TPP加盟国で輸入実績があるのは、カナダのみ。それも日本のサバ輸入量全体の1%にも満たない水準です。そもそも、2007年から30%以上円高になっても、ほとんど入ってこなかったカナダのサバが、TPPによって大量に輸入されるようになるとは思えません。2012年のカナダのサバの輸出量は、全体で2000㌧弱(http://www.dfo-mpo.gc.ca/stats/trade-commerce/can/export/xsps12-eng.htm)ですから、日本の巻き網の1回の水揚げぐらい。漁業の規模自体が小さいのです。

さらに、理解不能なのが「いわし」です。これはおそらくマイワシだと思うのですが、日本のマイワシの生産金額(2001-2010平均)は80億円程度なのに、どうやって230億円の生産減少になるでしょうか。マイワシの冷凍設備をもっているのは米国とメキシコぐらい。現在の輸入実績は、3600㌧、3.6億円です。、2000年前後にマイワシの国内の漁獲生産はほぼ途絶えた状態ですら、ほとんど輸入されてこなかったマイワシが、今後も入ってくる可能性は低いでしょう。

私の目から見ると、この試算は、あまりにもお粗末です。「相手国の資源も産業も考慮せず、とにかく数字を膨らませました」という印象ですね。

TPPが漁業者に与える影響は軽微と思います。では、TPPが水産分野に影響が無いというと、そうではありません。TPPに関する、俺の最大の懸念は、食の安全です。TPP参加国が、日本では許可されていない薬物を利用して養殖をしているケースがあります。該当国で利用許可がでているなら、輸入を禁じることはできません。「TPPの枠組みの中で、どうやって消費者の食の安全をどう守るのか」というのがTPPを進める上で重要な論点なのですが、そっちの議論はほどんど見かけません。

結論

  • TPPでも水産物の輸入はそれほど増えないし、価格も安くならない(生産者のデメリットも、消費者のメリットも、あまりない)
  • 食の安全、特に養殖物の安全性をどの様に担保していくかが重要な課題 (食の安全について、ちゃんとの議論すべき)

政策的に国内産業を潰すには、どうしたら良いだろうか?


産業振興については、いろいろな場所で議論されているので、別の視点から考えてみよう。政策的に国内産業を潰すには、どうするのが確実だろうか?

米国の禁酒法のように、流通自体を違法にするのは下策だろう。需要があるのに供給を止めるのは政治的に難しい。禁酒法だって結果として失敗した。

より確実な方法としては、供給サイドを腐らせてしまうことだ。本来なら、市場から退出すべき人たちに既得権を与えて、本業がいくらダメでも、居座れるようにする。競争力がマイナスな人たちを守るために、参入障壁を高くして、まともな経営体が入れないようにする。既得権益と参入障壁でガチガチにしておけば、その業界は競争力を失う。自立できなくなった業界は、既得権益と参入障壁を維持するために政治団体化して、まともな人材は寄りつかなくなる。

ここまでやれば、国内産業はみるみるうちに衰退していくだろう。しかし、この段階で安心してはいけない。国内産業が競争力を失えば、輸入品が入ってくる。輸入品には、2つのリスクがある。第一のリスクは、せっかく育てた政治団体がつぶれてしまうことだ。既得権団体が消滅したら、参入障壁が維持できずに、再び健全な国内産業が育ってしまうかもしれない。第二のリスクは、消費習慣が残ることだ。消費者がそれを望む限り、まっとうな産業が復活する可能性は消えない。これらのリスクを避けるには、国内産業保護という名目で、輸入品が入りづらい状況をつくらないといけない。輸入関税を高くしたり、公的資金で「国産品消費」を促進するキャンペーンを徹底する必要がある。

競争が無く、政治力だけで生き残っている産業は、割高な粗悪品しか生産できない。結果として、消費者は代替品に流れていくだろう。その結果が「消費者の~離れ」だ。この状態が長く続き、消費者が完全に離れてしまえば、その業界に復活の目は無くなるだろう。

注) 別に特定の産業について書いているわけでは無く、あくまで、一般論です。一般論として読んでくださいね。

ウナギの乱食にブレーキをかけられるのは誰か?


日本では、ウナギを守るための実効性を持った取り組みは現在進行形で行われていない。非持続的な消費は今も継続している。ウナギが減ったのは誰の責任かというと、獲った漁業者も、売った小売りも、食べた消費者も、非持続的な消費システムの一員である以上、責任はあるだろう。規制すべき立場にいた水産庁も、警鐘を鳴らすべき立場にいた我々専門家も、無責任の誹りを免れない。俺自身も、これまで何十年もウナギを食べてきたのだから、他人事のように非難できる立場では無い。当事者として、自らの責任を認めた上で、未来につながる行動をとらないといけない。

ウナギの資源回復を誰が主導でやるべきだろうか。もちろん、皆が出来ることをやるべきである。

  • 行政は、法整備をして、非持続的な漁獲を抑制すべきである
  • 漁業者は、非持続的な漁獲を控えるべきである
  • 小売りは、非持続的な漁業で獲られた魚を扱うべきでは無い
  • 消費者が、非持続的な漁業で獲られた魚を消費すべきではない。

残念ながら、だれも具体的な行動を起こしていない。動きだす気配すらない。水産庁は資源管理をしない口実を並べるだけで、何もしてこなかったし、今後も何もしないだろう。漁業者は、漁獲量が減ったからといって、漁期を延ばしている。小売りは、売れれば何でも売るし、消費者は無関心。環境省が絶滅危惧種に指定をしたのが唯一の救いだが、これとて法的強制力を伴うものではない。状況は絶望的だ。

海外の漁業国は、どうやって規制を導入したのか?

日本国内をみていると漁業に救いは無いのだけど、海外に目を向けてみると、全く違う光景が開けている。ノルウェーやニュージーランドのような漁業管理をちゃんとやっている国は、水産資源が回復していて、漁獲量も安定している。こういった国は、どうやって最初に資源管理を始めたのだろうか。ここに日本でも資源管理を始めるためのヒントがありそうだ。ということで、俺は、かなり前から、資源管理先進国を訪問して、資源管理をどうやって始めたのかを聞き取り調査してきた。

2007年 ノルウェー
2008年 オーストラリア、ニュージーランド
2009年 ノルウェー、ニュージーランド(チャタム島)
2010年 米国(シアトル、アラスカ、ベーリング海)

世界を旅してわかったことは、「行政や漁業者が主導で資源管理を始めた国は無い」ということだ。漁業者は魚を獲るのが仕事だし、現状でも生活が厳しいのに、漁獲規制など賛成するはずが無い(実は、漁獲規制がないから、生活が厳しいのだけど)。行政は、業界が反対していて、調整が難しいことを、自ら進んでやるはずが無い。これは日本に限った話では無く、ノルウェーやニュージーランドでも同じ状況だったのである。

ニュージーランドで、漁業改革を指揮したクラウザーさんに当時の話を聞いた。漁獲規制に対する漁業者の抵抗はひどかったらしい。説明会を開けば、罵声を飛ばされたり、トマトを投げつけられたり、さんざんだったとのこと。ではどうして、漁獲規制が導入できたかというと、国民世論が乱獲を許さなかったからだ。

ノルウェーでも、ニュージーランドでも、環境保護団体が強い。彼らが非持続的な漁業の問題点を指摘した結果、乱獲に反対をする国民世論が高まり、漁獲規制が導入されたのである。選挙では、与党も野党も、漁業管理を公約にして、選挙を戦い、意欲のある政治家が中心となって、政治主導で資源管理を始めたのである。

漁獲規制を始めたら、大型の魚がコンスタントに捕れるようになり、漁業が儲かるようになった。すると、5年もしないうちに、漁業者は資源管理を支持するようになった。2008年に俺がヒアリングしたところ、漁業者のほとんどが資源管理を支持していた。自然保護団体のおかげで、漁業が儲かるようになったというのは、なかなかおもしろい現象である。

情報を与えられない日本の消費者

日本国内について考えてみると、水産庁や漁業者は資源の減少を理解した上で、現状を維持しようとしている。つまり確信犯である。彼らに、漁獲が非持続的であることを指摘しても、開き直って終わりである。一方、消費者の「魚を食べ続けられるか」という関心はある。少なくとも、あまり魚を食べないニュージーランド人よりは、格段に高いはずだ。そこで、試しに自分で消費者教育をやることにした。生協主催の講演会で話をしたり、栄養と料理という雑誌に水産資源の問題を寄稿したり、手当たり次第にいろんなことをやってみた。それなりに意識の高い人が対象ということもあるが、ちゃんと話をすれば、理解をしてくれる人がほとんどだった。彼らは異口同音に「こんな話は聞いたことがない」「日本でもちゃんとした漁獲規制をしてほしい」という。消費者に、興味が無いのではなく、情報を与えられていなかったのである。

非持続的な水産物消費システムを変える可能性をもっているのは、行政や業界では無く、消費者だと思う。日本の魚食を持続的にしていこうと思ったら、「なぜ、日本では非持続的な消費についての適切な情報が消費者に流れないのか」を分析した上で、そこに風穴を開けていく必要があるだろう。

ウナギをどう看取るか?


某生協から、「ウナギの消費について、俺の意見をききたい」という依頼があった。ウナギを取り扱うかどうかで、内部で議論をしたが、話がまとまらなかったので、俺の意見を参考にしたいというのだ。そのときに話した内容を簡単にまとめてみた。ウナギを食べるかどうかは、なかなか難しい問題だ。こうすべきという正解があるわけではない。そのことを踏まえた上で、一つの意見として読んでもらえれば幸いだ。

ウナギ問題を考える出発点として、日本のウナギ消費がどのような状態であったかを、把握する必要がある。ウナギについては、こちらのサイトが詳しいので、まず読んでほしい。このサイトに目を通したことを前提で、話を進める。

http://nationalgeographic.jp/nng/article/20120710/315508/

我々のウナギ消費の歴史を振り返るとこんな感じ

  • 60年台から、ニホンウナギの漁獲量は減少の一途をたどっていた
  • 今に至るまで、資源保護のための措置はとられていない。
  • 国産が減れば、北米+欧州から輸入
  • 資源は減っているのに、供給量は増えて、値段が下がるという異常な状態
  • 北米・欧州の資源が激減し、ほぼ禁漁に
  • 自国の資源のみに依存せざるを得なくなる
  • 価格の高騰→漁獲圧が強まる→4年連続でほぼシラスが獲れない状況

ウナギ漁業の現状

  • 減少要因が特定できない(河川開発とシラス漁の複合要因)
  • 国内の漁獲量すら把握できていない
  • 密漁の蔓延化
  • 中国・台湾との共同管理の難しさ

結論からいうと、ウナギは、もう詰んでいる。中国や台湾にも生息する広域分布種であり、共同して管理をする必要があるのだが、中国・台湾とは、会話のテーブルを準備したというような段階。実務レベルの協議が出来る状態にはほど遠い。日本単独で見たとしても、未だにシラスウナギの漁獲量すら把握できていない状況である(現在の漁獲量は報告された量を合計しただけで、シラスウナギの漁獲は、報告されないケースがかなりある)。日中台が協力して、これから禁漁したとしても資源が回復するかは微妙な情勢ではあるが、禁漁に近い措置を獲れる可能性はほぼ無い。

10年前なら、ニホンウナギを持続的に利用するという選択肢はあったかもしれないが、もうそういう段階ではない。「ニホンウナギの最後をどう看取るか」という段階である。今、我々がやるべきこと(できること)は、ウナギを反面教師にして、第二・第三のウナギを無くすことだ。水産物を持続的に消費するシステムを確立して、将来の水産物の消滅を食い止めることが重要である。

海の幸を少しでも良い状態で残していく。そのために何が出来るかをしっかりと考え、行動すること。それが、ウナギを食べ尽くしてしまった我々の、未来の世代に対する責任だと思う。

日本のウナギ根絶作戦が、ついに最終段階


ジャワうなぎ、日本へ 「世界最後の稚魚市場」から 東アジアでの激減背景に  (2013年04月20日)
東アジアでウナギ稚魚の不漁が続く中、ウナギ養殖のインダスト(熊本県玉名市)が、「ジャワうなぎ」の日本輸出を目指して奮闘している。西ジャワで養殖を始めて7年目。成果は実りつつあるが、日本人の口に合うウナギの育成が今後の課題だ。
中川勝也社長はインドネシアを「世界で最後の稚魚市場」と表現する。同社によると、世界で確認されているウナギの仲間18種のうち、7種が生息するインドネシア近海がウナギ発祥の地だと考えられており、稚魚は豊富だという。
ウナギの漁獲量が激減する日本での需要は大きい。日本のコンビニや流通業者から「早く届けてほしい」との要望が日に日に強くなっているという。
http://www.jakartashimbun.com/free/detail/10643.html

1960年代から、日本国内のシラスウナギ漁獲量が減少した。日本は、資源回復の措置をとることなく、1990年代から、海外のシラスウナギを輸入する体制に移行した。持続性を無視した消費で、北米とヨーロッパのウナギを絶滅寸前まで食べ尽くし、自国のウナギ資源も絶滅危惧種になってしまった。

東アジア、ヨーロッパ、北米のウナギを食べ尽くした日本市場が、「世界で最後の稚魚市場」に食指をのばしている。もし、インドネシアのシラスウナギを大規模に利用するための準備が整ったら、このウナギ資源も、ニホンウナギ、アメリカウナギ、ヨーロッパウナギと同じ運命を辿るだろう。


 ニホンウナギの資源状態についてより引用

魚が無くなるまで食べ尽くし、余所の産地に移る。それを繰り返して、最後のシラスウナギの産地を潰そうとしている。日本人がやっていることはイナゴと同レベル。

「売れるものは、何でも集めてくる」商社と、「いま食えればそれで良い」という消費者。どちらも持続性なんて、これっぽっちも考えていない。無責任で恥知らずな乱消費をしておきながら、なにが「魚食文化」だ。へそが茶を沸かすよ。

持続性を無視した消費を続ければ、いずれは自分たちが食べるものがなくなるということに、日本人は気づかないといけない。

われわれが、いま考えるべきことは、「どうやって、世界最後のウナギ資源を開発するか」ではなく、「乱食を止めて、持続的な水産物消費に移行するには、どうしたらよいか」である。ウナギを反面教師にして、マグロを含む他の水産物を食べ尽くさないように、責任ある水産物消費へと舵を切らなければならない。

漁業資源と国境を守るために、日本は何をすべきなのか


1つ前の記事で、自国の乱獲を棚に上げて、中国を非難する日本のテレビ番組を批判しました。日本は過去に乱獲をしていたから、中国の乱獲を容認すべきという意図ではありません。「日本と中国のどちらが正しいか」という話ではなく、「どちらも正しくない」のです。日本の乱獲も、中国の乱獲も、出来るだけ早く止めるべきです。ただ、日本がまず取り組むべきは、国内問題である自国の資源管理であり、それをしない限り、中国との関係も変えられないと思うのです。

乱獲にはいくつか種類があって、それぞれ対処法や日本漁業への影響が異なっています。ざっくりと、以下の4つに分類して、それぞれの傾向と対策をまとめてみました。

1.日本の過去の乱獲

日本の過去の乱獲については、当時は乱獲を規制するルールがなかったし、1970年代までは、日本の動物性タンパク質の供給が足りていなかったのだから、当時としては仕方がなかった面もあるだろう。いまさら乱獲してきた過去を変えることはできない。乱獲によって多くの漁場を破壊してきたという事実を認めた上で、そこから学ぶことしかないのである。

2.日本が自国のEEZで現在も行っている乱獲

日本が排他的経済水域(EEZ)の水産資源の排他的利用権を得ているのは、国連海洋法条約のおかげです。日本は国連海洋法条約に批准することで、沿岸から中国船・韓国船を追い出して、自国のEEZで排他的に漁業を行っているのです。国連海洋法条約は、持続的管理の見返りとして、排他的利用権を認めています。「海洋資源は人類共有の財産なのだけど、管理人が必要なので、沿岸国が持続的に管理するなら、排他的に利用して良いよ」ということです。

日本は、EEZを排他的に利用しているにも関わらず、自国の乱獲は放置したままです。権利を享受しながら、義務を怠っているのです。日本政府は自国漁船の乱獲を取り締まる気などありません。「漁業経営に重要だから」とか、「安定供給も必要だ」とか、訳がわからない理由を並べて、乱獲を放置してきました。日本では、乱獲を規制する法律がほとんど機能していないので、乱獲をする日本の漁業者は違法ではないのですが、乱獲状態を放置し続けている日本政府の姿勢は、海の憲法と呼ばれる、国連海洋法条約の理念に反しています

日本の漁業が衰退している要因は、乱獲で間違いないのですが、乱獲の主体は日本の漁業者です。北海道や本州太平洋側は、日本一国で占有している漁業資源が大半ですから、国内漁業を規制すれば、日本漁業の衰退はかなりの部分を食い止められるわけです。日本政府がきちんと漁業管理をして、乱獲を抑制すれば、日本の漁業は持続的かつ生産性な産業に生まれ変わります。

3. 中国が日中暫定水域で行っている乱獲

まずは、日中暫定水域について説明をします。1997年に締結された日中漁業協定において、日中の双方が領有権を主張している場所には、暫定措置水域が設置されています。暫定措置水域内の漁業には次のような取り決めがあります。

  • 日中双方の漁船が相手国の許可を得ることなく操業できる
  • 操業条件は、日中共同漁業委員会が決定する
  • それぞれの国が、取り締まり権限を持つのは、自国の漁船のみ
  • 相手国の違反を発見した場合には、漁船に注意喚起すると共に相手国に対して通報することができる

今、暫定水域で操業をしているのはほとんどが中国船です。日本船は数える程度しかいない。規制をしたところで、日本漁船には影響がほとんど無いのです。日本は、乱獲で資源を潰しておきながら、自国の漁船が撤退したら「規制を強化しよう」と提案しているわけです。欧米の捕鯨国と、何ら変わりがありません

では中国が日本の提案を飲むかというと、飲むわけがない。中国にとって、撤退済みの日本と共同管理をするメリットは何もないのだから。日本国内でいくら中国を非難したところで、外交的に見れば、何の得にも成りません。はっきり言うと詰んでいるわけです。

4.  中国の日本のEEZ内での違法操業

これは問答無用の違法操業ですから、中国当局と連携して、きちっと取り締まらないといけない。 漁船の監視には、Vessel Monitoring Systemという機器の導入を義務づけるのが効果的です。これは1時間に1度ぐらいの頻度で漁船の位置情報を管理当局に強制的に報告する装置です。すでにほとんどの漁業先進国では導入が義務づけられています。ちなみに、ロシア領で操業をする日本漁船にはすべてVMSの導入が義務づけられています。日本近辺で操業する中国船にはVMSの導入を義務づけるべきです。

合法? 対応可能性 日本漁業への悪影響 管理主体 やるべきこと
1 日本の過去の乱獲 × 過去の失敗に学ぶ
2 日本が自国のEEZで現在も行っている乱獲 × 日本政府 自国の資源管理
3 中国が日中暫定水域で行っている乱獲 地域漁業管理期間 公海での管理の枠組みをつくる
4 中国の日本のEEZ内での違法操業 × 日本政府と中国政府 中国政府と連携して取り締まりの強化

結局、日本は何をすべきなのか?

日本の国益(漁業資源と国境の維持)という観点から、未来志向で何をすべきかを整理してみよう。

優先順位が一番高いのは、日本のEEZの資源管理をすることです。日本の漁業が衰退している主要因は日本漁船による乱獲。たとえば、スケトウダラやハタハタの例を見ればわかるように、今のまま乱獲を放置し続ければ、中国漁船がいなくても、日本漁業の消滅は時間の問題です。自国の漁業管理は、完全に国内問題ですから、これが出来ていないのは政府の怠慢。日本は実に幸運なことに世界第六位の広大なEEZをもち、その中に世界屈指の好漁場がすっぽり含まれている。国内漁業の規制をするだけで、太平洋・北海道の漁業の生産性は改善できる。また、日本海側にしても、日本のEEZでほぼ完結する資源は多い。ちゃんと手入れをすれば、自分の庭から大きな利益が期待できるのである。こんなに恵まれた国はなかなかない。たとえば、ノルウェーは水産資源のほとんどをロシアとEUと共有している。苦労して国際交渉をしながら、資源管理をしている。ちなみにノルウェーがEUに加盟しない理由の一つが水産資源管理です。ノルウェーはEUの資源管理(共通漁業政策)よりも、かなり進んだ資源管理を行っています。自国の資源管理をEU水準に落として、漁業の生産性を下げたくないのです。

日本がやるべきことは、ノルウェーやニュージーランドのような資源管理先進国の成功から謙虚に学び、資源管理をすることです。つまり、産卵親魚の保護と、未成魚の漁獲規制をすると言うこと。こういった当たり前のことをしないで、国内の乱獲を補助金で支えているから、日本の漁業が衰退するのは当たり前です。政治家も官僚も、国内の漁業者から猛反発を受けるので、自国の乱獲という国内問題を避けてきました。「日本の漁業者は意識が高くて、自分たちで資源管理をしているから、公的機関は何もする必要が無い」という神話を作り出して、何もせずに今に至っています。日本の漁業が衰退しているのは、中国のせいではなくて、日本の責任です。

日本の国境を守るには、離島の漁業を守る必要がある

離島に日本人が住んでいる限り、その島が日本の領土であることは疑問の余地がない。しかし、無人島になってしまえば、そこを守るにはコストがかかるし、実効支配されたら打つ手がなくなってしまう。日本の領海を守るには、離島に日本人が住み続ける必要がある。そのために、欠かせないのが離島の雇用です。

離島の基幹産業は、バブル期までは建築業でした。離島に補助金をつけて、誰も通らないような道や誰も使わないような港や公園を作りまくったのである。島の人口の半分以上が建築業で、観光資源の自然を公共事業で破壊しているようなケースが多かった。バブル崩壊以降、公共事業が縮小された関係で、建設業の雇用が減っている。残された産業は漁業と観光ぐらいしかない島が多い。

日本海側の離島の漁業には、中国・韓国との競合が少なからぬ影響を与えているのは事実です。しかし、離島の漁民の悩みの種は、日本本土の大型船による乱獲です。日本の漁業従事者のほとんどは沿岸漁業者であり、9トン程度の小型船で日帰りで漁に出る。つまり、日本のEEZ内で操業をしているのです。かつて八丈島にはサバ棒受け網漁業が栄えたのですが、日本の巻き網船のサバ未成魚を乱獲によって、漁場が消滅し、漁業自体が消滅してしまいました。巻き網漁船の乱獲によって、日本海の一本釣り漁業は窮地に立たされています(参考:壱岐漁業者インタビュー)。

韓国との国境の島である対馬でも、漁業は厳しい状況の置かれているのです。先日、対馬市が島の漁業者を集めてワークショップを行ったのですが、日本本土の巻網船をなんとかしてほしいという声が大きかったです。対馬の周辺漁場に魚群がまとまると、長崎あたりから大型巻き網船が来て、根こそぎ魚を持って帰ってしまうのです。中国船・韓国船は暫定水域までしか入れないのですが、日本の大型船は、対馬の沿岸3マイルまで入って操業できるので、地元の小規模漁業に多大な影響を与えています。対馬では大型船の線引きをもう少し外にしてほしいと、陳情していますが、何十年も放置されたままです。島の基幹産業である漁業がこのまま衰退していけば、対馬には韓国の観光地として生き残る以外の選択肢がないでしょう。国防の観点から、離島の漁業を守るのは、国益上重要ですが、そのためにまずやるべきことは、国内の資源管理なのです。

 中国の膨張を止めるには・・・

中国漁船の規制は、相手があることだから、日本の思い通りには進みません。中国政府は、日本政府よりは、資源の重要性を理解しているので、近いうちに漁業管理を始めるはずですが、その際には、国内の規制として進める可能性が高い。共同水域の漁場をすでに実効支配している現状で、中国にとって、日本と共同管理をするメリットが無いからです。この海域の資源管理秩序を日本主導で打ち立てるには、日本が実効支配していた時期に、手を打っておく必要がありました。残念なことに、当時の日本政府は、自国の漁船に出来るだけ多くの魚を捕らせることしか考えていませんでした。まあ、今も似たようなものだけど・・・

日中漁業協定については、こちらのサイトが詳しいです。1975年の漁業協定はつぎのようなものでした。

中国沿岸部よりに6つの漁区が設けられ,そこでの底引き網・まき網漁業について船舶の隻数や網目に関して制限が設けられている。これは以前から懸念されていた日本側漁船の中国沿岸における乱獲,およびそれに伴う資源枯渇を意識したものであり,当時の日本漁業の中国漁業に対する圧倒的な優勢を前提としたものであった。

つまり、「中国の沿岸は手加減してやるけど、沖合は俺たち日本が好きなように獲るよ」という協定だったのです。この時期に「この海域の資源をしっかりと共同管理しよう」と日本が提案していれば、ほとんど操業実績が無い中国は、一も二もなく賛成をしたでしょう。その当時に、「過去の漁獲実績ベースで、漁獲量を厳しく規制する」というような枠組みをつくっておけば、中国漁船はそう簡単に進出できなかったはずです。今となっては、後の祭りだけど。

歴史は繰り返すと言いますが、1960年代に日本が世界中でやっていたことを、今度は中国からやられているのです。ノーガードで打ち合っても、コストが高い日本漁船に勝ち目はありませんし、その前に資源が崩壊するでしょう。漁場を実効支配されている中国には、日本のために妥協をするメリットがないのだから、一筋縄ではいかない。中国の乱獲に対する日本国内の世論をいくら高めたところで、中国サイドから見れば「負け犬の遠吠え」です。

ただ、方法が全くないわけではありません。日本は自らの苦い歴史から学べば良いのです。中国の膨張を食い止めるには、欧米諸国が日本漁業を封じ込めるときにやったことをやればよい。つまり、資源の持続性や生態系保全という大義名分で、他の先進国と共同戦線を張って、規制を導入させるのです。これ以外に選択肢はないでしょう。残念なことに、日本の水産外交は全く逆のことをしています。ワシントン条約の締約国会議でも、中国と組んで、ありとあらゆる規制に反対をしています。日本漁船の国際競争力は低下しており、自由競争をして勝てる状況にないのに、すべての規制に反対をして、中国の膨張をアシストしているのです。追われる立場になっているのに、追う側と一緒になって、規制に反対しているのだから、つける薬がありません。

生態系保全の必要性を国際世論に訴えるには、自国の乱獲を止めるのが必要条件です。海外では、日本の乱獲はよく知られているので、今のままで問題提起をしても、「まず、おまえが乱獲を止めろ」と鼻で笑われるのがオチです。

結論

日本政府は、資源管理をして、自国の乱獲を止めさせること。それにつきます。自国の漁業を規制すれば、日本漁業が抱える問題の多くは解決します。逆に、自国の乱獲を放置したまま、中国を非難していても、国際世論の支持は得られないし、日本の漁業が衰退して、離島が浸食されていくのは時間の問題です。

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