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勝川俊雄公式サイト

食品安全委員会委員長からのメッセージについて

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第9回 放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループが、2011(平成23)年7月26日に開催されました。今後の日本の放射線防護に関する重要な論点を含みますので、簡単に整理します。

会議の資料はこちら
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110726so1

委員長からのメッセージはこちら
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/fsc_incho_message_radiorisk.pdf

 

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87.9%の漁業者が水産資源の減少を実感

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農林水産省/意識・意向調査というのがあるということを初めて知った。持続的利用に関する意識調査というのが平成23年5月19日に公表されたのだけど、興味深い内容だ。88%の漁業者が資源は減少していると答えているのだ。増加しているは0.6%。

浜の漁師に聞けば「魚は減った」という答えが返ってくるのだけど、水産庁は資源の減少を認めるような情報は極力出してこなかった。今回、このような調査をやったのは、とても意外だった。まあ、中の人も方向転換を図りつつあると言うことかな。

 

みなと新聞 コラム 2011年6月

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業界紙(みなと新聞)に連載中のコラムです。

6/30日の1面に掲載されました。

「水産物についてのご質問と回答」の変遷

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http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/index.html

4月2日の段階ではこうだった

Q.魚の体内には海中の放射性物質は蓄積しないのですか?

A.放射性物資が海の中に放出されても、海水の量がはるかに多く海流もあるため、その濃度は低くなります。従って、魚への影響は小さいものと考えられます。

セシウムは、カリウム(野菜や果物に多く含まれる)と同じように、魚の口から入り、えらや尿から出て行きます。このため、たとえ放射性セシウムが魚の体内に入っても蓄積しません。

放射線ヨウ素については、半減期が短く(8日間)、魚への蓄積や魚を通じた人体への移行の程度が小さいため、暫定規制値が示されていません。

 

コウナゴからヨウ素が検出されて、こう変わった

 

このあと、セシウムが基準値を超えたために、セシウムについての記述を若干変えたが、スクリーンショットに下の方が無いので、詳細は不明。4月後半から、5月前半の魚拓をお持ちのかたは、ご一報ください。

 

5月13日に、説明スライドの「わかりづらい点」を修正した

そして、6/3に、こう変わった

一番上の文章と、一番下の文章では、印象がだいぶん違う。現在の記述が、科学的に妥当。生物学的半減期や濃縮係数の情報は311以前から様々な文献に記述されている、いわば常識。3月の段階で、最後のと同じ文書は書けたし、書くべきだった。記述を訂正したことは評価できる。ただ、過去の修正履歴や修正箇所に関する情報が無いのはいただけない。

水産庁のストロンチウムの検査が酷すぎる件について

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ようやく水産物のストロンチウムの検査結果が出ました。
東日本大震災について~水産物のストロンチウム測定結果について~

採取日 ストロンチウム-90 セシウム ヨウ素
マイワシ 4月6日 不検出
(検出下限値:0.04)
8.5 4.9
イカナゴ
(コウナゴ)
4月8日 不検出
(検出下限値:0.02)
81 598
イカナゴ
(コウナゴ)
4月12日 不検出
(検出下限値:0.03)
66 397
カタクチイワシ 4月14日 不検出
(検出下限値:0.04)
7.9 不検出

全て不検出なのですが、ストロンチウム汚染がなさそうな魚ばかりを検査しているのだから、手放しでは喜べません。

地図に日付を入れるとこんな感じになります。

これらの場所に汚染水がいつ到達したかを、JAMSTECのシミュレーションでみてみましょう。

犬吠よりも南の黒潮系のエリアには、汚染水はほとんど入れないので、マイワシとカタクチは計測するだけ時間の無駄です(セシウムが若干出ていますが、恐らく大気から落ちてきたものでしょう)。また、コウナゴにしても、4/8は高濃度汚染水がまだきていないし、4/12も汚染水が来るか来ないか、ぎりぎりのタイミングなので、徐々に骨に蓄積されるストロンチウムが出なくても不思議ではありません。汚染水にさらされる前の魚のみを検査しているのだから、ストロンチウムが不検出という結果は当然です。「ストロンチウム不検出」というアリバイを作るための出来レースのような印象を受けます。水産物の安全性を確認するには、汚染水が通過した後の魚を計測すべきなのは言うまでもない話です。なお、サンプルによって、検出限界が異なるのは、そういう物らしいです。

海洋のストロンチウム汚染については4月の早い段階から懸念されていました。実際に海水から、ストロンチウムが検出されたのが4/18なのに、水産庁が日本分析センターに検査を依頼したのが5/25です。そして、6/27に結果発表となったわけです。5/25になって、ようやく検査の依頼をするというのは、動きが遅すぎます。5月下旬にサンプルを送るのであれば、ストロンチウムが蓄積されている可能性がある福島周辺の水産物を測定すべきです。しかし、水産庁が選んだのは4月上旬に獲られた千葉と茨城の魚ばかり。なんで、こういう魚を計測したのか、水産庁に問い合わせたところ、「すぐにストロンチウムを計れという指令が上から来た。検査に十分な量が手元にあったのは、これらのサンプルだけなので、仕方がなかった」という趣旨の説明をされました。次の2点で残念です。

  • 上から指令が降りてこなければ、ストロンチウムを計るつもりが無かった点
  • 計測指令に対して、ストロンチウムが出なさそうな手持ちのサンプルで対応した点

電話したついでに、現在、ストロンチウムを計測中の水産物はあるかを問い合わせたのですが、「現在調査中のものはない」とのことでした。水産物のストロン チウムの情報は、今後1ヶ月は期待できません。その先の調査予定についても問い合わせたのですが、未定とのことでした。どうやら、汚染水が通過するまえの4つのサンプルのみで、ストロンチウムの計測は終わりになりそうな雰囲気です。

何をやるべきか?

俺が国に要求したいのは次の2点

1)福島原発周辺の褐藻のストロンチウム/セシウムの比を調べる

放射線防護の観点から、抑えておくべき最重要な情報は、放射性セシウムと放射性ストロンチウムの比です。汚染源に近い場所の、セシウムとストロンチウムの両方を蓄積する生物を計測するのが合理的です。福島原発に近い場所の褐藻(ワカメ・ひじき)をつかうのが良いと思います。福島県で漁業は行われていないけれども、県の調査漁獲はあるわけですから、サンプルの依頼は可能なはずです。

2)セシウムが暫定基準を超えたサンプルは冷凍保存をして、後日ストロンチウムも必ず調べる

セシウムが残的基準値を超えたサンプルは、ストロンチウムの汚染も懸念されます。これらのサンプルを冷凍保管しておいて、ストロンチウム濃度が想定の範囲に収まっているかどうかを確認すべきです。国内でストロンチウムの計測ができ る機関は限られており、どこも手一杯です。私も個人的に問い合わせたことがあるのですが、「国からの依頼で手一杯で年内は無理」との事でした。日本全体で みても、貴重なストロンチウム測定の機会を、計る必要もないようなサンプルの検査で費やすことは許されません。

水産庁の調査は、国民を放射能から守るのが目的ではなく、低い値を出して「問題はない」と主張するのが目的のようです。こういう姿勢で検査をしている限り、消費者の信頼は得られないでしょう。ちょっとわかる人が見れば、ストロンチウムが検出されそうな魚を検査してないことは、一目瞭然です。「ストロンチウムの汚染を隠すために、福島近辺の魚を避けているのではないか」と、かえって不安を煽りかねません。税金を使って、国民の健康に関わる検査をしているのだから、もっと真摯に取り組んで欲しいと思います。

「国はストロンチウムの検査をきちんとやるべきだ」と思われる方は、水産庁に直接意見を伝えることもできます(連絡先はこのページの一番下)。もちろん、怒ったり、怒鳴ったりは、しないでくださいね。「自分は心配だからストロンチウムをちゃんと測って欲しい」ということを、冷静に伝えれば十分です。国民の多くは水産物のストロンチウム汚染の心配をしており、心配を払拭するには徹底した調査しかないということを、水産庁の中の人にも理解してもらいたいです。

水産物のセシウム134とセシウム137の比

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セシウム134は半減期が2年、セシウム137は半減期が30年だから、同じセシウムでも長期的な影響が全然違う。「陸上ではセシウム134が多いから数年で放射性セシウムの量は半分になる」というようなツイートをどこかで見た。俺的には、セシウム134とセシウム137は同じぐらいというような感覚だったから、ちょっと違和感を感じだのだ。そこで、水産物のセシウム134とセシウム137の比を自分で調べてみた。

水研センターも、ほとんどの自治体もセシウム134とセシウム137の数値を合計して、セシウムとして出している。きっちり分けて数値を出しているのは、福島県(日本分析センター)とグリンピースぐらい。セシウムの値が分離されていたデータ(283個)を散布図で示すと次のようになる。

一見してわかるように、セシウム134とセシウム137の比率はほぼ1:1で、安定している。生物がセシウム134とセシウム137を取り込み速度に差はないだろうから、海洋に排出されたセシウム134とセシウム137の比も1:1と考えるのが妥当だろう。福島県(日本分析センター)の計測も、グリンピースの計測も全く同じ傾向を示していた。こういう風に2つの独立した調査が同じ傾向を示せば、その結果には信頼性がおける。また、それぞれの機関の検査もしっかりしていると見て良いのではないだろうか。

セシウム134とセシウム137の比が1:1だとすると、下図のように減少していく。最初は半減期が短いセシウム134が急激に減り、セシウム134がほぼ無くなった後は、セシウム137の崩壊でなだらかに減る。放射性セシウムの総量が半分になるのに、6年かかる計算になる。ただ、海の中では希釈が進むから、もっと早く影響は見えなくなる。実際に、福島原発近辺をのぞけば、海水中からセシウムが検出されないレベルになっている。

セシウムとストロンチウムの比について

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セシウムは比較的簡単に測れるけど、ストロンチウムを測るのは手間暇がかかる。ストロンチウムは単独で防護をするのが難しいので、セシウムの一定の割合のストロンチウムが含まれることを前提としたシナリオで、ストロンチウムの被曝も混みでセシウムの暫定基準値を算出している。「セシウムを抑えることで、ストロンチウムも抑えよう」という考え方だ。

http://www.aist-riss.jp/main/modules/column/atsuo-kishimoto010.html

このロジックでストロンチウムの防護をするなら、以下の2つの仮定をきちんと検証する必要がある

1)セシウムとストロンチウムの比が一定である
2)セシウムに対するストロンチウムの比が、このシナリオを大幅に上回らない

最初にこの仮定が成り立つかを調べないと行けないのに、ストロンチウムの測定値は海水と溜まり水の調査をほんのちょっとやっただけ。生物については全くない。

これまでの調査を並べてみるとこんな感じ。当初想定したシナリオの範囲に大体は入っている。2号機フェンス内側のストロンチウムの比が高くなっている。半減期の長いSr-90が多いのが嫌な感じだ。これがローカルな事象なのかどうかを検証する必要があるだろう。

水産物に関して言うと、同じサンプルからセシウムとストロンチウムを測定して、その比が想定の範囲に収まるかどうかを見る必要がある。ストロンチウムの危険性は4月の段階から指摘されているのに、未だに水産物の測定値が一つも上がってこない。国民の健康に関わる問題なのだから、迅速に調査をして欲しい。

6/27追記

海底土中のストロンチウム(6/2採集)

参考のため、数値を入れておきます。

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東電のpdfが不親切すぎる件について

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遅い・不正確・不親切と三拍子そろった東電の情報公開。

PDFのセキュリティーが硬くて、不便でしょうがない。ちょっとした計算をするのでも、数字をいちいち手で打たないといけない。検索エンジンでも上手に検索できないし。その上、「さっきの間違えてました」みたいなミスを気楽に繰り返してくれるから、腹が立つ。

情報公開をしないといけないから、嫌々やっているのだけど、内容の検証はして欲しくないのだろう。世の中に迷惑をかけているという自覚は無いのだろうか?

水産物の放射能汚染に関する情報(まとめ)

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水産物の放射能汚染を調べていて、当サイトに流れ着いた方は、とりあえず、以下の4つのページを読んでおくことをお勧めします。

1) 海洋生態系の放射能汚染のメカニズムを理解するには、このページ。
水産物の放射能汚染から身を守るために、消費者が知っておくべきこと

2) 「本当に水産物は汚染されているの? 騒ぎ過ぎじゃない?」という人は、こちら。
核実験時代と311後の魚の汚染を比較してみた

3) 水産物の汚染エリアを把握するには、こちら。汚染の現状が俯瞰できます。
水産物の放射性セシウム汚染の地理的な広がり

4) 具体的にどこの何の魚を避ければよいのという人は、こちらで検索可能。
あそこの、あの魚は大丈夫ですか?

あそこの、あの魚は大丈夫ですか? part 2

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都道府県が実施している水産物の放射能検査の結果を集計したものです。

最新の物は水産庁のサイトからPDFでダウンロード出来ます。http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/index.html

サンプリングに関する基本方針はこちら

ガジェットというのを入れると、簡単にフィルターができるということを、コメント欄で教えてもらいました(turkoisyuさん、ありがとうございます!)。ということで、やってみたら、簡単だった。これはすごい。

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from 18 Mar. 2009

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