- 2011-06-15 (水) 6:15
- 放射能
セシウムは比較的簡単に測れるけど、ストロンチウムを測るのは手間暇がかかる。ストロンチウムは単独で防護をするのが難しいので、セシウムの一定の割合のストロンチウムが含まれることを前提としたシナリオで、ストロンチウムの被曝も混みでセシウムの暫定基準値を算出している。「セシウムを抑えることで、ストロンチウムも抑えよう」という考え方だ。
http://www.aist-riss.jp/main/modules/column/atsuo-kishimoto010.html
このロジックでストロンチウムの防護をするなら、以下の2つの仮定をきちんと検証する必要がある
1)セシウムとストロンチウムの比が一定である
2)セシウムに対するストロンチウムの比が、このシナリオを大幅に上回らない
最初にこの仮定が成り立つかを調べないと行けないのに、ストロンチウムの測定値は海水と溜まり水の調査をほんのちょっとやっただけ。生物については全くない。
これまでの調査を並べてみるとこんな感じ。当初想定したシナリオの範囲に大体は入っている。2号機フェンス内側のストロンチウムの比が高くなっている。半減期の長いSr-90が多いのが嫌な感じだ。これがローカルな事象なのかどうかを検証する必要があるだろう。
水産物に関して言うと、同じサンプルからセシウムとストロンチウムを測定して、その比が想定の範囲に収まるかどうかを見る必要がある。ストロンチウムの危険性は4月の段階から指摘されているのに、未だに水産物の測定値が一つも上がってこない。国民の健康に関わる問題なのだから、迅速に調査をして欲しい。
6/27追記
参考のため、数値を入れておきます。
シナリオ | 取水口北側海水 | 2号機フェンス内側 | 3号機フェンス内側 | 1号機溜まり水 | 2号機溜まり水 | 3号機溜まり水 | 56北側 | 南放水 | 第二沖合15km | |
Sr89 | 0.28732 | 0.233333 | 0.540541 | 0.1875 | 0.000204 | 0.12963 | 0.286667 | 0.018321 | 0.015833 | 0.093333 |
Sr90 | 0.04555 | 0.048485 | 0.137838 | 0.057031 | 0.000075 | 0.025926 | 0.05 | 0.003359 | 0.002833 | 0.016 |
Cs134 | 0.54455 | 0.484848 | 0.486486 | 0.484375 | 0.428571 | 0.481481 | 0.466667 | 0.480916 | 0.525 | 1 |
Cs137 | 0.45545 | 0.515152 | 0.513514 | 0.515625 | 0.571429 | 0.518519 | 0.533333 | 0.519084 | 0.475 | 0 |
- Newer: 水産物のセシウム134とセシウム137の比
- Older: 東電のpdfが不親切すぎる件について
Comments:3
- cafelatte134 11-06-15 (水) 18:07
-
セシウム134と137の割合は大体半分づつぐらいなのにストロンチウムの割合は測定箇所によってバラバラですね。
不思議です。 - 母です 11-06-21 (火) 22:31
-
勝川様のサイトのおかげで魚に対する我が家の対応を考えることができて大変感謝しております。
千葉では魚が大漁だと聞いています。
魚を買うときは注意していますが、魚加工品には産地が書かれていないので困りますね。 - メダカとトクサ 11-06-28 (火) 7:27
-
6月28日朝4時59分のNHKニュース(携帯サイト)から。福島第一原発の沖合の海底の土から放射性ストロンチウムが初めて検出されたそうです。原子力安全委員会も海産物への影響を慎重に調べる必要があるとコメント。
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://katukawa.com/wp-trackback.php?p=4657
- Listed below are links to weblogs that reference
- セシウムとストロンチウムの比について from 勝川俊雄公式サイト