- 2016-09-02 (金) 14:38
- クロマグロ
クロマグロの国際会議が終わったようですね。早くも記事がでてきたので、内容について解説します。
クロマグロ漁獲規制見送り 日本案など通らず
クロマグロの資源管理を議論する国際会議「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の小委員会が2日、閉幕した。日本側の提案した漁獲規制措置に対して米国などが反発、採用は見送られ、来年以降に継続して検討する見通しになった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ02H0J_S6A900C1EAF000/?dg=1
まずは、米国が提案している長期目標について解説します。
米国は2030年までに13万トンまで回復させるという長期目標を定めて、みんなで努力しようと提案をしています。これはごく普通の漁獲規制の考え方ですね。これに猛反発しているのが日本です。
日本は、長期的な目標水準を設定せずに、魚が減ったら、その分だけ管理目標を下げて、魚を獲り続けてきました。長期目標を設定しないことで、管理していると言いつつ、場当たり的に魚をとり続けているのです。クロマグロの会議では、長期目標の設定について、5年ぐらい前から議論をしているのだけど、いつも日本が大反対をして、未だに管理目標が設定できていない。今年も、日本の主張が通って、これからもクロマグロの漁獲規制は、長期的視野を持たず、その場しのぎをしていくことになりそうです。
次に日本が主張した「緊急漁業規制のルール」について解説します。
日本は、新しく産まれてきた0歳魚の加入が「13年までの最低水準だった約450万匹を3年連続で下回った場合に緊急措置が発動する」と提案したそうです。下の図は過去60年間の加入尾数の推定値で450万尾を赤の点線で示しました。「3年連続で赤線を下回るような低加入にならない限り、そのまま獲り続けよう」という提案ですね。
「前代未聞の低水準の加入が続いても、2年間はそのまま獲り続けようという」という日本の提案は、どう見ても漁獲規制を先延ばしにするための措置なのです。本来なら、子供が産まれてこなくなったら、今いる親を大切にして卵を産ませないといけないので、早めにブレーキをかける必要があります。日本は、加入が低水準になっても、しばらくは獲り続けられるように予防線を張ろうとしたのですが、他国の反対によって提案は否決されたようです。
追記:NHKはこんな感じ
国際会議のあと、アメリカの代表団のバリー・トム氏は「日本の緊急制限措置の提案はクロマグロを守るのに十分なものではなく、資源の枯渇を予防できない。措置の発動条件はもっと有効なものであるべきで日本側にはもっと厳しい内容で提案してもらいたい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160902/k10010666031000.html
クロマグロの資源状態は極めて悪いので、加入の失敗が確認できたら、出来るだけ早く漁獲にブレーキをかけるのが望ましいです。
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- 日本のクロマグロ規制見送り提案が見送られたようです from 勝川俊雄公式サイト