日本の流通システム その2

荷主(漁業者)と荷受(せり人)の間は比較的自由度がある。
荷受けは千客万来。売れたら手数料が自動的に入るので、流通量が多い方がよい。

荷主は魚を高く売ってくれそうな荷受けを選ぶ。

ひとたび荷受けに入ると後の流れでは、自由度はない。
セリ場は、排他的な閉鎖空間である。
せり人、仲卸は、ほぼ毎日同じ作業を繰り返す顔見知りである。
仲卸はセリのライバルであると同時に、仲間でもある。
お得意の小売りが必要としている商材が不足してしまった場合など、
他の仲卸から融通をしてもらうような相互扶助の関係がある。
仲卸はせり人の特徴を把握している。
どういう順序で魚を出すか。サンプルとして良い魚を選ぶか、無作為で出すかなど。
せり人の特徴も考慮に入れた上で、値段をつけるのである。
閉鎖社会の繰り返しゲームの結果、セリ場の相場観は共有されていく。
その結果、セリ場では買い手がつかなくて買いたたかれることはあっても、
魚が法外な値段で高く売れることはまず無いだろう。

仲卸と小売りの関係も閉鎖的である。
仲卸は、取引先(飲食店や小売店)の需要をきめ細かく把握した上で、
専門知識を活かして、適切な魚を適切な値段で供給する。
これにより、取引先のカラーに合った、きめ細かなサービスができるという利点がある。
逆に、価格においても、内容においても、売買の硬直性を招く怖れがある。

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水揚げは、天候や市況や人為的な不確定要因で日々変動するのだが、

日本の伝統的流通システムは、水揚げの変動を柔軟に吸収し、
鮮魚を素早くに小売りまで流すことができる。

このシステムは閉鎖的な人間関係で結ばれているのが特徴だ。
逆に言うと、顔見知り以外が参加することはまず不可能なシステムである。

日本の流通システム
地産地消を前提とした、鮮魚マーケットに特化している
排他的・固定的な商関係を前提

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