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日本の流通システム (せり、仲卸)

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ノルウェー漁業と日本漁業は好対照だと思う。
特に流通も含めた全体のシステムとして、比較をするとおもしろい。
当サイトの読者の中には日本の流通システムについて不勉強な人も多いだろう。
水産資源学なんてやってても、流通には縁が無いからね。
比較の前段階として日本の水産物流通システムについてまとめてみよう。

日本で伝統的に行われていたのは、市場でのセリだ。
これこそが、日本的なシステムと言えるだろう。

Image200806062.png

 

 

まず、漁業者が海で魚を獲ってくる。

 

 

 

 

 

魚を市場(いちば)に集めるのが荷受である。荷受には専属のセリ人がいて、市場でせりを開催する。

 

 

 

 


 

 

 

市場で荷受から品物を買うには資格が必要である。この資格をもっているのが、仲卸(仲買人)である。

 

 

 

 

 

 

仲卸は消費者に直接販売をしない。
販売先は小売店料理屋である。

 


地方卸売市場で実際にセリの現場を見てみよう。
ここは関係者以外立ち入り禁止なのだが、場長さんにお願いをして、
セリの邪魔をしないという条件で見学させてもらった。

港に隣接した市場に、毎朝、魚が集まってくる。
集められた魚は発泡スチロールの箱に並べられる。

SANY0021.jpg

セリが始まってしまえば、一瞬で値段が決まるので、
セリが始まる前に仲卸は入念に魚の品定めをする。
無言で魚をなめるようにチェックする仲卸は、まさに「プロ」という感じです。
品定めのために、セリの数時間前から、魚を展示しておくことになる。

これがセリの風景です。
オレンジの帽子がセリ人で、水色の帽子が仲卸です。
セリ人が独特の調子で商品の説明をすると、仲卸が指で値段をつける。
もっとも高い値段をつけた仲卸が落札することになる。
あっというまに、大量の箱が処理されていきます。
img08060606.png

築地の場合は、仲卸が場内に店舗を持っており、そこに小売店から魚を買いに来る。
この市場には仲卸の店舗らしきものが無かったので、
落札された魚を仲卸が小売店へと配達するのかな。


伝統的流通システムまとめ

img08060609.png

伝統的な水産物の流通システムは上のようになっている。
市場に上がってくる質も量も不安定な鮮魚を、
多種多様なニーズを抱える小売店へと適切に流すための洗練されたシステムである。
このシステムで中心的な役割を果たすのが、高度に専門化した仲卸である。
荷受は、落札額が高くなるようにセリの順番を工夫したりもするが、
最終的な値段は仲卸が決める。
仲卸は魚の目利きでなければつとまらない。
それと同時に、仲卸は顧客である小売店・飲食店のニーズを正確に把握しておく必要がある。
競り人と仲卸は顔見知りである。毎日の取引を通じて、相場を熟知している。
仲卸と小売りとは専属契約のような関係にある。

専門知識と人間的なつながりによって、
顧客のニーズに合ったきめ細かいサービスを提供するのが仲卸の強みである。
仲卸が介在することによって、質・量ともに日々変動する水揚げ物を効率的に消費者まで流すことが可能なる。

Comments:2

一漁業者 08-06-11 (水) 18:25

市場の説明を頂いているのに余計なコメントですが。漁業者は漁の前にしっかりと注文を受けるべきだと思う。当然、全てが注文を受けてからとはいかないだろうが、どこまで注文を集めてから漁に臨めるかが、自律的な価格形成の第一歩ではないか。獲ったからさばいて貰うのでは、市場の言いなりにしかならないのは当然と思う。「注文を出さないなら獲らない」と言える関係を苦しくとも少しずつ作っていく必要があると思う。その上で市場の機能を利用していきたい。

勝川 08-06-20 (金) 4:26

市場で高く売れるものを狙って獲ることにつきると思います。
現在の流通は、何がきても流せてしまう。
それが漁業者の意識の低さにつながっているでしょう。
また、市場の側も、利益のでない小型魚を流通させることで、
自らの首を絞めていることを自覚して欲しいです。
荷受けにしたら、荷主に文句をいうと、
他に回されてしまうというという事情もあると思いますが、
セリ場から漁師への情報量を増やす必要があるでしょう。

京都の底引き漁業者は、自らが水揚げしたズワイの単価を教えてもらい、
安値になった場合は原因追及をして、品質管理に努めているそうです。
禁漁区ばかりが目に行き勝ちですが、
ちゃんと利益を出すための努力もしているのです。
こういう面も含めて、多くの沿岸漁業の手本に成る事例だとおもいます。

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