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2号機タービン建屋地下階溜まり水
- 2011-03-30 (水)
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2号機の汚水のCs137の濃度:3.0*10^6 Bq/cm3 = 3.0*10^9Bq/L = 3.0*10^12Bq/ton
汚水の量:6000 ton
Cs137の総量:18000TBq = 1.8*10^16Bq
IAEAのレポートによると、チェルノブイリ事故で放出された137Csの総量は、0.085EBq。これは85000TBqに相当する。単純に計算すると、2号機の汚染水には、チェルノブイリの21%の137Csが存在することになる。にわかには信じられないような量の放射性物質が、冷却容器から漏れ出していることになる。
http://www.iaea.org/Publications/Booklets/Chernobyl/chernobyl.pdf
The total release of radioactive substances was about 14 EBq(EBq=10^18Bq), including 1.8 EBq of iodine-131, 0.085 EBq of 137Cs, 0.01 EBq of 90 Sr and 0.003 EBq of plutonium radioisotopes. The noble gases contributed about 50% of the total release.
このブログで紹介した、ドイツの研究機関の楽観的な見通しは、日本政府が初期に発表した「軽微な漏洩」を前提にしているので、高濃度の汚染水が大量に出ることは想定外だろう。この濃度になると、希釈で薄まるにも時間がかかる。渦に取り込まれた場合、数ヶ月と言ったスケールで濃度 が維持される可能性もある。この汚染水が大量に流出した場合の影響は計り知れない。なんとしても、環境への流出を食い止めて欲しい。
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ドイツ研究機関続報:「日本の原子炉事故:海洋生態系に与える影響」
- 2011-03-23 (水)
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4/2追記 このドイツの研究機関の分析は、放射性物質の漏洩が短期小規模で終わるという日本政府の初期の発表に基づいています。現在は状況が大きく変わったことを留意した上で、読んでください。
ドイツの研究機関Johann Heinrich von Thünen-Institutは,2011年3月22日付で報道発表「日本の原子炉事故:海洋生態系に与える影響(Reaktorunglück in Japan: Folgen für das Ökosystem Meer)」を出しました。慶應義塾大学の三瓶愼一先生に訳していただいた文章をコメント欄より転載します(三瓶先生、ありがとうございます)。
日本の原子炉事故:海洋生態系に与える影響
日本の福島原発事故の状況はさらに今後も危機的なレベルで推移するものと見られる一方で,環境調査における放射性物質の初の測定値が発表された。
海洋環境の領域では,現在,海水中における境界値を超える値について報道が行われている。日本の官庁による公的な測定値はまだ存在しない。日本からの日本の報道発表では,原発施設前100メートルの海域で,ヨウ素131が日本の基準値の126倍,セシウム134とセシウム137が境界値のそれぞれ25倍および16.5倍検出されたという。あいにく境界値の値と種類が公表されていないので,当研究所の研究員が食料品の境界値を基に検討してみると,日本ではヨウ素131については2000Bq/kg,放射性セシウムについては500Bq/kgとなる。
水中では汚染の拡散が速いため,太平洋では魚類に重大な汚染が生じることはないとの見方を変えていない。
この根拠となるのが,定期的にセラフィールド核燃料再処理工場周辺においてモニタリングを行っている英国の研究者のデータである。そこでは1965年から85年にかけて,毎年莫大な量の放射性セシウムが排水とともにアイリッシュ海に放出された。最高値としては1970年代中頃で5000テラベクレル/年(1テラベクレル=1兆ベクレル)が計測された。放出されたセシウムのこの大きな値に対し,アイリッシュ海の魚類に対する影響は極めて小さいと見られる。2008年の最新のデータでは,アイルランド海産のタラ(Kabeljau)の汚染は最大値で10Bq/kgであった。これは,バルト海のタラ (Ostseedorsch)の汚染の最大値と一致するが,その汚染は相変わらずチェルノブイリ原発事故の影響によるものである(チェルノブイリ原発事故により汚染された食料品の境界値はEUにおいては600Bq/kgである)。
太平洋に関しては,当研究所の研究員は,魚類におけるセシウムの値はアイリッシュ海とバルト海の値を明らかに下回るだろうと考えている。現在,原子炉付近の海水中で測定されている値は高いが,当研究所では,原子炉付近の魚類にわずかな汚染があり得るものの,例えばベーリング海におけるアラスカのサケマス漁場や太平洋のその他の場所で事実上汚染は生じないものと考えている。
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Gordon Ramsayがサメを追う
The Cove風味の潜入ドラマになっている。画像の説得力はすごいね。
無管理なサメ漁業への風当たりは今後も強まるだろう。アジアでひとくくりにされて、日本も完全に同類だと思われているわけで、何とかしないとまずいです。
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世界の水産物消費の動向 その1
- 2009-04-21 (火)
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さいきん、こんな本を購入した。
「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks) | |
文藝春秋 2009-03-26 売り上げランキング : 1537 おすすめ平均 |
本書によると、魚は余っており、日本が輸入できなくなることはないらしい。筆者の主張を要約すると、こんな感じ。
1)日本の購買力は世界一で、買い負けは一般的な現象ではない。
2)マグロが中国に競り負けるのは、中国人が相場を知らないだけ
3)先進国の魚食ブームは、一過性のブームに過ぎない
4)魚は貧者のタンパク源であり、豊かになった国は、魚から、肉に切り替わる
5)現に、筆者の留学した英国では、魚の消費が右肩下がりである
うーん(苦笑
かなり事実誤認のある、問題の多い本だと思った。せっかくだから、新しいSofiaを使って、世界の水産物の消費動向を整理した上で、どこがどうおかしいかを検証してみよう。
世界的の水産物はどこからどこへ流れているか
Sofia2008(P66)から、水産物の輸入国のランキングを抜粋してみよう。
日本の最大のライバルは、年間6%という凄い勢いで輸入を増やしている米国だ。また、スペイン、フランス、イタリア、ドイツ、英国、デンマークなどのヨーロッパ勢の輸入も順調にのびている。近年、輸入を飛躍的伸ばしていた韓国は、ウォン安でしばらくは瀕死だろう。中国は輸入も多いけど、輸出はもっと多いから、水産物に関しては輸出国なんだよね。
世界の水産物生産量は、90年以降ほぼ一定なのに、貿易額は急速にのびている。水産物国際化は着実に進んでいるのだ。特に、欧州と北米の増加は驚異的である。輸入超過は、アジア(中国以外)、欧州、北米なのだが、アジアの輸入の大半は日本と韓国の2国で占められている。そして、輸出超過は、アフリカ、中国、南米、オセアニアである。途上国の魚を先進国が奪い合っているという構図が浮かんでくる。
輸入超過:日本、韓国、欧州、米国
輸出超過:アジア(日本、韓国以外)、南米、アフリカ、オセアニア
輸出国の生産は今度どうなる?
現在輸出をしている地域の生産トレンドをおおざっぱに予測してみよう。
アフリカ:
欧州漁業の草刈り場となっており、かなり乱獲が進行しているようである。しかし、情報がない!中国:
内陸の淡水養殖が主なんだけど、この増加率を維持できるとは思えないし、環境負荷も心配だ。正直、予測は難しいです。南米:
玉石混淆かな。ペルーやチリは、変動が大きな浮魚主体ではあるが、しっかりとした管理をしているので、安定した生産が期待できる。オセアニア:
豪州、NZを軸に安定した生産が期待できる反面、管理が厳密なので、漁獲量が劇的に増える可能性は低い。
これらの状況を考慮すると、輸入できる魚は、非常に限られているということはわかると思う。輸出国の中で、資源管理をしていない漁業が廃れるのは時間の問題である、一方、資源管理をしている漁業では、劇的に生産量がふえることはない。全体として、減少傾向か、よくても現状維持が精一杯だろう。
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補足資料:アラスカのTACとABCの設定
- 2008-10-08 (水)
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ABCはメイドインUSAの舶来品
日本のTAC制度は、米国の管理制度を模倣していることは、周知の事実である。
日本には資源管理の枠組みは存在しないのだから、仕方がない。
実際にABCの引用文献を見ても、いくつか欧州の文献が混じる程度で、米国の政府文書がほとんどだ。
ABCのルーツはアラスカにあり
米国の中でもアラスカが独特の長い資源管理の歴史を持っている。
米国本土ではITQモラトリアムという愚行をしていたが、アラスカは独自路線を貫き、
スケトウダラにITQを導入し、資源の回復に成功している。
さて、そのアラスカでは、70年代にすでにABCが利用されている。
例:1987年のアラスカ湾周辺の底魚の資源状態に関する文書
(http://www.st.nmfs.noaa.gov/tm/nwc/nwc119.pdf#page=151)
ABCはAcceptable biological Catch, OY はOptimum Yieldである。
すでに70年代から、アラスカではABCが存在したのだ。
OYは社会経済的要素を加味した上で、設定される漁獲量であり、日本のTACに相当する。
1984年をのぞいて、すべてABC>OYとなっている。
ABCの現状
2007年にシアトルで開かれた会議の資料に、科学者委員会の役目が書かれている。
http://www.fakr.noaa.gov/npfmc/membership/ssc/SSCrole507.pdf
最後の部分に注目をして欲しい。
北太平洋漁業会議は、科学統計委員会(SSC)のアドバイスに従い、
TACs≦ABC≦OFLの不等式が成り立つようにTACを設定すること。
(一つの資源にたいして、常に一つの数字)
実に明快ではないか。
で、実際の運用がどうなっているかも見てみよう。
http://www.fakr.noaa.gov/sustainablefisheries/specs07_08/BSAItable1.pdf
全ての魚種で、Overfishing Level ≧ ABC ≧ TACとなっている。
アラスカはがんばっているじゃないか。
こういう風に資源管理をしっかりやっている漁業は、産業として着実に伸びている。
米国はABCは値は一つだけ。日本は欧州の流用で、limitとtargetの2つのABCを設定している。
日本のTAC制度との整合性を考えると、 こんな感じだろう。
米国 | 日本 |
OFL | ABCLimit |
ABC | ABCTarget |
TAC | 期中改訂後のTAC |
ITAC | TAC |
アラスカでのTACの期中改訂は、ABCを上回らない範囲で、常に上方修正だ。
漁業を経済行為としてとらえた場合に、期中改訂で漁獲枠を削るのは難しい。
期中改訂で漁獲枠が削られると思えば、早どりをせざるを得ないし、
漁業経営上望ましくないのである。
そこで、最初は安全を見て低めのTACを配分しておく(ITAC)。
その上で、情報を集めながら、TACを上方修正し、漁獲枠を追加配分していく。
漁獲枠の追加配分は、スケジュールに組み込まれている。
最終的な漁獲枠をABCいかに抑えつつ、資源分布の不確実性にも順応的に対応できる。
ちなみに、南アフリカもこのスタイルだ。
TACがABCを下回るのは大前提であり、ABC-TACが不確実性に対するマージンになる。
アラスカでは、社会的・経済学的な要素を加味して、
マージンの大きさ、つまり、「TACをABCからどこまで減らすか」を決定する。
その場合も、日本のように行政官が鉛筆をなめて決めるのではなく、
資源研究者と経済学者からなる専門委員会で、
社会経済的な要素をちゃんと考慮した上で、TACを決定するのである。
いろいろな国の資源管理制度を調べてきたが、社会的・経済的な要因を口実に、
ABCを上回るTACを正当化している国など日本以外にない。
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7/31の提言に関するコメント(その1)
- 2007-08-06 (月)
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提言1
科学的根拠の尊重による環境と資源の保護および持続的利用を徹底し、かつ国家戦略の中心に位置づけ、これに基づく水産の内政・外交を展開せよ。
水産資源は世界的な争奪戦の渦中にある。魚食を支えるわが国水産業の利益を国家的レベルで確保するため、中長期的視点をもって、外交を含めた大局的な国家戦略を構築すべきである。わが国の水産業は、日本の200海里水域内外で展開されており、200海里内の水産資源については、国民共有の財産として、科学的根拠を尊重した海洋環境の保護と資源の持続的利用の原則を徹底し、漁業関係者のみでなく、水産資源に関連する全ての産業と国民全体の利益を実現できるようにする。水産資源の保護が持続的な水産業の維持発展に不可欠であることは言を待たない。さらに、近年の世界的な環境保護・生態系保護の意識の高まりは、それらの動きに逆行する形で、漁獲・生産された水産物を、市場から締め出そうとする動きにまで発展している。このような中で、ABC(生物学的許容漁獲量)を超過してTAC(総漁獲可能量)を設定するような、資源破壊的な水産政策を続けていけば、世界の流れからみて、最悪の場合、輸出輸入の両面で大きな打撃を受ける懸念がある。環境・資源の保護と持続的利用を中核的な理念とする水産政策に直ちに転換しなければならない。
特に、この場合においては、
1.海洋環境の保護と水産資源の有効利用のため、水産資源を無主物(誰のものでもない)としての扱いではなく、日本国民共有の財産と明確に位置づけるべきである。
水産資源は、漁業者も含む全ての国民共有の財産である。日本国民から付託を受けて、日本政府は水産資源の管理責任を負う。政府は、漁業者に漁獲の権利を与える。一方、漁業者は、この権利を行使するに当たり水産資源は国民共有の財産であるとの認識に立ち、自らと加工、流通、販売および消費者のために、国民共有の財産である水産資源を漁獲する権利を適切に行使する。
このブログのコメント欄を読んで、「国有化は違うかな」と考えるようになった。
国連海洋法条約では、水産物は人類全体の財産と位置づけている。
その上で、最適利用のための管理義務と同時に排他的利用権を沿岸国に与えている。
排他的な利用権を行使する以上、日本は国として水産資源を科学的・持続的に管理する義務がある。
無主物的な扱いをしていること自体が、契約不履行であり、
日本国民から付託にかかわらず、管理の責任はあるのだ。
国有財産であれば、国の都合で獲り尽くすという判断も可能であるが、
人類全体の財産であればそうはいかない。では、管理の費用はどうするのという話になる。
本来なら、人類共有財産を排他的に利用させてもらっている漁業者が払うのが筋だろう。
現在は国の税金でまかなっている以上、国益についての義務も負うはずだ。
「国民は漁業をどこまでサポートし、それに対してどのような対価を得るのか」を明確にすべきだろう
2.科学的根拠の尊重による資源の持続的利用の原則を徹底し、この原則を、わが国の水産行政の最も重要な柱とせよ。
科学的根拠を軽視して設定された結果、年続いているTAC(総漁獲可能量)とABC(生物学的許容漁獲量)の乖離を直ちになくす。また、個別漁獲割当の設定、取締り・罰則の強化、および不正に漁獲された水産物の保持・販売の禁止などの出口管理の強化を行う。これにより悪化したわが国周辺水域の資源回復を目指す。この科学的根拠を尊重する持続的利用の原則の確立によって、わが国の水産資源の悪化および水産業の衰退に歯止めをかけることが可能になる。
「Tacをabcまで下げる」という方針になれば、現在の体制では不十分だ。
日本の資源研究は実に脆弱であり、資源研究者の質・量ともに不十分である。
資源学の専門家は、水研センターにも殆ど居ない。
生態学など、他分野の専門家が、いろいろ勉強をして、資源評価をしているのが現状なのだ。
また、もともと少ない調査も削られる一方で、データの質・量ともに厳しい。
まずは、資源評価の体制をテコ入れするところかは始めなくてはならない。科学的なアセスメントが軽視されているのは研究者にも責任はある。
「漁業で利益を出すためには、資源管理が必要である。
資源管理こそ、漁業が生き残れるかどうかの死活問題である。」
というような認識を広めていかないとダメだろう。
研究者がイニシアチブをとって、「資源管理で儲かる漁業」というビジョンを提供する必要がある。
しかし、研究の世界も縦割りで、狭い水産学の世界でも資源と経済で交流がほとんど無い。
われわれ研究者が、まず、縦割りの壁を破らないといけない。さらに、難しい問題として、日本人のリスク感覚の無さがある。
資源量の推定値には不確実性がある。
不確実性とどうつきあうかが問われているのである。
漁業者は、「科学者の予測はあてにならないから、好きなだけ獲って良い」と主張するが、
これは、霧で前が見えないからといって、車のスピードを上げるようなものだ
不確実であれば、安全のために控えめに獲るべきなのだ。
現在の資源評価の精度の限界を認めた上で、
その精度の情報でリスクを回避するための予防措置について検討すべきだろう。
また、安定的な輸入の確保、日本漁船の外国水域への入域の確保、輸出の振興の全てにおいて、科学的根拠に基づく資源の持続的利用の原則を柱とする水産外交を展開する。
このことにより、科学的根拠に基づく持続的利用の原則を尊重する水産立国としての日本の国際信用が得られる。外交面および水産物の輸出振興にも大いに貢献する基本原則であり、日本および日本製品に対する評価が高まる。
わが国は、捕鯨交渉などでは科学的根拠と持続的利用の原則を主張しているが、国内資源の管理では科学的根拠を軽視している。こうした二重基準(ダブルスタンダード)を排除することが、わが国の資源の回復・復活および水産外交の進展につながる。
この部分は、今後の日本漁業の方向性を決めるかもしれない重要な部分。
世界の漁業は、「責任ある漁業」から、「責任を問われる漁業」へと着実に進んでいる。
この流れに対応していかなければ、ますます世界から取り残される。
日本は、世界第2位の経済国であり、世界一位の水産物輸入国でもある。
日本が世界の漁業に対して負うべき責任は重い。
できるだけ早く方向転換をしないと大変なことになるだろう。漁業者は「日本の消費者が魚を適正価格で買わない」という。
だったら輸出すれればよいと思うのだが、日本の水産物の評価は低い。
日本の水産物は、先進国からは相手にされず、途上国に買いたたかれているのである。
その理由は、品質管理のまずさ、しっかりとした規格がないこと、等の理由もあるが、
それ以外にも漁業の持続性の問題もある。
例えば、マクドナルドはMSC認証のものしかつかわない。
企業イメージをアップすることで、売り上げに繋がるからである。
なんでも獲り尽くす日本漁業は世界的にイメージが悪い。
透明性の高い管理制度を導入し、環境への配慮を世界にアピールすべきだろう。
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高木委員 その6
- 2007-04-17 (火)
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戦後の食糧難の時代に作られた漁業の枠組みでは、
EEZ時代には対応できない。
そのことは、日本漁業の歴史がはっきりと示している。
今のままでは、未来はないということは示せたと思う。
では、どうするのか?
そのことを、真剣に議論をしていく必要があるだろう。
俺の考えは、このブログを読んでもらえればわかると思う。
現在の漁業の行き詰まりの根本原因である資源の枯渇という問題を、
根本的に解消すべきなのだ。
すぐにでも行動を開始しなくてはならない。
早ければ早いほど、多くの資源・漁業を生き残らせることが出来るのだから。
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高木委員 その4
- 2007-04-13 (金)
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今回取り上げるサワラ回復計画については、一言いっておきたい。
資源回復計画第一号のサワラに関して、何とでも成功させようという水産庁の執念が感じられた。
水産庁も、県も、漁業者も、全ての関係者は出来る限りのことをやったと思う。
現状の枠組みで出来ることは全てやったと言っても過言ではない。
しかし、漁獲圧のコントロールには失敗して増加の芽を摘んでしまった。
サワラは自然増加の傾向にあり、回復の条件が整っていたにもかかわらず、だ。
水産庁の実力を計る試金石になると思い、密かに注目してきたのだが、
正直、ここまで漁業をコントロールできないとは思っていなかった。
俺もがっかりしたが、関係者はさぞかしがっかりしたことだろう。
計画としては、失敗に終わったけれど、
サワラ回復計画に関わった人たちは、ベストを尽くしたと思う。
けして、努力が足りなかったわけではない。
ただ結果は結果として、真摯に受け止めないといけないだろう。
関係者は現在の枠組みの中でベストを尽くした。
時の運も味方につけた。
しかし、資源管理は失敗した。
この結果が意味するのは、「現在の枠組みでは資源管理は不可能だ」ということだ。
今、2002年のサワラのように条件が整った資源は無いだろう。
また、サワラ以上に関係者の努力を集中させるのは不可能だろう。
現状では資源管理は無理だという結論せざるをえない。
繰り返すが、この失敗は、管理課、県職員、漁業者など管理に関わった人間の責任ではない。
資源管理とは、そもそも一部の関係者の自主的な努力で出来るものではない。
資源を守るための強制力が働かない限り、過剰漁獲は防止できないのだ。
過剰漁獲に強制的にブレーキをかけられるような法整備をした上で、
社会的コストを払って、資源管理を進める必要がある。
俺が問題視しているのは、サワラ回復計画が失敗したことではない。
失敗をうやむやにして、同じ失敗を繰り返そうとしていることが問題なのだ。
すでに自主管理が軌道に乗っているイカナゴを持ちだしたことからわかるように、
現状では資源回復は無理だということを、当事者は理解しているはずだ。
勝ち馬に便乗し、過去の失敗をうやむやにすればそれでよいのか?
「現状では資源管理は不可能である」というメッセージを
社会に伝えるのが、サワラ回復計画に携わったものの義務だと思う。
当事者が義務から逃げるつもりなら、代わりに私めが義務を果たしてみせましょうぞ。
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