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魚種別 Archive

Hoki Story その2

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まずは、Hokiの生態について、簡単に説明しよう。俺の手元には、NZのホキレポートがある。280ページで、凄い分量だ。漁獲の情報、漁獲の体長・年齢組成、CPUE、トロール調査、ぎょたん調査と、内容もてんこ盛り。ネットにもそれに近い情報があるので、関心があるひとは目を通してほしい。
http://fpcs.fish.govt.nz/science/documents/%5C2008%20FARs%5C08_62_FAR.pdf

この資料は基データに近い情報も多く含まれており、一般人には理解できない部分もあるだろうが、かなりしっかりとした評価をしているのは理解できるとおもう。

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Hoki Story その1

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まずはNZの漁業の大まかな動向を抑えておこう。NZでは、漁業は輸出産業である。輸出金額の推移を見れば、国内の漁業生産を把握できる。

輸出金額は、2000年の1400m$から、2007年の1200m$に減少をしたが、その減少はHokiの減少と一致する。NZの輸出金額は、Hokiをのぞけばほぼ横ばい。2000年には、Hokiがダントツで1位であったのが、2007年には3位まで落ち込んでいる。Hokiは、NZの漁業生産金額に影響を与えるような重要な資源なのだ。

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http://www.fish.govt.nz/en-nz/SOF/ExportEarning.htm?DataDomain=SpeciesGroup&DataCount=10&ChartStyle=Line&text=short

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エジプトに鯖輸出

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YOUTUBEで、エジプトへのサバ輸出の番組を発見。
これは、なかなか、貴重な画像です。
去年、放映されたのか。全然知らなかったよ。

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/20th3/

日本から来たサバは、現地の川魚より安いって・・・

日本のサバは、安さ世界一ィィィィィ
日本の漁業は、価格競争力世界一で、誇らしいです。
水産庁の日ごろの努力の結果ですね。

安さ世界一で、ニッポン投げ売り計画は、順調に進んでいます。

 銚子・波崎地区では冷蔵庫の新設が計画を含めて相次いでおり、
今後も需要の拡大が見込めそうで、これが魚価を支え、
魚価が高ければ入港する漁船が増える
-こうした理想的な好循環が銚子・波崎で起きているといえそうだ。

また、中心魚体が250-300グラムの中で、時折マサバの500-600グラムも混じるようになり

税金で燃油補填をして、未成魚の輸出をサポートして、国民にどんな利益があるんだろうね。

参考リンク
http://blog.livedoor.jp/kamewa/archives/51195357.html

規制改革と日本の資源管理(無修正版)

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10月に農林漁業金融公庫が、他の公庫と合体し、日本政策金融公庫が誕生した。
農林漁業金融公庫時代から続く機関誌AFC Forumの10月号(日本政策金融公庫としての第一号)は、
「規制改革急ぎ水産再生を」ということで、必読です。

http://www.afc.jfc.go.jp/information/publish/afc-month/2008/0810.html

俺がトップバッターで、小松さんに加えて、アミタの有路さんと大水の石原理事という布陣。 

この4人でも個々の意見に多様度はあるが、
漁業の現状を何とか打開したいという思いは同じだろう。

 

この原稿は、8月に学生の航海実習で海に出ているときに、一気に書き上げた。

「いま、この文章を書かねばならない」という使命感に燃えて、暑く書いたのだけど、

AFC事務局の手直しで、かなりぬるくなってしまった。読んでいて、テンポが悪いのです。

俺としては、元の文章の方がしっくりくるので、このブログには修正前のバーションを掲載する。

PDFや印刷物とは、細部が少し違うのですが、こっちがオリジナルです。


規制改革と日本の資源管理

 かつては世界一の水揚げを誇った日本漁業は、衰退の一途をたどっている。日本近海の水産資源は枯渇し、漁獲量および漁獲高の減少に歯止めがかからない。日本漁業の生産性が極めて低く、公的資金によって存続している状態だ。

日本では漁業は衰退産業だと考えられているが、世界的に見れば、漁業は成長産業である。持続的に利益を伸ばしている漁業国が複数ある以上、漁業自体が衰退産業なのではなく、日本漁業の構造に何らかの問題があると考えるのが自然だろう。

 

漁業を持続的に発展させる4つの条件

ノルウェー、アイスランド、豪州など、積極的に資源管理に取り組んできた国は、資源量を維持しながら、漁業生産をコンスタントに伸ばしている。これらの国は豊かな先進国であり、人件費は日本よりも高い。また、国内の水産物市場が小さいため、高い輸送料を上乗せした上で、変動の大きな国際市場で利益を出している。成功している漁業国の共通点から、漁業の持続的な発展に必要な4つの条件が見えてくる。

 

①個別漁獲枠制度

漁獲枠を漁業者にあらかじめ配分する管理方法を、IQ(個別漁獲割当)制度と呼ぶ。IQ制度には、無益な早獲り競争を抑制し、無駄な投資を抑える効果がある。個人の漁獲量が制限されれば、他の漁業者よりも早く獲る必要性がなくなるからだ。IQ制度のもとで利益をのばすには、重量あたりの単価を上げる以外に方法はない。漁業者は、自ずと価値の高い魚を選択的に獲るよう努力し、結果として漁業全体の利益が増加する。

 

②譲渡可能性

個人に配分された漁獲枠を、相互に売買することを許可する制度をITQと呼ぶ。譲渡によって、漁獲枠の譲渡によって、漁業から無駄を省き、経済効率を高めることができる。漁獲枠の譲渡をどこまで許容するかは、漁業の方向を決定する上で重要なファクターである。ここでは保守的なノルウェーと、進歩的なニュージーランドの事例を紹介しよう。

 

ノルウェー方式(減船する場合のみ譲渡が可能)

ノルウェーは、漁業者の既得権を最優先に考え、過剰努力量の削減のみ目的とした、限定的な譲渡を認めている。ノルウェーでは漁獲枠を漁船に配分しているので、漁業者以外は漁獲枠をもてない。漁獲枠の売買は原則として禁止されているが、漁船を廃船にする場合に限り、他の漁船へ漁獲枠を移転できる(図1)。漁獲枠を他の漁業者に売ることで、採算のとれない漁業者が、漁業から撤退する道筋を作ったのである。

 

ニュージーランド方式(漁獲枠の自由な譲渡が可能)

ニュージーランドは、経済効率を高めるために、漁獲枠を漁船から切り離した上で、自由な譲渡を認めている。利益率の高い漁業者が漁獲枠を買い集めることで、漁業全体の利益増加する。また、漁獲枠を投機の対象とすることで、外部から資金を調達できるというメリットもある。

ニュージーランドでは、97魚種384資源がITQで管理されている。漁獲枠はTACに対する割合で配分される。ある資源のTACが10トンだったとしよう。20%の漁獲枠を持っている漁業者は、2tの年間漁獲権(ACE Annual Catch Entitlement)を得ることになる(図2)。ニュージーランドでは、漁獲枠の譲渡だけでなく、ACEの売買も認めている。この漁業者は、自分で2tの魚を獲っても良いし、漁獲の権利を他の漁業者に売ることもできる。漁獲枠を売却すると来年以降のACEも手放すことになるが、ACEのみを売却すれば、来年以降もACEを得ることができる。

ACEの売買によって、短期的な操業の自由度が増し、漁業の適応力が高まる。たとえば、燃油価格が高騰し、燃費がわるい漁業者は漁に出ても赤字になるとしよう。赤字の漁業者は、黒字の(燃費の良い)漁業者にACEを売却することで、一定の収入を得ながら、燃油価格が下がるのを待つことができる。ACEの売却が許可されていなければ、赤字の漁業者が利益を確保する手段はない。

ACEの売買を許可すると、漁獲枠の所持者と実際に魚を獲る人間が一致しなくなるので、不在地主問題が生じる。ニュージーランドでは先住民に15%の漁獲枠を与えているが、彼ら自身は商業漁業を行わず、ACEをレンタルして収入を得ている。一方、漁業者の中には、漁獲枠を持たず、ACEを購入して漁業を営んでいる者もいる。

ニュージーランドでは、一つの経営体が保持できる漁獲枠の上限が、35%と定められている。漁獲枠を集中した方が、合理的な操業が可能な種については、寡占化を促進するために、上限を45%まで引き上げている。ニュージーランドでは、規制の範囲内で寡占化が進行しているが、同じくITQを導入している豪州では寡占化の動きはない。ITQにすれば、必ず寡占化が進行するというわけでは、ないようだ。
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③予防原則に基づく控えめなTAC

 先進漁業国では、科学者が予防原則に基づく控えめな漁獲枠を提案し、漁業者もそれを当然のものとして受け入れる。原因が人為的か否かを問わず、資源が減れば禁漁を含む厳しい措置をとる。たとえば、ノルウェーはシシャモが自然減少したときに、素早く禁漁にして、短期的に資源を回復させた。また、ニュージーランドの主要魚種のホキが加入の失敗により減少した時に、政府がTACを20万トンから12万トンに削減するよう提案した。それに対して、漁業関係者は、より保守的なTACを要求し、TACが9万トンへと引き下げられた。資源状態が悪くなると、価値の高い大型魚が減り、単価が下がる。無理に漁業を続けるよりも、資源回復を最優先させた方が、結果として長期的な利益につながるのだ。TACを早めに削減するのは、合理的な経営判断である。


④厳正な取り締まり

 自分が我慢をしても、他の漁業者が根こそぎ獲ってしまうような状況では、規制は守られない。資源管理に実効力を持たせるためには、厳正な取り締まりが必要である。厳正な罰則規定は、漁業者を罰するためではなく、皆が安心してルールを守るために必要なのだ。資源管理が軌道に乗れば、安定した漁業利益がえらるようになる。その段階になれば、リスクを冒してまで、違法行為をする漁業者はいなくなる。

 

日本の資源管理の現状

 

TAC対象魚種が少ない

TAC制度の対象はたったの7魚種しかない。そのうち法的な拘束力があるのはスケトウダラとサンマの2種のみ。他の5魚種に関しては、「中国・韓国との漁業協定が無い現状では、日本人だけ取り締まれない」という理由で法的拘束力を除外している。少なくとも太平洋側の資源に関しては、日本のみで管理できるはずである。多種多様な魚を利用する日本漁業の管理としては、極めて不十分である。

 

早い者勝ちのオリンピック制度

日本のTAC制度は、全体の漁獲枠を決めているだけで、個別に配分されていない。他に先駆けて早く大量に魚を捕れば、自分の取り分が多くなる仕組みである。漁業者間の過剰な競争をあおることから、「オリンピック制度」と呼ばれている問題が多い方法だ。他の漁業者よりも早く獲るために、過剰な設備投資をして、高く売れないことが分かっている小魚まで、根こそぎ獲ることになる。

 

生物の持続性を無視した過剰なTAC

 日本では、科学者の勧告を無視した、過剰なTACが慢性的に設定されている。乱獲を抑制するどころか、乱獲のお墨付きを与えているようなものである。特に資源状態が悪いマイワシやスケトウダラで乖離が大きくなっている(図3)。
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TAC超過は野放し

近年、漁獲量がTACを超過する現象が頻発している。昨年2月に大臣許可漁業のサバ類の漁獲量がTAC6.6万トン超過したが、水産庁は自主的な停止を要請したのみであった。その後も、「アジなど」、「混じり」という名前のサバが水揚げされ続けた。また、去年の8月に、知事許可漁業がマイワシ太平洋系群のTACを超過したが、その後も漁獲は続けられ、最終的にはTACの倍近く漁獲をした。どちらの事例も、超過漁獲をした漁業者には何のペナルティーもなかった。

 

日本とノルウェーのサバ漁業の比較

資源管理をしていない日本と、資源管理をしているノルウェーのサバ漁業を比較してみよう(図4)。日本のマサバ太平洋系群は極めて低い水準にあるが、「漁業者の生活を守るため」に過剰な漁獲枠が設定されている。また、漁獲枠の超過も放置されているので、実質的には無管理状態と言える。日本のマサバは、0歳・1歳で獲り尽くされ、中国やアフリカに投げ売りされている。成熟する3歳まで生き残る個体はほとんどいない。

サバ漁は7月から新しい漁期が始まる。今年も、7月上旬に、大量の水揚げが記録された。漁期はじめにまとめてとっても、港の冷凍能力にも限界があるし、相場も崩れてしまう。漁業者もそのことは理解しているはずだが、資源管理をしていない日本では、値段が上がるまで待つことはできない。魚に価値が出るまで待っていたら、他の漁業者に全て獲り尽くされてしまうからだ。漁業者個人にできることは、他の漁業者よりもより早く獲ることのみである。

 国内漁業では大型のサバを安定供給できないので、日本のサバ市場はノルウェーからの輸入に頼っている。ノルウェーは、十分な親を残した上で、全ての年齢の魚をバランスよく利用している。ノルウェーのサバは、夏には脂がのりすぎているが、秋に成熟が進むにつれて体脂肪が減っていく。ノルウェーの漁業者は毎日、試験操業によってサバの成熟度を調べて、日本市場で値段が最も高くなるタイミングで操業に出かける。ITQ制度によって早獲り競争を抑制しているので、単価が上がるまでじっくりと待てるのだ。
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規制改革で日本漁業を再生する

日本のTAC制度は、資源管理としての機能を全く果たしていない。資源管理を放棄した日本漁業が衰退するのは、自明の理である。サバ漁業を見ればわかるように、日本漁業は非生産的な操業で、自滅をしている。漁業の生産性を上げるには、「親の敵と魚は見たら獲れ」という姿勢を改めて、魚の価値で勝負する必要がある。その変化を促すには、資源管理によって、早獲り競争を抑制しなくてはならない。

そのために何をすべきだろうか。オリンピック制度のままTACを下げると、早獲り競争が激化して、漁業が破綻する可能性が高い。まず、重要魚種の全てにIQ制度を導入し、違法操業への取り締まりができるよう法制度・組織を整えるべきである。その次に、過剰なTACを徐々に削減していくのが良いだろう。

日本には、資源の生産力と比べて、過剰な漁業者が存在する。IQ制度を導入しただけでは、みんなで貧乏になる以外に選択肢はない。漁業者の生活を安定させるには、数を減らすしかない。ノルウェーのように、漁業からの撤退を前提とした漁獲枠の譲渡を許可すべきだろう。ここまでやれば、漁業は自ずと回復へと向かうはずだ。

漁獲枠の譲渡をどこまで自由化するは、時間をかけて慎重に議論をすべきテーマである。譲渡の自由度を増せば、それだけ経済的な最適化が進む反面、寡占化などの社会的リスクが増大する。日本はどのような漁業を目指すのかを明確にした上で、適切な政策設定をする必要がある。

 

以上を踏まえた上で、規制改革の二次答申に目を通して欲しい。二次答申では、具体的施策として以下の4点が挙げられている。

(ア)生物学的に計算される漁獲許容水準に基づくTAC設定の厳正化、決定プロセスの透明化

(イ)TAC設定魚種の拡大

(ウ)TACの厳守に向けた合理的操業モデルの樹立

(エ)IQ制度の導入対象魚種の拡大及びITQ制度の検討

これら施策の必要性は、本文章で説明したとおりである。この4つの施策を軸に資源管理を行い、日本の漁業を持続的に利益を出せる産業に再生することが、規制改革の狙いである。

 

人間の漁獲能力が生物の生産力を凌駕している現状では、適切な資源管理を抜きに漁業の存続は不可能だ。「早い者勝ちで、獲れるだけ獲る漁業」を続ける限り、いくら公的資金を投入しても、日本漁業は衰退をつづけるだろう。ITQ制度を導入し、質で勝負する漁業に切り替えねばならない。日本では、漁業改革の取り組みは始まったばかりだ。今後もしばらくは厳しい時代が続くだろうが、我々は進まねばならない。何も考えず、好きなだけ魚を獲っていれば良かった、幸せな時代は終わってしまったのだ。

桜本文書を解読する その4

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「ABCの値は合意事項であり、科学的には決まらない」「生物学的に妥当な目標資源水準など科学的には(生物学的には)決められない」というのが私の持論であるが、紙面の関係もあり、その点についてはここでは触れないことにする(興味のある方は資源管理談話会報(2004)、月刊海洋38(2006)をご参照下さい)。 話を簡単にするために、今、生物学的に妥当な目標資源水準が科学的に(生物学的に)決定できるものとして説明する。例えば、20万トンが生物学的に妥当な目標資源水準であったとする。今、現状の資源水準が10万トンで、20万トンまで資源を回復させる必要があったとする。その時の対応として、本質的に異なる2つの管理方策が考えられる。管理方策Aは20万トンになるまで禁漁する(ABC=0)。管理方策Bは何年かかけて資源水準を20万トンに回復させる、という2つの管理方策である。
資源が多い場合についても同様である。今、資源量が40万トンであれば、管理方策Aは20万トンになるまで最大の漁獲圧で漁獲する(可能な限り獲まくる、ABCは青天井)。管理方策Bは何年かかけて資源水準が20万トンになるように、現状の漁獲量を増やす。
管理方策Aを採用すべきと主張するのであれば、ただ一つのABCの値が科学的に決定できると主張しても誤りではない。ただし、生物学的に妥当な目標資源水準が科学的に(生物学的に)決定できるという条件付ではあるが・・・。しかし、管理方策Aを採用すべしと主張している人は実際には一人もいない(もし、そう主張される方がおられたら名乗りを挙げていただきたい)。科学的にただ一つのABCの値が決定できるとすれば、条件付ではあるが、この場合しかあり得ないことに注意する必要がある。
管理方策Bは何年で資源を回復させるか(最適な資源水準に持っていくか)ということが問題になる。5年で回復させるべき、10年で回復させるべき、あるいは6年で回復させるべき等々いろいろな提案があるだろう。しかし、5年で回復させるのが科学的に(生物学的に)正しくて、6年で回復させるのは科学的に(生物学的に)正しくないということを科学的に論証できる人などいないはずである(もし、論証できるという方がおられたら名乗りを挙げていただきたい)。つまり、何年で資源を回復させるかという議論の中には、既に生物学とは異なる次元の価値観が入り込んでいることになる。多くの場合その期間は社会的・経済的な要因に深く関係して選択されることになるだろう。
すなわち、何年で資源を回復させるかは生物学以外の要因も考慮した場合の合意事項であって、科学的に1つの値が決定できるといった類のものではない。何年で資源を回復させるか、その年数によって、当然ABCの値もすべて異なってくる。つまり、「ABCの値も合意事項であり、科学的に1つの値が決まるわけではない」ということである。「ABCが科学的に決定できない」から、合意形成のプロセスが重要になるのである。「ABCの値も合意事項であり、科学的には決定できない」ということを正しく理解していない人が「合意形成の重要性」を謳ってみても、「合意形成の重要性」を真に理解して発言しているとはとても思えない。

わかりづらい文章だが、要約すると「ABCは科学者の合意事項に過ぎないので無視して良い」ということだ。あまりに時代錯誤な考えである。90年代以降の世界の動きを全く理解しておらず、
「行政官ならまだしも、こんなことを言う研究者がまだいたのか」とかなり驚いた。

80年代以前には、世界中で、科学的アセスメントよりも、漁業者の目先の都合を優先していた。その結果、多くの漁業が破綻したのである。苦い経験から、不確実性があったとしても、利用可能な最善の科学情報を遵守するようになった。たとえば、92年のリオデジャネイロ宣言は、「科学的情報の欠如を口実に管理を怠ってはならない」と明記されている。また、1995年に公表されたFAOの責任ある漁業の行動規範でも同様のことがうたわれている。

現在、利用可能な最善の科学情報とは、「専門家集団の合意事項」に他ならない。日本政府が「これを実行に移さないのは科学軽視である」と他国を非難している。IWCのRMPにしても、科学者委員会の合意事項に過ぎない。桜本氏の考えを捕鯨に当てはめれば、「RMPは科学者の合意事項に過ぎないから無視して、漁業者の希望に応じてRMPで計算された捕獲枠を超過してもよい」ということになる。こんな主張が、通るわけ無いだろう。

また、「5年で回復させるのが科学的に(生物学的に)正しくて、6年で回復させるのは科学的に(生物学的に)正しくないということを科学的に論証できる人などいないはずである」という例は全く現実に即していない。
今の日本のTAC設定は「5年で崩壊させるのか、それとも1年がよいのか」というお粗末なレベルである。たとえば、マイワシでは海にいる魚の量を上回る漁獲枠が設定されていた。激減しているスケトウダラ日本海北部系群(参考資料1)の場合、資源量を維持するための漁獲枠4.6千トンに対して(参考資料2)、水産庁の設定した漁獲枠は1万8千トンであり、資源を保護するどころか、もっと漁獲圧を増やして良いという計算になる。

NZでは、ホキ資源が減少したときに、政府は漁獲枠を20万トンから10万トンに削減した。資源の回復を確認した後に、政府が漁獲枠の増枠を提案したところ、漁業者団体は、より早く確実な資源回復を実現するために、もっと漁獲枠を減らすように主張し、結果として、漁獲枠は1万トン削減された。そういうレベルでTAC設定の綱引きがされているのであれば、桜本氏の「漁獲枠は科学のみで決めるべきでない」という反論も理解できる。しかし、日本では、あり得ない過剰な漁獲枠に対して非難の声が上がっているのである。これらのTAC設定を容認してきた委員の長である桜本氏には、資源量を超える漁獲枠が、どのような社会経済学的理由によって、正当化されるかを、説明する義務があるはずだ。「資源回復の早さは科学的に決められない」などと、とぼけるのは、あんまりだろう。

参考資料1 スケトウダラの資源量(http://abchan.job.affrc.go.jp/digests19/details/1910.pdfより引用)

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参考資料2 研究者が勧告したスケトウダラの許容漁獲量は、3.4~4.2千トン(http://abchan.job.affrc.go.jp/digests19/details/1910.pdf)。にも関わらず、水産庁が設定した漁獲枠は180千トン。現在の過剰な漁獲圧を更に増やして良いことになる。

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ヨーロッパのタラ資源 その4 アイスランド

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アイスランドのタラ資源も歴史的に見て低水準である。
ただ、ITQに移行した80年代以降、25年にわたり資源量が安定している。
資源の減少傾向に歯止めをかけたという意味では、資源管理の効果はあったのだろう。

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漁獲量はこんな感じで微減傾向。
現在の水準より、もう少し漁獲量を減らすと、資源が回復するのだろう。
Image0809042.png

Image0809043.png

赤枠がICESがアドバイスした漁獲量、緑枠が合意されたTAC、青枠が実際の漁獲量。
科学者のアドバイスを遵守する方向で、TACを設定している。
資源をよりよい状態にするために、07/08シーズンからぐんぐんと漁獲枠を絞っている。
資源が低水準ながらも安定している状況で、漁獲枠の引き締めが実施に移されるのだろうか。icecodcatch.gif

海洋研究所(Marine Reserch Institute)は、資源の動向にかかわらず、
向こう4~5年は漁獲枠を増やさないという方針を明らかにしている。
歴史的な低水準の資源を回復させようという考えだろう。

資源が目に見えて減っていない、むしろ、増加傾向にもかかわらず、
漁獲枠の厳しく削減しようとする科学者に対して、
アイスランドの漁業者からは不満の声が上がっている。
これは漁業者の立場に立てば、わからない話ではない。
現在の水準を妥当と見るかどうかは、難しい判断である。
俺としては、20年以上資源量を維持してきたのだから、
今までの漁獲枠20万トン程度を維持しながら、
卓越年級群が発生したら、それを資源回復に回すぐらいでも良いと思う。

絶好調だったアイスランド経済にもかげりが出てきている。
アイスランドにとって、タラ漁業は外貨を稼ぐ主要な産業であることから、
社会経済的な考慮から、漁獲枠が拡大される可能性はあるだろう。
また、ITQ制度自体を見直すような動きも出ているようであり、
今後も引き続き情報を集めていく必要があるだろう。
野党は、政府が選挙対策で漁獲枠を抑えていると見ているようである。
あらかじめ漁獲を過小に設定しておき、
選挙前に漁獲枠を引き上げて、人気取りをするつもりだと言うのだ。
選挙対策に関しては、事の真偽は不明だが、
資源回復をしながら選挙対策をしようというアイスランド政治家は、 
乱獲を続けるために税金をばらまく政治家よりは良心的だろう。

ヨーロッパのタラ資源 その3 北東大西洋系群(ノルウェー、ロシア)

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北東大西洋系群は、下の図の(せ)に相当する。
ノルウェーとロシアにまたがって分布する、
規模が大きく、安定した漁獲が期待できる数少ない資源である。

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産卵親魚はこんな感じで推移してきた。
img08090313.png
第二次世界大戦が終わると、漁船漁業が拡大し、資源が枯渇。
その後も長期低迷をしていたが、1970年代後半から、ノルウェーが資源管理に本腰を入れる。
しばらくは卵の生残率が低く、中々資源は回復しなかった。
80年代に、資源が再び減少傾向に入ったことから、厳しい漁獲制限を実施。
時を同じくして、卵の生残率が高い「当たり年」がきて、一気に資源が回復した。
その後も、漁獲圧を増やさぬように規制を行い、資源の安定利用を心がけている。

Blimは、Blimitの略で、これを下回ったら乱獲状態を定義する資源量。
Bpaは、予防的措置として、維持すべき資源量。
この資源は、Bpaを上回っているので、資源評価の不確実性を考慮しても安全だと考えられている。
ICESも資源評価において、”生物の生産力を最大に利用できる親魚水準(Fully reproductive capacity)”と考えている。
 

漁獲圧はこんな感じ。
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80年代に資源が回復した後も、漁獲圧を増やさないように細心の注意を払っている。
漁獲圧はやや高めであり、予防的措置をとるなら、Fpaまでさらなる削減が望ましい。

ICESの研究者は、持続性の観点から、その資源をどこまで利用して良いかをアドバイスする
とりかたを決めれば、漁獲量は自動的に計算できる。
赤で囲んだ部分が、ICESのアドバイスに従った場合の漁獲量をしめす。
このアドバイスは生物の持続性を考えた場合の上限の漁獲量であり、
これを上回るのは問題だが、下回る分には何の問題もない。
緑で囲んだ部分は、実際に合意されたTACである。
青が実際の漁獲量の推定値である。
ここには、報告されない水揚げ(報告漏れ、混獲死亡など)の推定値も含まれている。
codarccatch.jpg

2000年にバイオマスが予防的原則から維持すべき水準(Bpa)を下回ると、
科学者は漁獲枠の75%削減という厳しい提言をした。
この削減案は、結局採用されず、漁獲枠の20%削減にとどまった。
現在は再びBpaを上回っているが、沿岸漁業の混獲などを考慮し、
引き続き漁獲枠を控えめに設定し続けているようである。

40万トンは欲しい漁業者と、持続性の観点からより漁獲圧を減らしたい科学者のせめぎ合いが見て取れる。
資源としては健全な状態であり、漁業も現状維持できるかどうかというレベルであるが、
こうしてせめぎ合うことで、漁業が良い状態に維持されているのだ。
日本だったら間違いなくTACを漁業者の言い値で高く設定し、資源を再び枯渇させただろう。

ことごとく資源管理に失敗している大西洋のタラの中で、
この系群が例外的に持続的に利用できているのは、ノルウェーの存在が大きい。
漁獲量が多いノルウェーが「俺も漁獲量を減らすから、おまえらも減らしてくれ」と言えば、
ロシアも従わざるを得ないだろう。
率先して、資源管理のイニシアチブをとっていくことが、漁業大国の責任であり、
その責任を果たしているノルウェー人は立派だと思う。
そして、資源管理の責任を果たすことが、資源の維持や漁業の持続的発展につながり、
結局は、自分たちに利益が戻ってくるのである。

因果応報とはこのことだ。
俺は、日本が、東アジアにおけるノルウェーの役割を果たすべきだと思う。
それが、漁業国日本の責任であり、結局は、日本および日本の漁業者のためなのだ。

ヨーロッパのタラ資源 その2 北海編

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鱈は歴史的に利用されてきた資源だけに、既得権が絡み合い、資源管理が非常に難しい。
世界でもっとも有名な資源崩壊はグランドバンクの鱈であり、
現在、もっとも心配されている資源が北海の鱈だろう。

資源評価はここにある。これを参考に資源と漁業の現状を見てみよう。

資源は減少中で、かなり末期的。
img08090317.png


漁獲圧も減少中だが、もう一がんばりしないと駄目だろう。
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1996ー2000年までは、ICESのアドバイス通りの漁獲を行ってきたが、
資源の減少に歯止めがかからず、2001年からICESが禁漁を勧告。
いきなりTACをゼロにはできないが、翌年にはTACをほぼ半減、
その後もTACの削減を続けている。
漁獲枠は守られており、TAC制度はそれなりに機能していると言えるだろう。
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各国の漁獲量はこんな感じで推移している。
img08090316.png

狭い北海に、ごちゃごちゃと多くの船が出て行っている。
こういう状況では、なかなか合意形成は難しいだろう。
厳しい状況で各国とも、努力をして漁獲量を減らしているのが見て取れる。
漁獲枠が多いUKとデンマークのリーダーシップに期待をしたい。

今後の展望なんだが、2005年産まれが卓越年級であり、
成魚の自然死亡も低くなっているようなので、とりあえずは何とかなりそうだ。
しかし、ICESは強硬な姿勢を崩していない。

North Sea cod population recovering, scientists say
資源は増加しているが、さらなる回復を目指して、鱈の漁獲量を2006年の半分以下に下げることを研究者は勧告した。

ところが、EUは漁獲枠を11%も増やしてしまったので、非難囂々です。

NewScientist Environment: North Sea cod quotas raised against scientific advice
BBC: Minister criticised on cod quotas
Guardian: Increased cod quotas ‘disastrous’, campaigners warn
WWF: No justice, chance for cod recovery is lost
 

確かに、資源管理はうまくいっていないのだけど、日本と比べればずいぶんマシだと思う。
1) (TAC自体が過剰という問題はあるが、)TACが守られている
2) 研究者が漁獲枠の削減の必要性について、責任ある提言をしている
3) マスメディアによって、乱獲の問題が社会に伝えられている
4) EU各国は減船に取り組んでいる

研究者がしっかりとしているから、社会が乱獲の問題を正しく認識している。
科学者の勧告を無視していることにたいして、非難にさらされているし、
それに対して、政治家も見苦しいわけはしてない。
EUも、過剰努力量の解消の必要性を認めており、
EUの燃油高騰対策補助金の多くは、減船に費やされるだろう。
直接補償をして、税金で乱獲を助長する日本のような無茶は、欧州では通らない。
徐々にではあるが、良い方向に向かっていると思う。
ただ、資源は予断を許さない状況であり、間に合うかどうかは微妙なところだ。

ヨーロッパのタラ資源 その1

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ヨーロッパのタラ(cod)のことを調べてと頼まれて、調べてみた。
忙しいのに、せっかく調べたのだから、資料として残しておこう。
と思ったら、予想以上に時間がかかっている。
まずい・・・

タラは、北大西洋に広く分布している。
実はタラの分布は、バイキングが広がっていった道筋でもある。
大航海時代以前には、食べ物の問題で長期航海ができなかった。
タラは、塩干しすると、非常に良質な保存食になるため、
当時の船は、タラがいる場所を伝って、北米まで行ったのだ。
というようなことが、この本に書いてある。これおもしろいよ。

鱈―世界を変えた魚の歴史
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3 鱈を窓にして読む西欧近代史
4 お腹が減りました・・
4 単なる魚の本ではない

 その鱈はICESでは次のように細分化をして、資源評価・漁獲枠の勧告を行っている。

codmap.jpg

あ:グランドバンク
い:Greenland ICES Subarea XIV and NAFO Sub-area I
う:Icelandic Division Va
え:Faroe Plateau Cod (Subdivision Vb1)
お:Faroe Bank (Subdivision Vb2)
か:Division VIa (West of Scotland)
き:Division Vib (Rockall)
く:Division VIIa (Irish Sea)
け:Divisions VIIe-k
こ:Subarea IV (North Sea), Division VIId (Eastern Channel) and Division IIIa (Skagerrak)
さ:Subdivisions 22-24
し:Subdivisions 25-32
す:the Kattegat
せ:North-East Arctic cod
そ:Norwegian Coastal Cod (Subareas I and II)

それぞれの資源評価はこちら

資源として大きかったのは、あ(グランドバンク)と北海(こ)だ。
グランドバンクは乱獲で1991年に資源が崩壊し今も復活していない。
北海も資源が枯渇中で、かなりやばい状態。ICESとしては禁漁の勧告をしている。
それ以外のちまちました資源も、たいてい、悪い。
現在も、安定して漁獲を続けているのは、アイスランド(う)、
北東大西洋(せ、ノルウェー、ロシア)ぐらいだろうか。

img08090201.png

上の図からも、EU,北米の漁獲が減少しているのに対し、
ノルウェー、アイスランドの漁獲量が安定していることが読み取れる。
ITQをいち早く導入したアイスランドとノルウェーのみが、安定した水揚げを続けている。

北海や北米では、多国の既得権が絡み合い、交渉は決別し、有効な手だてが打てなかった。
オリンピック制度の下では、漁業者は常により多くの漁獲枠を求める。
政治家は漁業者の票を得るために、漁獲枠を増やすように働きかける。
国際間交渉では、どの国もより多くの漁獲枠を主張し、決別。
結果として、過剰な漁獲枠が設定され、資源は枯渇し、産業自体は滅んでしまう。
漁業者は、漁獲枠拡張のために政治力をつかい、結果として、失業するのである。
その結果を、社会全体が被らされているというのが、ヨーロッパの現状だろう。

次回以降、管理に失敗している北海と、
それなりに成功をしているアイスランドとノルウェーの現状について、まとめてみよう。

(つづく)

ABCの複数化について

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今年の最大の変更点は「ABCの複数化」だろう。
これがどういう意味を持つのか考えてみよう。

ABCとTACの現状

研究者が、生物の持続性の観点からABCの上限と下限を推定してきた。
一方で、水産庁は、ABCを無視して、過剰なTACを設定してきた。

Image0808221.png

幅があるABCはなぜ必要か?

最近、ABCとTACの乖離をネタに水産行政が叩かれている。
ABCについて、行政官はまともな反論はできない。
自分たちがいい加減なことをしているのが、一目瞭然になってしまうので、
水産庁の少なからぬ人間は、ABCを目の上のたんこぶだと思っている。

彼らが以下にABCを憎んでいるかは、この辺を読むと理解できるだろう。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/yuusiki/dai2kai/giziroku_02.pdf

彼らがしつこく要求してきたのが、、「ABCに幅を持たせろ」という意見だ。
不確実性を理由にABCの幅を増やし、幅の上限を採用することで、
過剰な漁獲枠を維持しつつ、ABCとの乖離をなくそうという考えだ。
Image0808222.png

幅をもつABC派の思惑
1) 水研センターに、幅を持ったABCを出させる。
2) 自分たちの意のままに操れる某審議会で、都合の良いABCを選ぶ
3) 漁獲圧を下げずに、ABCとTACの乖離を解消できて、ラッキー

さてさて、思惑通りにことが運ぶのでしょうか?

今年の北海道ブロックのABCはどうだったか?

北海道ブロックに関しては、明らかに漁獲量が過剰になるような選択肢はとくに見あたらなかった。
そもそも不確実性を考慮して、ABCTargetとABCLimitの2つを決定していたわけだ。
別に今までだって、点推定をしてきたわけではなく、ABCは幅を持っていた。
従来のABCTargetとABCLimitの幅の範囲でいくつかのシナリオが有るような感じかな。

今回のスケトウダラの場合も、いろんなシナリオを作ったが、
ABCとして挙げられたのは、従来のABCLimitの範囲内であった。
下の図で行くと、S1からS3がABCとして提案され、S4、S5は参考値であった。
FSUSを入れるかどうかは微妙なところだが、従来の考え方を逸脱するものではない。
復計画がらみで、管理課の都合もあることだろうから、俺も強くは反対はしなかった。

Image0808223.png

ABCの幅を広げて、なし崩しにしようと思っていた人たちは肩すかしだろう。
俺の方は、「あれもABCに入れろ、これもABCに入れろ」と言ってくるのではないかと
心配をしていたが、逆の意味で肩すかしでした。

資源評価の最終決定はブロック会議にすべきである

俺が漁獲枠を考える上で、最重要視しているのはブロック会議に参加する研究者の集合知だ。
研究者同士で、ああでもない、こうでもないと、議論をしているとだんだん落としどころが見えてくる。
この資源だったら、今年の漁獲はこれぐらいという共通認識ができてくるのだ。
たとえば、スケトウダラ日本海北部系群なら、1万トン弱とかそれぐらいだろう。
数理モデルがどうとか、そう言う問題よりも、集合知として出てくる会議の合意の方が重要。

資源の状態、資源評価の精度、数字に表れていない様々な情報を考慮した上で、
最も適切な漁獲量を決定できるのはブロック会議だろう。
その資源の専門家が一堂に会したブロック会議での集合知以上の判断は国内では無理。
だから、ブロック会議で一つの値を出せばよい。
水産政策審議会の議事録を見れば、大した議論などできないことは明らかである。
現場のことも、資源のことも、ブロック会議の出席者の方が100倍わかっている。
最終決定権を、現場の事情など何も知らない、某審議会に持っていく意味など無い。

それほど害はなさそうだとはいえ、今回の変更は良いことだとは思わない。
1) そもそも幅を持っていたABCを複数化する意味がわからない。
2) ABCについては、最もよくわかっているブロック会議が最終決定をすべきである。

北海道はこんな感じだったけど、余所のブロックはどうだったのだろう?
ABC複数化については、今後の経緯を注意深く見守ろうと思う。

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