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ミナミマグロの報道

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http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20061218/20061218_013.shtml

最終的に確認した文章がそのまま掲載されたのでグッド。

ミナミマグロ問題に関しては、漁業交渉の最中に情報を規制するのはしかたがないだろう。
弁護人は、被告の不利になるような情報を隠す義務があるのと同じこと。
すでに、今後5年間はTACの半減が確定したのだから、これ以上情報を隠しておく必要はない。
また、漁業交渉の場所(CCSBT)で議論されていた内容を日本国内で公開しても、
ミナミマグロの交渉には何ら影響を与えない以上、情報公開をすべきだろう。

ミナミマグロ漁業の管理は難題であったことは間違いない。
最初からきちんと取り組んでいれば、少なくとも国内問題で収まったはずだ。
知らぬ存ぜぬで過剰努力量の問題を先送りし続けた結果、
国際問題にまで発展させてしまい、結果として国益が大きく損なわれた。
すでに国際問題としては決着がついた今だからこそ、
国内問題として、しっかりと向き合う必要があるはずだ。
漁業の構造的な問題は何一つ改善されていないのだから、
きちんとした対策を講じなければ、同じことが繰り返されるだろう。

Comments:7

ある水産関係者 07-01-12 (金) 23:01

初めまして、・・・と言いましても実は2005年8月のブロック会議で一度お目にかかりました。確か、マダラの資源管理の経験をもとにすけとう日本海系群の資源管理について大変解りやすく説明されていたのを覚えています。時間がなかったので取り急ぎプログを駆け足で興味深く読ませていただきました。「日本で何故、責任ある漁業が実現しないか-?」、そのバックグラウンドについて基本的には貴殿の見解が正しいと思います。小生が付け加えるに、漁業法の問題が無視できないと考えます。即ち、漁業法では漁業者の権利のみを認めて権利の見返りとなる義務が何ら規定されていない、つまり法制度上、漁業者は一方的に権利のみを与えられた特権階級であると言うことです。このような特権を与えられた者に“自主的に”責任を果たせと言っても、経済的に苦しい状況下では戯言に等しいのでは・・・と考える次第です。では、根本的な解決方法は何か-?、当然ながら、まず、漁業法を見直し、漁業権に対しそれなりの義務、資源管理は言うにおよばず、受益者負担の観点から必要な行政経費等を負担させるとともに、競争原理(単に経済的観点のみならず、資源管理への貢献など)を導入する必要があるでしょう。時間の制約から、今回はここまでとし、機会があれば、またコメントさせて下さい。see you!

勝川 07-01-17 (水) 15:37

ある水産関係者さん

初めまして。
自分一人ではどうしても視野が偏りがちなので、
今後もいろいろな視点から問題提起や改善案を提示していただけると幸いです。

資源管理をすることで、
漁業者個人としてもメリットが享受できるような制度づくりが重要でしょう。
獲り残した人間がバカをみる現状では、資源管理は難しいですね。

匿名で甘えさせてもらっているヒト 07-01-18 (木) 0:25

あけおめです♪

さて・・・『ある水産関係者』さんの『特権階級→自主的な管理は?→受益者負担を』というのは,少々,厳しすぎる見方のように想います。

以前のレスにもカキコしましたが,『自主的な管理』は不可能ではありません・・・少なくとも沿岸の場合は・・・

また,漁業者には『特権』が与えられているという意見には,ある程度理解できますが,彼らはそれなりに,義務も果たしていることも忘れてはならないと想います。例えば,海岸の保全,磯掃除,植林等等,彼らナシには,日本の海岸線の保持はままならないのではないのでしょうか?

また,漁業者は漁協という枠にはまっていますので,彼らに網をかけることは,法律や条令で,比較的簡単にできますが,始末が悪いのは遊漁者です。
彼らのマナーの悪さには目に余るものがあります。極めて自己中心的で,しかも,責任感のかけらもない・・・彼らには生活,かかっていませんから・・・どーしようもない連中です!!!
と,書くと,言いすぎっていうか,そーいうヒトは一部だょ,みたいな感じになるでしょうけど,現実的に,そんな遊漁者は少なからずいます。
種苗放流は秘密裏に行われるという話を良く聴きますが,それは,放流した場所のすぐ下で,釣り始める輩がいるからです。放流直後のヒラメをバケツいっぱい釣って,浜の市場に『買ってくれないか』って言いに来たバカもいるくらいです。
また,夜,発電機を使って,明かりを煌々と照らして魚を集めて釣ったり(漁業者がこれをすると違反になるのょね),浜辺に縄張りをして,竿を10本も20本も並べてたり・・・遊漁者の沿岸資源に対するプレッシャーを,甘くみてはなりませんぜ,旦那( ̄O ̄;)

受益者とはいったい,誰なのでしょうか?

私は,漁業者が永続的な漁業を営むことによって,国民に水産資源を等しなみに提供できるような,水産社会が好ましいと思っています。

遊漁者にも,それなりの『受益者負担』を考えてくれませんか?

しかしながら,『ある水産関係者』さんの言われるような厳しさを漁業者に示すことは,必要でもあると思います。
例えば,放流事業一つとっても,本来は(5次計でもうたわれているように)対象種の遺伝的多様性,放流水域の生態系への配慮,そして,放流効果の科学的立証は,放流事業主の義務であるわけですが,それは理解されていないようです。
『蒔いて,1尾でも多く獲れれば,それでいいべ!』的な考え方も未だに根強く残っていますし,『放流して,資源を増やしてるから,いくら獲ってもいいべ』くらいの考え方をするヒトも稀ではありますが,います。

・・・世の中,困ったもんです。。。(〃_ _)

勝川 07-01-18 (木) 21:45

匿名さん、ことよろです。

海は誰のものかを問い直す必要があるでしょう。
漁業者は海は自分たちの専有物だと思っている。
遊魚者は海はみんなのものだから、自分たちも使う権利があると思っている。
誰がどこまで利用する権利があり、それに対してどのような義務を負うのか。
このあたりを交通整理する必要があるでしょう。

漁業者も遊魚者も、海の利用=水産物の利用という意味では同士ですが、
GNPベースでみると非常に小さな産業である水産業が、
今まで通りに海を利用できるかは疑問があります。
現在、海洋基本法が急ピッチでつくられていますが、
そこには水産という視点は全く無いようです。
海洋基本法は、東シナ海の石油・ガス田開発を一方的に進める中国を牽制するために、
国交省が中心に作っているので、水産庁としては距離を置きたいのは理解できます。
でも、海底資源基本法ならいざ知らず、
海洋基本法に水産の視点が盛り込まれないのは不味いように思います。
決まってからでは遅いこともあるんじゃないかな。

ある水産関係者 07-01-19 (金) 15:08

勝川さん、匿名さん、レス有り難うございました。今回はヒマにまかせて少し戯れ言を書いてみました。

1.漁業者と遊漁者
 漁業者と遊漁者の関係と言うのも、日本の漁業制度を考える上で根本的な問題かも知れません。そもそも日本の法制度では、基本的に水産動植物(一部を除く)は無主物とされ、その無主物を採捕するために漁業を営む権利は漁業法によって規定されています。遊漁者の遊漁を行う権利は基本的に自由で制限のみ(漁法等の制限)が都道府県漁業調整規則で規定されています。つまり、同じ無主物を採捕するのでも、漁業者には大規模なまき網、刺し網や延縄等の漁具使用、海面の占有と言った様々な手段・権利が認められる一方、遊漁者には竿釣り、手釣り、たも網など、ごく限られた簡単な漁具の使用が認められているのみで、トローリングは殆どの県で禁止しているほか、船釣りを禁止している県もあります。
 このように、日本の法律では、漁業者と遊漁者の水産資源の利用(無主物の採捕)に対し一定の交通整理が行われ、法律が制定された当時(S20~30年代)は、資源も比較的豊富にあったことや、漁業(採捕)の技術も未熟だったため、法律が有効に機能していたと考えられます。
 ところが、その後、資源の急激な減少とともに、遊漁者の装備(ボート、漁具など)が漁業者並みに発達したほか、所得の向上や余暇時間の充実によって遊漁人口も増加し、当時制定された法律だけでは、漁業者と遊漁者の調整や効果的な資源管理が出来なくなったというのが実情でしょう。
 このような事態を打開するにはどうすればいいか(正確に言えば、良かったか)? その答えが、既存の漁業法体系を改め、漁業者にも遊漁者にも受益者負担の概念を適用し、両者とも資源管理(増殖?)や行政サービスに対し、一定の経費を負担する制度を導入し、負担に見合った妥当な権利を与える一方、権利の行使に対しては合理的な規制・制限(遊漁であれば採捕尾数制限、漁業であれば操業制限、モニタリングなど)を整備すべきと考えます(遊漁ではライセンス制か?)。特に、権利行使への規制・制限については、ザルとならないように監視体制を従来の性善説に立脚した手法ではなく、最初から違反の発生を前提とした性悪説に立脚した手法を採り入れることが不可欠と思います。具体的には、HACCPの取締り版のような監視体制を考えていく必要があるでしょう。もちろん、モラルの低い一部の遊漁者を念頭においた毅然とした対策も同様です。

2.漁業は経済活動
 そもそも私は、漁業といえども他のビジネスと同列の一つの経済活動と考えるべきだと思っています。確かに、「匿名さん」がおっしゃるような磯掃除等のほか、ヒラメ・マダイなどの種苗放流といった公益に関わる活動をしていることも事実ですが、これらは必ずしも法律上の正式な義務となっていない上、せっかく漁業者が放流した種苗も無主物となって、何の対価も払っていない遊漁者に合法的に採捕されてしまうというような法制度の問題もあり、これらの活動が漁業者の権利を裏付ける義務になっているとは言い難いと考えます。
 水産基本計画の根拠となる水産基本法の第2条には「水産物は健全な食生活その他健康で充実した生活の基礎として重要なものであることに鑑み、将来にわたって、良質な水産物が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。」と規定されておりますが、面白いことにこのフレーズには主語?(行為者)が記されていません。普通に考えればこのフレーズの主たる行為者は漁業者のハズですが、「漁業者」が行為者となるフレーズはこの部分を含む水産基本法のみならず、水産基本計画でも全く見当たりません。そもそも水産基本法自体、「国及び地方自治体の責務等を明らかにすること」が目的のため、無くて当然といえばそれまでですが、一方で、第8条には、「消費者は、・・・積極的な役割を果たすものとする。」といった具合に消費者の役割について規定しているのに、漁業者の責務等について規定しないのは全くの片手落ちとしか思えません。
 常識的に考えて、漁業者といえども、まずは経済的にペイすること大前提であり、経済的な基盤を確保した上で適切な資源管理や公益的な活動を行うモチベーションが発生すると思います。言い換えれば、経済的にペイしない状況下では、適切な資源管理は期待できないと言うことです。実際、沿岸・沖合・遠洋において資源管理が適切に機能していない現在の状況は、多くの漁業者の苦しい経済状態を象徴する現象であり、これに対する国の施策は、残念ながら、資源管理(取締りを含む)にお目こぼしをし、補助金等のカンフル剤によって漁業者の延命を図る消極的な手法に過ぎず、これでは資源の回復が望めないどころか、勝川さんのおっしゃるように限りなく資源枯渇に向かうのが関の山と考えます。
 では、その打開策として具体的に何が必要か? 可能性はともかく、言うまでもなく、根本的に現在の施策に対する発想転換が不可欠です。具体的には、現在のように資源水準を無視しつつ多額の税金まで投入し、単に実現不可能なスローガンを並べ立てただけの妄想的施策を改め、漁業の規模を少ない資源量に見合ったものに縮小するとともに少ない資源から利益を最大限導き出せるような流通・加工のあり方を考える、いわゆるリストラが避けて通れない道になると考えます。リストラの是非については、多々あると思いますが、民間会社や公的機関でも実施される現状を考えれば、もはや漁業の世界を例外扱いするのはどうかと思います。特に、国民の財産である水産資源が枯渇するかどうかという問題を考えれば、その必要性はなおさらと考えます(漁業を票としかみない人達には理解されないでしょうが・・・)。

3.反国益の元凶
 漁業については、様々な公益が指摘される中で、それとは正反対に直接国益を損ねる活動を多々行っている事実も見逃せません。その代表的なものが、マグロをはじめとする国際約束に対する違反事件です。ただ漁業者のみならず日本人一般の感覚として、国際約束違反に対するあまりにも鈍感な意識が存在していることも無視できません。ミナミマグロ事件の時もそうでしたが、漁獲枠の削減に対し、「マグロが食べられなくなる」とか「マグロが値上がりする」といったことを心配する日本人は多数いても、「日本人の国際信用が大きく損なわれた」と真面目に考えた人がどれほどいたでしょうか? マグロだけではなく、ロシアに捕まった底引き漁船やカニ漁船の場合も同様です。ロシアの世論調査で日本との関係を悪いと考える理由の2番目に「日本漁船の違反事件が多いから」があげられたとの報道がありましたが、この報道を聞いてどれだけの日本人が残念に思ったでしょうか? ましてや漁業者はどう感じたでしょうか? 税金や施策で手厚く保護されているはずの漁業が、実は、日本人全体の国際信用といった正に国益を損ねている事態を、日本国民として黙って見逃すべきではないでしょう。しかしながら、マグロ事件の際、水産庁はおろか、当事者のマグロ漁業団体まで、国際信用を損ねたことに対する日本国民への謝罪が一切ありませんでした。豪州の畜養マグロの増肉係数にケチをつけるだけで・・・。正に、「怒髪天をつく」思いがしました。
 長くなりましたので、続きは次回と言うことで・・・。see you!

beachmollusc 07-02-06 (火) 9:49

ハマグリ資源の消滅、というよりもその絶滅問題を調べてみて、驚くことばかりです。特に放流について、誤解と無理解が元で「とんでも」が行われてきました。失敗は表面化しにくいので、データが定性的ですが、「漁獲量の減少」→「放流」が短絡的に全国的に行われ、その中で異種、外来種の放流まで行われていました。これを私は「放流シンドローム」と名づけることにしました。

シナハマグリの放流は行政主導で各地の漁協によってかなり広く行われてきたのですが、大抵の場所では数年やってみて効果が出ないでやめたようです。放流効果の検証をやったところは無いと思われます。ただし、何箇所かで在来種のハマグリと共存していて、交雑が懸念されます。

その名前のために混乱しやすいのですが、国産種であるチョウセンハマグリも砂浜海岸の環境悪化で減少してる場所が広がっています。たとえば宮崎県の日向灘では、茨城の鹿島灘から長年、移植放流をやっていました。その効果について検討したデータを水産試験場に見せてもらいたいとお願いしたら、「効果の検証」を聞かれるとは心外(放流は資源涵養のための自明の行為でしょ、という感じ)、あるいは聞かれることが不思議であるという反応でした。もちろん、何も出てきません。

鹿児島の離島と高知のある海岸ではチョウセンハマグリの生息地に全く別種で、生育環境条件が大きく異なるハマグリを放流していました。遺伝子撹乱以前の問題ですが、現地で聞き取った話では、放流された貝は放流後に死滅して海岸に打ち上げられたということでした。内湾の干潟の貝と外海の砂浜の貝をごちゃ混ぜにして同じハマグリの仲間だからよかんべさ、という程度の話です。

沖縄でも戦前に現地のハマグリ類の生息場所で熊本から移植したハマグリを放流した記録があります。沖縄本島の在来ハマグリの一種はすでに絶滅していますが、放流が影響して死滅した可能性も示唆されています。(病気が発生したか)現在、私達のチームでこの死滅ハマグリについて調査中です。

勝川 07-02-07 (水) 15:47

「放流シンドローム」は言い得て妙ですね。
漁業関係者の生態系攪乱への意識の低さには驚くばかりです。

種苗をまけば天然個体群に負の影響がありますが、
放流事業に逆風になるような研究をする人はまずいません。
副作用のわかっていない薬を多用しているようなものです。
生態系への副作用もさることながら、肝心は経済効果も今ひとつです。
放流由来の個体から得られた収益は、
種苗生産の費用を下回る場合が殆どです。
売り上げと同じ金額を投じて、
種苗生産をしている例もあるようです。
もちろん、種苗生産コストの大部分は税金だから、
こんな無茶もまかり通るのですが・・・

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