過去50年の水産物のストロンチウムのトレンド

全体の傾向

昨日紹介したデータベースを使って、ストロンチウムの濃度を調べてみました。311以降は、水産物からストロンチウムを検査した事例がないので、311より前の長期データを整理しただけです。今後は水産物のストロンチウムの調査を強化するようですから、データの蓄積に期待しましょう。

データベースには、1964-2008までのデータがありました。各年の平均値(Sr-90 Bq/kg)を対数軸で表現するとこんな感じになります。セシウムと同様に、指数関数的な減少傾向を示していますが、汚染濃度がセシウムより低くなっています。また、セシウムと異なり、1986年のチェルノブイリの事故の影響をグラフから読み取ることが出来ません。「ストロンチウムはセシウムほど長距離飛ばない」、「原発事故ではストロンチウムの割合が少ない」といわれていますが、それを支持する結果です。

 

分類群ごとの違い

分類群による違いを見たのが次の図です。他の生物と比較して、淡水魚の値が高くなっています。次に藻類で、魚類(海産)は低ようです。淡水魚と海産魚は、Sr-90の濃度に100倍の差があります。福島近辺の淡水魚を食べるときには、注意が必要です。安全性が確認できるまで、子供にはあたえないことを、強くお勧めします。

 

計測部位による違い

海産魚の計測部位別に図示すると次のようになります。可食部というのは、頭・骨・内蔵を抜いた状態と思われます。おそらく肉も同じでしょう。部位が空白のデータもあったのですが、値から察するに全体と同じような感じです。

 

骨抜き(可食部・肉)と骨あり(全体・空白)でグループわけしてみると明瞭な違いが見られます。骨を取り除くことで、Sr-90を7~8割除去できるようです。逆に言うと、身にも2~3割は含まれるということでもあります。

 

減少率について

指数曲線を当てはめてみると、減少率は年間約10%、半減期は6.5年と推定されました。Sr-90の半減期は28.8年ですから、それよりもずいぶんと早いペースで減っていることになります。おそらく、海水の希釈効果でバックグラウンドの濃度が下がっているものと思われます。

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過去50年の水産物のストロンチウムのトレンド への1件のコメント

  1. i のコメント:

    ツイッターやブログ拝見しております。当方、全くの素人です。

    2chに下記のような計算式がありました。よくできていると(素人ながら)感じた次第です。
    私の環境(東京西部)で計算してみると、想像していたよりリスクがかなり低いと感じました。

    勝川先生にとってご関心が向くものか分からないのですが、もしよろしければご感想等をいただけると助かります。率直にいえば、この計算式の評価が私にはできず、果たしてそんなにリスクが低いものなのかと不安が払拭できないのです。。。

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    「今がどれだけ危険か計算してみよう v0.3」
    https://spreadsheets.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AiutdlCWOAlZdFpBbVJ1NlRscnRTWjZBb1BabTZZVEE&hl=en_US&authkey=CM23w98M

    ECRRでは、ストロンチウム90の実効線量係数が非常に大きいせいで、内部被曝(食品)がトップ。
    一日の食事量でほんの少しの寄与(平均65g)しかない魚介類が他の食品の合計分近く稼いでるから。
    なので、ECRR信奉者は魚はまだ気を付けるのが妥当かな。Sr90の値もまだ推測値だし。

    http://hato.2ch.net/test/read.cgi/lifeline/1306321115/
    発言:158

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    ご迷惑なポストでしたら削除していただければと思います。申し訳ありませんでした。。。

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