マイワシとサバ類に異変――太平洋の浮魚資源が一斉に悪化

マイワシ

2026年8月3日、水産研究・教育機構は、8~12月の太平洋沿岸におけるイワシ類・サバ類の漁況予報を公表した。今回の予報で重要なのは、マイワシとサバ類の双方で、資源悪化を示す指標が並んだことである。

マイワシ

マイワシの来遊量は、紀伊水道外域以西では前年を上回るものの、熊野灘以東では前年を大きく下回り、太平洋全体でも前年を大きく下回る見通しとなった。

特に深刻なのが房総以北である。2026年4~6月のまき網漁獲量は0.6万トンで、前年同期の10.1万トンから94%減少した。定置網なども0.2万トンで、前年の2.8万トンから93%減少した。道東では7月に入っても漁獲がない状態が続いている。

これは単なる分布の変化ではない。2026年級群に対応する産卵量は99兆粒で、前年の697兆粒から86%も減少した。卵を産む親が減少しているのである。沖合調査も低調で、2026年級群の加入量は、低調だった前年をさらに下回ると予測されている。

サバ類

サバ類も厳しい。マサバの資源量は2020年以降減少しており、2023年級群以降は加入量が近年平均を下回っている。2026年級群の調査CPUEも近年平均よりかなり低く、加入量は近年平均を大きく下回る見込みである。8~12月の来遊量は、低調だった前年並みか、それ以下と予測された。

ゴマサバはさらに悪い。資源量は2011年以降減少を続け、2023年には、推定が始まった1995年以降で最低となった。熊野灘や伊豆諸島周辺では、マサバ、ゴマサバともに低水準と予測されている。

西日本の一部でマイワシの来遊が前年を上回っても、それを資源回復と解釈すべきではない。局地的に0歳魚が獲れている一方で、資源の中心となる沖合加入群、産卵量、東日本への来遊はいずれも悪化している。

総評

今回の予報が示したのは、マイワシ、マサバ、ゴマサバという太平洋の主要な浮魚資源が、そろって縮小に向かっているという事実である。スルメイカやサンマだけでなく、主要な多獲性魚類にも悪化が広がっている。

ただし、今回公表されたのは資源調査と漁況予報であり、その結果が直ちにTACへ反映されるわけではない。漁業者が枠の不足を訴えればTACは期中でも増やされる。一方、調査によって資源の悪化が明らかになっても、TACが引き下げられることはない。

業界の増枠要求には応じるが、資源悪化を示す科学的情報には対応しない。この非対称な運用を続ける限り、資源の減少に歯止めはかからない。国際的な漁獲規制によって回復したクロマグロを除き、日本周辺の主要資源が減り続けているのは、こうした管理姿勢と無関係ではない。

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