ウェリントン滞在記 その1

宅間さんとのミーティングの後、オークランドからウェリントンへ移動。
荷物が飛行機に乗り遅れたみたいで、夜中にホテルに届くという事故があった。
まあ、出てきて何よりですな。

image08071501.jpg

でもって、今日はオーストラリアの漁業省でミーティング。
朝から晩まで缶詰でした。
ニュージーランド人は早口で、英語について行くのが大変。
昼ご飯を食べた後に、集中力がとぎれがちだった。
漁獲枠管理の技術的な部分や、立法的なことも含めていろいろと話を聞けた。

NZで漁業改革を担当した人の話が実に興味深かった。
ITQに対する漁業者の拒否反応は強くて、
トマトを投げられたり、チーズを投げられたりで、大変だったらしい。
「最初の10年は大変だけど、漁業は確実に良くなるから、がんばれ」と激励をされた。

いろいろな国を回っていると、ITQと一口で言っても、運用が全然違うことに気がつく。
漁獲枠システムを見ると、ピュアなITQはNZとアイスランド。
既存の漁業がら徐々に移行させていったのが豪州。
漁業者の既得権を維持しながら、部分的に移行したのがノルウェー。
それぞれ国の事情と、制度を照らし合わせると、なかなか興味深いです。
やはり、現地にいって話を聞くのは重要ですね。

夕方、町をタクシーで一回り。展望台からの見晴らしです。
image08071502.jpg

夜は、小規模漁業を営んでいる漁業者とディナー。気さくでとても楽しい人でした。
彼によると、政府の方針には、いろいろと問題が有るようです。
たとえば、新しいルールが2週間前にいきなり公表されたりと、
やり方が強引すぎるということです。確かに、納得がいく話で有りますな。

「俺たち漁業者は大学教授というだけで、聞く耳を持たない。
さらに東京から来たなんて言ったら、そこで終わりだよ」とのこと。
こちらから、「じゃあ、どうすればよいと思う?」と質問をすると、
「漁業者サイドに、理解者を作ることだね」と言われました。
うーむ、確かにその通りですね。

ITQ制度について、どう思うかを聞いてみました。
「NZ政府の運用がひどいだけで、ITQ自体はとても良いシステムだよ。
ただ、NZのITQシステムをそのまま日本に持って行くは無理だろう。
目的を明確にした上で、日本漁業の特色にあったITQ制度を
模索していく必要がある」とのこと。
なんだかんだ言って、ITQに対しては好意的でした。まあ、それもわかる話です。
車も立派だし、家は高級住宅地だしで、彼も儲けているんだろう。
漁業というのは、ちゃんとした制度の下で、ちゃんとやれば確実に儲かる。
日本は、###が###で、##だから、###だけど・・・・

原油補助金はあるかどうかを聞いたら、「政府が金をくれるなんてあり得ない」とのこと。
NZの漁業者にとって、政府はひたすら金を奪っていく存在のようです。
NZでも衛星をつかって漁船をモニターするシステム(VMS)が導入されたんだけど、
「俺たちの金でシステムを開発しておいて、さらに、それを売りつけるんだぜ」と怒ってました。
ITQによって、漁業が儲かるようになったから、ITQには賛成だけど、
儲けの一部を管理費用として徴収するから、漁業省は嫌いみたい。

漁業省は、漁業者との相互理解を重視しているという話だったと思うけど、
漁業者からみると、まだまだ努力が足りないようです。

カテゴリー: VMS, その他, ニュージーランド | タグ: | 2件のコメント

オークランド滞在記

ニュージーランド最大の都市オークランドにやってまいりました。
ホテルに着くと、こちらの水産大手であるSANFORDの社長 エリックさんが、
ディナーに招待してくれました。

着いた先は、焼鳥屋。
社長さんとディナーと言うから、スーツを着ていったのですが、そんな必要は有りませんでした。
実に気さくな方でした。
20080713_088.jpg

魚市場のサイトhttp://www.afm.co.nz/

次の日は朝の5時半集合でセリを見に行きました。
セリは全て電子化されています。この画面を見ながら、値段を入力します。
魚種毎に設定された最大金額から、徐々に値段が下がっていき、
最大金額を入れた人が競り落とします。
最低金額まで達すると、UNSOLDとなって、終了します。
この最低価格は輸出価格と等しくなっているそうです。
輸出価格以上の値段がつくなら市場に流すし、そうでなければ輸出すると言うことです。
実に合理的だと思いました。
20080714_004.jpg

これがセリ人の机にある操作パネルです。これで値段を入力します。
インターネットからも、オークションに参加できるそうです。
スーパーマーケットの水産物担当者は品物の下見をした上で、
事務所からインターネットで入札したりするそうです。
20080714_003.jpg

魚はプラスチックケースにシャーベットアイスとともに入れられています。
20080714_008.jpg
20080714_030.jpg
20080714_038.jpg

この市場はSANFORDが経営しているそうです。手数料は落札金額の10%です。
もし魚が売れなくても、輸出をするので、確実に利益が出る仕組みになっています。
値段がつくまで価格を下げる日本の商売とは根本的に違います。

セリを見た後、事務所で話を聞きました。
エリックさんのインタビューも撮影しましたので、いずれアップします。
20080714_042.jpg

手に持っているのが、情報開示優秀企業のトロフィーです。
2007,2008年と連続で、もっとも情報開示が進んだ企業として表彰されているそうです。
20080714_046.jpg

市場では、有名レストランのシェフを招いて、料理教室を開いています。
魚の消費をのばすための地道な努力も怠りません。
20080714_057.jpg

ここの魚市場にも、消費者向けの小売店があります。
真ん中に注目してください。なんと、サンマです。
Kg700円ぐらいでしょうか。それなりの値段がついています。
このサンマは、韓国やロシアが日本の200海里外で獲ったサンマだそうです。
日本のサンマ業界は、日本の市場以外は見ていません。
生産調整をしていますが、国内の相場は崩れたままで利益は全然出ていないのです。
そのいっぽうで、他国は200海里外でとって、輸出をしている。おかしいとは思いませんか?
20080714_074.jpg

俺は、納得いかんですよ。
サンマは資源が良い。もっと獲れる。しかし、国内での需要は限定的である。
なぜ、どんどん輸出をしないのか理解に苦しむ。
その一方で、枯渇したマサバを0歳から根こそぎ巻いて、
中国にたたき売ってるんだから開いた口が塞がらない。
こんな馬鹿なことばかりしていて、利益なんて出るわけ無いだろ。

で、午後はマルハNZ法人の宅間さんから、いろいろとおもしろい話を伺いました。
海外の視点も大切ですね。実に、勉強になりました。

カテゴリー: ニュージーランド | 1件のコメント

シドニー魚市場

木曜日、金曜日と、キャンベラで缶詰勉強会した後、
土曜日にシドニー、日曜日にニュージーランドのオークランドに移動しました。

途中で、シドニーのフィッシュマーケットを視察してきました。
20080713_006.jpg

市場は、シドニーの町中にあります。
競り場もあるのですが、残念ながら日曜日は競りは休みでした。
セリについては、ほぼ同じシステムのものを後日ニュージーランドで見学しましたので、
後ほど詳しく説明します。

 

場内、場外には魚屋やレストランがあり、新鮮な魚介類を楽しむことができます。
20080713_052.jpg

ここに来て、思ったのは、小さい魚が無い。
日本の市場だと、「こんな小さい魚を流通させて恥ずかしくないのかな?」というようなのが少なからずある。
豪州ではそういう魚は一切無かった。
十分なサイズの鮮度の良い魚しか並んでいない。
そして、値段が高い。平均単価は1500円ぐらいだろうか。
俺の手と比較してもらえば、このサワラの切り身がかなり大きいことがわかると思う。
これが1kg約2000円だ。決して、安くはないが、十分にお買い得だと思う。
「この魚が値段なら、食べてみたい」と感じるものが多かった。
論より証拠というか、実際の水揚げをみると、ITQの効果を実感できる。
20080713_029.jpg

20080713_031.jpg

20080713_032.jpg

鮫も売ってました。普通の白身魚と同じように流通・消費されているようです。
20080713_021.jpg

20080713_022.jpg

市場の外には港があり、小さなトロール漁船が停泊中でした。
20080713_065.jpg

漁業者の写真もありました。
マフィアのなんとか一家みたいなかんじだと思ったら、イタリアから移民してきた家族のようです。
イタリア移民が漁業を興したのが、ここの漁業の始まりみたいですね。
20080713_075.jpg

豪州では資源管理をする側の話しか聞けなかった。
実際に管理をされている側の声も聞きたかったのですが、漁業者は見あたりませんでした。
残念。

カテゴリー: 日記 | 6件のコメント

豪州政府は燃油価格の高騰に対して、補助金ではなく、資源管理で対応するらしい

燃油の価格が高騰しているのは、日本だけではありません。海外ではいったいどのようになっているのでしょうか?

オーストラリアは燃油高騰対策の補助金が不要だそうです。実際に業界からも要求がほとんど出てこないというから、驚きです。そして、その理由が資源管理をしているから、というので、またまたびっくり。

インタビューをしたのは、オーストラリアの資源管理機関AFMA(Australian Fisheries Management Authority )のExecutive ManagerのNick Rayns氏です。つまり、政府の漁業管理機関の責任者。このインタビューは実に興味深いです。

豪州では規模が大きい漁業からITQを導入している最中です。ITQを導入した漁業では、産業が変化に対して柔軟になるから、不満はでないそうです。豪州では、船ごとに獲れる漁獲量が決まっているので、漁師は毎日海に出る必要はありません。利益を出せない漁業者は、その年の漁獲の権利を他の漁業者に売って利益を得ることも可能です。
水揚げの効率化が進むことで、産業全体としては利益を確保できるので、魚を獲りに行く漁業者も、魚を獲らない漁業者も補助金が無くても問題はない。

ITQがまだ導入されておらず、網目規制や漁期規制のみで管理をしている漁業もあります。そういう漁業では、漁に出なければ収入はゼロです。みんなが漁に出ても、みんな赤字という状況になるので、漁業者からは不満の声が上がっているそうです。燃油価格が上がると採算がとれなくなる漁業に関しては、燃油の補助金を配るのではなく、ITQへの移行を進めるというのが、豪州政府の方針だそうです。

いやぁ、実に明快ではないですか。目から鱗でした。
詳しくは下のビデオを見てください。

カテゴリー: ITQ, オーストラリア, 研究 | タグ: | 4件のコメント

キャンベラ勉強会

7時に起きて、ご飯を食べて、8時過ぎにAustralian Fisheries Management Authority(AFMA)に出発。
キャンベラの真ん中のおしゃれなビジネスビルの中にAFMAが入っているのです。

image08071001.jpg


今回の視察は、小松さんと一緒です。
もともと、小松さんが資源管理の勉強にいくための計画をしていたのです。
「勉強になるから勝川君も一緒に来ないか」と誘われて、ついて行くことにしました。
水産庁が嫌がりそうなツーショットです。壁紙にどうですか?
image08071002.jpg


 朝から晩まで、ミーティングルームに缶詰でした。
食事も、中でサンドイッチ。
小松さんが相手だと、向こうもべらべら話すし、内容は盛りだくさんだしで、とても疲れました。
ついて行くだけで精一杯というか、一部ついて行けませんでした。
でも、とても勉強になったよ。


部屋の壁がガラスになっていて、サインペンでいろいろ書きながら説明をしてくれます。
これはe-monitoringの説明です。e-logbookで漁獲情報をxmlで送ってデータベース化するということです。
ノルウェーと同じことをやってますね。
オブザーバーの人件費は馬鹿にならないので、これが一番良い方法だと思います。
image08071003.jpg 


これが、データロガーの試作品です。4つのカメラが取り付けられる。
カメラ以外にも、いろんなセンサーが取り付け可能で、漁具の使用状況などをリモートモニタリングできる。
部品の汎用化もすすんでおり、これならコストも安そうだ。
image08071004.jpg

カテゴリー: 日記 | 4件のコメント

キャンベラで勉強してます

キャンベラに昨日の昼に着きました。遠かったです。
今日はキャンベラのAustralian Fisheries Management Authorityと
いうところで、ミーティングです。
http://www.afma.gov.au/

今日は次のような話を聞きます。

  • 全体的な説明
  • E-log(電子モニタリングシステム)
  • 調査体制
  • モニタリング・規制
  • ITQs-TACの設定方法

朝の8時半から、夜の5時まで、予定がびっしりつまってます。
それぞれの専門家が来て話をしてくれるというから、実にありがたい。
こんな機会は無いですよ。
有意義かつ、ハードな一日になりそうです。

カテゴリー: 日記 | コメントする

成田より

今から海外出張です。
行く先は、オーストラリアとニュージーランドです。
異動後、いきなりで申し訳ないですが、今しかタイミングが無いのです。

IQ, ITQについては、導入するかどうかの段階は終わり、
今後はどうやって導入するかを議論する段階に入ってきました。
ところが、日本国内にはIQ, ITQのノウハウが全くない。
国内で議論をしていても、未経験者が文書で得た知識を披露しあうだけで終わってしまう。
中学校男子の修学旅行の夜の会話(?)みたいな状態ですな。

これでは埒があかないので、豪州、NZに行って、ITQ経験者の話をたっぷりと聞いてきます。
理論的にITQが良いというのは明らかなんだけど、
実践はどうなっているのかを、しっかり見てきますよ。

  • そもそもどういう経緯でITQを導入しようと思ったのか?
  • 漁獲枠の初期配分はどうしたのか?
  • 導入当初の漁業者の反応は?
  • 今になって、振り返るとITQで良かったと思う?
  • 寡占化はどうなのか?
  • 現在の問題点は?

というような質問を向こうの行政官・漁業者にぶつけて来ます。

image080708.jpg

なんだか、とてもワクワクするなぁ。

きっと、忘れられない旅になる

カテゴリー: オーストラリア, 日記 | コメントする

これって、どうよ?

どうやら、某役所でも人事異動があるらしい。
しばらく静観しようと思ってたけど、そうも行かない感じになってきたな。

資源管理ができない言い訳を並べて、何とかなる局面じゃないんだけど・・・

カテゴリー: 日記 | 3件のコメント

お知らせ

gmailは今後も利用可能ですし、
東大のメールもしばらくは読めますので、

用事の方はu-tokyo.ac.jp、またはgmail.comまでお願いします。

カテゴリー: お知らせ | コメントする

三重での新生活


部屋の整理がようやく終わりました。


机はこんな感じです。

0807031.jpg

今までとあまり代わり映えしないような気もしますが、

何年もかけてこのロケーションに落ち着いただけに、これがベストなんだよね。

部屋が小さくなったのでスピーカーも小さくしてみた。

といっても、前が広すぎただけで、新しい部屋も一人には十分な広さです。

これぐらいの方が落ち着くかも。


窓から、海が見えます。これはポイント高い。

天気が極めてよい日には、対岸に富士山が見えるらしいです。

「富士山は見えない」というつっこみを多数いただきましたので、最後の一文を削除します。
今後も当ブログの正確性向上のために読者の皆様のご協力をお願いします。(08.07.08)

0807032.jpg 

カテゴリー: 日記 | コメントする