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勝川俊雄公式サイト

The Coveの感想:これはやばい

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映画の感想

「かわいいイルカちゃんを殺す悪い奴らと闘う、僕ら正義の保護団体」というシンプルなメッセージ。「悪い奴は明らか、問題も明らか。あとは実力行使でやめさせるだけ」、ということだ。同じドキュメンタリーでも、食べることの意味を問いかけるOur daily bread(邦題:いのちの食べかた )と比較すると、メッセージの質は低い。しかし、わかりやすさという点では、良くできている。

エンターテイメントとしても、一級だ。世界一のビルを上る男とか、ジオラマ作成専門家とか、いろいろな特技を持った人間が協力してミッションを行うストーリーは単純明快でアメリカン。悪者にされた日本人にしてみれば、かなり不愉快な映画であります。この映画によって、日本人のイメージは確実に悪くなりますね。The Coveの内容についてはこちらのサイトが詳しいです

この映画の価値を決定づけるのは、画像のインパクト。海で大量のイルカを処理すると、湾は文字通り血の海になる。血の海のなかで、もがき苦しみ、息絶えるイルカの画像は、非常に印象的です。さらに、大声で怒鳴り立てながら、すごんでくる日本の漁師が、ヒールとしてツボにはまりすぎ。訳わからん外人が大挙してきて、仕事を邪魔するのだから、短気な漁師が腹をたてるのはわかるんだけど、これでは、「野蛮な日本人」を演じて、映画に協力しているようなものですね。

シンプルかつ、攻撃力のある映画です。見終わった感想としては、「これはやばい」でした。どこが「やばい」かというと、次の二点です。

1)保護団体が、日本の沿岸捕鯨をネタにお金を集める「集金スキーム」を完成させたこと
2)日本の捕鯨推進派は、保護団体の影響力や怖さを軽視して、火に油を注ぎそう

自然保護団体の影響力

保護団体の世界世論にあたえる影響力を、日本人は過小評価をしています。日本のNGO、環境保護団体は脆弱であり、日本国内しか知らない人は、「保護団体なんか、無視しておけば?」と思うのも無理はないでしょう。しかし、海外の保護団体は、資金力・行動力を持ち合わせ、実力で世の中を変えてきた実績がありま す。保護団体の得意技は、一般人の感情に訴えるネガティブキャンペーンです。彼らのネガキャンは強力ですから、保護団体ににらまれると、ネスルや、マクド ナルドのような大企業も、震え上がります。

保護団体の基本的な行動メカニズムは次のようになります。彼らが活動できるか否かは、大衆の感情に訴えかけて、寄付金を集められるかです。寄付金が集まればさらなる抗議行動を行い、更に感情に訴えていく。これが彼らの戦い方です。資金源があるから彼らは戦えるのだし、資金源になるなら彼らは幾らでも叩くのです。保護団体の集金スキームが軌道に乗れば、抗議行動はどんどん過激になっていきます。沿岸捕鯨については、大衆の感情に訴える映像という武器(金づる)を手に入れたことで、集金スキームが完成しました。我慢していれば、過ぎ去っていく一過性の嵐ではないのです。

もう一つ、抑えておくべき点があります。保護団体は、日本人を差別して、日本のみを攻撃しているわけではないです。彼らは、自国の様々な活動も、過激に攻撃してきました。たとえば、自国の動物実験も、激しく攻撃しています。カナダの大学では、環境テロリストの攻撃対象になるということで、動物実験をする建物は、大学の地図に載せていませんでした。15年も前の話です。当時学生だった、私は、恐ろしい人たちがいるものだと驚きました。

我々の感覚からすると、太地のように、わざわざ、見えづらいところで殺しているのを、わざわざ盗撮しにくるのはどうかと思います。でも、そういう理論が通じる相手ではないのです。新薬を開発するための動物実験は、明らかに人類の福祉につながります。実験動物は、実験のために育てられており、実験は大学の研究室のような密室で行われる。それでも、動物の権利を侵害するのは許し難いというのが彼らの理論です。

動物実験の場合、大学側は実験所を隠して、保護団体を排除しようとしたが、うまくいきませんでした。大学内部にも、保護団体のメンバーは大勢いるので、保護団体の情報網から、逃れるのは至難の業です。結局、動物実験については、厳しいガイドラインが整備されることになりました。実験がガイドラインに沿っていない論文は、一切受理されず、業績になりません。「人類の役に立つんだから、何をやっても良い」とは、もはや言えないのです。ガイドラインは、動物実験を行う側の自衛策です。こういった自衛をしないと、保護団体から、いくらでもつけ込まれる。良くも、悪くも、そういう過激な人たち・価値観とも折り合いをつけていかないとならない時代になったと言うことです。

保護団体の攻撃から、どうやって自衛すればよいのか?

欧米の企業・政府は、保護団体に散々叩かれてきたので、保護団体とのつきあい方を知っています。弱みを見せないように、先手を打って、ガイドラインを作ったりするわけです。例えば、マクドナルドでつかう白身魚は、すべてMSCのエコラベル認証漁業のものです。しかし、マクドナルドは、MSCロゴを表にはだしていません。米国の消費者にはMSCは浸透していないので、それほど売り上げには結びつかないのです。では、なぜ、割高のMSC製品を使うかというと、非MSC製品を使うと、「マクドナルドは、乱獲をサポートしている」と保護団体にいじめられるからです。MSC製品のみを使っておくというのは、企業としての自衛策なのです。

保護団体が影響力をもつ国と比べれば、日本はおおらかであり、保護団体に対して無防備でした。イルカの追い込み漁というのは、初めて見たのですが、ビジュ アル的に相当インパクトがありますね。これを映像としてとられてしまった時点で、勝負ありでしょう。わかりやすく言えば、やくざに目をつけられたばかりでなく、弱みまで握られた状態です。

感情的な反応は相手の思うつぼ

捕鯨と反捕鯨は戦争であり、戦争は軍資金がつきたら負けです。捕鯨サイドの兵站は、政府補助金と調査捕鯨の売り上げです。どちらも厳しい状態で、日本鯨類研究所は、鯨肉の在庫の山を眺めながら、爪に火をともして暮らしていたのです。金の切れ目がなんとやらで、「南氷洋から撤退し、沿岸捕鯨で」という方向を探っていました。そのタイミングで、沿岸捕鯨を攻撃して、退路を絶ちに来たわけです。嫌なタイミングで、一番嫌なところをついてきたのは、偶然ではないでしょう。「本当に、保護団体は喧嘩慣れしているなぁ」と感心してしまいます。

一方、日本の捕鯨推進派の行動は、戦略性を欠きます。保護団体を抑えるには、彼らの資金源を抑えること、つまり、大衆の感情を刺激するようなネタを与えないことが重要です。南氷洋のミンククジラは、かわいくないし、身近でもないので、それほど大衆の感情は動きません。これをネタにキャンペーンをしても、大した金は集められない。日本の調査捕鯨に対する保護団体の攻撃は、これまで決め手に欠いたわけです。

しかし、日本の捕鯨陣営は、わざわざ、ホエールウォッチングのシンボルのザトウクジラを調査捕鯨で獲ると宣言して、火に油を注いでしまった。ザトウ捕獲宣言によって、豪州・ニュージーランドでは、保護団体の集金力が大幅にアップして、抗議行動が活発化しました。保護団体は、諸手を挙げて喜んだでしょう。この間の上映抗議だって、やっている人間は映画館の支配人を締め上げて、大満足かもしれませんが、保護団体に「言論の自由もない野蛮な国」と日本を攻撃するための格好のネタを提供しているわけです。感情的な対応をすれば、百戦錬磨の保護団体は、それを逆手にとって攻撃をしてきます。

我々はどう対応すべきか?

この映画によって、日本人のイメージは確実に悪くなります。これを見て不愉快にならない日本人の方が少ないでしょう。しかし、「人種差別だ!!」と騒いで、日本での上映を禁止すればよいというものではありません。また、「おらが村のローカルのことだから、よそ者は口出しするな」というレベルの問題でもありません。日本の国家イメージに関わってくる国際問題です。貿易で成り立っている日本にとって、国家イメージは極めて重要です。国家イメージという、かけがえのない財産を守るためにも、彼らのメッセージを無視せず、感情的にならずに、戦略的に対応を考える必要があります。

日本が捕鯨を続けたいなら、保護団体に日本を攻撃するための材料を与えるないように、自衛策を講じるべきです。まず、種(個体群)、殺し方、利用方法などのガイドラインを作成し、徹底することも重要です。家畜のとさつ以下の苦痛にしたいところです。ビジュアル的に残酷な捕り方は、辞めた方がよいでしょう。また、反捕鯨のシンボルになり得るかわいいイルカは捕獲の対象から外すことも検討した方が良い。ただ、今からそういう自衛措置を講じても、沿岸捕鯨を守 れるかは微妙ですね。血の海でイルカが虐殺される写真は、それだけのインパクトがあります。

太地のイルカ漁は、9月に行われます。そのときに、保護団体がどのような抗議活動をするのか、それが海外メディアでどのように取り上げられるのか。そのあたりに注目したいと思います。

境港のマグロをイオン系スーパーで発見

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境港の巻き網クロマグロを、地元のマックスバリュー(イオン系スーパー)で発見したので、購入してみました。

重量を量ります。刺身が10切れで、133gでした。

ところどころに、打ち身(?)のような血の跡があります。

お味の方は、とにかく、淡泊ですね。酸味が勝り、渋みがない。あっさり食べ易い系で、ヨコワに近い。大型のクロマグロとは別物ですね。打ち身の跡は、普通に食べる分には、気になるほどではない。身自体はわるくなかったです。水っぽいとか、ぱさぱさすると言うようなかんじではない。まあ、もっちり、ねっとりという感じでもないけど。

食えないことはないけど、大して旨いものでもなし、こんな状態で獲るなよぉ 😥 という感じです。これで980円は消費者満足度としてかなり低いです。同じぐらいの量のカツオが隣にあったのですが、そちらのお値段は半分でした。カツオの方が美味しかっただろうなぁ。

サクが獲れない部分は、ミンチにして、ネギトロのネギ抜き状態で売られていました。こちらは、同じぐらいの量で880円。パックの数は同じぐらいですね。割れなどで、サクがとれなかったのかもしれません。


で、気になるコスト計算です。スーパーでの価格は980円、内容量は133gでした。1kgで、約7400円ですね。浜値が1500円ですから、一見するとぼろい商売の様に見えますが、実のところは、どうでしょうか。

マグロは、えらとはらわたを抜いた状態で重さを量ります。この状態で、25kgのマグロの可食部は半分ぐらいとのことです。

ここでは、サクが6kg(単価7500円)、おとし身が7kg(単価6000円)、とれたと仮定します。
夕方にかなり余っていたので、半分が半額セールで処分されたと仮定すると、全体の単価は0.75倍になります。
1本あたりの売り上げは次のようになります。

(6*7500+7*6000)*0.75=65250円

境港の浜値が1500円なので、原価は次の通り。

1500*25=37500円

売り上げと仕入れ値の差は、

65250-37500=27750円

27750円から中間経費を引いたものが、利益になります。当方、素人に付き、これで利益が出せるのかどうか、正直、よくわかりません。
マグロの輸送コストなどは、鋭意、調査中ですが、この当たりの事情をご存じの方は、教えて下さい。

あとわからないのが流通経路です。私が把握しているのは、築地に30本ぐらい。大阪に50本ぐらい。下関、博多には出てないようです。地方市場経由でイオンに行ったのでしょうか。水産流通は、複雑怪奇で、よくわかりません。



追加情報:イオンだけでなく、生協でも出回っているみたいですね。帰りにまた、スーパーをのぞいてみようっと。

今年も巻き網による日本海クロマグロの漁獲が始まりました

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日本海の巻き網のクロマグロ操業が6/1からスタートした。ことしも、胃が痛む、憂鬱なシーズンが幕開けだ。

西日本有数の漁業基地・鳥取県境港市の境漁港に1日、今季初めてクロマグロが水揚げされた。境港の水産業は景気低迷に伴う魚価安で苦境にあるが、例年より一足早いマグロシーズンの到来に浜は久々に活気付いた。
http://www.nnn.co.jp/news/100602/20100602039.html

大洋A&F(東京)所属の「第21たいよう丸」が能登半島沖で捕獲したクロマグロ約30トン。現地レポートによると、1200本で30tとのこと。平均重要は25kgで、もちろん、未成魚だ。この1200本を、今すぐに獲らずに、7歳まで待って、1本釣りで獲るとどうなるか試算すると次のようになる。

計算の詳細

たいよう丸の利益は次のように計算できる。

1500円×25kg×1200本=4500万円

7歳魚は、体重が97kgで 1kg当たりの単価が5000円。25Kgは3歳魚と思われる。3歳から7歳までの歩留まり(天然環境での生き残り)は57%。4年後に獲った場合の利益はつぎのようになる。

500円×97kg×(1200×0.57)本=33174万円

たいよう丸が、目先の4500万円を得た代償として、未来の漁業全体の利益が2億9千万円、失われたわけです。また、4歳から成熟をするので、7歳までに4回産卵できました。資源の再生産に大きく寄与したはずです。また、大きくしてから獲れば、漁獲量も30トンから、66トンに増えるので、消費者にも利益があります。

成長乱獲

このように、水産資源が成長するまえの、非経済な状態で漁獲することを、成長乱獲と呼んでいます。紛う方無き乱獲なのです。成長乱獲で、漁業の経済規模を小さくすることで、流通業者は大打撃です。市場の手数料は5%です。4500万円の手数料はたったの225万円です。大きくしてから獲れば、手数料は1659万円です。こういう魚を右から左に流していれば、市場が廃れていくのも時間の問題でしょう。未成魚を獲って、獲って、獲りまくる漁業をしていれば、漁業の雇用が無くなるのは当然でしょう。

余りまくっているサバの漁獲枠を、またまた増枠

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青が漁獲枠、赤が漁獲実績です。サバの漁獲枠は7月1日から、翌年の6月30日までを、1年として設定されます。2009年7月に設定された当初の漁獲枠は466千トンでした。これが、8月に535千トンに増枠されます。10月には2007年生まれ(500gぐらい)を獲り尽くした。2008年生まれはもともと少ない。しょうがないから、生まれたばかりの0歳漁(120gぐらいだよ)に手をつけた。0歳魚は値段が安くて、養殖のえさか、アフリカ輸出ぐらいしか需要が無い。値段の安さを量でカバーするために、獲って獲って獲りまくったわけだ。そして11月20日に2回目の増枠で548千トンに。
詳しい経緯はこの辺をみてね。http://katukawa.com/category/study/species/mackerel/page/10

3月から、ついに0歳魚も捕れなくなってしまったのです。あーあ、またやっちまったよと思ったら、5月に入って、580万トンまで増枠。

このタイミングで、まだ増やすのかよ。 😯


業界は、何でこんな状況で増枠を要求するかというとだな。


今は、0歳の小サバ(ジャミ)しか捕れない

0歳の小サバは単価が安い

だからたくさん獲らないといけない

だから、枠を増やしておいてね

ということでしょう。万が一、獲れて獲れてしょうがないような事態になっても大丈夫なように、予め枠を増やしているのでしょう。一般の人には信じられないと思うけど、日本の漁業政策は、本当にこのレベルなんだってば。

ちなみに、昨シーズンはこんな感じ。最初にどかっと増やす作戦でした

水産庁は「漁獲枠をABC(生物学的管理基準)まで下げましたっ!」と、自慢しているけど、お手盛り審議会を使って事後的に漁獲枠をいくらでも増やせるのだから、ぶっちゃけ意味がないです。現在も、日本のTAC制度は、漁業者の乱獲を邪魔しないように、細心の注意を持って、運用されております。水産庁の設定する漁獲枠は、資源を守るどころか、漁業者の乱獲の権利を保障しているようなもの。こういう漁業に「資源回復計画」とかいって、税金をばらまいて、乱獲資金を与えているのだから、つける薬がない。

もうやめて! とっくにマサバのライフはゼロよ!




岐路に立つ水産行政

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せっかくTAC制度について、詳しく書いたので、もう少し突っ込んだ話をしよう。

TAC制度において、水産庁は方向転換を余儀なくされた。どうしてそうなったのか。その構図を明らかにしたうえで、今後の方向性について、論じてみよう。


TAC制度を導入するとき、水産庁の担当者は、漁業者と、それ以外に、全く逆のことを言っていた。

TAC制度が1997年に導入されてから、漁業者に約束した通りに、全く骨抜きの運用をしてきたのである。漁獲枠が緩いことに対して、漁業者は不満を言わなかった。見栄えのよいパンフレットを配り、お手盛りの審議会で漁獲枠を操作すれば、一般人は簡単にだますことができた。資源管理をやっているフリをするだけで、難しい調整もせずに、漁業者に恩を売ることが出来たのだから、ある意味、とても賢いやり方と言えるだろう。

最初の数年は、平穏無事に、資源管理ごっこをやってきたのだが、外部から非難の声が高まり、ついにはシステムを放棄することになった。資源管理ごっこシステムを支えてきた、2つの条件が失われたのだ。

1)情報操作で、外部(納税者・消費者)に、資源管理の実態を隠せる
2)全ての漁業者が、無規制をありがたがる


1)情報操作の限界

情報公開の時代になると、誰もが、ネット経由で、簡単にデータを入手できる時代になった。ABCやTACの値は別々の場所に、目立たないように置いてあるので、一般の人が偶然目にしてしまう確率は低い。しかし、知っている人間なら、5分もあれ ば、数字を拾ってきてグラフを作れてしまう。また、インターネットの世界では、漁業者向けに発信した情報が、一般向けに簡単にリークされてしまう。相手によって情報を変えて、上手く立ち回るというこれまでの方法論は、機能しなくなった。情報公開は、 今後も進んでいくのは明らかなので、これは一時的な現象ではなく、構造的なものである。

2)資源枯渇による、漁業者間の利害対立

全ての漁業者が無規制漁業の短期的恩恵を等しく教授するわけではない。ノーガードで打ち合えば、最後には、効率的な大型巻き網やトロールが勝つに決まっている。釣りなど漁獲効率で劣る沿岸漁業が生き残るには、沖合漁業への漁獲枠が必要なのだ。たとえば、カツオ一本釣りの明神さんは、ずいぶん前から、個別漁獲枠制度の導入を社会に訴えている。カツオの一本釣りや、マグロの一本釣り業界からは、こういう声が上がり始めている。規制を望む漁業者は今後も増えいていくだろう。

岐路に立つ水産行政

水産庁は大きな分かれ道に立っている。これまでのやり方を続けて、信用を失い続けるのか。それとも新しい方法論を模索するのか。

今までのやり方は、すでに通用していない。ABCとTACの乖離を非難されたときに、水産庁は「TACが過剰なのは、漁区の偏りを無くすための調整枠である」という説明をした。これは明らかに無理がある。たとえば、スケトウダラ日本海北部系群の場合、ABCが4000トンのところを、TACが16000トンであった。沿岸の漁場は1カ所だし、沖合底引きは漁場を自由に移動できるので、ABCの3倍も調整枠が必要になるわけが無いのである。無茶な正当化を繰り返した結果として、組織としての信用を失い、最後には方向転換を余儀なくされた。屁理屈をつけて先延ばしをしているうちに、スケトウダラ日本海北部系群は、ほぼ壊滅してしまった。この悲しい歴史を繰り返してはならない。

では、新しい方法論について論じてみよう。重要な点は、情報公開を前提とすることだ。情報を全てオープンにしたときに、ある程度説明がつくような施策でなければ、後で立ちゆかなくなる。情報をオープンにした上で、消費者(納税者)、沿岸漁業者、沖合漁業者、加工・流通業者が、納得するような落としどころを探らなくてはならない。

消費者(納税者)を納得させるには、科学的アセスメントに基づき、資源の持続性を維持する必要がある。つまり、生物学的許容漁獲量よりも低いTACを設定しなくてならない。限られた漁獲枠が、無益な早どり競争で浪費されるのを防ぐために、漁獲枠をそれぞれの大型船と沿岸コミュニティーに事前に配分する必要がある。ようするに、ABCを守った上で、個別漁獲枠(IQ)制度をやればいいわけだ。IQ制度によって、質の高い魚がコンスタントに捕れるようになれば、加工・流通業者の支持は必ず得られる。

簡単な話じゃないか 😛

漁業者のTAC制度への不満

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今年の3月に、北海道の漁業者の希望によって、沿岸漁業のリーダー数人と話し合いの場を持った。そのことを、水研センター上層部(つまり水産庁OB)が、 トラブルを起こしたと問題視しているとのこと。これは、逆恨みもよいところだ。元を正せば、水産庁がデタラメなTACの入れ方をしたから、現場が混乱して いる。その混乱を納めるために、俺が奔走しているのである。

話し合いの内容については、このあたりを読んで欲しい。
北海道沿岸漁業者とのミーティング その1
北海道沿岸漁業者とのミーティング その2
北海道沿岸漁業者とのミーティング その3
北海道沿岸漁業者とのミーティング その4

今回の話し合いで痛感したことは、現場レベルではTAC制度に対する不満をなだめるために、大変な苦労をしているということ。不満の内容としては、主に3つ。

1)資源管理の有用性に対する無理解に基づく不満
2)TAC制度の方向転換に対して「だまされた」という不満
3)サバは獲り放題なのに、なんでスケソは規制するのかという不満

1)資源管理の有用性に対する無理解

沿岸漁業者は、資源管理の「魚がいるのに獲れない」というマイナス面は実感しているが、それによって、「自分たちの来年以降の漁獲が確保される」とか、「卵をもった価値のある魚が安定して獲れるようになる」といったメリットに対する理解は浸透していない。
現在、日本の沿岸漁業が衰退している一因は、大型船の先獲りである。大型船は沖で小さい魚を根こそぎ獲り、魚がいなくなれば、よそに移動する。これをやられると、漁場の移動ができない沿岸はたまったものではない。大型船の沖どり・早獲り問題は、日本全国の沿岸漁業の共通の課題であり、大型船の先獲りに一定の歯止めをかけるには、漁獲枠が必要なのである。
沿岸漁業者には、資源管理の必要性に関して、ちゃんと話せば、理解は得られる(すぐに実行に移せるかは別問題だけど)。北海道の場合も、過去のデータや事例を示しながら、小一時間も説明したら、「確かに、先生の言うとおりだ」と皆が納得してくれた。
こういった説明は、本来は、行政の仕事である。TAC制度を入れるときに、「これはあなた方の生活を守るための制度ですよ」と、漁業者にきちんと説明をしておくべきだった。きちんとした理解があれば、沿岸漁業者がデモをすることもなかっただろうし、俺がわざわざ説明に行くことも無かったのである。

2)TAC制度の方向転換に対する不満

残念なことに、水産庁の担当者は、全く逆のことをやった。TAC制度を導入するときに、水産庁の担当者は、「これは、韓国船を日本のEEZから追い出すための制度で、日本漁船を規制するつもりはない。日本漁船には、今まで通り好きなだけ獲らせてやるから、TAC制度を入れさせてくれ」と説明をして回ったらしい。複数の漁業者が、口をそろえていうので、まず間違いないだろう。

TAC制度の導入に携わった佐藤力生氏は、著書「本音で語る資源回復計画」のなかで、「くれぐれも少ないTACでもって船を止めようなどとはやってはいけない。これが当時からの筆者の考え方であった」「成果と言えば、・・・、TACの運用にもおいてもある意味で一定の歯止めをかけることができた。」などと書いている。最初から、漁獲枠で規制をするつもりが無かったのだ。国家公務員が、税金を使った事業を骨抜きにして、そのことを自慢している。その神経が、全く理解できない。

TAC制度は、資源管理ではなく、資源管理ごっこであった。資源の持続性を無視した過剰な漁獲枠を設定し、漁業者の要望があれば、漁獲枠はいくらでも増やす。実際に、初期のTAC制度は、そのように運用されていた。税金を使って、いい加減なことをしていれば、クレームがつくのは当然である。ABCを無視したTACに対して、社会的な非難の声が高まり、水産庁は今年から、TACをABCまで下げることにした。

この方針転換は、長い目で見れば良いことである。しかし、漁業者にしてみれば「だまされた」と思うのは当然だろう。都合の良いウソをついてTAC制度を導入し、水産庁が方向転換するときにはちゃっかり異動していた、当時の担当者に対する、漁民の怒りは、すさまじいものがある。担当者にしても、その当時はウソをついているつもりは無かっただろうが、見通しが甘かった。税金を使って、デタラメな資源管理ごっこが通るほど世の中は腐っていないのである。

漁民から裏切り者扱いの佐藤力生氏が一生懸命、言い訳をしているのがこれ。
http://blog.livedoor.jp/gyokyo/archives/1474072.html

1.暴力団より悪い霊感商法
2.霊感商法の論法と騙しの手口
3.TAC真理教徒の真の狙いは
4.資源状況が良くなっては困る
5.オリンピック制というレッテル貼り
6.鯨とマグロの権威かもしれないが
7.やたら科学を強調する者はだいたいが怪しい
8.MSY理論はもう古い

いやぁ、すごい見出しですね。この雑誌はどこで入手できるかわからないので、まだ、中身をみていないんだけど、どうせ、俺と小松さんを口汚く罵っているだけだろう (TAC制度正常化に向けて、外から圧力をかけたのが俺で、水産庁内部でTACをABCに近づける方針を作ったのが小松さんなのです)。佐藤氏には、是非、一般メディアで、「俺様が、TAC制度を骨抜きにしてやった」と自慢してほしいものです。期待してますよ。

3)サバは獲り放題なのに、なんでスケソは規制するの?

超低水準のサバは、今年も2回も期中改訂をして、漁獲枠を水増ししまくっている。一方、資源状態がそれほど悪くないスケソ太平洋系群は、増枠なしで漁獲停止である。これでは、北海道の漁民が納得できないのも当然だろう。

もちろん、改めるべきはサバの漁獲枠設定の方だ。サバの場合は、漁獲枠があってないようなものだから、結果として、資源が枯渇し、漁業が成り立っていない。こういう漁獲枠設定をしていたら、漁民がまともな漁獲枠を受け入れられづらくなる。サバ漁業を衰退させるだけでなく、他魚種の資源管理の脚を引っ張っているのだから、担当者は責任を自覚して欲しい。


まとめ

1)資源管理の有用性に対する無理解に基づく不満
2)TAC制度の方向転換に対して「だまされた」という不満
3)サバは獲り放題なのに、なんでスケソは規制するのかという不満

この3つの不満はすべて、TAC制度自体に起因するのではなく、水産庁がTAC制度をデタラメに運用してきたツケである。TAC導入時に、漁業者とおかしな口約束をして、ぐだぐだな体制でTAC制度を入れてしまった。これが元凶なのだ。TAC制度を正常化するには、漁業者の誤解を説いて回らなくてはならないので、新しい制度をゼロから入れるよりも大変だ。

まったく、一体、誰のせいで、俺が苦労していると思っているんだ。 👿

北海道ブロックの資源評価外部委員をクビになった

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水研センターの委託事業である、北海道ブロックの資源評価の外部委員というのを2004年からやっている。北海道の資源評価(スケトウダラ、ホッケなど)について、専門的な視点からアドバイスするのが役目だ。水研センターの上の方の意向で、「今年からは来ないでくれ」ということになった。その背景について説明しよう。

水研センターは、今回の事業仕分けの対象にもなった、水産庁の天下り先である。ただ、一般的な天下り法人とは違い、水研センターには、研究組織としての実態がある。水研センターは、北海道から沖縄まで、日本全国に拠点を持ち、日本の水産研究をリードしてきた由緒正しい組織なのだ。農水省由来の理事たちは、月給80万円で役所に都合が悪い研究をしているものがいないか監視しているわけだ。理事の経歴を一切書いていないのは、やましいからだろうね。(事情により一部削除、詳しくはコメント欄を参照)

研究機関である水研センターでは、水産庁の意向は絶対だ。上司の許可がないと論文も発表できない。中間管理職が水産庁の意向にそぐわない研究はないかと常に目をひかされている。「論文を書いたのだけど、上司に止められて、投稿できなかった」とかいう話を、しばしば耳にするのだけど、同じ研究者として胸が痛む。苦労して論文書いても、発表できないリスクがあるので、もめそうなテーマは誰も選ばなくなる。結果として、養殖だとか、産卵場探しだとか、海洋環境で魚が減っただとかいう研究ばかりに人が集まり、資源のことをやる人間はほとんどいない。社会からは、もめそうなテーマほど、科学が求められているのだけど、社会的要請に背を向けているわけだ(まあ、これは大学も同じだけどね)。

その水研センターが、水産資源の評価業務を一手に引き受けている。日本の大学で、資源をやっているところは、ほとんど無いので、水研センターがやるのは仕方がないのだけど、当然、水産庁の意向が色濃く反映される。マイワシだのサバだのは、TACを設定していること自体が非常識なほど資源が減っているのだけど、あり得ない量の漁獲枠が設定されている。最初に業界の意向ありきの資源評価になっているのだ。資源評価の担当者が、まず、業界と打ち合わせをするって、常識的に考えておかしいだろ。

国が設定する漁獲枠(TAC)は、科学者が推定した生物学的許容漁獲量(ABC)を大幅に超過していた。この問題をメディアでしつこく指摘したので、水産庁は去年からTACとABCを等しくする方針を示した。これ自体は良いことなんだけど、業界の言い値であったTACを本来のABCまで下げるのではなく、資源評価に介入し、業界意向に沿ってABCを上げているのが実情だ。

毎年、決定したABCを報告する全国評価会議というのがある。ちょうど東京にいたから、冷やかしで出席をしたんだけど、酷かったね。マイワシは、普通の国ならとっくに禁漁にしているような低水準なんだけど、資源を回復させようとしていない。「増えた分は根こそぎ獲っちまえ」というスタンスで ABCを決めていた。俺は次のように質問をした。

俺「昔(TACとABCが乖離していた時代)は、資源回復を目標にしてABCを設定し ていたが、なぜ回復させない方針に変わったのか?」
水研担当者「水産庁の中期的管理方針で、資源量を現状維持にせよとあるので、それに従ってABCを決定した」
俺「中期的管理方針でマイワシは回復させなくても良いということだが、それはどのような生物学的根拠に基づいているのか?」
水研担当者「わかりません」
水産庁担当者「この場では即答できないが、水産政策審議会の議事録をみれば解る」

というようなやりとりがあった。ABCを決める方針について、最終的な会議でだれも説明できない。こんなの、資源評価じゃないだろう。でもって、水産政策 審議会の議事録を隅から隅まで探したけど、そんな記述はどこにもない。マイワシのABCはなんの説明責任も果たしていないのである。

「TACとABCの乖離を無くしました」と水産庁は威張っているけど、そんなのそもそも当たり前。さらに、近年は、ABCへの行政の介入が増えているので、実態は何一つ変わっていないどころか、悪くなっているかもしれない。そんななかで、現在もTACがABCを大幅に上回っている魚種が一つだけある。スケトウダラだ。その理由は、北海道にはうるさい外部委員がいて、水産庁資源管理課の思い通りにABCを操作できなかったからである。
http://katukawa.com/2006/08/post_29.html
http://katukawa.com/2006/08/post_30.html
役所にとって、外部委員というのは、自分たちの方針にお墨付きをあたえて、素人を黙らせるための道具にすぎない。その道具に、自分たちの方針をひっくり返されたら、おもしろくないわけだ。理由を付けて排除をしようとするのは当然だろう。以前も「勝川を辞めさせろ」と上から圧力がかかったことがあった。そのときは、俺も必死だったし、いろいろあって続投をすることになった。当時の北海道ブロック会議では、俺一人が突っ張っている状況だったから、俺が抜けたら資源評価が骨抜きにされるという危機感があった。

今は、かなり状況が違う。漁業とは独立した音響資源調査も軌道に乗り、魚がいないということは漁業者も納得済みだ。研究者にも、資源評価の場として、ちゃんとした数字を出そうという意識が育っている。他の外部委員も、俺以上にびしっと言ってくれるようになった。俺がいなくなっても、北海道ブロックの資源評価はグダグダにならないと信じているので、今回は、安心して、辞めさせられることができる。

今後は、北海道ブロック以外のABCを批判していくつもりなので、外部委員を辞めるタイミングとしては悪くない。そもそも、外部委員なんて不名誉職であり、解任された方がかえってハクがつくというものだ。

資源経済学への招待

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5月21日に発売の新刊書。生粋の経済学者と水産研究者のコラボです。
なかなか盛りだくさんですよ。勝川は3章と12章を担当しました。

目次
序 章  日本の水産業の再生を急げ
第1章  我が国の漁業の歴史と国際状況
第2章  水産資源は誰のものか
第3章  資源管理は可能か
第4章  日本の漁業における費用削減の可能性
第5章  再生可能資源と市場構造
第6章  資源の利用権市場の経済分析
第7章  ITQの検証
第8章  水産物エコラベル
第9章  水産エコラベリングの発展可能性
第 10章 貿易と水産業の経済理論
第11章 海面養殖の可能性
第12章 水産改革への提言

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/10050003.html

お値段は、なんと5000円ポッキリ。
水産関係は部数がでないので、割と高めの設定になってしまいました。

中日新聞:水産資源 持続可能な管理を サバ 幼魚乱獲、枯渇に拍車:暮らしCHUNICHI Web

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しかし、水産資源管理に詳しい三重大生物資源学部の勝川俊雄准教授は懐疑的だ。「水揚げの九割を魚齢一歳までの未成魚が占め、産卵可能な成魚はほとんどいない。漁獲量を算定する科学的根拠もあいまいで、資源回復の芽を摘んでいる」と指摘する。

引用元: 中日新聞:水産資源 持続可能な管理を サバ 幼魚乱獲、枯渇に拍車:暮らしCHUNICHI Web.


サバの取材が来たので応じた。品川駅で1時間ほどの取材。記事全体としては、適切に日本漁業の問題をとらえていると思う。しかし、俺のコメントがいただけない。この日は、サバとマグロの話をしたのだけど、水揚げの九割を魚齢一歳までの未成魚が占めているのは、マグロの方だ。

マサバは、当たり年を食いつぶすような操業をしているので、当たり年が何歳かによって、漁獲の中心がずれる。2004年が当たり年だったから、2006年の漁獲の中心は2歳魚であった。持続的な漁業のためには、次の当たり年が確認できるまで、当たり年生まれを残すような獲り方をする必要がある。現在、2007年の小当たり年生まれを獲り尽くし、09年生まれを獲りだしたので、また、回復の芽を摘んでしまいました。

こういう漁業は、どんどん批判をしないといけない。しかし、批判をするなら、正確にすべきである。こういう勘違いを避けるために、出向する前に文字原稿をチェックする事にしている。こんな初歩的なミスは、専門家なら一目でわかる。今回は気がついたら記事が出ていて、さらに間違えていたので残念です。内容は素晴らしい記事だけに、実にもったいない。

乱獲で太平洋クロマグロが危機 大型魚減少、保護策必要に

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乱獲で太平洋クロマグロが危機 大型魚減少、保護策必要に
日本が大量に漁獲している太平洋のクロマグロは、産卵能力のある大きな魚が減るなど資源状況が悪化しているとの分析結果を三重大の勝川俊雄准教授らが11日までにまとめた。大型の魚の乱獲が進んだ結果、3歳以下で成熟前の小さな魚や産卵前の魚が漁獲の対象になるという、悪循環が進んでいるとみられる。
http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010051101000163.html

「日本海での巻網操業が本格化してから、近海物の大きなマグロが減った」というのは、マグロを扱う人間の共通認識だろう。大間はかろうじて漁獲量を維持しているのだが、それは高価なソナーなどの電子機器を惜しみなく導入した結果である。資源の減少は顕著であり、昔ながらの装備の船の漁獲はほぼゼロだ。また、200kg程度の大型魚をコンスタントに水揚げしていた石垣の某漁協でも、今年の水揚げは激減している。

19年 500本程度
20年 200本程度
21年 250本程度
22年  10本程度

例年、GWが漁獲のピークなのに、これでは商売にならない。

国内でゴールドラッシュのように広がった畜養も、黄色信号が点灯している。昨年度は、種苗となるヨコワの漁獲が激減したのだ。昨年の畜養マグロの出荷量は1万トンだったが、池入れ種苗が少なかったので今年は5千トンがせいぜいだろう。畜養フィーバーでヨコワの争奪戦が勃発し、価格は高騰している。こういう状況で、水揚げが半減したのだから、加入はさらに減っているはずである。クロマグロの加入も年によって変動するので、去年の加入がたまたま悪かったのか、それとも産卵量が激減し加入が維持できないのかは、現状では判断できない。今年のヨコワの漁期は7月から始まる。今年も何の規制もないなかで、0歳のヨコワを奪い合うのだろう。ここでも、もし獲れなかった場合、マグロ畜養バブルは弾けるかもしれない。

産卵場の巻き網操業で親魚が激減した上に、ヨコワ争奪戦で新規に成熟してくる魚も減っている。これでは、資源を維持できるはずがない。我々は、漁獲規制を作るように国に働きかけてきた。この声に応えてくれたのが、民主党の山田副大臣。水産庁は、太平洋クロマグロの漁獲規制をつくろうと調整と始めている。

今年も、6月から境港の巻き網、7月からヨコワ漁が始まる。規制は間に合わなかったので、漁獲枠もないまま、獲りたい放題の争奪戦が今年も行われるのは確実である。地中海は産卵場の巻き網操業だけで、2000年以降あれだけ減ったのである。日本近海は、2004年以降、産卵場の巻き網操業が活発化している上に、稚魚の争奪戦まで起きているのだから、地中海以上に危機的な状況にあると言って良いだろう。

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from 18 Mar. 2009

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