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研究 Archive
NZのITQは資源管理として機能していない? その1
- 2008-12-16 (火)
- ニュージーランド | 水産庁のNZレポート
ITQをやりたくない水産庁は、NZの資源管理の悪い点だけを抜き出したレポートをつくり、
資源管理をやらない口実の一つとして利用した。
ノルウェー、NZ、アイスランドは、資源管理の成功例として取り上げられることが多く、
完璧ではないが、他よりは、うまくいっているというのが一般的な認識であり、
どこからも相手にされていない日本のTAC制度よりは100倍マシだろう。
NZのことを「資源管理としては機能していない」と言い切る根拠は何なのかと質問したところ、
「CathさんというNZ人がそういってたよ」という回答を得た。
こういう時は本人に聞くのがてっとり早くて、確実なので、
水産庁のレポートを英訳したものを送りつけて、いろいろと質問をしてみました。
Cathさんは、環境への意識が高い人のようで、「今のNZのやり方では生ぬるい。
もっと環境のことも考えて、しっかりと規制をすべきである」という意見のようです。
本人の了解をいただいたので、私の質問(太字)とそれに対するCathさんの回答を公開します。
1a) Do you think NZ government should stop QMS.
It needs significant design, and there are some strong lessons on what not to do from the New Zealand experience.
Provision of “property rights” has strengthened the say of fishing companies in the public debate and has diminished the standing of public interest voices. As larger fishing companies have gobbled up the smaller operators, we now have a few hugely powerful and wealthy fishing companies that provide a lot of money to political parties to get their way and use their financial and hence legal might to oppose any Ministers who try to institute controls over the catch limits or other sustainability measures. The politics of control have become much harder now that the private property rights are well specified but the public entitlements to sustainability remain less well specified.
One vital element is to carefully specify the rights of the community to a healthy environment, to provide incentives to consider the impacts of fishing, to internalise the externalities and to strengthen the say of communities over the decision making processes for setting catches and other sustainability measures. An ecosystem based management regime and recognition of the non-harvest values of fish in the ecosystem is required.
質問1a)NZ政府はQMSを止めるべきだと思いますか?
やり方を大幅に変える必要はあるでしょう。また、反面教師として学ぶべき点も多いです。
ITQによって所有権を与えたことで、公的な議論での漁業会社の発言力が強まり、一般人の声が弱まっています。より大きな漁業会社が、小さな経営体を統合し、いくつかの巨大な漁業会社が誕生しました。彼らは大量の資金を支持政党に与えています。財力、すなわち政治力を行使して、漁獲枠や他の持続的な手法をコントロールしようとする大臣に反対してきました。漁獲枠の所有権が確立されたことによって、政治的な介入は難しくなりました。その一方で、公共の持続性に対する権利は、未だに確立されていません。
健全な環境への、コミュニティー(一般国民)の権利をきめ細かく定め、現在は考慮されていない外部負荷をしっかりと考慮し、漁獲枠の決定などの持続性に関わる意志決定へのコミュニティーの発言力を強化すべきです。生態系ベースの管理システムの確立と、取り残した魚の価値の認識が必要でしょう。
まだまだ続く
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日本のTAC制度はオリンピック制度ですらありません
みなと新聞で読んだんだけど、TAC制度等の検討に係る有識者懇談会が、「日本はオリンピック制度ではない」と主張しているようである。珍しく正しいことを主張していて驚いた。
オリンピック制度とは、持続性の観点から漁獲枠を決定し、それを早い者勝ちで奪い合う資源管理方法である。一方、日本は、持続性を無視した漁獲枠を設定し、漁獲量が漁獲枠に近づいたら、漁獲枠が増えていく「青天井システム」を採用している。漁獲枠など有名無実であり、なんら漁獲量の抑制効果がないのだから、オリンピック制度ではなく、無管理と呼ぶのが正解だろう。
米国やカナダは馬鹿正直にオリンピック制度を行い、過剰な漁船を抱えたまま、漁期を短縮させた。漁期が1週間とか、3日とかになってしまったのだ。漁期が極端に短くなろうとも、魚を残す努力をしたのだから大したものだ。日本の場合は、低水準で減少している資源にも、漁獲にブレーキを全くかけていない。たとえば、スケトウダラ日本海北部系群。資源がこんなに減っているのに、漁獲割合はむしろ上がっている。管理されている資源なら、あり得ない話である。まともな漁業国なら、もっと早くに漁獲量を絞っているし、ここまで減ったら漁獲枠はゼロだよ。今年は、ABCが現状維持の4.6千トンに対して、TACが1万8千トンだから、お話にもなりやしない。こんなに減らしてしまったんだから、資源回復を最優先すべきであり、現状維持でABCを出す研究者にも問題がある。まあ、そんな問題は霞んでしまうほど、水産庁が設定したTACは非常識だけど・・・
オリンピック制度は漁獲枠を巡る競争である。
一方、日本の漁業者は、実質的な漁獲枠が無い中で、魚を奪い合っている。
オリンピック制度と日本のTAC制度の間には、スポーツと戦争ぐらいの差がある。
日本のTAC制度をオリンピック方式と呼んだら、まじめにオリンピック方式を実施してきた国に失礼だ。
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とある関係者さんへの返答
勉強会を聞きました。
岩崎氏の講演は大変感情的で、会場の多くの人の評価も低いものだったと思います。
残念だったのは、これに対する先生の反論も感情的になってしまったことです。
ダメダメな主張に対して冷静に反論されていれば、
ダメさがもっと浮き立ってさらによかったと思います。
あれでは、同じレベルの人と思われてしまい先生にとって損です。
アドバイスをありがとうございます。
日本の漁業者は皆こまっています。その状況に対して責任を負うべき人間が、
無責任な自己弁護をしているのをみると、とても腹が立ちます。
ただ、それをストレートに表現するのはマイナスでしかないのはご指摘の通りであり、
自分自身の未熟さ故の過ちとして、反省しております。
議論を聞いていて感じたのは、先生の御提言は理論的でわかりやすいのですが、
どうも具体的イメージがわきにくいのです。
海外の事例だけではなく、これを国内の地域でどこかをモデルとして
シミュレーションし、そこの漁業がどうかわるのか、
所得はどれだけ増えるのかを定量的に示していただければ
実感がさらに湧きます。
経済学の専門家と一緒に、具体的な経済分析をこれから進める予定です。
豪州は、個々の漁業にITQを導入した場合の効果を分析し、
黒字のめどが立った漁業からITQを導入していきました。
彼らの手法を参考に日本の漁業に対応した形で進めていこうと思っています。
現在の課題は、その日の水揚げ量と魚価の関係を明確にすることです。
一日ごとの水揚げ量と魚価のデータが長期的に得られる漁業を探しています。
また、競争のための無駄なコストをどのように試算するかも難しい問題です。
統計データでは出てきませんので、現場の協力が欲しいところです。
このあたりは鶏と卵ですね。
具体的な話をするには現場の協力が必要で、
現場の理解を得るためには具体的な話をする必要がある。
また、それを漁業者に実際にお話していただく機会をもっと作って下さい。
マスコミや行政(規制改革会議も含めて)に訴えるだけでは、
現場はなかなか動きません。
逆に、現場が動き出せば社会は変わります。
どなたたかが言っていましたが、全漁連が反対すれば法は通らないのです。
でも、現場の漁業者がメリットを感じ、大きな声となれば政治は無視は出来ません。
ぜひ分かりやすい例を作って漁業者を洗脳してください。
そうではなく、漁村社会への新規参入者を主な担い手として考えているなら、
現在の漁業者への啓蒙は何の役にも立ちません
漁業者との直接対話の重要性は、ご指摘の通りです。
漁業を変えるには、漁業者サイドに味方を作らないと話になりません。
漁業を持続的に利益が出る産業に変えて、一番メリットがあるのは漁業者ですので、
利益と理屈で、現場を説得できるように準備したいと思います。
規制改革がらみで、かなり警戒されているようですが、
話を聞いてもらえるなら、どこへでも行くつもりです。
その前提として確認しておきたいのは、
先生は漁業2.0の担い手として誰を考えているかです。
私は、先生は現在漁業をしている人とその後継者に担っていただきたいと
考えているのではないかと思っています。
そうであるなら、上記のように今漁業を担っている者を
どんどん揺さぶってください。結構道は近いかもしれません。
ただ、これは規制改革会議の新規参入論とは相容れないところも
あるのではないかと思います。
私の講演を聴いていただければおわかりだと思いますが、
漁業は家業であり、子が親を継いでいくのが自然な姿だと考えています。
漁師の子供が漁業を継がない(継げない)現状で、
外から人を連れてきて解決というのは、あり得ません。
子供が後を継げるようにするには漁業が持続的に利益を出すことです。
今までのように、獲れるときに獲れるだけ獲るのではダメです。
「今年は良いけど、来年はわからないなぁ」というレベルでは、
短期的な利益しか得られず、漁船の減価償却もままならないでしょう。
漁業者は「子の代、孫の代まで」と良く言いますが、
今のやり方で、孫の代まで漁業が続くわけがないだろうと言いたい。
私はいろいろなところでノルウェー漁業を見習うべきと論じてきました。
ノルウェーでは、漁業が家業として、代々受け継がれています。
漁業者は、漁業から安定した収入を得て、豊かな生活を送っています。
日本の漁業をこのような状態にするのが、水産資源学の専門家の使命です。
ノルウェーのやり方を学んだ上で、日本にもそれを取り入れていくべきです。
一方、NZ漁業は、元手をかけずに、経済行為としての漁業を活性化して、
漁業から多くの税金を得るために良い方法です。
漁業の大規模化、大企業化が進み、全く違う姿になりますが、
資源の持続性は維持できるし、都市生活者にはメリットは多いでしょう。
本当に、漁業全体をスクラップアンドビルドをしないといけないし、
既存の漁業にとっては、失うものが多すぎます。
日本の国家財政が厳しくなるなかで、待っているのはNZ型の改革でしょう。
そこまで追い詰められる前に、ノルウェー型に移行すべきです。
規制改革は、多方面から現状への問題認識を集約したものであり、
その中で私が関わったのは資源管理の部分のみです。
公的な意味では部外者ですが、資源管理の部分については責任を負うつもりです。
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/11/post_416.html
規制改革にせよ、高木委員会提言にせよ、「資源管理をちゃんとやれ」という
以外の部分では、「正直、これはどうなんだ?」と思う点もあります。
参入自由化というのは、今すぐに、議論をすべき課題だとは思いません。
もちろん、後継者が途絶えたところは、外部からの参入も考えるべきですが、
まずは、既存の漁業が利益を出せるようにするのが先でしょう。
漁業2.0化と過剰努力量の削減が優先課題です。
ただ、参入プロセスの透明性を高めるのは、重要な課題だとおもいます。
ドアを開けっ放しにしろとは言いませんが、ドアを開けるか閉めるかの基準を明確にした上で、
第三者にもわかるようにすべきでしょう。
マスコミなどでさんざんあおっていただければいいのでしょう。
そしてその結果として改革がなったなら、それは現在の漁村社会を
破壊し多くの者の職を奪うことになります。
今まま、世代交代もままならないまま、漁村社会が衰退すれば、
同じ結末しか待っていないでしょう。
これをどう避けるのかを、議論していきたいですね。
現状を維持するための名前だけの改革では駄目なのです。
それでも日本国全体と見ればその方が得であるからそうしたほうがよい、
という主張も当然ありですし、規制改革会議を通じて何かを企んでいる
人たちの考えなのかなと穿っております。
(ただ、小松先生はその人達とは違うとも感じています。)
漁業政策の重要なポイントは、資源が持続的に有効利用されることです。
漁業が、産業として自律した上で、食糧の安定供給機能を果たすべきであり、
既存の漁業にそれが出来ないならば、他の道も模索すべきでしょう。
ただ、優先権は現在の漁業者にあるし、どうなるかは漁業者次第でしょう。
EEZ時代に漁業が産業として生き残るには、漁業2.0化は必須です。
私としては、数ある漁業2.0化の方法論の中から、
既存の漁業者がもっとも有利になる方法を提案しているつもりです。
政治的な部分に関しては、私はノータッチですので、
規制改革陰謀論については、否定も肯定も出来ません。
私はあくまでボランティアの協力者ですので、
規制改革会議が、漁業を破壊するような方向に進むのであれば、袂を分かつまでです。
(そういう風にはならないと、思っていますが・・・)
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某財団法人の学生さんへ
次のようなコメントをいただいた。
一言。
メディアに出て、それを張り付けて喜んでいるのはちょっと…良い印象を受けません。
小松さん、勝川先生は机上。
それに反対する先生方は現場。
一学生から見るとこんな印象を受けます。現状認識の違いは、活動しているフィールドの違いでは?
勝川先生のおっしゃることは理解できるですが、漁村文化などといった視点を欠いているのではないでしょうか?
現状、現場、漁村で暮らす人々の生活を無視した、机上の政策論争のように思います。
互いを非難し否定しあっているなんて、ばかみたいです。学生でももう少しまともに話し合えるのではないですか?
今後は現状認識を確認していくというお話があったようなので、そういうところから協力して水産業のためになる政策が生み出されることを期待しております。ご迷惑なら削除してください
会場にきた人なら、おわかりだろうが、勉強会に学生はほとんどいなかった。
少数の学生はいずれも、顔を見知った人間ばかり。
「小松さん、勝川先生」って、何で話をしていない小松さんが出てくるのだろうか。
どうも不自然に思ってIPを調べてみた、某財団法人からのアクセスでした。
月給80万円のご高齢の学生さんですね。
ネットには匿名性はありませんので、
職場からの書き込みは100%身元が割れると考えてください。
当ブログへの書き込みは匿名でもかまいませんので、
次からは学生などと名乗らずに、ある水産庁OBとでも名乗ってください。
内容については、真摯に受け止めるべき点もあると思うので、返事を書きます。
机上の空論だというなら、どのあたりが非現実的かを示してください。
また、漁村文化、現状、現場、漁村で暮らす人々の生活を考慮するとどうなるのでしょうか。
漁業者が喜ぶから、好きなだけ獲らせてあげましょうでは、
資源は減少し、値崩れによって利益は出ません。
それを30年続けてきて、漁業は悪くなるだけではありませんか。
>現状、現場、漁村で暮らす人々の生活を無視した、机上の政策論争のように思います。
>互いを非難し否定しあっているなんて、ばかみたいです。
>学生でももう少しまともに話し合えるのではないですか?
この指摘はもっともだと思います。本当に馬鹿みたいです。
漁業者、加工業者に話を聴くと、「行政官も研究者も漁業の現場のことは何もわかっていない」と言います。
現場から離れたもの同士が、互いを非難し否定しあっても仕方がありませんね。
また、私だって、最初から、水産庁の批判をしていたわけではありません。
今と同じようなことを、何年もソフトに主張してきました。でも、何も変わりませんでした。
数人の鼻がきく行政官が「言い訳」の準備をしただけです。
北海道の日本海側のスケトウダラが減少し、全く歯止めがかかっていません。
ニシンに続き、スケトウダラも崩壊したら、北海道の日本海側は危機的な状況になります。
マイワシは史上最低水準でなお強い漁獲にさらされているし、
サバの回復の芽をつみ、日本市場はノルウェーサバに席巻されています。
漁業者も、行政も、研究者も、徐々に変化をしていますが、現状ではあまりにも遅すぎます。
こういう状況で私に残された選択肢は外圧となり、変わらざるを得ない状況を作ることのみでした。
水産という閉鎖社会のなかで、一研究者が、役所や業界団体を批判するのは、容易なことではありません。
おもしろ半分にできることではなく、将来のキャリアを投げ出す覚悟でやってきました。
欧米のように、行政官が研究者の意見を尊重していれば、こんなことはしないですんだのです。
批判される側にはおもしろくないと思いますが、仕方がないことです。
ただ、予想以上に発言の影響が大きくなってしまったので、様々な弊害も出てきています。
私の目的は、漁業を破壊することではなく、漁業を改善することですので、
今後は方向転換を図っていこうと考えています。
>今後は現状認識を確認していくというお話があったようなので、
>そういうところから協力して水産業のためになる政策が生み出されることを期待しております。
「水産業のためになる政策が生み出されること」というのは、全く同感です。
そのためには、漁業者、行政官、研究者が、漁業の問題点やその対策を、
自由に議論をできる場ができるとよいですね。
現実に苦しんでいる漁業関係者がたくさんいます。
どうやったら、漁業の危機的状況を打開できるかという観点から、アドバイスをいただければ、
取り入れられるところは取り入れて、真摯に対応していきたいと思います。
あと、メディア利用ですが、個別漁獲枠の説明にはテレビの動画が一番わかりやすいので使いました。
ただ、最後の水産庁の部分は余計でしたね。配慮を欠いていたかもしれません。
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勉強会の感想
参加者の皆様、お疲れ様でした。俺も疲れました(笑
出席者の感想のなかに「まだ、こんなレベルの喧嘩をしていたのか!」と驚かれた方もいるでしょう。
実際、あのような低レベルの会話しか、成立しないのです。
漁業が危機的状況にあるというのは、この業界の人間の共通認識でしょう。
しかし、そのことを認められない立場の人もいるわけです。
水産庁OBを呼んできても、「魚は減ってないし、漁業に問題などない」と、主張をするのは明白。
多くの漁業関係者が困っている状況をつくりながら、自分たちだけ優雅な老後を送り、
「日本の漁業に何も問題はない」と言い切られると、俺は頭にくるわけです。
予想通りの展開で、話す方は疲れるし、聞いている方は訳わからんでしょう。
今回の勉強会で浮き彫りになったのは、議論の前提として、現状認識が重要ということ。
現状認識であれば、規制改革のようなものを前面に出さない方が良いでしょう。
「今、資源はどうなっているのか」、ということにフォーカスし、
改革派・反対派などの利害関係を極力排除した上で
気楽に話ができる場所を作ってみたら、どうでしょうか。
水研の評価票担当者でも呼んできて、資源評価の結果と将来展望について話してもらう。
それを元に、黒倉先生、松田さんあたりが、パネルディスカッションでもするような感じ。
今回の勉強会より地味な会になるでしょうが、そういうものを地道に積み重ねていくのが、
水産学会らしい社会貢献になると思います。
おまけ
11月から12月上旬の銚子では3~4日おきに1000~2000トンを水揚げ。中心サイズは1尾200~300グラムで、平均価格は50~60円。大半が冷凍原料向け。(みなと新聞 12月5日)
今年は、北巻も、欧州みたいなバランス良い年齢組成でサバを捕っていると、誰かが言ってなかったか?
そもそも04年、07年年産まれしかいない時点で、安定した年齢組成はあり得ないだろう。
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勉強会のお知らせ
- 2008-12-02 (火)
- 漁業改革
日本水産学会勉強会
「水産業のこれからを考えるI,II」主催:日本水産学会企画広報委員会
(企画担当:山川 卓(東大院農),清野聡子(東大院総合文化),
永田光博(道水孵化場),良永知義(東大院農))
昨年来,日本経済調査協議会の水産業改革高木委員会提言「魚食をまもる水産業の戦略的な抜本改革を急げ」や,内閣府規制改革会議の「規制改革推進のための第2次答申」「中間とりまとめ-年末答申に向けての問題提起-」などの公表が起点となり,水産業改革のための議論が業界関係者を中心に活発化しています。日本水産学会企画広報委員会では,このような動きに関する情報を学会員の間で広く共有して今後の活動の参考にするとともに,そこで展開されている議論の内容や論点を正確に把握することを目的として,以下の勉強会を企画しました。ふるってご参加くださいますよう,お願い申し上げます。「水産業のこれからを考えるII-水産資源の管理と持続的利用-」
日時: 平成20年12月6日(土) 13:00~ (16:00頃に終了予定)
場所: 東京大学農学部 農2号館(農正門を入って左側の建物)2階,化1講義室
東京都文京区弥生1-1-1(地下鉄南北線 東大前駅 下車 徒歩1分,千代田線 根津駅 下車 徒歩8分)
講演者(敬称略):
・勝川俊雄(三重大学生物資源学部)
・岩崎寿男(漁業経済学会会員)
・牧野光琢((独)水産総合研究センター中央水産研究所)
各講演40分(質疑含む)+全体の討議 1時間程度
* 入場無料です。会場の都合上,参加ご希望の方はe-mailまたはFAXにてお名前,ご所属,参加希望人数を事前にご連絡下さい。日本水産学会会員以外の方にもご参加いただけます。ご希望多数の場合は先着120名までに限らせて頂きますのであらかじめご了承ください。
連絡先:日本水産学会事務局 e-mail:fishsci@d1.dion.ne.jp(@dの後は数字の1です) FAX:03-3471-2054
http://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/COM/jsfs6.html
この勉強会については、正直、首をかしげたくなる点が多い。
まず、人選がおかしい。
岩崎さんは、水産庁→漁業情報センター→トロール組合→巻き網組合と
天下りを歴任した80過ぎの老人。
「サバを漁獲枠で管理しているのは日本と韓国だけ」とか発言するレベルの人間で、
海外のまともな資源管理のことを何も知らない。
枝葉末節を取り上げて、「日本漁業にはなんの問題もない!!!!」と吠えるだけだろう。
知識がなく、相手を罵倒するしかできない人間を呼んだところで、まともな議論は不可能だ。
また、時間配分にも、問題がある。
漁業改革の説明には、最低限、次の5点が必要になる。
1)漁業の現状を全体的に把握
2)日本漁業の問題点を特定
3)日本と同じ問題を克服している海外の事例を紹介
4)問題回避のメカニズムの説明
5)日本漁業に新たな制度を導入する道を探る
これだけの内容を、質疑応答込み40分で話せるはずがない。
改革サイドには、極めて不十分な説明時間しか与えずに、
その後で、抵抗勢力の枝葉末節の揚げ足取りが延々と続くわけだ。
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「個別の漁獲枠で漁業復興を」 朝日新聞 11月30日(日)
- 2008-11-30 (日)
- 漁業改革
朝日新聞朝刊特設面の環境企画「環境ルネサンス」に掲載されました。
写真が少し怖いですね。デジカメで撮ったんだけど、日差しが強いなかで、頑張って目を開けています。
みなと新聞の写真もちょっとイケてない。
メディア用に、写真を準備するか。
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議事録は読んだけど、新聞記事との違いがわからない
「新聞記事は、実態を必ずしも反映していないので、
議事録を読んでから批判をした方がよい」
というアドバイスを人づてにいただいた。
先ほど、議事録が公開されていたので、新聞記事と比較してみたが、
細かい表現をのぞいて大差がないように思う。
大きな流れとしては、水産庁の方針が次のように示されたことだろう。
● IQやITQの導入は困難
● やりたいなら、漁業者が勝手にやれ
それに対して、桜本議長は次のようにまとめている。
「IQ・ITQにつきましては、今回の論点整理にまとめていただいたように、いろいろな問題点があり、我が国への導入に関して、水産庁側の姿勢を明示していただいたところです。それに対して特に大きな反対もないということで、方向性としては妥当なものをお示しいただけたのではないかと私自身は考えております。」
ここでいう「水産庁側の姿勢」とは、ITQは困難ということだろう。
それにたいして、反対がなかったので、懇談会として認めたと言うことだ。
みなと新聞に書いてある通りだと思う。
俺が議事録の真意を全く理解できていないのか?
読者の皆様も、みなと新聞の記事と、議事録を比較してみてください。
なにがどう違うのかわかったの方は、コメント欄で指摘していただけると、有り難いです
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IQ入れると440億円かかる?を検証する
「ITQイヤイヤ懇談会」の結論としては、ITQは金がかかるから駄目ということらしい。
今の日本では、TAC制度には、ほとんど金をかけてない。
資源評価もいれて30億ぐらいでしょうか。(知っている人いたら教えてください)
漁業の未来のために、しっかりと投資をするのは大賛成だが、
ITQを導入すると管理コストが跳ね上がるというのは、おかしな議論だ。
440億円って、どっから出てきた数字なの、という素朴な疑問が沸いてくる。
水産庁の出してきた440億円の根拠は計算根拠は、次の資料の17(15)ページにある。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/yuusiki/dai5kai/siryo_18.pdf
○漁港漁場整備法に基づく第2種漁港(496港)及び第
3種漁港(101港)に検査官3名が周年駐在。○大臣管理漁業対象漁船(3808隻・統。左図から算定)
に検査官1名が乗船。【試算結果】
(検査官人件費×3名+事務所借料)×597港
=13,969,800千円検査官人件費×3808隻・統=29,702,400千円
合計:43,672,200千円
一定規模以上の港に3人、一定規模以上の船に1人を常駐させる人件費だそうです。
ちなみに、船に乗る人間の費用は、一人当たり年額780万円。
港の検査員も同じ費用がかかるとすると、事務所借料が0円になってしまう。
港の検査員の方が一人当たりの費用が安くなる理由がわからない。
たぶん、人件費だけ計算をして、それじゃあまりにかっこわるいから、
「事務所借料」という文だけを加えたのだろうか。
また、2種漁港すべてに、3人も常勤する必要は無いだろう。
特定第三種には、一人ぐらい貼り付けても良いかもしれないが、
2種漁港に常勤3人は明らかに過剰である。
(参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の漁港一覧)
440億円という金額自体も法外だが、これらのコストはITQだから必要なわけではない。
オリンピック制度でも、それぞれの港で水揚げを迅速かつ正確に確認べきだから、
港の漁獲量把握のための行政コストは、現状でも必要なはずだ。
べつに漁獲枠を個別割り当てにすることで、発生するコストではない。
オリンピックだろうと、ITQだろうと、総量規制をしていたら必要になるはずだ。
また、ITQは出口管理だから、個別の船の水揚げを港でチェックすればよい。
よって、船に監視員を配置する必要はない。
検査官人件費×3808隻・統=29,702,400千円は不要。
水産庁は、TACやITQのような量的規制よりも、操業規制が有効であると主張してきた。
操業規制が守られているかどうかを確認するには、船に監視員が必要になる。
つまり、この300億円はITQではなく、水産庁が主張する操業規制の必要経費なのだ。
水産庁の計算によると、ITQなら、操業規制の半額で済むことになる。
語るに落ちるとはこのことだろう。
実は、隠れITQ推進派が資料を作っていたりして(笑
まとめ
漁港検査費用(13,969,800千円)
ITQを導入する、しないに関わらず、港での漁獲量の把握は必要。
これは、TAC制度を入れた時点で必要な費用であり、
オリンピック制度からITQに移行することで生じるコストではない。乗船検査官人件費(29,702,400千円)
ITQは水揚げ量の規制なので、検査官を乗船させる必要はない。
これは、水産庁がITQの対案として主張する操業規制のコストである。
ITQをやらない言い訳づくりの一環として、法外な管理コストを試算して見せたのだが、
コスト計算の前提自体がナンセンスであり、
440億円という費用はITQの導入と関連するわけではない。
あまりに、稚拙な計算だと思う。
有識者の皆さんは、この試算に、どんなコメントをしたんだろうね。
議事録が楽しみです。
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IQ方式を導入できない言い訳がお粗末すぎる件について
- 2008-11-16 (日)
- 資源管理反対派
「IQ方式は、お金がかかる」という以外に、3つの理由を挙げているのだが、
どれもお粗末すぎて、ため息が出てくる。
IQ方式について何も理解していないことは明白だ。
IQ制度に反対するにしても、制度を理解した上で反対してもらいたい。
① 操業が各漁業者にゆだねられ漁業団体による管理が行われなくなった場合、水揚げ集中による市場の混乱
現状で漁業団体による管理が機能しているかどうかは、さておき、
IQ制度を導入すると、漁業団体による管理が行われなくなるというのは、意味不明。
ノルウェーだって、組合が主導している細かい操業規制は山ほどある。
業界団体の管理は続けた上で、個人の漁獲量に上限を設ければ良いだけの話である。
また、IQを導入で水揚げが集中するというのは、あり得ない話だ。
個人の漁獲枠が限られているのに、
わざわざ値崩れするような獲り方をする馬鹿はいない。
早い者勝ちの現状では、解禁と同時に漁獲が集中してしまうが、
それを防ぐ効果がIQにはあるのだ。
この反論理由一つとってみても、この懇談会のメンバーが、
IQ制度のことを、全く理解していないことは明白である。
学部生のテストでも、こんな答案は赤点です。
② 各種規制の撤廃・見直しによる操業秩序の混乱
混乱を避けるという口実で、漁業はこのまま衰退させるつもりみたいだが、
水産庁の存在意義はなに?
③ 漁村地区の崩壊の恐れ
なんで、IQを入れると、漁村地区が崩壊するんだよ。
個別漁獲枠を導入して、ノルウェーの沿岸漁村はつぶれたか?
資源管理をしないから、日本の漁村は壊滅状態なのであり、
このまま何もしなければ、今後もどんどん崩壊するだろう。
原因と結果を故意にはき違えているとしか思えない。
なんとか漁業で生計を立てている日本の漁村も、
大型旋網漁船の沖どりの脅威にさらされている。
早さと量で競ったら、大型旋網が勝つに決まっている。
漁村を守るためには、早い者勝ちをやめて、
予め漁獲枠をそれぞれに配分するしかないだろう。
(つづく)
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