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世界の水産物消費の動向 その2

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SOFIAもすばらしいのだが、それだけではわからない点も多い。グラフの元データを数値で見たいときとか、別の視点からデータを整理したいときもある。そんなときには、FAOStatという面白愉快なサイトから生データに直接アクセスできる。

世界の水産物消費量は急増している

FAOStatで世界の水産物消費量(t)を大陸別にまとめてみた。アジアは、日本と中国は別枠にした。

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世界の水産物消費は、右肩上がりで、すでに生産力ぎりぎりまで利用されている。中国の増加が著しいのだが、これは自国の淡水養殖の消費がメイン。中国は日本とは食用魚のニッチがあまり重なっていない。ただ、中国の影響がないかというと、そういうわけでもない。かつては養殖の餌にしかならなかった小魚が、中国に食用として大量に輸出されている。中国の安価な魚への需要はとても強く、養殖魚の餌の価格の高騰の一因となっている。アフリカ、南米は量としても、成長率としても多寡がしれている。日本の食卓への影響が大きいのは、日本と同じプレミアマーケット志向の北米と欧州だ。

世界の水産市場に占める日本のシェアの低下

15年前まで、日本以外の先進国での、水産物の評価は低く、日本のような値段で魚を買う市場は存在しなかった。日本の商社は、世界中から、よりどりみどりで、水産物を集めてくることができた。水産物のプレミア市場は日本の独壇場であり、バブル期には、金額ベースで国際市場の3割以上を日本の輸入が占めていた。当時の日本は絶対的なプライスリーダーであり、水産物輸出国はいかにして日本に売るかを模索していた。完全に日本の買い手市場であった。

近年、購買力のある欧米先進国が、水産物のプレミア市場に参加したことにより、高級魚の争奪戦が勃発した。バブル以降の日本の購買力の低下も重なり、国際市場における日本のシェアは半減した。日本はすでに水産物のプライスリーダーではない。日本の輸入が今の水準をかろうじて維持できているのは、昔ながらの取引先の存在が大きい。しかし、完全に売り手市場の水産物輸出国の生産者の鼻息はあらい。「これまでの縁もあるから、今は日本に売ってあげているけど、日本が金を出せないなら、よそに売るだけだよ」というトーンである。今の値段しかつけられないなら、日本のシェアは今後も低下するだろう。

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水産物の行く末は、円のレート次第ということになる。円がユーロや米ドルに対して優位が保てなければ、一気に魚を買えなくなるだろう。サブプライムで、欧州、米国が自滅をしたことにより、結果として円高になって、水産物の輸入減は一休みというところだが、今後の展開は極めて不透明である。

高級魚は、飛行機で運ばれる場合がおおい。プレミア魚の最大の入り口である成田空港における水産物輸入取扱額は、平成6年の1414億円から、平成19年の634億円へと半減した。国産魚の減少を輸入魚で補うという、今までのやり方は、見直す必要があるだろう。

「買い負け」という傲慢

かつての水産物のプレミア市場は、日本の独占であり、日本の商社間の争いしかなかった。日本が海外に負けると言うことが無かったのである。ここに欧米が参入することで、日本の独占状態が終わったのである。日本が好きなだけ、言い値で、魚を買いあさってこれた幸福な時代は、過ぎ去ってしまい、二度と戻ってこない。だからといって、悲観する必要は無い。

そもそも勝負の世界というのは、勝ったり負けたりするのが当たり前なのである。ちょっと負けたら大騒ぎするというのは、高級魚は日本が独占して当たり前という傲慢さの裏返しである。世界の貴重な水産物を日本一国が独占的に利用していた今までの方が、そもそも異常だったのだ。水産物のすばらしさを、世界の人々と共有できるのは、すばらしいことである(先進国しか供給できないという南北問題があるにせよ)。負けた、負けたと大騒ぎするのではなく、世界の水産物需要が今後も高まることを前提に、日本が必要な水産物を確保するための戦略を持つことが重要である。

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