- 2009-03-03 (火) 8:34
- ニュージーランド | 水産庁のNZレポート | 資源管理反対派
漁船の減少
ITQの導入以降、NZの漁船数は4割減少した。
減少の大半は10m未満の小型船である。
一方、40m以上の中型船・大型船の数は倍増していいるので、漁業者の減少は1割であった。
漁船の総トン数は、むしろ増えているかもしれない。
日本の漁船数は3割減少である。
特に大型の漁船ほど、減少率が大きいことがわかる。
NZ
|
|||||
<10m
|
10~40m
|
40-70m
|
70m>
|
total
|
|
1988 | 2137 | 1060 | 123 | 88 | 3408 |
2001 | 940 | 880 | 190 | 166 | 2176 |
日本
|
|||||
<5t
|
5-200t
|
200-500t
|
500t>
|
total
|
|
1988 | 131948 | 28822 | 1378 | 57 | 162205 |
2001 | 94976 | 25037 | 807 | 12 | 120832 |
NZの漁船数の減少は、漁業の衰退ではなく、大型化・効率化という産業構造の変化である。
ITQ導入当時は、沿岸資源が乱獲により疲弊していたので、
小型漁船の減少はITQが理由とはいえないだろう。
何もしなければ小型船はもっと減っていたはずだ。
一方、日本の漁船は全てのサイズクラスで減少しているが、
特に、大型船ほど減少率が激しい。
日本の漁船の減少は、産業の衰退、弱体化の表れである。
また、日本の小型漁船の減少率が低いのは、
年金生活の60歳以上の人間が漁業にとどまっているからである。
企業だったらとっくに倒産しているような状態である。
漁民であるか否かにかかわらず、経済活動の一環として割当てに対する投資が行われており、割当ての集中が継続
割り当ての集中があるのは事実。また、外部からの投資もある。
トップ10企業による漁獲枠の保持率
1987: 67%
1999: 82%
そもそも、ニュージーランドは、政策的にこの方向を目指していたのだ。
ニュージーランドをはじめとする多くの漁業国は、大企業かを国策として進めている。
世界の水産市場で勝負するためには、効率的な経営戦略が要求されるからだ。
大企業化のスケールメリットと、漁獲枠取引の自由化による外部資金調達によって、
国際競争力を高めようという戦略なのだ。
NZの割り当ての集中や、外部からの投資は、制度設計によるものである。
日本はこれらを望まないのであれば、そうならないITQの制度設計をすればよい。
漁獲枠保有の上限を下げるだとか、地域(漁協)に譲渡不可能な枠を一定量を配分しするとか、
いくらでもやり方はあるはずだ。
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