クロマグロは減っていないと主張してきた研究者たち

6年ぐらい前から、日本海の一本釣り漁師たちが「クロマグロの群れが激減している」と危機感を抱いていた。漁業者からのSOSをキャッチした俺は、現場を回って、クロマグロ資源の危機的な状況についての情報を集めて、警鐘を鳴らしてきた。

2009年に撮影した一本釣り漁業者のインタビュー → https://www.youtube.com/watch?v=HCzqRpRDTJk&list=UU5QxUOmfdtctWClAK4DWsYA
2010年に書いたブログです⇒ https://katukawa.com/?p=3762

その当時、水産総合研究センター(日本の研究機関)は、「資源量は中位」で、2002-2004の漁獲圧を続ければ問題なしと主張していた。漁業の現場の危機感は、国の研究者によって、否定されてきたのだ。楽観的な資源評価は、産卵場でのまき網操業が無規制に拡大していく口実として利用された。

学術雑誌 nature でも、2010年に太平洋クロマグロの論争が取り上げられた。

http://www.nature.com/news/2010/100519/full/465280b.html

こちらが、WCPFCおよび日本政府の見解

Pacific bluefin (Thunnus orientalis) populations had been thought to be stable, with enough young fish maturing each year to replace those caught. In July 2009, a working group of the International Scientific Committee for Tuna and Tuna-like Species in the North Pacific Ocean (ISC) concluded that recruitment of juveniles to the population “does not appear to have been adversely affected by the relatively high rate of exploitation”. But the working group admitted that a lack of data meant recruitment since 2005 is highly uncertain.

太平洋クロマグロ資源は、十分な新規加入があり、安定して推移していると考えられてきた。2009年7月のWCPFCの科学委員会は、「比較的高い漁獲圧によって、悪影響がでているようには見えない」と結論づけた。しかし、ワーキングループは2005年以降の新規加入のデータの不確実性が大きいことを認めた。

それに対して、俺はこのように主張していた

And the belief that the stock is stable is based on a false assumption that fishing practices have not changed, says Toshio Katsukawa, a fisheries expert at Mie University in Tsu City, Japan. From speaking to fishermen, Katsukawa is most concerned that, in the past few years, boats have begun targeting the tuna’s spawning grounds.  This tactic increases catches, simultaneously making the stock seem bigger but damaging the fish’s breeding capacity.

「資源が安定しているという思い込みは、漁業の操業形態が変わっていないという誤った仮定に基づく」と、日本の津市の三重大学の漁業の専門家の勝川俊雄は語った。漁業者との情報交換によって、勝川は過去数年の間に漁船がマグロの産卵場で操業を開始したことを懸念していた。操業形態が変わることによって、漁獲量が増大し、資源量の過大推定をまねくとともに、資源の再生産能力が損なわれてしまう。

このどちらが正しかったかは、歴史が証明することになる。当時と今の資源評価をみると、水研センターは産卵親魚についてかなり楽観的な評価をしていたことがわかる。

http://kokushi.job.affrc.go.jp/H22/H22_04S.html

2010年当時の楽観的な資源評価(産卵親魚量)を下図に示した。最近の資源水準は歴史的に見ればそれほど低くないし、資源は安定的に推移しているように見える。
キャプチャ

最新の資源評価はこんな感じ。1990年代中頃から、資源が直線的に減少している。過去にさかのぼって結果が変わっているのだ。
キャプチャ

natureのニュースでは、「2011年4月までに、漁船ごとに漁獲枠を設定する、大型のまき網漁業の規制、畜養のための稚魚の漁獲を認証性にして報告義務をつける」という水産庁の方針が紹介されている。

Responding to concerns about the health of the stock, Japan’s Fisheries Agency last week outlined new measures to monitor and manage the tuna populations. These specify limits on the weight of fish that each boat can catch, restrictions for the large boats using encircling nets that account for most tuna fishing, along with new requirements for other boats to report their catches. And fish farmers, who collect an increasing but unknown number of juveniles and raise them in pens, will be required to register and report their activities. The agency plans to implement the restrictions by April 2011.

それに対する俺のコメントは「きちんと実行すれば効果があるけど、ぐずぐずして手遅れになることが心配」

Katsukawa says that the new measures, “if done effectively”, could have a major impact. But he fears they will be implemented too slowly to head off an irrecoverable drop.

2014年現在、漁船ごとの漁獲枠は設定されておらず、大型まき網漁業の規制はきわめて不十分な状態だ。残念ながら、こちらも予想通り。

2010年の段階で、規制を導入して、段階的に漁獲圧を下げていれば、資源は回復に向かっただろう。一昨年まで、水研センターの担当者は「クロマグロは豊富で、現在の漁獲圧に問題は無い」と言い続けてきた。その結果として資源の枯渇を招き、漁獲量の半減というきわめて社会的にも影響が大きな手段を執らざるを得なくなった。漁業の現場の声を無視した楽観的な資源評価によって、国益が大きく損なわれたのである。楽観的な資源評価は、クロマグロに限った話では無い。ウナギの場合も、シラスウナギが捕れなくなって鰻屋がばたばたと閉店しているにも関わらず、一昨年まで「特に減っていない」という立場であったし、カツオも近海の漁獲量が直線的に減っているにも関わらず、「資源は豊富で、現在の漁獲に問題はない」という立場をとっている。

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クロマグロ漁業の3つの問題点

現在、国内外で関心が高まっている太平洋クロマグロの現状について整理してみよう。

このエントリで用いる図はすべて、WCPFCのISCレポートからの引用である。

http://isc.ac.affrc.go.jp/pdf/2014_Intercessional/Annex4_Pacific%20Bluefin%20Assmt%20Report%202014-%20June1-Final-Posting.pdf

日本が主人公

太平洋クロマグロは、長距離の回遊をする高度回遊性魚類の代表である。しかし、その産卵場および主な生息域は日本のEEZにあり、漁獲および消費の大半は日本人によるものである。「ほぼ日本の水産資源」といってもよいだろう。

日本の次に漁獲が多いのはメキシコ。東太平洋に餌を求めて回遊した10~20kgぐらいの未成魚を捕まえて、餌を与えて太らせて、日本に出荷している。それ以外の国、韓国、台湾、米国の漁獲は誤差のようなレベルである。下のグラフを見て、「韓国のせいでマグロが減っている」と主張するのは難しいことが一目瞭然だろう。

キャプチャ

問題点 その1 未成魚への高い漁獲圧

下の図は漁獲されたクロマグロの年齢組成である。0歳、1歳、2歳でほぼすべての個体を漁獲していることがわかる。クロマグロは3歳で2割の個体が成熟し、5歳でほぼすべての個体が成熟すると考えられている。つまり、卵を産む前の未成魚の段階で獲りきっているのである。

キャプチャ

問題点 その2 産卵場での集中漁獲

未成魚に高い漁獲圧をかけ続けた結果として、大型の産卵群が減少している。6-8月の産卵期になると、日本海と沖縄沖にある産卵場に集まってくる。普段は広範囲に分布しているクロマグロもこの時期だけは一カ所に集まるのである。2004年までは、産卵場での巻き網操業は行われていなかったので、未成魚の漁獲を逃れた大型のマグロが日本海に存在し、資源の再生産を支えていた。しかし、2004年から、日本海の産卵場に集まってくる産卵群をまき網で一網打尽にするようになった。

下の図はまき網による大型魚の漁獲である。2003年までは、まき網は太平洋で餌を食べている群れを漁獲していて、産卵場がある日本海ではほとんどマグロを捕っていなかった。50Kg以上のマグロを釣ることができる沿岸漁業者はごく少数であり、日本海のマグロは、ある程度の大きさになってしまえば、その後は生き残り卵を産むことが出来たのだ。

2004年から、まき網が産卵期に集まるマグロを集中漁獲するようになった。それ以降、太平洋での大型マグロの漁獲は激減し、日本海での水揚げも直線的に減少している。長年蓄えられてきた産卵親魚をあっという間に切り崩してしまったのだ。

キャプチャ

すべての親魚が集まる産卵場での操業は、資源に致命的な打撃を与えかねない。たとえば、カナダのニューファンドランドのタラ資源が崩壊したのも産卵期に集まった群れを漁獲していたからである。産卵場で魚が捕れなくなったら、その資源はいよいよ終わりということだ。

 

問題点 その3 規制の欠如

幼魚と産卵親魚を獲りまくれば、資源が崩壊するのは、誰にだってわかる当たり前の話だろう。問題はこうした問題の多い漁獲が、何の規制もされずに野放しにされてきたことである。

沿岸の釣りや定置網は、クロマグロを捕るための許可は不要で、誰でも獲りたいだけ獲れた。大型まき網船は、許可魚種に「その他」という項目があり、国が規制していない好きな魚種を、好きなだけ漁獲をすることができる。一番規制をしないといけない漁法が、一番規制がゆるくなっている。小型のまき網は、「その他」の抜け道がないので、クロマグロを捕ることができない。

沿岸の釣り漁業、定置網、沖合の大型まき網は、クロマグロを獲れるだけ獲れたのである。釣り漁業の漁獲量はたかがしれているのだが、最も効率的な漁法である大型まき網漁船が何も規制されないというのは、普通に考えてあり得ない話である。水産庁は常々、「日本では漁業者が自主的な取り組みで資源管理をしているので、国が規制をする必要がない」と言っているのだが、県をまたいで回遊する魚種については、漁業者がまとまって話し合う場すら無いのだから、自主管理など出来るはずが無い。

太平洋クロマグロ資源の持続的な利用のためには、日本が幼魚の漁獲と産卵場の漁獲という二つの国内問題にしっかりと取り組んだ上で、国際的な規制を進めていくことが必要である。

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太平洋クロマグロはどれぐらい減っているのか?

今回は一般向けでは無く、メディアや勉強をしたい人向けに、少しだけ専門的な話を書きます。

クロマグロの資源状態について

太平洋クロマグロの資源状態については、1年半前のブログに書いたとおり。日本では3.6倍に増えるとか大本営発表をしていたが、実際には枯渇した資源に非持続的な高い漁獲圧をかけ続けている。

西太平洋のマグロの管理をしている国際機関WCPFCの科学委員(ISC)のウェブサイトはここにある。

http://isc.ac.affrc.go.jp/reports/stock_assessments.html

最新のレポートはこちら。
http://isc.ac.affrc.go.jp/pdf/Stock_assessment/Pacific%20Bluefin%20Assmt%20Report%202014-%20June1-Final-Posting.pdf

ドメインを見ればわかるように、日本の独立行政法人水産総合研究センターで管理されているのだ。日本国内で社会的な関心が高い水産資源の評価を、日本がホストする科学委員がやっているのだから、資源評価の日本語訳ぐらい準備しても良さそうなものなのだが、水研センターはサービス精神に欠けますね 👿

ということで、エグゼクティブ・サマリーだけでも個人的に和訳をしてみました。次回以降に、これをもとに水産庁が現在進めている太平洋クロマグロの管理措置について論じたいと思います。

科学委員の要旨

1.資源の概要

太平洋クロマグロは、太平洋全体で単一の系群を形成しており、国際機関WCPFC(西太平洋)とIATTC(東太平洋)によって管理されている。産卵場は北西太平洋にしかない。それぞれの年級群の一部は太平洋を横断して回遊し、北東太平洋で幼魚期の数年を過ごすものもいる。

2.漁獲の歴史

太平洋クロマグロの漁獲記録はあまり整備されていないが、日本沿岸では1804年、米国では20世紀初頭まで遡ることが出来る。漁獲量の推定によると、1929から1940年は漁獲が多く、そのピークは1935年の47635トンであった。その後、第二次世界大戦のために漁獲量が減少する。戦後、日本の漁獲活動が北太平洋全域に広がったために、1949年にクロマグロの漁獲が急増した。1952年までに、多くの漁業国で一貫した漁獲量報告システムが確立された。より信頼できる漁獲統計によって、1952年から2012年までの漁獲量は、年によって大きく変動することがわかった。この時期の漁獲のピークは1956年の40383トンで、最低は1990年の8653トンであった。クロマグロは様々な漁具によって漁獲されているが、現在の漁獲の大部分は巻き網漁業によるものである。1952年以降の漁獲は、未成魚中心であったが、1990年代から、0歳の漁獲が大幅に増加している。

3.データと資源評価

ストックシンセシス(SS)と呼ばれる年齢構成モデルによって、資源動態が推定されている。1952-2013年の漁獲量、年齢組成、単位努力量あたり漁獲量のデータにあうように、WCPFCの国際科学委員(ISC)のクロマグロワーキンググループ(PBFWG)が作業を行った。耳石から年齢を推定した成長曲線や、標識放流やその他の経験的な手法によって得られた自然死亡係数などの生活史パラメータが含まれる。

国と漁具によって階層化された全14漁業が資源評価モデルには含まれている。利用可能な漁獲・年齢組成データを利用して漁獲のプロセスを表現した。日本の遠洋延縄、近海延縄、台湾の延縄 および 日本のトロールのデータを用いて、相対的な資源量を評価した。尤度に基づく統計フレームワークで、モデルを入力データに適合した。最尤法によって、得られたモデルパラメータからモデルを構築し、パラメータの変動も考慮して、資源量の推定と将来予測をおこなった。

PBFWGは、CPUEデータ、入力データの重み付け、年齢別の漁具選択性を推定する手法に不確実性があることを認識している。それぞれ異なるCPUEデータと漁具選択性をもちいた4種類のモデルを走らせることで、これらの不確実性が動態モデルに与える影響を評価した。

このあたりは、モデルの細かい話なので中略

4.資源状態と保全のアドバイス

資源状態

最新の資源評価では、2012年の産卵親魚量は、26324トンで、2010年の推定値25476トンよりもほんの少し多かった。

新規加入量(卵から生き残って、新たに漁獲対象になった個体数)の推定値は、モデルの設定を変えても、ほぼ同じような水準だった。2012年の新規加入は比較的低水準(61年で下から8番目)であり、過去5年の新規加入は歴史的な平均水準を下回っていた。2009-2011年の漁獲死亡係数の推定値は、0-6歳については、それぞれ19%,4%,12%,31%,60%,51%,21%増加したが、7歳以上については35%減少した。

WCPFCおよびITTACでは、太平洋クロマグロについては、資源管理のための目標や指標は決定していない。現在の漁獲圧は、Floss以外の一般的に用いられているすべての管理指標よりも大きくなっている。2012年の産卵親魚量は、漁獲がなかった時代の6%以下であった。一般的な管理指標と比較すると、乱獲が現在進行中であり、資源が乱獲状態にあるといえる。

実例として、Kobeプロットの図を示した。(AはSSBMedとFMED、BはSSB20%とSPR20%に基づく)太平洋クロマグロに対しては、管理指標の合意がないのだが、これらのKobeプロットは、資源状態に対する別の視点を提供し、今後の議論に役立つだろう。

歴史的に見て、西太平洋の沿岸漁業が最も大きなインパクトをもっていた。しかし、1990年代初頭から、西太平洋の巻き網のインパクトが増加し、これらの努力量がたのすべての漁業グループを凌駕している。東太平洋のインパクトは、1980年代中頃まで大きかったが、その後、大幅に減少している。西太平洋の延縄はすべての時期を通して、限定的なインパクトしか与えていない。漁業の影響は、漁獲される個体数と大きさの両者によって決定される。たとえば、多数の小型の稚魚を漁獲することは、大型の成熟個体を漁獲するよりも、未来の産卵個体群に対する影響が大きいこともあり得る。

管理アドバイス

現在(2012年)のバイオマスは歴史的な最低水準付近で有り、Floss以外のすべての管理指標よりも高い漁獲圧がかかっている(訳者注:Flossは資源が消滅に向かう漁獲圧なので、これを超えなければよいというものではない)。将来予測をみても、現在採用されているWCPFC CMM(2013-09)およびITTAC(C-13-02)の管理措置を今後も続けた場合、現在の低水準の加入が続く限り産卵親魚は回復しないと考えられる。

NC9で要求された将来予測では、低水準の加入が続いた場合には、もっとも厳しい管理シナリオ6のみで産卵親魚が増加した。シナリオ6の結果から、さらに大幅な漁獲死亡率とすべての未成魚の年齢帯における漁獲量の削減によって、産卵親魚が歴史的最低レベルを下回るリスクを削減できることが示された。

もし、最近の低水準な加入が今後も続く場合、産卵親魚が歴史的最低水準を下回るリスクが増加する。このリスクはさらに厳しい管理措置を執ることで減少できる。

NC9が要求した将来予測では、長期的な平均的な加入まで回復しない限り、産卵親魚増加は現在のWCPFCおよびITTACの保全管理手段では望めない。

産卵調査の結果に応じて、資源評価での未成魚の定義が変更された場合には、予測結果も変わる可能性がある。SSBが低水準であり、将来の新規加入が不確実で、資源バイオマスに対する加入が重要性であることを考慮すると、加入のトレンドをタイムリーに把握するためのモニタリングを強化すべきである。

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検討会という茶番

先日、水産庁の資源管理あり方検討会が開かれた。この手の検討会が開かれるのは実に6年ぶりである。6年前の検討会は、資源管理反対派を集めて、資源管理をしない言い訳を並べただけだった。今回も、俺以外はこれまでと同じメンバー。水産庁OBが大勢をしめる委員たちは、「日本の漁業管理はすばらしい」と自画自賛しているだけ。今年の3月から6月まで、密度が低い会議をたった6回しただけで、国の漁業政策の方針を決めようというのだから、乱暴な話である。

水産庁にとって、この手の会議は、財務省と政治家に予算をねだるための儀式である。議論の内容ではなく、会議をやったという既成事実が重要なのだ。会議の着地点(とりまとめ)は、あらかじめ決められている出来レースだ。その証拠に、俺以外の委員は、「日本の漁業は現状でうまくいっている」と言い張って、個別漁獲枠方式(IQ方式)の問題点を並べて反対していたのだけど、会議のとりまとめは「IQを試験的に導入して、実証試験をします」という結論になる。残念ながら、検討会の内容には、大した意味がないのである。

6年前と今とで、「はじめに結論ありきの出来レース」という部分は変わらないのだが、出来レースの着地点が大きく変わった。6年前は「公的機関は資源管理をやりません」という結論の出来レースだったのだけど、今回は「とりあえずIQを試験的にやります」という結論の出来レースだった。出来レースの出口が変わったのは、水産行政を取り巻く情勢が変わったからである。6年前は「資源管理はやらないけど、業界団体に配るから予算をちょうだい」という主張が通った。でも、今は、「資源管理やるから予算をちょうだい」と言わなければ通らなくなったのだ。世論の変化が、じわじわと効いてきている。

では、水産庁もついに資源管理をやる気になったのかというと、どうもそうではない感じ。検討会で何かが決まったからと言って、物事が前に進むとは限らない。下手をすれば、逆方向に走ることだって十分にあり得る。だから、何を言っているかではなく、実際に現場で何をやっているかを見極める必要があるのだ。

検討会で、大臣許可の巻き網漁業を対象にマサバ太平洋系群にIQを試験導入することになった。それ自体は良いことだと思うのだけど、漏れ聞いてくる話を総合するととてもやる気があるようには見えない。大型の巻き網船は5隻ぐらいで船団を組んで操業する。以前は太平洋にに100を超える船団が集まったのだが、たこの足食いのような乱獲レースでつぶし合いをした結果、現在は20程度の船団しか残っていない。今回のIQの実証試験では、規模が小さな2~3船団のみに個別の漁獲枠を導入する計画らしい。個別漁獲枠の目的は、早獲り競争の抑制することによって、魚の質を向上させて、操業コストを削減することである。ごく一部の漁船にだけ形式的な漁獲枠をいれても、早獲り競争は抑制できないのだから、IQの効果が期待できないのは自明だろう。「IQの実証試験をやったけれど、効果がないからやめます」というために実証試験をしているようなものである。実証試験といいつつも、その実態は「資源管理をやらないためのアリバイ作り」なのだ。仕事をしないことにかけては、実に有能な組織である。

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シーフードスマートTV ウナギ編・第1回

今、なにかと話題のウナギについて、情報を整理する必要があると考えて、築地の生田さん(Seafood Smart)と一緒にインタビュー取材を行いました。

なんと、8回連続で、1~4回目がウナギの専門家で、IUCNの専門委員のメンバーでもある海部健三さん(中央大学)、5~8回目が「うなぎ 地球環境を語る魚」の著者である井田徹治さん(共同通信)です。

とても濃厚な内容なのですが、まずは一回目を公開です!!

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水産業の苦境を打開するのに必要なのは、補助金では無く、資源管理

産経ビジネスに漁業の復興関連の記事があった。この記事から、日本の水産業が元気が無い理由が透けて見えるような気がしたので、整理してみようと思う。まずは記事に目を通して欲しい。

三陸の水産業者、苦境打開へ 世界に活路もアピール不足

三陸地方の水産業者が、海外展開に活路を見いだしている。東日本大震災から3年が過ぎても続く苦境を打開しようと、国や自治体も支援に乗り出した。だが、宮城県気仙沼市が5月に実施した欧州視察事業からは、国を挙げてのPR力不足や、衛生基準などを満たすハードルの高さが見えてきた

Sankei Biz 2014.6.21 07:10

「PR力不足」、「衛生基準の不備」、「人手不足」という問題があるのは確かなんだけど、「これらの他国では当たり前のようにできていることが、なぜ日本ではできないか」という根本的な問題を考えないといけない。これらの構造的な問題は、被災地だけのものでもないし、被災後に新たに発生したものでもない。そもそも漁獲規制が緩い日本では、価値が出る前に魚を獲り尽くしてしまうので、水産業では利益が出ない。だから、マーケティングや衛生管理などに投資ができないのである。乱獲された魚を高く買う先進国はないので、PR力や衛生基準の前に、持続性に取り組まなければならない。相手に買ってもらえる生産体制を作るのが先なのだ。

また、PR活動をやるなら、業界の自己負担が大原則だ。ノルウェーの場合は、ノルウェー水産物審議会がマーケティングをしている。日本でも、ノルウェー大使館と連携と獲りながら、活動をしている。その原資はすべて業界負担である。

前述の法律に基づき、ノルウェーの全ての水産物輸出業者は、NSC に登録し、賦課金を拠出することが義務付けられている。
NSC の財源は、各水産物の輸出ごとに徴収される賦課金である。賦課金は魚種に関係なく輸出額に対して一律 0.75%に設定されている。

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_enkatu/pdf/h23_taisei_5norwey.pdf

業界が身銭をきっているから、NSCの活動は具体的な成果を常に問われている。組織防衛のために、必死になって、プロモーションをしている。日本の場合は、「初めに補助金ありき」である。他人の財布感覚で、タレントを呼んで、自己満足的なイベントをしておわり。広告代理店が儲けるだけで、後には何も残らない。

まとめるとこんなかんじ

○ これまでの水産物ブランド化事業→補助金で話題作り→効果が無い

○ ブランドを育てるために必要な要素
①差別化できる水産物の安定供給 → 資源管理・持続性認証
②適切なマーケティング → 受益者負担・専門組織

日本の水産物ブランド化の取り組み(補助金事業)はことごとく失敗してきた。ブランドを育てるために必要な要素が欠けているからである。水産物ブランド化の前提としては、差別化できる水産物を安定供給できる体制を整えないといけない。そのためにやるべきことは資源管理と持続性認証(水産エコラベル)である。水産エコラベルは、単価が高い欧米に魚を売る上でもはや必須と言える。①の条件と整えた上で、②適切なマーケティングを行う必要がある。そのための必要条件は、受益者負担とそのための専門組織をつくることだ。

人手不足の原因は、日本の水産業は利益が出ないから、安い賃金しか出せないことである。震災前から、日本の水産加工業は中国人研修生という安い労働力に依存していた。それでも利益が出ずに衰退の一途を辿っていた。ノルウェーは、人手不足で、賃金が高くても人があつまらないから、仕方なく設備投資をして省人化を進めている。日本とノルウェーでは、おかれた状況が違うのである。ノルウェーの近代的な加工設備を補助金で導入したところで、減価償却すら難しいだろう。今の日本がノルウェーから見習うべき点は、近代的な設備ではなく、そういう投資を可能にする前提としての資源管理なのだ。

地域の雇用という観点からは、日本に必要な施策は省人化では無く、水産業の黒字化であることは自明だろう。たとえば、こちらの動画(2:55~)はニュージーランドの離島の水産加工場である。ニュージーランド政府の厳しい漁獲規制のおかげで、水産業が利益を上げているために、機械化を進めなくても十分な賃金が支払われている。

これまでも、「あれが無い」、「これが無い」といって、補助金に依存してきた日本の水産業は衰退の一途を辿っている。海外に目を向ければ、資源管理をしっかりしている漁業国は軒並み利益を伸ばしている。水産業の苦境を打開するのに必要なのは、補助金では無く、資源管理なのである。

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世界の浮魚の資源管理に関するレビュー

環境NGO Sustainable Fisheries Partnershipによる、世界の浮魚資源の管理状態に関するレビュー。

  • 比較的良く管理された漁業に由来する漁獲は、全体の66.5%であった。
  • 33%の資源は適切に管理されていないが、資源が実際に減少しているのは17.8%であった。
  • 非常に良く管理されているのは8%で、それらは北東大西洋の資源であった。
  • 小型浮魚類は、海洋生態のなかで、一次生産のエネルギーを高次捕食者に送るカギである。減らしすぎないように、予防的な措置をとる必要があるだろう。

http://cmsdevelopment.sustainablefish.org.s3.amazonaws.com/2014/06/17/Small_Pelagics_Sector_Report_2014_-_FINAL-396e5e21.pdf

漁業の持続性を定量化するは、かなり一般的に行われている。また、最近は、「評価・格付け」をするだけではなく、漁業管理の改善を支援するプロジェクト(Fisheries Improvement Projects, FIPs)も盛んになりつつある。持続性の認証を得るにはどこが足りないかを評価した上で、それを改善していこうという試みである。東京オリンピックまでに、国際的なエコラベル認証を得た水産物を増やすことが急務である。日本の漁業を、世界的な基準で持続性の評価をした上で、FIPsを活用し、持続性の酢単ダーを高めていく必要があるだろう。

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プライムニュース でウナギについて議論をしました

プライムニュースに出演して、ウナギについて議論をしました。

6月17日(火)
『ニホンウナギ絶滅危機 捕獲量取り戻すには 魚食文化どう守る 』

12日、国際自然保護連合(IUCN)はニホンウナギを絶滅の恐れがある絶滅危惧種に指定した。IUCNの判断には法的拘束力がないため、ウナギの捕獲がただちに禁止されることはないが、ワシントン条約で規制対象を決める際の根拠となることから、今後、輸出などの規制につながる可能性がある。
縄文時代の遺跡からもウナギの骨が発掘されるなど、古くから日本人が親しんでいたウナギ。伝統的な食文化を守るためには必要なこととは。
横山農水政務官らを迎え、ウナギ捕獲の現状から日本の食文化まで多角的に議論する。

ゲスト
横山信一 農水政務官
勝川俊雄 三重大学生産資源学部准教授
生田與克 NPO法人魚食文化の会理事長

 

あと10日間はハイライト動画をウェブで視聴できます。

http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d140617_0

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テレビ愛知 「激論!コロシアム」に出演します。本日19:30~です。

テレビ愛知 「激論!コロシアム」に出演します。本日19:30~です。

ゲストが知っている人ばっかりだぞ(笑
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(テレビ愛知)「マグロ、ウナギだけじゃない!ニッポンの海から” 魚” が消える!?」

詳細

番組内容
日本の食卓に欠かせない食材、魚。実はいま日本の魚が危機的な状況を迎えている。1980年代をピークに水揚げ量は減り続け、このままいけば日本で魚が取れなくなる日が来る可能性も。原因は乱獲。稚魚や幼魚を根こそぎ取りまくり、マグロをはじめ、ウナギ、マイワシ、サバ、サンマなどが絶滅の危機に瀕している。また輸入魚も和食の世界的なブームを受け輸入量が年々減少している。
番組内容2
しかし国は補助金をばらまくだけの場当たり的な政策しかやらず、漁業関係者は既得権をたてに資源保護に消極的。このままでは日本の伝統文化” 魚食” が消滅してしまう可能性も。はたしてニッポンの魚食の未来は?
出演者
【メインコメンテーター】
石原良純
【司会】
堀潤
春香クリスティーン
【レギュラー論客】
北野誠(タレント)
細川昌彦(中部大学教授)
出演者2
【ゲスト】
山田正彦( 元農水大臣)
麻木久仁子( タレント)
勝川俊雄( 三重大学准教授)
生田よしかつ( 魚食文化の会理事)

コンセプト
ここは勇者の戦場。三つのオキテがある。
1.ニュースを知ったかぶりするべからず!
2.世間に流され、善悪を判断するべからず!
3.飛び交う意見を他人事と思うべからず!
関連情報
【番組HP】
http://www.tv-aichi.co.jp/gekiron/
【公式Facebook】
https://www.facebook.com/gekiron
【公式ツイッター】
gekicolo_tva
#gekicolo
番組概要
日本、そして愛知に住む私たちが今、直面している問題は何なのか。私たちはどう考えていくべきなのか。時事討論型エンターテインメント番組「激論!コロシアム」では、外交、内政問題から天皇論まで、視聴者が今、気になっている話題を取り上げ、当事者や有識者が議論を深めます。ニュースの裏側にある「何故、そうなったのか」を徹底して解明し、ここでしか聞けない少し危ない話も提供していきます。
ニコ生でも!
【ニコ生公式チャンネル】
http://ch.nicovideo.jp/gekiron
ニコ生「堀潤のウソは許さん!」
番組放送当日の昼に堀潤&春香クリスティーンが、スタジオからお送りする時事放談!気になる最新の話題から、当日夜の番組に参戦するゲストの噂話、さらにはテレビ局の舞台裏も極秘レポート!時にゲスト論客が乱入し、収拾つかないことに!?

制作テレビ愛知

http://www.tv-aichi.co.jp/ps/epgpg/guest/prog/?ECODE=20140614193000

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日本メディアはIUCNのウナギレッドリスト掲載をどう報じたか

日経新聞 2014/6/12 21:53
ニホンウナギ、外食・小売りに波紋 絶滅危惧種に

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ120HQ_S4A610C1TI0000/

世界の科学者で組織する国際自然保護連合(IUCN、スイス)が、絶滅の恐れがある野生動物を指定する「レッドリスト」にニホンウナギを加えた波紋が、外食業者などの間で広がっている。野生動物の国際取引を規制するワシントン条約が保護対策の参考にしており、将来、輸入が制限される可能性がある。ここ数年、卸値の上昇で消費者離れが進んでおり、一段の高値を招きかねない決定に困惑している。

資源の問題には触れず、規制のせいで市場が縮小し、業者が困惑しているという内容。ウナギ市場の縮小というグラフがあるが、日本のウナギ市場が縮小しているのは規制をしているからでは無く、無規制に獲って食べてきたから資源が無くなっているのである。

ワシントン条約に記載されても輸出国の許可があれば取引はできる。ただ制限がかかれば流通量の減少や値上がりなどの影響が考えられる。

という記述を言い換えると、「政府が認めない密漁ウナギなくなると、流通が減りと値上がりするぞ」と言うこと。取材先は、回転ずしのくらコーポレーション、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトホールディングス、ゼンショーホールディングス。回転寿司業界が、目先のウナギの値段にしか関心が無いと言うことがよくわかります。

読売新聞 2014年06月12日 12時59分
ニホンウナギ、絶滅危惧種に…2年後規制の恐れ

http://www.yomiuri.co.jp/science/20140612-OYT1T50074.html?from=ytop_ylist

 レッドリストに法的拘束力はなく、直ちに捕獲や消費が制限されることはないが、今後、国際取引の規制につながれば、日本の食卓に影響が出る可能性がある。IUCNのレッドリストは世界で最も権威があるとされ、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約で対象種を検討する際の重要な判断材料になる。次回の締約国会議は2016年。林農相は12日、報道陣に「資源管理を加速させたい」と語った。

専門家が絶滅の心配をしている一方で、読売新聞は漁獲規制の心配をしています。どこまでも無規制が続くのが一番怖いと思うのですが。「資源管理を加速させたい」という国の姿勢がせめてもの救いです。

産経 2014.6.12 12:17
「厳しい時代来るかも」 養殖産地の愛知、静岡

http://sankei.jp.msn.com/science/news/140612/scn14061212170001-n1.htm

国際自然保護連合(IUCN)が12日、レッドリストでニホンウナギを絶滅危惧種に分類したことに、ウナギ産地として知られる愛知、静岡両県の関係者から影響を懸念する声が相次いだ。

レッドリストよりも、絶滅危惧に指定されてるまでウナギを食べつくした日本の消費の非持続性を懸念すべきだと思います。

ウナギを使った名古屋名物ひつまぶしの老舗「錦三丁目いば昇」(名古屋市中区)の店主、木村知正さん(72)は「ある程度は規制の議論が高まっても仕方がない。日本には中国産が大量に出回っているが、安く買える状況は変わらざるを得ない」と語った。

こういう人がいるというのがわずかな救いです。「ウナギが無ければ別の物を売れば良い」という回転寿司と違い、老舗のうなぎ屋は、ウナギが無くなれば死活問題です。資源の問題についても考えざるを得ないのでしょう。

朝日新聞 2014年6月13日05時29分
「年数回のぜいたくが…」 ニホンウナギが絶滅危惧種に

http://www.asahi.com/articles/ASG6D6S2XG6DULBJ01R.html?iref=com_alist_6_04

 評価に携わった中央大の海部健三助教(保全生態学)は「もっと早く掲載されてもおかしくなかった。保全しなければいけない、という方向につながっていくことを望む」と話した。

ウナギ稚魚の国内漁獲量は半世紀前は年200トン以上あったが、2012年までの3年間、年3~6トンと過去最低水準が続き、13年はさらに減少。今年は5年ぶりに回復しているが「過去に比べると低水準で引き続き右肩下がりで減少している」(水産庁)という。

資源の問題にフォーカスした記事。海部さんは、ウナギ資源の専門家なので、このテーマの取材に適切な人物といえる。あと、水産庁が「今年は増えただけで、引き続き右肩下がり」という認識を一貫して示しているのが、興味深い。数年前まで、「ウナギは減っていないので規制は不要」と言っていたのだけど。水産庁の水産資源の持続性に対する態度が、ここ2年ぐらいで変わってきているように思う。

毎日新聞 2014年06月12日
ニホンウナギ:国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定

http://mainichi.jp/feature/news/20140612k0000e040155000c.html

危機をもたらした要因として、生息地の損失▽乱獲▽回遊ルートの障害と汚染▽海流変化−−を列挙。ニホンウナギの減少が、東南アジアを原産地とするビカーラウナギなど異種のウナギの取引増加を招いているとし、ビカーラウナギも準絶滅危惧種に指定した。

評価した専門家グループのマシュー・ゴロック委員長は発表文で「ニホンウナギの状況は非常に懸念される。ウナギ類の保全に向けて優先的に取り組まなければならない」と指摘した。

ウナギ資源の危機的状況と、異種ウナギの準絶滅危惧種指定を紹介する良記事。「ニホンウナギがヤバい」というのは国内外の専門家の共通認識です(ごく一部例外もいますが)。

神奈川新聞 2014.06.13 03:00:00
ニホンウナギ 絶滅危惧種に 消費見直し資源回復を 専門家「踏み込んだ判断」

http://www.kanaloco.jp/article/72938/cms_id/86006

「ニホンウナギだけではなく世界のさまざまなウナギに関し、IUCNは資源保護の観点から踏み込んだ判断をしてくれた」。北里大海洋生命科学部(相模原市南区)でウナギの研究を行う吉永龍起講師(42)は、今回のレッドリストへの分類をそう評価し、「消費の見直しだけでなく、資源回復へ積極的な取り組みを」と訴える。

ウナギ資源の保護の必要性を提言し続ける東アジア鰻資源協議会も、今回のIUCNの分類を支持した。ただ、「レッドリストも、国際取引を規制するワシントン条約も、実効性はない」と吉永講師。「これからもウナギを食べ続けるには、もはや消費のあり方を見直すより、資源回復のために何ができるかを考えるべき」と訴え、こう強調した。「今のままでは、本当にニホンウナギは絶滅する」。

長年ウナギの研究をしてきた吉永さんの危機感が伝わってくる良記事。

ニホンウナギ:絶滅危惧種指定 柳川組合長捕れなくなる?
毎日新聞 2014年06月12日 11時44分(最終更新 06月12日 12時28分)

http://mainichi.jp/feature/news/20140612k0000e040194000c.html

 「国際自然保護連合」(IUCN、本部・スイス)が12日、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定したことに対し、ウナギ料理店や消費者からはウナギが食べられなくなったり、価格高騰につながったりすることへの不安の声が上がった。

柳川うなぎ料理組合の組合長(69)は「世界的な絶滅危惧種になれば、クジラのように『絶対捕ってはいけない』というようになってしまうのでは」と心配する。

ワシントン条約は貿易規制であり、国内での捕獲・利用を規制する物ではありません。かりにワシントン条約で最も厳しい規制がかかったとしても、国内消費には影響が無いのです。本当に心配なら、少しは勉強をしたらどうでしょうか。不勉強な人の言説をそのまま掲載すると読者をミスリードしかねません。

東京新聞 2014年6月12日 夕刊
ニホンウナギ 国際絶滅危惧種に 乱獲・環境悪化に警鐘

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014061202000263.html

今回、専門家グループが危機度を評価した結果、日本の天然産成魚の漁獲高が三十年前の十分の一に激減していることや、稚魚のシラスウナギの乱獲、工事による湖沼、河川での生息地の消失などが絶滅の危機に追いやっているとした。

水産庁の担当者は「今夏の土用の丑(うし)に供されるニホンウナギは、昨年に取引されたシラスウナギの成魚。値下げに直結するのは難しいのでは」と分析。「昨年から一時的に回復したからといって、ニホンウナギの成育環境が依然として厳しい状態に変わりはない」と指摘している。

資源の危機的状況やその原因についてきちんと整理されている。取材先は水産庁。

毎日新聞 2014年06月12日 11時20分
ニホンウナギ:絶滅危惧種指定 日本は世界の消費の7割

http://mainichi.jp/feature/news/20140612k0000e040186000c.html

水産資源に詳しい勝川俊雄三重大准教授(水産学)は「短期的な需給にばかり目を奪われ、持続的な資源管理の視点を欠いてきた」と指摘する。

IUCNは、ニホンウナギ激減の要因には乱獲のほかにも河川・沿岸開発、海流変化などが複合して関係していると指摘する。伝統的な食文化を守るためにも、国内の漁獲規制はもちろん、国際的な管理の仕組み作りに積極的に関与することが日本に求められている。

「食」との向き合い方の再考と国際的な管理の枠組みの必要性を指摘する記事。取材先は、水産資源に詳しい勝川さん。

まとめ

取材先と典型的なコメントをまとめるとこんな感じ

  • チェーン店 「規制されると高くなって困る」
  • 専門店「困ったけど、規制は仕方が無い」
  • ウナギ専門家「ウナギ資源、まじヤバい。保全のための強力な取り組みが必要」
  • 水産庁「資源は長期減少傾向で、危機的な状況」

どこに取材するかで、どういう記事になるかが決まるような感じですね。売ってなんぼの、大量消費が招いた悲劇という気がします。

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