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2006年11月22日に海洋研で実施されたシンポジウム、
漁業管理におけるリスク評価と合意形成のための社会経済学的アプローチ
をテープ起こししたものが、ネットで読めちゃいます。小山田くん、グッジョブ。http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2007/JSPS18631003.pdf
これは、濃いですねぇ。濃厚ですよ。
参加した人も参加してない人も、是非、読んでください。
特に、冨山さんと、杉山さんの部分は必読です。
3回は読みましょう。
俺の講演に関しては、ここに動画があります(ファイルが重いので要注意!)。
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2006/11/post_63.html
某水産系の新聞に掲載予定の連載記事を書いています。
気合いを入れて書いていたら、収拾がつかなくなってきた。
案の定、修羅場です。とほほ。
入校が遅れてしまって、すまんです。
まあ、原稿料無しのただ働きなんで、大目に見てください。
時間がないので、昼飯はカロリーメイトです。
時間が無いからといって、食をないがしろにしてはいけませんね。
はやく原稿を仕上げて、美味しい魚を食べたいです。
ということで、ブログのは今日はお休みいたします。
コメントは読んでますが、返事は後日でということで。
マサバ太平洋系群資源回復計画については、下のpdfを見て欲しい。
http://www.jfa.maff.go.jp/sigen/masaba%20taiheiyou.pdf
本系群でも数年間隔で卓越年級群の発生が確認されており、1990年代には産卵親魚量が5~11万トン(推定値、以下同じ。80年代は50~60万トン)と低い水準にある中、1992年(28億尾、翌93年6億尾)、1996年(43億尾、翌97年5億尾)に卓越年級群の発生が確認されている。しかしながら、これら卓越年級群の発生にもかかわらず、当時の未成魚の多獲により産卵親魚量は回復せず、低水準のまま現在まで推移している。
漁獲量は1978年の147万トンをピークにその後徐々に低下し、1990年には2万トン程度まで減少した。その後、1992年と1996年に発生した卓越年級群により30万トン程度の漁獲をあげた年もあったが、当時の未成魚の多獲により資源回復は図られず、低い漁獲水準のまま現在まで推移している。
このように、これまでの卓越年級群の発生にも拘わらず、的確な発生予測や発生確認後の広範囲に亘る操業体制の迅速な整備が困難であったこと等から未だ資源回復に至っておらず、このため、今後、複数年にわたる計画期間を設定し、卓越年級群の発生に備えた操業管理体制を前もって整え、卓越年級群の発生時には、このタイミングを逸することなく大量の未成魚を保護するとともに、それらが親漁に成長した後も適切な管理を行うことにより、資源回復に必要な数量の産卵親魚を確保して、資源の回復を図ることが必要となっている。
中型まき網漁業、サバたもすくい網などでも漁獲が行われている。主体となっているまき網漁業の近年の特徴としては、①三陸から常磐海域の大中型まき網漁業は未成魚を主体に漁獲していること、②太平洋南区(和歌山~宮崎県)や熊野灘で操業するまき網漁業のサバ類に占めるマサバの割合はかなり小さいものとなっていることがあげられている。
資源回復計画の現状認識は、妥当だろう。
このブログや資源評価票とも整合性がとれているはずだ。
では、具体的な中身について見ていこう。
3.資源回復の目標
本資源の高水準での持続的利用を可能とするためには、安定的な再生産(新規加入)の維持に必要な産卵親魚量45万トン以上の確保が必要とされている。一方、現在の資源水準(産卵親魚量約8万t:平成15年度推定値)及び資源回復措置の漁業経営に及ぼす影響を考慮した場合、必要な親魚量を短期間で確保することは困難となっており、複数回の卓越年級群の発生を利用し、段階的に資源回復を図っていくことが必要となっている。このため、5カ年間の本計画期間を第1段階と位置付け、本計画終了時の産卵親魚量を18万トン水準に引き上げることを本計画の目標とする。なお、資源状況により上記水準を上回る水準にまで産卵親魚量を回復することが可能な場合は、45万トンにできるだけ近づく水準にまで回復を図ることとする。4.資源回復のために講じる措置と実施期間
![]()
現在、マサバは未成魚で殆どが漁獲されている状態であり、
まず、未成魚の漁獲圧を減らさなければお話にならない。
回復計画の成否は大中まきの未成魚への漁獲圧を弱められるかどうかにかかっており、
そのために大中まきに休漁補償金を支払うことにした。
漁に出ていたら得られていたであろう金額を税金で補償するから、魚をとるなということだ。
補償金は、国と地方自治体と漁業者で1/3ずつ出し合うことになっているが、
実際には地方自治体はお金がないから払っていないようであり、
国から休漁による減収の1/3が補助されている状態のようである。
これもまた、おかしな制度だと思う。現に未成魚を乱獲をしている漁業者にはあめ玉を配って、
未成魚の乱獲のせいで漁業が崩壊している成魚を対象とするサバ漁の漁業者には何もなしだからだ。
筋を通すなら、未成魚を乱獲している漁業者が、成魚を獲る漁業者に補償金を支払うべきだと思う。
まあ、なんにせよ、漁獲努力量が減ることが重要だろうと思うが、実際にどのくらい減ったのだろうか?
次の図が、大中まきの航海数である。
(航海数の統計は、国内全体をまとめたものしか見あたりませんでした。
北部太平洋の統計がどこにあるか知っている人は、ご一報ください。)
それまで減少傾向で推移していたのに、
休漁補償を始めた平成15年から増加に転じています。
一統あたりの平均航海数も急上昇しています。
川崎先生の論文によると、ピストン輸送をしているので、結果として航海数が増えているそうです。
休漁補償金が、ピストン輸送をする油代になっているだけかもしれない。
一般的に、補償金は資源の保護に繋がらないことがわかっている。
経営が苦しい漁業者が乱獲を続けるのを助けるだけに終わる場合が多いのだ。
巻き網の厳しい現場が伺える面白い新聞記事を発見。
http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/display/5013/
漁協幹部は「魚価安を補うため、一晩当たりの投網回数が5割は増えており、乗組員の体力消耗が激しい」と顔を曇らせる。
販売戦略としては、関サバ、関アジなどの成功に代表されるように、一本釣りによるブランド化で大衆魚を高級魚化する方策もあろう。だが、「巻き網で多獲性の魚種を市場へ安定的に供給する技術、能力を確保しておかなければ、国民に安価で良質な水産タンパクを供給することはできない」と、福岡県水産海洋技術センターの渡辺大輔さん(34)は力説する。
「魚価安→努力量を増やす」は、乱獲スパイラルの典型例だな。
努力量が5割り増しだと、かなりの漁獲率の上昇になるはずだ。
東シナ海のアジ、タチウオ、マダイの資源状態はそれほど悪くないようだが、今後が心配。
「目先の利益のみを追求する漁業を止めない限り、国民に水産タンパクを供給できなくなるのは時間の問題である」と、東大海洋研の勝川俊雄さん(34)は力説したい。
工学部で授業をしてきた。
順応的管理の話をした。
半分ぐらい寝てた。
生涯初授業だったのだが、反省点は多い。
まず、話の方向性が定まらなかったのが痛いな。
いろんなプレゼンの資料をつないでおいて、
場の流れを見て話を調整しようと思ったのだが、正直、上手くいかんかった。
当たり前だが、俺の話は内容が水産向けなんだよね。
他学部の学生に水産資源のバックグラウンドを説明するのも何だし、
かといって、バックグランドを省略したら、何をやっているかわからないだろうし。
その辺の迷いがあるが故に、こちらとしては話しづらいし、向こうとしては聞きづらかっただろう。
フォーカスが絞れていないと良い話は出来ないということだ。
講義の依頼主である山口先生的には、もっと魚くさい話を期待していたようだ。
何も考えずに、マサバの未成魚乱獲とかの話をすれば良かったのか?
それは、それで微妙だろう。
非水産系の人間に話をするのは実に難しい。
しかし、その壁を乗り越えないと専門バカで終わってしまう。
難しいものです。
今日は水産学会の企画広報委員会の会議だった。
水産学会和文誌の記事の企画全般を行っているのだ。
かなり時間をかけてつくっているので、是非読んでください。
7月号は凄いですよ。
マイワシ!マイワシ!
電話で、締め切りすぎた原稿の督促ゲット。
ということで、ブログどころではないのですよ。とほほ。
資源評価票に毎年出てくる記述にこんなのがある。
1992年に加入量28億尾、1996年に43億尾の卓越年級群が発生したが、未成魚(0、1歳魚)の多獲によりSSBは回復しなかった。
これでは素人にはわかりづらいと思うので、少し説明をしよう。
多くの水産生物は、親の量が一定でも、子供の量は年によって変動する。
マサバもマイワシほどではないが、それなりに変動をする。
親に比べて子供が多い年が「当たり年」であり、その年に産まれのものを卓越年級群と呼んでいる。
マサバ太平洋系群の親子関係は、下のようになる。
データは平成18年度の資源評価票から引用をしたが、
その後の調査で2004年級群は1992年よりも大きかったことがわかっているので、
最新の知見を反映して、その部分は変更してある。
普通の年の親子関係は青の三角形の領域に収まるのだが、
例年よりも多くの子供が生まれて来る年がある。
これが当たり年だ。
最近では、1992,1996,2004が当たり年であった。
1992年と1996年の卓越年級群は、0歳、1歳で獲り尽くされてしまい、
資源の回復には全く結びつかなかった。
当たり年ですら、未成魚で獲り切れてしまう可能な漁獲能力が存在する以上、
ほぼ無規制な漁獲を続けていたら、未来永劫資源は回復しないだろう。
我々のグループが、1992年産まれを未成魚のうちに獲り尽くさないで、
1996年に産卵をさせていれば、かなりの水準まで資源が回復していたことを示した。
数年おきに卓越年級群が発生している現状では、ちゃんと卵を産ませればマサバは回復するのだ。
水産資源管理の難しいところは、保全と利用を両立させないといけないことだ。
「回復するまで一切獲るな」と言っても、今度は漁業者が絶滅してしまう。
漁業経営を安定させつつ、資源を回復させるためには、
当たり年を資源回復に結びつける必要がある。
当たり年に例年並みの漁獲量に抑えておけば、漁獲収入を確保しつつ、資源の底上げが可能である。
大きくなって、卵を産ませてから獲れば、そっちの方がトータルでは儲かるはずだ。
業界への痛みを最小限に抑えつつ、マサバ資源を回復させるためには、
当たり年の未成魚の漁獲を以下に抑えるかが鍵になる。
研究者と一部の行政官の尽力によって、
2003年の11月から、マサバ太平洋系群資源回復計画がスタートした。
川崎先生から論文を送っていただいた。
月刊経済という雑誌の7月号に掲載されたものらしい。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/2007/keizai07.html
紹介せずにはいられないような素晴らしい内容だった。
「魚離れ」と日本漁業 漁業政策・資源管理政策の批判的検討
川崎 健
魚介類の消費減退、漁業の実態から漁業政策を批判している。
日本漁業の現状を理解するのに適したレビュー。
消費から資源まで多岐にわたる内容が良く整理されている。
魚離れ
魚離れのメカニズムが80年代までと90年以降では違うと論じている。
1980年代までは、食料支出が増える中で、魚が肉に置き換えられていった。
つまり、食の欧米化(相対的魚離れ)である。
一方、1990年代以降は、家計が苦しくなる中で食料支出が減少する。
低価格志向が強まるなかで、肉よりも魚介類から切り捨てられている。
貧困化によって貧乏人は魚を食べられなくなっているのだ(絶対的魚離れ)。
この分析には、うなずける。
確かに、スーパーでは輸入肉の方が魚より安いのだ。
出来るだけ安くすませようと思ったら、晩ご飯のメニューは確実に肉になるだろう。
金持ちは畜養マグロやブランド高級魚を食べ、貧乏人は輸入肉を食えということか。
これが、格差社会のとほほな現実だろう。
日本漁業の衰退とまき網漁業
魚離れの次は「巻き網」の問題に触れている。
「乱獲による漁業資源の喪失と政府による乱獲の容認」ということで、
かなりつっこんだ内容の話がある。
横国の松田先生、東大海洋研の渡邊先生とならんで、
俺のマイワシの記事も取り上げられている。
川崎、松田、渡邊、勝川と日本を代表する研究者(最後が違う?)の間では、
浮魚の管理をしないといけないということで、意見は一致しているのだ。
で、ここで驚いたのは、大中巻きの平均航海数のグラフ。
2003年から、急激に上昇しているのだ。
この年から、休漁補償金を出しているはずなんだけど・・・・
どうやらピストン操業をしているらしい。
この公海数の統計はネットには出ていないので盲点だった。
引用文献の漁業・養殖生産統計年報の書籍版を確認したところ、該当するデータが確かにありました。
もう、なんでもありだな。
漁業政策の批判的検討
まずは、水産基本計画を分析した後に、資源回復計画に話題は移る。
●繰り返すのか種苗放流政策の失敗
●サバ類の資源回復計画の実態
と続くのだが、ここに次のような文章がある。
入口規制も出口規制も有効に機能せず、未成魚を多獲し続けている現状は、過去の教訓に学ばず、実効的な資源管理が行われていないことを意味する。国費を投入しての「資源回復計画」とは、いったい何であろう?
このようなことになったのは、先に指摘したように政府が一方では乱獲を容認しながら、他方では「資源回復」を政策の重要な柱として推進しようとする、この矛盾した政策展開に基本的な根元がある。このことをきちんと説明する説明責任が政府にはある。このことこそが、「中間論点整理」で「強く期待」された「国民的な議論」ではないだろうか。
「まさに、その通り!」と膝を叩きたくなるような内容だ。
俺も、このことを言うがためにブログを書いておるんだよ。
その後は、日経調の高木委員の緊急提言についても触れている。
国有化に関しては、ある漁業関係者さんと近い意見のようだ。
1994年の国連海洋法条約によって、EEZの資源は無主物ではなく、
共有財産資源なのだから、わざわざ国有化宣言をする必要はないということ。
あと、参入のオープン化は無いだろうというつっこみがあった。
これに関しては俺も同じような感想をもった。
緊急提言の文章からは、参入の自由化=オープンアクセスとしか読めないのだが、
高木委員としてはオープンアクセスのコモンズではなく、
ITQのような譲渡可能制度を考えているようである。
今月発表される最終提言では、中の人がこのあたりを明確に書いてくれるでしょう。
最後に日本漁業の課題で閉める
日本漁業の最大の課題は、漁業で生活することが可能で、将来の発展を期待できる方向性をもった漁業の構築をいかにして行うか、である。
これもまさにその通り。
漁業が産業として残っていくためには、資源の持続性と消費の持続性が鍵になる。
資源の持続性、漁業の持続性、流通の持続性、消費の持続性は実は同根なのだ。
日本の水産物を取り巻く実態は、乱獲、乱売、乱食であって、これじゃ漁業も廃れるはずだ。
すでに5回ぐらいは読み返したけれど、考えさせられる内容だった。
水産白書なんかより、よっぽど水産業の現状がわかる。
一人でも多くの人に、手にとって読んで欲しい。
月刊経済という雑誌は実物を見たことがないのだが、
7月号だけでも買えるみたいなので、お近くの書店でどうぞ。
未成魚の乱獲を辞めない限り、マサバ資源は回復しない。
漁獲統計データから別の結論を出しようがないのだ。
マサバ太平洋系群の資源評価票(http://abchan.job.affrc.go.jp/)にも、一貫してそう書かれている。
H13
1992 年と1996 年に発生した卓越年級群により30 万トン程度の漁獲をあげた年もあったが、未成魚(0、1 歳魚)の多獲により資源は回復していない。
1992年級と1996 年級を適切に管理していたならば、資源は回復していたと考えられている。H14 ~ H17
加入量当たり漁獲量の観点からは、漁獲開始年齢を現在の0歳から1歳魚へ引き上げる必要がある。さらに、魚価や繁殖への貢献を考慮すると漁獲開始年齢を3歳とするのが望ましい。
1992年級と1996年級を適切に管理していたならば、資源は回復していたと考えられている。資源評価のまとめ
* 加入乱獲と成長乱獲が同時に進行している
* 再生産関係が年代により変動する
* 近年は卓越年級群が時折出現することから、資源回復の兆候がある
* 資源回復が未成魚の多獲により阻まれてきた管理方策のまとめ
* 主要漁業であるまき網漁業を主体に未成魚の保護策を検討する
* 2006年に産卵親魚量10万トンへの回復を目指す
* 本系群に対する資源回復計画が2003年11月から開始されたが、効率的な実施が望まれる
* まき網漁業はマイワシ、カタクチイワシ、カツオ・マグロ類なども漁獲するので、これらを総合した方策が必要H18
1992年に加入量28億尾、1996年に43億尾の卓越年級群が発生したが、未成魚(0、1歳魚)の多獲によりSSBは回復しなかった。
加入量当たり漁獲量の観点からは、漁獲開始年齢を1歳へ引き上げる必要があり、さらに魚価や繁殖への貢献を考慮すると3歳が望ましい。
とまあ、資源評価票を並べてみれば、その中身は始終一貫していることがわかる。
H18年に関しては、以前よりも書きぶりが甘いように思うが、内容的には同じことだ。
未成魚の乱獲を続ければ、マサバ資源は回復しない。