栄養と料理 9月号に原稿が掲載されました


栄養と料理9月号(8月8日発売)
消費者が知っておきたい、漁業と水産環境の現状
魚はいつまで食べられるのか?
p100-107

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今年は、消費者に漁業の問題を訴えようということで、取り組んでいます。
漁業の現状を厳しく批判すると同時に、消費者にも厳しいことを書いています。
漁師は、多く獲ることしか頭にない。消費者は、安く買うことしか頭にない。
今の日本の魚食は、とても文化と呼べるような代物ではない。
漁師は持続的に獲るし、消費者が持続的に大事に食べる。
そういう持続的な魚食を実現するには、
業界も変わらなければならないし、消費者も変わらなければならない。

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安全安心の日本の干物

おもしろい調査があったので、紹介します。
事後処理はアレだけど、調査自体はとても意義があると思います。

緑茶・塩干魚介類の表示に関する特別調査の実施結果について
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/090520.html

19,689点の塩干魚介類の表示状況の調査を行ったところ、4,692点(23.8%に表示の欠落等の不適正な表示が確認されました。
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不適正な表示及び表示内容に疑義が認められた商品については、当該商品に表示された販売者、製造業者等に対し指導を行うとともに、不適正な表示の原因や事実確認のための調査を行いました。原料原産地の判別の結果、不適正な表示が確認された1業者に対し、指導等を行いました

不正な表示への対応:指示1件、文書54件、口頭786件

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要約すると、「1/4に不正の表示があったから、口頭注意しておいたよー」ということですね。こんな中途半端な処分では、消費者の不信感を増大させるだけでしょう。消費者の食の安全と、適正な表示をしていた76.2%の業者を守るためにも、不正表示業者のリストを公開すべきだろう。

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NZに行ってきたよ

またまた、NZに行って参りました。1週間と短い滞在でしたが、密度が高かった。前回の訪問と、その後のメールのやりとりで、NZサイドも我々の目的を理解してくれたようで、まさに、この人というような人物を紹介してくれた。ありがたいです。あと、今回は、チャタム島にも行ってきた。

チャタム島というのは、NZ本島のはるか東に浮かぶ孤島である。本土から、40人載りの小型飛行機が週に2便でている。約2時間半のフライトである。島の住民は570人。この島の主な産業は漁業と畜産。国から島に出る補助金は全くない。ITQが小規模漁村コミュニティーにダメージを与えるなら、この島が最初に淘汰されただろう。しかし、事態は全く逆なのだ。ITQのおかげで、漁業が利益を生み、島の生活が成り立っているのである。

島の主要な漁業は、アワビ(paua)、ロブスター(crayfish), Blue cod (アイナメ)、Kina(ウニ)である。アワビの漁業者の93%がITQを支持している。ロブスターの漁業者も数人の例外を除いて、ITQを支持している。島の加工場、漁業者組合、漁業者などに聞き取り調査をしたが、異口同音に「QMSが無かったら、漁業は無くなっていたよ」と語ってくれた。漁業者のインタビューもばっちりとってきたので、こうご期待。

チャタム島は面白いところだったよ。島に着いたら、まず、先住民の部族の歓迎セレモニーを受けた。マオリよりも前からいる、モリオリ族に招待されたのだ。セレモニーは女性を先頭にして、訪問するのがルールとのこと。戦争ではなく、平和を求めているという意思表示だそうだ。部族の方も、女性が出迎えてくれる。いざセレモニーになると、それぞれのグループのリーダー(男)が儀式をする。ここでは女性は一歩下がった場所で、発言も許されていないようだ。一通り、儀式的なやりとりが終わった後、鼻と鼻をくっつけて、挨拶をして、セレモニーは終わり。手作りのケーキや、アワビなどで、ウェルカムパーティーをしてもらった。

太平洋の真ん中の離島でも、伝統的なコミュニティーがしっかりと生き残っている。そのコミュニティーを支えているのは、補助金ではなく、漁業だ。コミュニティーは、NZ政府から経済的に独立している。コミュニティー内部では相互援助の精神で、たくましく生活をしている。彼らの生活を支えている漁業を支えているのが水産資源であり、水産資源を支えているのが、資源管理なのだ。チャタム島に関しては、いろいろ、書きたいことだらけです。

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先生も、なかなか楽しいものだ

情報科学基礎という授業を、受け持っている。俺の担当はプレゼンテーション。昨年までは、パワーポイントの使い方を説明していたようなのだが、そんなのわざわざ教える必要ないよね。ということで、今年は、「人前で話をするときに知っておくべき基本中の基本」をしっかりと叩き込んだ。でもって、最後に、学生にいろんなプレゼンをしてもらうのだが、なかなかの力作揃いで面白かった。みんなが、いろんなことに関心を持っているのがよくわかり、先生はうれしかったYO。

まだ、半分残っているので、次の授業が楽しみだ 😛

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マグロ養殖、富より未来 豪業者、乱獲の埋め合わせ

Bloomberg/マグロ養殖、富より未来 豪業者、乱獲の埋め合わせ – FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE.

オーストラリアも同じようなことをやっていますね。
技術的な問題はクリアしたとして、後は採算ですな。

界の漁獲高の8割を食べ尽くしているのは、世界最大のマグロ消費者である日本人だ。クロマグロは高級日本料理チェーン店「ノブ」など多くのレストランで供されているが、ノブ・ロンドンのメニューでは絶滅の危機を訴え、別の料理を注文するよう呼びかけている。

クロマグロの消費について、欧州では風当たりが強まっている。日本料理店でも、クロマグロのメニューに(持続性の観点からオススメしない)と但し書きを入れるようになった。保護団体などは、それでは不十分として、クロマグロをメニューから外すように要求している。マグロは、第二の捕鯨になりそうな雲行きであります。日本がイニシアチブをとって漁獲規制をすれば、風当たりも弱まると思うれど、自国の産卵場で、卵を産み戻ってきたクロマグロを根こそぎ巻いているような状況だから、どうしようもないです。

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魚の代金は誰の所に行くのか?

島根県漁連がイオンと直接取引をして話題になった。仲卸というと、バブル期の「魚転がし」、濡れ手に粟のつかみ取りというイメージを持っている人もいるだろう。水産流通における実際に金の流れは、どうなっているのだろう。まずは、次のサイトを確認して欲しい。
平成20年食品流通段階別価格形成調査(水産物経費調査)

この調査では流通段階毎の魚の値段を追跡している。この調査から、流通のどの段階で、いくら吸収されたかがわかる。
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消費者が、1000円の魚を買うと、247円が漁業者に、242円が産地出荷業者に、86円が仲卸に、385円が小売業者に入るという結果だ。

産地でセリを行う場合、売り上げの数%が手数料(口銭)として組合に徴収される。この経費は、組合人件費などに当てられ利益はでない。

産地市場で魚をセリ落とした産地出荷業者は、築地をはじめとする消費市場に出荷する。このとき、25%ほど値段が上がるのだが、輸送費などで相殺され、ここでも利益はでない。

消費市場では、仲卸が魚を購入し、小売りに販売する。この段階で魚の値段は10%ほど上がるが、ここでも利潤はでていないようだ。

最後に小売業者が、仕入れ値の1.5倍の値段で消費者に売る。ここでは、3.6%の利潤が発生する。

この調査を見た流通業者によると、漁業者は、もっと多くとっているということであるが、真相は不明。


あと、調査にはこんな図もあった。

卸売数量が着実に落ちている。これは、まあ、そうだろう。一方、卸売価格は、最近、上昇傾向にある。こっちは、俺が聴いていた話と全然違う。「値段がつかない」「荷が動かない」という景気が悪い話ばかりなんだけど、何でこういうことになるんだろう?

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平成20年食品流通段階別価格形成調査(水産物経費調査)

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めちゃめちゃ、忙しいです

色々なところから、コンタクトがあり、いっぱいいっぱい。漁業の問題点を明らかにした上で、正面から取り組む人間がいないから、みんなが俺のところにくるのだろう。うれしい悲鳴ですが、ブログを書くゆとりがまるでない。ノルウェーの浮魚販売組合のインタビューは最高だし、ノルウェーの最低価格制度もいろいろな問題があることがわかったので、その辺も書きたい。あと、ペルー*1が先月から、アンチョビーのITQを始めたんだけど、そのことも書きたい。それから、アイスランドでITQの見直しの議論が盛り上がっているみたいなので、それも書きたい。国内では、日本海のクロマグロがあついので、それも書かねばならないし、サバも新しい枠が設定されてどうなるか、目が離せない。と、いった感じで、ネタはあるけど、時間がないというのは、何とももどかしいです。

P.S. この文章を読んで、少し心配になった編集の皆様へ
原稿は、今、新幹線の中で、鋭意、執筆中ですので、もう少し待ってください 😛

*1 チリと書いていましたが、ペルーの間違いでした。

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カキの殻むきナイフは「違法」

業務用ナイフの規制は、必要ですかね?
規制をするのは、目に見える弊害が出てからでも良いと思うんだけど・・・

三重県内のカキ養殖業者が殻をむくのに使うナイフの違法性が問われている問題で、同県警は2日、県内の2社が販売している複数のカキナイフが違法に当たると判断し、廃棄や刃先の改良などを指示した。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009070302000152.html

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おもしろい資料を見つけたよ

http://www.fish-jfrca.jp/01/pdf/pamphlet/038.pdf

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昭和55年(1980)は今の倍以上、サバをとっていたけど、大部分が食用だったんだね。サバは、煮て良し、焼いて良し、しめて良しの万能大衆魚だから、大きくしてから獲ればいくらでも食べられるのに・・・

昔、出来ていたことが、何で出来ないんだろうね。

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日本のサバ漁業は、価格破壊ではなく、価値破壊

魚の消費形態にもいろいろなグレードがある。

  1. 寿司屋、料亭などの高級食材
  2. スーパーや魚屋の一般鮮魚
  3. スーパーの特売用の鮮魚
  4. 缶詰、削り節などの加工品
  5. 養殖のえさ・中国アフリカ輸出

グレードが上の方ほど、値段が高いが、必要な量は少ない。数年前に、80年代に安い大衆魚であったマイワシが資源減少とともに高騰し、1尾1000円になったという報道がでた。マイワシの漁獲減によって、寿司屋や料亭で魚の奪い合いになった結果、こんな値段になったのであり、この値段でスーパーに並んでも誰も買わないだろう。また、寿司屋や料亭にしても個の値段では客に提供しない。寿司屋では、ネタの欠品は客足が減る原因になるので、採算割れを覚悟で、不足しそうなネタを仕入れるのである。

魚が水揚げされると、上の方のグレードから埋まっていく。高級鮮魚市場が満たされると、次に魚は一般鮮魚市場へと向かう。大中捲きが、調子に乗って千トンも水揚げをすると、鮮魚市場もいっぱいになり、鮮魚相場はガタガタになる。鮮魚市場からあぶれた魚が冷凍・加工に向かうことになる。このときに、冷凍設備や加工場がない港の余った魚は文字通り生ゴミになる。

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80年代にマイワシが豊漁の時代は、漁獲が全ての食用市場を見たし、質がよいマイワシが大量に養殖のえさになった。現在はサンマが食用需要を超える水揚げが続き、値崩れを起こしている。こういう魚は、養殖の餌や輸出を考えるべきなのだ。しかし、サンマ業界の足並みがとれず、身動きがとれていない。そうこうしているうちにサンマも減ってしまうだろう。チャンスの女神には前髪しかないのである。

90年代以降のサバ漁業は80年代のマイワシとは根本的に違う。食用のサバが不足した状態で、ほとんどのサバが最低グレードで浪費されているのだ。サバの行き先は、水揚げコンディションと大きさで決まる。

  1. 寿司屋、料亭などの高級食材→600g以上→枯渇
  2. スーパーや魚屋の一般鮮魚→450g以上→ノルウェー
  3. スーパーの特売用の鮮魚→350g以上→ゴマサバ
  4. 缶詰、削り節などの加工品→250g以上→ゴマサバ
  5. 養殖のえさ・中国アフリカ輸出→250g以下→マサバ

一番下のグレードにしかならない0歳1歳でサバを獲り尽くして、中国に輸出しているのだ。頭が痛くなるぐらい、バカな獲り方だ。

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下の図は、2001年のサバの用途別漁獲量である。みんながみんなそういう獲り方をしているわけではないんだけどね。



(↑詳しくは、https://katukawa.com/2007/07/post_160.html

80年代のマイワシ漁業は、良質のマイワシを安価で豊富に供給していた。消費者にメリットのある価格破壊である。一方、現在の日本のサバ漁業は、価値が出る前に魚を獲り尽くし、まともな魚を供給できていない。これは、価格破壊ではなく、価値破壊である。

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