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研究 Archive

ノルウェーの写真 その1

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今日はブログを書いている時間がないので、写真でごまかすことにした。

スカンジナビア航空の機内食
トナカイ肉のサンドイッチ。味は普通のハムでした。
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泊まったホテル
ノルウェーではリーズナブルですが、日本と比べるとバカ高いです。
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サバ漁船
船体に比べて、網が小さい。ノルウェー漁業の置かれている状況がよくわかる。
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初日に訪問した工場の入り口
詳しくは、当サイトの「目で見るノルウェー漁業」を見てください。
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午後に訪問した輸出会社Westcoast
漁業者が優遇されすぎで、加工・流通業者には厳しいようです。
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漁業組合
近代で快適なオフィスは、日本の漁協のイメージとは全く違います。
この組合が、資源管理において重要な役割を果たしています。
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ベルゲンの町並み
とても美しかったです。
徒歩でも回れる規模の町です。人々は親切だし、良い町でした。
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ベルゲン駅
まさに、「ヨーロッパの鉄道の駅」という感じでした。
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ベルゲンからオスロに向かう特急列車
なかなかかっこよい。中のシートも快適でしたよ。
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海洋政策研究財団のニュースレターに順応的管理の記事を書いたYO

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すっかり忘れていたが、
海洋政策研究財団のニュースレター『Ship & Ocean Newsletter』に、
順応的管理の記事を書いたのだった。

いろんなところに頼まれるまま書いているから、
本人もあまり把握できてないです。

●水産生物資源の順応的管理
東京大学海洋研究所 助教◆勝川俊雄

われわれの海洋生態系に関する知見は断片的であり、
不確実な情報に基づいて乱獲リスクを低減する管理方策を発展させる必要がある。
近年、不確実性に頑健な管理手法として、順応的管理が注目を浴びている。
順応的管理の枠組みを適切に導入すれば、水産生物資源の持続的利用に
大きく寄与するはずである。
本稿では、順応的管理の定義を説明するとともに、
その可能性と限界についても論じる。

http://www.sof.or.jp/ocean/newsletter/170/a03.php

 

 

動画で見るノルウェー漁業 その3

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その3が目で見るシリーズの最終回です。
魚が冷凍されるまでのプロセスをフォローします。
最後に、日本漁業を立て直すための緊急提言もアリます。

動画を見るには、こちらをクリックしてください。

ノルウェーではサバは一番高い時期に一番高く売れるものしか狙いません。
漁獲枠も科学者の勧告(日本よりずっと厳しいヨ)にしっかり従います。
だから、持続的に価値の高い魚を生産できるのです。
限られた魚を高く売るために、いろいろな工夫をしています。

日本では、「漁業者には生活がある」と言っては、いくらでも獲らせてしまう。
漁業者は、多く獲ることばかり考えて、魚の質は2の次です。
結果として、単価は上がらない。
漁業者は、値段を上げる努力をするどころか、
目先の利益を確保するために、小さい魚まで獲りまくるから、ますます資源は減る。
結果として、自分で自分の首を絞めているのです。

ノルウェーのやり方と、日本のやり方のどちらが、
本当の意味で、漁業者の生活を守ることになるのかは明らかです。
日本のやり方はその場しのぎであり、長い目で見て漁業者の生活を守れません。

もちろん、それぞれの国によって、事情が違いますので、
ノルウェーの猿まねをすればよいという訳ではありませんが、
持続性を大切にすると言う姿勢は見習う必要があります。

 

動画で見るノルウェー漁業 その2

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第二弾はついに建物の中に入ります。

ノルウェーではインターネットを利用したオークション(セリ)を行い、
船上で契約をすませます。
その後、落札者が指定した港に漁獲を水揚げします。

港と工場は一体になっており、
水揚げされた魚を、すぐに処理することができます。

水揚げされた魚を処理する建物はプラントと呼ばれているのですが、
まさに、その通りでした。
工業製品をつくるように魚が整然と処理されていきます。

全てのプロセスにおいて、品質の劣化を抑えるような工夫がされています。
待ち時間がある場合は、冷蔵海水をつかって、鮮度の劣化を防ぎます。

動画を見るには「続きを見る」をクリックしてください。

動画で見るノルウェー漁業 その1

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期中改定で資源回復の芽を摘みそうなマサバ太平洋系群は、
今日の会議で、期中改定の内容が確定するはずなんだが、どうなったんだろう。
マサバ太平洋系群の資源評価票には、肝心なパラメータが記載されていないし、
試算が出来ない状況です。

まあ、マサバについては、状況が確定してから、バッチリ書くことにして、
取りあえずは、ノルウェーの話をしていきましょう。

日本の水産関係者がノルウェーに視察に行くっていうのは、ありふれた話で、
文字としての情報はそれなりにあると思う。
ただ、自分の目で見ると、「ああ、これは日本とは雲泥の差だ」と強く実感をした。
水揚げから冷凍に至るプロセスの一つ一つが魚のクオリティーを保つことに配慮されている。
サバの水揚げから、冷蔵までの一部始終をビデオ撮影してきたので、
動画によって現地で体感した衝撃の一部だけでも伝われば幸いです。
動画を見るには、「続きを読む」をクリックしてください

商業捕鯨を再開するための最短ルート

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日本が商業捕鯨を再開するには、
多くの国が捕鯨をやりたいと思うような状況を作ればよい。
それが現状では唯一の方法である。
幸いなことに、アングロサクソン以外ではクジラ原理主義は少数である。
世界のマジョリティーは「絶滅のおそれがあるならモラトリアムにすべきだが、
持続的に利用できるならほどほどに食べても良いだろう」と思っている。
このマジョリティーを味方につければ、捕鯨再開への道は開けるはずだ。

アングロサクソン以外の反捕鯨国が、なぜ捕鯨に反対かを考えてみよう。
反捕鯨には、生態系に配慮をしているというポーズができるというメリットがある。
一方で、今は、ほとんどの国が捕鯨に経済的なメリットを感じていない。
「まあ、反捕鯨をしておくか、そっちの方がかっこいいし」という程度の反対だろう。
もし、捕鯨はビジネスとして儲かるということになれば、
そこに参入したいと思う国は山ほど出てくるだろう。

捕鯨が儲かる産業であるということを示せば、
IWCの勢力図はひっくり返り商業捕鯨再開への道は開ける。
逆に、捕鯨が儲からないとなれば、わざわざ捕鯨に賛成する国は無くなるだろう。
今は、ほとんどの国が捕鯨で儲けられるとは思っていない。
そういう状況で金をばらまいて多数派工作をするより、捕鯨が銭になると示すことが重要なのだ

そのための千載一遇のチャンスが到来した。
アイスランドとノルウェーの商業捕鯨再開である。
これらの2国は商業捕鯨モラトリアムを留保しているので合法的に捕鯨ができる。
日本がアイスランドとノルウェーから鯨肉を輸入しても、誰も文句は言えないのである。
日本がノルウェー、アイスランドから鯨肉を買いまくれば、
絶対に他の国も捕鯨容認・賛成に回るだろう。
そうなればIWCでのモラトリアムの廃止は時間の問題である。
現在、世界中で崩壊の危機に瀕しているマグロも、
20年まえまでは、日本人だけがありがたがっていたのである。
他の国では、スポーツフィッシングか缶詰ぐらいしか用途がない安い魚だった。
日本人が買い続けたことで、世界の国が競って獲るようになった。
鯨でだって、同じことがおこるはずである。

アイスランド・ノルウェーの商業捕鯨は、日本をターゲットにしている。
「鯨食は日本の文化で、日本には需要がある」と常々日本が主張していたから、
アイスランドは一部の国の強硬な反対を押し切って捕鯨を再開したのである。
にもかかわらず、日本は門戸を閉じて鯨肉を輸入しなかった。
アイスランドからしてみれば、はしごを外された格好である。
結果として、アイスランドは捕鯨から撤退した。
いっこうに市場を開放しない日本に業を煮やして、
もうすぐ、ノルウェーの漁業大臣が来日するらしい。
もし、アイスランドと同じようにノルウェーまで撤退したら、
「商業捕鯨は金にならない→反捕鯨でイメージアップをした方がよい」
というメッセージを世界中に送ることになる。
ノルウェー、アイスランドは、捕鯨のノウハウもある漁業国である。
そういう国でさえ商業捕鯨から撤退してしまったら、
新規に捕鯨を始めようという国などでてくるはずがない。

せっかく、棚ぼたで商業捕鯨への扉を開くビッグチャンス到来なのだが、
日本はマーケットを閉じることでその道を自ら閉ざそうとしている。
なぜ、日本は合法的な商業捕鯨で獲られた鯨肉を輸入しないのだろうか?

スケトウダラの未来のために その7

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俺はトキの保全は、何がやりたいのか全然わからない。
日本のトキは、とっくに絶滅しているのに、
中国から輸入してきたトキに人工繁殖までしているわけだ。
既に絶滅したトキをミイラみたいな状態で維持するために莫大な金が投資されている。
その一方で、ほとんど顧みられることなく、多くの種が絶滅に瀕している。
すでに絶滅したトキよりも、まだ絶滅していない生物の保全が大切だと思う。
トキの絶滅を教訓に、次なる種の絶滅を防ぐ方が大切だろう。

資源管理もそれと同じ。
日本海北部系群は、もうどうすることもできないので、
スケトウダラの太平洋系群へと俺の関心は移っている。
この資源は、今がまさに勝負所だと思う。

これが太平洋系群の資源量。90年代中頃からコンスタントに減少している。
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RPSは低水準で安定している。
現在の漁獲圧は、90年代前半なら問題ないのだが、90年代後半以降の水準では資源を維持できない。
近年のRPSで資源を維持できる見合った水準まで、早急に漁獲圧を減らす必要がある。
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RPS(卵の生残率)が低迷し、漁獲圧がそれに対応できず、資源がズルズル減っている。
この状況は、日本海北部系群の10年前と酷似している。
この資源は今がまさに勝負所であり、これから5年の間に行く末が決まると思う。

この資源のBlimitとしては、過去最低の親魚量154000トンが設定されている。
現在、Blimitに徐々に近づきつつあり、
10%の確率で2013年度にはBlimitを下回るというシミュレーション結果が得られている。
絶対に、絶対に、このBlimitは死守しなくてはならない。

そのためには、Blimitまで達したら、abcをどこまで減らすかを研究者で決めておき、
予め漁業者に周知しないといけない

そうすることで、Blimitに近づいた時点で、漁業者に注意を促すことが出来る。
北海道の関係者であれば、Blimitに達してから「どうしましょう?」では、お話にならないことは、
日本海北部系群の経験から痛いほどわかっているはずである。
資源量推定値がBlimitを下回ったら、何があろうともABCを予告通り削減する。

資源量には、過小推定の可能性ばかりでなく、過大推定の危険性もあるので、
資源評価の不確実性を理由に先延ばしは許されない。

Blimitを防衛ラインと位置づけて、そこで頑張るのは当然のことであるが、
ベストを尽くしたとしてもBlimitを下回っても漁獲にブレーキがかからずに、
資源がズルズル減っていく可能性はある。だから、それに対する備えも必要だ。
今のうちにBbanも決めておき、Bbanまで資源量推定値が下がったら、
必ずABC=0にすると宣言すべきである。
Bbanは、我々の管理能力が無い場合の保険として必要なのである。
今までBlimit以下に減らしたことは無いわけで、Blimit以下になったとき時に資源がどうなるかはわからない。
よって、Bbanを科学的見地から一意的に決めることは不可能である。
ただ、資源が減らしすぎると増加能力が失われて、元の水準に回復しない事例が多数知られている以上、
ずるずると減らさないための閾値は必要である。

現在、俺が太平洋系群に対して、要求していることは以下の3つ。
1) Blimit以下になったら、ABCをどこまで削減するかを予め決めておくこと
2) 資源の減少に歯止めがかからない場合を想定し、予めBban決めておくこと
3) 水研、水試で1)および2)に対して合意形成をした上で、漁業者に周知すること

Blimitが近づいている現状では、残された時間はわずかであることを、肝に銘じて欲しい。

ノルウェーに行ってきました

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1週間ほどノルウェーに行き、
漁業とその管理について学んできました。

ノルウェーの漁業制度などは日本からでも勉強はできるけど、
現地に行かないとわからないことも多い。
「どういう経緯でその制度になったのか?」とか、
「実際のところ、どんな感じなのか?」とか、
「漁業者はどうおもっているの?」とか、
そういうところを忌憚なく聞いてきました。

ノルウェーの漁業政策はオープンな議論を重ねて方向を決めていきます。
だから、なぜ現在の政策になったかを皆が理解しています。
もちろん、細かい部分での不満はいろいろありますが、大筋では納得しているし、
細かい部分は今後の議論を通して解決していけると思っている。
漁業者のみならず、加工業者、流通、自然保護団体など多くの人間の意見が、
政策に反映されている。

日本のTACなんて、よくわからない値が密室で決められて、
何でその値になったのか誰も説明できないのとは雲泥の差ですね。

大勢の方に協力していただき、実に有意義な訪問スケジュールでした。
ぎっしり詰め込まれて、一分の隙も無いぐらいです。
フリーは28日(日)だけでしたが、この日は雨と風が強かったので、
次の日のアポに備えて、ホテルで予習&復習をしていました。

23日 午前:日本発
     深夜:ベルゲン着
24日 午前:サバ水揚げから冷凍までのプロセスを見学
     午後:輸出会社訪問
25日 午前:販売組合を訪問
     午後:オスロに移動
26日 午前:オスロでオロオロ
     午後:漁業省訪問
27日 終日:ベルゲンに戻る
28日 終日:雨のためホテルで資料整理
29日 午前:販売組合を訪問
     午後:漁業庁、海洋研究所を訪問
30日 早朝:日本に出発
31日 昼 :日本に到着

スケトウダラシリーズを、片付けたら、ノルウェー訪問記を書きますね。

ベルゲンの町並みは、とても美しかったです。
なんか、おもちゃの町みたいでした。
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ノルウェーのサバ漁船
噂に聞いていたとおり、設備もグッドでしたよ。
ノルウェーでは古くなった船はデンマークなどに売って、常に最新の船を使うようです。
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ノルウェーの海洋研究所の調査船は、格好いいですね。
何隻も船があるのだけど、これは一番大きなG.O.SARS号。
生物のモニタリングのために、静穏性が非常に高いそうです。
Hjort号なんていうのもあるようですよ。
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スケトウダラのおもひ出 その6

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卓越年級群を未成熟のうちに取り尽くしたことがわかって、
「まあ大変」という状況で、俺が北海道に呼ばれたのだった。
その時点では、資源的にはまだ間に合ったが、漁業的には手遅れだったと思う。

この資源は90年代から減り始めたが、
漁獲量の削減が真剣に議論されるのは、ほんの数年前。
誰の目から見ても資源の枯渇が明らかになってからである。
この状態になると、漁業経営は苦しくなっており、
漁獲を控えめに減らすのはすでにできない相談である。
年収800万が400万になるのと、
年収400万が200万になるのでは、話がぜんぜん違う。
すでに厳しい状況でさらに減らすというのは無理だろう。
資源が減れば減るほど、漁業者から漁獲枠を上げるようにプレッシャーが強まり、
TACはABCから乖離していく。

研究者もまた、ABCを増やすことで、漁業者に迎合してきた。
スケトウダラ日本海北部系群の管理目標は、毎年、下方修正されている。

平16年度:2014年度の親魚量が184千トンを上回る
平17年度:2021年度の親魚量が184千トンを上回る
平18年度:2026年度の親魚量が 85千トンを上回る
平19年度:2027年度の親魚量が 55千トンを上回る

管理目標を下方修正すれば、当面のABCを水増しできる。
その年の合意形成はやりやすくなるかもしれないが、
資源状態が悪化するほど、高い漁獲率を許すのは資源管理ではない。
平成17年から平成18年にかけて大幅な目標修正があった。
管理目標が資源回復ではなく現状維持に変わったのだ。
資源が良い状態に回復したなら、現状維持に目標を変えても良いかもしれないが、
資源が減っている中で目標を現状維持に変えるのは好ましくない。
また、資源管理に一貫性をもたせるためには、平成19年度の管理目標は、
平成18年度の目標(2026年度当初のSSBが85千トンを上回る)をそのまま利用すべきである。

資源が減ればそれだけ目標水準を減らしていたら、いつまでたっても漁獲にブレーキはかからない。
このように資源が減るたびに目標を下方修正していけば、
一見、管理をしているように見えて、資源はどこまでもずるずる減っていく。
前に進んでいるように見えて、後ろに進むムーンウォークのようなものである。
(やっぱり、マイケルの動きはキレがちがうね!)

この資源を持続的に利用するうえでの本当の勝負所は、90年代中頃だっただろう。
卓越がでなくて、資源が減ってきたことは実感としてあったと思う。
この時代には、まだがんばれば獲れたが、ここで漁獲量を減らすべきだった。
がんばっても獲れなくなってからでは遅いのだ。
そして、1998年級群を未成熟で獲らずに産卵をさせていたら、
今頃、全く違う展開になっていただろう。

スケトウダラ北部日本海系群は獲らなくても減るような資源ではない。
適切な時期に適切な漁獲量まで減らしていたら、今後も持続的に利用できたはずだ。
産・官・学が強固なスクラムを組んで、問題を先送りすることで、
雪だるま式に問題を深刻化させて、
ついには解決不可能にしてしまったのである。

日本の漁業者は、甘やかされているが、大切にされていない

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ノルウェーの漁業者は大切にされているが、甘やかされていない。
日本の漁業者は甘やかされているが、大切にされていない。
この違いがわかるかな?

ノルウェーでは、漁業への補助金はほとんど無い。
漁業者がけがや病気で働けなくなったときの生活保障ぐらいらしい。
その代わり、最低価格制度やオークションなど、
漁業者が漁業から安定した収益をえるための社会制度が整っている。

一方で、日本の漁業者は社会的な保証がない中で、厳しい競争にさらされている。
生き残るためには乱獲をしないとどうしようもないような状況が放置されているので、
漁業から得られる収益は減る一方である。
本来は、漁業と社会のあり方を変えないといけないのに、
補助金というあめ玉でごまかされている。

補助金の額だけみれば、日本の方がよっぽど恵まれているが、
社会に支えられて、安定した生活を営むことができるノルウェーの漁業者の方が
日本の漁業者より、よっぽどハッピーだよ。

基本的な部分を変えないと駄目だ。
そう実感した。

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