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マスメディア Archive

雑誌 選択12月号に取材協力をしました

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http://www.sentaku.co.jp/

12月号のp86-87です。

書店には置かない雑誌のようです。1冊もらいましたが、なかなかディープな雑誌ですね。

損益分岐点が2500円で、えさ代が5000円はないだろう

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クロマグロを死守せよ:「獲る」から「育てる」に活路-漁獲規制で – Bloomberg.co.jp.

採算性についても、三重大学生物資源学部生 物圏生命科学科の勝川俊雄准教授は「マグロを1キログラム太らせるには、サバやイカなどの生餌が15キロ程度必要。損益分岐点が1キログラム当たり 2500円にもかかわらず、餌代だけで5000円程度かかる」と指摘。その上で「完全養殖であるなしを問わず、ブリやマダイなど日本の養殖業者が衰退した 歴史を繰り返すだろう」と懐疑的だ。

餌代15kgで、5000円とかいって、笑うところですね。これだから学者先生はダメなんだよな。普通に考えれば、1kgあたり70円ぐらいのジャミサバを15kgで、えさ代は1kg当たり1000円前後、自分で獲ってくる経営体も多いからさらに安くなる場合もある。5000円というのはあり得ない価格だ。というか、えさ代が5000円で、損益分岐点が2500円というのがあり得ないことぐらい、誰だってわかるだろう。バカな学者もいるもんだ。って、俺じゃねえか!!!

この記者は、飲み屋で多数で雑談をした時に名刺をもらった。その場で、「日本の養殖政策にグランドデザインが無くて、今のままでは産業として育たない」という話はしたような気はする。取材というような席でも無かったし、えさ代5000円なんて、酔っていてもそんな間違いしないだろう。飛ばし記事を書くのは結構だが、俺の名前を勝手に使うんじゃない。内容はいい加減だし、確認もなにもなし。取材のやり方として、問題があるんじゃないのか。とりあえず、抗議のメールを送ることにする。(→追記:bloomberg社の対応は、丁寧で素早かったです)

水産庁も、メディアも、「マグロ養殖の未来はバラ色」と言わんばかりに煽っているけど、近い将来、立ち行かなくなると見ている関係者は少なくない。マグロの養殖は、需要を見極めた上で、利益が出るような規模を維持しながら、徐々に拡大させていく必要がある。また、大規模化は、完全養殖が軌道に乗ってからでも遅くない。天然魚も減っている中で、猫も杓子もマグロ養殖を始めて、ヨコワ争奪戦が発生している現状を放置しておいたら、養殖が育つどころか、漁業がつぶされてしまう。こいうことで、こういう記事が出ること自体は、意義があるのだが、内容が・・・ですね。

それはそうと、ノルウェーの養殖戦略というのが、また、凄いんだよ。これが。今年、ノルウェーの漁業庁の人間から、養殖政策についてもみっちり聴いてきたんだが、実に興味深い内容だったなぁ。ノルウェーの養殖サーモンが伸びる理由がよくわかったよ。時間があったら、これについても書きたいです。

J-Waveに生出演をしたよ

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先週、東京のラジオ製作会社の人から電話があり、「新聞で読んだんですが、クロマグロの小型化について教えてください」ということであった。そこで「小型化というのは、成長が遅くなっているんではなくて、産卵場で獲りすぎて、大きい個体がいなくなっているんだよ」とか、いう話をしました。製作会社の人から、この話を取り上げたいので、「話題になっているニュースの中から気になるものをピックアップ。専門家に電話でつないでコンパクトに分かりやすく解説します」というコーナーに出演してくれと依頼された。俺的には、多くの人に知って欲しい話だからOKしたのでした。

今朝の7時15分に、製作会社の人から確認の電話があり、簡単な打ち合わせをする。次に本番5分前ぐらいに電話が来て、音声チェックをした後に、出番を待ちます。トラフィックインフォメーションを聴きながら、話す内容を頭の中でまとめて待つんだけど、この待ち時間というのが緊張をする。交通案内が終わると、ナビゲーターの別所哲也さんから、「おはようございます」と挨拶をされる。ハリのある、イイ声だ。最初は少し緊張気味だったが、別所さんが聞き上手で、話しているうちにリラックス出来て、「現在の無規制漁業は、まずいですよ」という話ができた。朝めし前の一仕事が無事に終わって、良かったです。

俺は4分話すだけでも、結構疲れたんだけど、別所さんは、タイムキープをしながら三時間もナビゲータとして、話し続けるわけで、とても真似できないと思っただよ。

朝日新聞 10月21日(夕刊)一面 人脈記にインタビューが掲載されました

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2ヶ月ぐらい前に、朝日新聞の高成田さんとカメラマンが研究室に来て、インタビューを受けたのです。初めてお会いしたのですが、四方山話も含めて、いろいろと談笑をしました。その記事が、水曜日の夕刊に、掲載されたという話を聞いて、図書館に確認しに行ったところ、一面に、ウクレレを手に、馬鹿笑いをする俺の写真が掲載されていてビックリ。「あっはっはー」という感じで、すごくバカっぽい。カメラマンが、研究室の隅のウクレレをめざとく見つけて、「ちょっと構えてもらえませんか」と言ってきたので、適当に構えながら話をしたのだけど、カメラを前に、ここまで無防備に爆笑していたとは、我ながら驚きだ。もうちょっと、賢そうに見える写真が良かったんだけど・・・

俺と、川崎先生と、桜本先生が搭乗しているんだけど、写真の表情が三人三様という感じで、おもしろい。特に川崎先生の写真は、先生のキャラクターを上手に表現しており、とても秀逸。さすがはプロの技だとおもったよ。

日本海のクロマグロ小型化 「乱獲の疑い」と専門家 – 47NEWS(よんななニュース)

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日本海のクロマグロ小型化 「乱獲の疑い」と専門家 – 47NEWS(よんななニュース).

俺のコメントが出たんだが、ちょっと残念な部分があるので書いておこう。

三重大の勝川俊雄准教授(水産資源学)は「大型の個体が急速に減っており、乱獲の疑いが強い。繁殖に影響を与える恐れもあり何らかの規制が必要だ」と指摘する。

の部分は、おれが言った通りなので良い。問題は、次の下線の部分。

勝川准教授は「日本海でも小型化しているとのデータは初めて。巻き網漁は資源に与える影響が甚大で、漁獲量の上限を定める必要がある」と話す。

日本海でも小型化しているとのデータは初めて」とは言っていない。日本海のマグロの魚体はかなり変動をしてきた。卓越年休群が新しく成熟すると、平均魚体がぐぐっとさがってきたのである。減ったり増えたりというデータは元々存在する。

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のデータは記者も 持っていたはずだし、「近年、急に体重が減っているようには、おれには見えないよ」と、はっきり言ってある。なんで、こんな、言ってもいない一文を入れる必要があっ たのか、理解に苦しみます。俺が確認した最終稿にはこんな文は無かったんだけど、デスクに入れられたのかな。

小さいのが増えて、結果として平均体重が下がるのは問題がない。だから、平均体重だけ見ていては、資源のことは議論できない。そういう話は、記者にも繰り返ししたはずだけど。「過去に日本海のマグロの体重が減ったという研究はありますか?」と聴かれたから、「そういう研究は聴いたことがないですね」と返答をしたのが、このような表現になったのだろうか。いずれにせよ、俺の台詞として、言った覚えのない、誤った情報が書かれたことは不快である。

2004年から、大型巻網が産卵場で産卵群を漁獲するようになった。それ以降、日本海で大型のマグロがとたんに獲れなくなった。一本釣りでも、100kgを超える魚が急激に減少している。平均が小さくなったことじゃなくて、大型がいなくなったことが問題なんだよ。漁獲サイズのことをいうなら、巻き網よりもヨコワの方が100倍悪い。ヨコワ漁業は、ヨコワ漁業で大問題だ。巻き網の問題の本質は、産卵場での根こそぎ操業によって、再生産に大打撃をあたえていることなわけ。だから、「巻き網漁は資源に与える影響が甚大で、漁獲量の上限を定める必要がある」となるわけだ。

日本海のクロマグロは、本当に大変なことになりそうなので、記事として取り上げてくれたことは、ありがたい。しかし、強引に「小型化」で話を作ってしまった点は、残念である。

栄養と料理 9月号に原稿が掲載されました

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栄養と料理9月号(8月8日発売)
消費者が知っておきたい、漁業と水産環境の現状
魚はいつまで食べられるのか?
p100-107

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。

今年は、消費者に漁業の問題を訴えようということで、取り組んでいます。
漁業の現状を厳しく批判すると同時に、消費者にも厳しいことを書いています。
漁師は、多く獲ることしか頭にない。消費者は、安く買うことしか頭にない。
今の日本の魚食は、とても文化と呼べるような代物ではない。
漁師は持続的に獲るし、消費者が持続的に大事に食べる。
そういう持続的な魚食を実現するには、
業界も変わらなければならないし、消費者も変わらなければならない。

みなと新聞に水産学会の記事がでていた

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この前の水産学会の発表が記事になっていた。どうせなら、スーツを着ていけば良かった。隣の4面には、お魚マイスター嘉山がアンコウを下ろしている写真が掲載されていた。こちらはスーツなので、少し差をつけられてしまった。

クリックで拡大します

発表内容については、こちらで見られます

米国のラジオでITQが紹介されてるよ

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ITQに関するラジオ番組を井田さんから教えてもらったよ。
ネットワークプロバイダーとして活動するNPOらしい*1が、なかなかおもしろいね。
米国の漁業者も、新しい制度に対して、
戸惑いや不安を感じているようだ。

http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=98791630

*1:国営ラジオではないようです。つっこみありがとうございます。

「ブロードキャスター」(TBS系)は、お粗末すぎ

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9月20日22時から、「ブロードキャスター」(TBS系)という番組の
特集「シリーズ 食料自給」で漁業の問題がとりあげられました。
あまりのお粗末さに、びっくり仰天、あきれまくり。
最終回らしいけど、こんな番組は打ち切って正解だろう。

日本近海の水産資源が枯渇していることを意図的に外して、もっと補助金をばらまけという趣旨。
そんなことをしても漁業は酷くなるだけでしょう。
コメンテータは、「国が何もしない」とか言っていましたが、
漁業の補助金の金額は、日本はダントツで世界最高ですよ?
乱獲を放置して、ばらまくだけだから、駄目なのは明白だろうに。
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五島にIターンで漁師が一人来たというのを美談にしているのも、あきれてしまう。
東シナ海は、日本のトロールと中国漁船が荒らして、砂漠のようになっている。
五島で漁業が成り立たないのは、漁業者がいないからではなく、魚がいないからだろう。
ベテラン漁師が「今は一月かかって、以前の1日分しか水揚げ出来ん」と言っているのを番組でも流している。
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そんな状況で、公的資金でIターンを進めても、ただの税金の無駄遣いだろう。
漁業フェアで、若者をだまして連れてきても、
ベテラン漁師ですら捕る魚がいないんだから、定着するはずがない。

ノルウェーの最新鋭の漁船が紹介されていたが、
ノルウェーでは、資源管理をして、大きな魚を安定供給するから、産業として利益が出る。
資源管理で漁業が儲かるようになったから、船が新調できるし、後継者も育つのだ。
ノルウェーの漁船はすべて、漁業者が自前で購入している。
税金で日本の漁業者にノルウェーの漁船を買いあたえたところで、
無規制ななかで乱獲が進み、魚が減るだけだろう。
なんで、そんな当たり前のこともわからないのか?

「ノルウェーでは国を挙げて漁業の再編に取り組んだから、
日本も国を挙げて、漁業に補助金を入れろ」と言うような話だけど、まるでナンセンス。
ノルウェーの漁業者に補助金のことを聞けば、「補助金はない方がよい」と口をそろえる。
ノルウェーで、まともな取材をしたら、補助金を増やせと言う番組ができるはずがない。

下の図はノルウェーの漁業生産における補助金と利益の割合なんだが、
補助金を減らすと利益が出るという構図は明白だろう。
ノルウェーの漁業者は船は自分の稼ぎで買っているのに対して、日本は燃油まで補助金だ。
こういう都合が悪い話は隠して、補助金バラマキ論を展開するのは、
「補助金増額への世論誘致」という結論が最初にありきなのだろう。
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資源管理もしないで、バラマキをするから、日本漁業は衰退をする。
これまで以上にバラマキを進めろなんて、日本漁業を殺す気だろうか?

日本の水産行政と同じく、大局的な視点を欠いた酷い番組でした。

無責任発言時代か(岩崎寿男)を読み解く その2

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無誤謬性などという一般的ではない単語をもち出てくるので、

一般読者には訳わからんと思うので、説明しよう。



日本の社会というのは「エリートである官僚は失敗をしないので丸投げして安心」という前提で運営されてきた。丸投げする側は思考停止できたし、丸投げされる側は自由裁量で何でもできた。このシステムが、戦後の一時期は機能したのだが、現在は完全に制度疲労をしている。相次ぐ不祥事によって、官僚への信頼は失墜してしまった。これを「官の無誤謬性神話の崩壊」と呼ぶ。



無誤謬性の維持こそが、官僚システムの要であり、官僚のアイデンティティーなのだ。役所は無誤謬性を維持するために、過ちを認めない。また、できるだけ情報を出さないようにする。

岩崎氏の頭の中では官の無誤謬性は健在なのだろう。「過ちを認めて事後的に変更されるABCは無誤謬性がないので信用できない。だから、過ちを認めない水産庁が決定するTACの方が信用できる」というのが彼の主張の骨子だ。

そもそも研究者は最初から無誤謬性など主張していない。資源評価が不確実であることを認めているからこそ、新しい情報が得られるたびに資源評価を更新しているのだ。そして、そのプロセスを公開し、透明性を高めることで社会的信用を得ようと考えている。常識的なアプローチと言えるだろう。

無誤謬な資源評価など世界中どこを探してもないわけだ。だからといって、科学的な資源評価を無視しても良いと言うことにはならない。例えば、UNCED「リオ宣言」では、次のように明記されている。

破壊から環境を保護するために、諸国は、それぞれの能カに応じて、広く予防的アプローチを展開すべきである。深刻なあるいは不可逆的な損傷がじる恐れがあるような場合、費用効果的に有効な対策について、科学的不確実性を口実にして、その実施引き延ばしを図るようなことがあってはならない。

「不確実性を口実に管理・保全をしないというのは駄目ですよ」ということだ。不確実性を前提にするなら、最善の策は、①意志決定プロセスの透明化を徹底することと、②新しい情報を素早く取り入れることの2点である。現行のABC決定に関しては、まだまだ改善の余地があるが、研究者は一貫して、このような方向を目指してきた。

水産庁とわれわれ研究者では目指すところが全く違うのだ。それをまとめると次のようになる。

水産庁の無誤謬性による安心システム

前提条件:エリートである官僚は間違えないだから、国民は丸投げして安心

行動規範:官僚は国民に余計な説明はせず、一度決めたことは変えなければよい



研究者の説明責任による信頼システム

前提条件:人間誰しも間違える

行動規範:説明責任を果たすことで信頼を得る。過ちが明らかになったら、素早く対応する。

ABCが事後的に更新されることをもって、ABCは信用できないと主張する岩崎氏は、自らの無知をさらけ出しているだけである。 そもそもだれもABCの無誤謬性など主張していないのだから、岩崎氏の文章は何の反論にも成っていないのである。


「水産庁はABCを絶対視すべきでないと言ったと勝川氏は非難しているが・・・」の部分は稚拙な印象操作である。元の俺の文章はこれ。

ABCとTACの乖離を批判する声に対して、水産庁は「ABCを絶対視すべきではない」と主張し、ABCへの批判を繰り返している。ABCとの乖離を批判している人間は、ABCを絶対視しているのではなく、根拠がないTACを問題視しているのである。TACに対してABCと同レベルの説明責任を果たした上で、TACの方がより妥当であると示せるなら、誰も文句は言わないだろう。

ABCを絶対視しろと主張しているのではない。むしろ、逆立ちしてもそう読めないように書いたつもりだ。岩崎氏はこの文章に反論をしているのだから、読んでないと言うことはあり得ない。「ABCを絶対視しているのではなく、根拠がないTACを問題視している」と明記しているのだから、うっかり読み違えるはずがない。読者をミスリードするために、故意に読み違えたと考えるのが自然である。まともな反論ができないから、せこい印象操作をしたのだろう。しかし、こんな稚拙な印象操作が通用するほど世の中は甘くない。

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from 18 Mar. 2009

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