NZに行ってきたよ

またまた、NZに行って参りました。1週間と短い滞在でしたが、密度が高かった。前回の訪問と、その後のメールのやりとりで、NZサイドも我々の目的を理解してくれたようで、まさに、この人というような人物を紹介してくれた。ありがたいです。あと、今回は、チャタム島にも行ってきた。

チャタム島というのは、NZ本島のはるか東に浮かぶ孤島である。本土から、40人載りの小型飛行機が週に2便でている。約2時間半のフライトである。島の住民は570人。この島の主な産業は漁業と畜産。国から島に出る補助金は全くない。ITQが小規模漁村コミュニティーにダメージを与えるなら、この島が最初に淘汰されただろう。しかし、事態は全く逆なのだ。ITQのおかげで、漁業が利益を生み、島の生活が成り立っているのである。

島の主要な漁業は、アワビ(paua)、ロブスター(crayfish), Blue cod (アイナメ)、Kina(ウニ)である。アワビの漁業者の93%がITQを支持している。ロブスターの漁業者も数人の例外を除いて、ITQを支持している。島の加工場、漁業者組合、漁業者などに聞き取り調査をしたが、異口同音に「QMSが無かったら、漁業は無くなっていたよ」と語ってくれた。漁業者のインタビューもばっちりとってきたので、こうご期待。

チャタム島は面白いところだったよ。島に着いたら、まず、先住民の部族の歓迎セレモニーを受けた。マオリよりも前からいる、モリオリ族に招待されたのだ。セレモニーは女性を先頭にして、訪問するのがルールとのこと。戦争ではなく、平和を求めているという意思表示だそうだ。部族の方も、女性が出迎えてくれる。いざセレモニーになると、それぞれのグループのリーダー(男)が儀式をする。ここでは女性は一歩下がった場所で、発言も許されていないようだ。一通り、儀式的なやりとりが終わった後、鼻と鼻をくっつけて、挨拶をして、セレモニーは終わり。手作りのケーキや、アワビなどで、ウェルカムパーティーをしてもらった。

太平洋の真ん中の離島でも、伝統的なコミュニティーがしっかりと生き残っている。そのコミュニティーを支えているのは、補助金ではなく、漁業だ。コミュニティーは、NZ政府から経済的に独立している。コミュニティー内部では相互援助の精神で、たくましく生活をしている。彼らの生活を支えている漁業を支えているのが水産資源であり、水産資源を支えているのが、資源管理なのだ。チャタム島に関しては、いろいろ、書きたいことだらけです。

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先生も、なかなか楽しいものだ

情報科学基礎という授業を、受け持っている。俺の担当はプレゼンテーション。昨年までは、パワーポイントの使い方を説明していたようなのだが、そんなのわざわざ教える必要ないよね。ということで、今年は、「人前で話をするときに知っておくべき基本中の基本」をしっかりと叩き込んだ。でもって、最後に、学生にいろんなプレゼンをしてもらうのだが、なかなかの力作揃いで面白かった。みんなが、いろんなことに関心を持っているのがよくわかり、先生はうれしかったYO。

まだ、半分残っているので、次の授業が楽しみだ 😛

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マグロ養殖、富より未来 豪業者、乱獲の埋め合わせ

Bloomberg/マグロ養殖、富より未来 豪業者、乱獲の埋め合わせ – FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE.

オーストラリアも同じようなことをやっていますね。
技術的な問題はクリアしたとして、後は採算ですな。

界の漁獲高の8割を食べ尽くしているのは、世界最大のマグロ消費者である日本人だ。クロマグロは高級日本料理チェーン店「ノブ」など多くのレストランで供されているが、ノブ・ロンドンのメニューでは絶滅の危機を訴え、別の料理を注文するよう呼びかけている。

クロマグロの消費について、欧州では風当たりが強まっている。日本料理店でも、クロマグロのメニューに(持続性の観点からオススメしない)と但し書きを入れるようになった。保護団体などは、それでは不十分として、クロマグロをメニューから外すように要求している。マグロは、第二の捕鯨になりそうな雲行きであります。日本がイニシアチブをとって漁獲規制をすれば、風当たりも弱まると思うれど、自国の産卵場で、卵を産み戻ってきたクロマグロを根こそぎ巻いているような状況だから、どうしようもないです。

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魚の代金は誰の所に行くのか?

島根県漁連がイオンと直接取引をして話題になった。仲卸というと、バブル期の「魚転がし」、濡れ手に粟のつかみ取りというイメージを持っている人もいるだろう。水産流通における実際に金の流れは、どうなっているのだろう。まずは、次のサイトを確認して欲しい。
平成20年食品流通段階別価格形成調査(水産物経費調査)

この調査では流通段階毎の魚の値段を追跡している。この調査から、流通のどの段階で、いくら吸収されたかがわかる。
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消費者が、1000円の魚を買うと、247円が漁業者に、242円が産地出荷業者に、86円が仲卸に、385円が小売業者に入るという結果だ。

産地でセリを行う場合、売り上げの数%が手数料(口銭)として組合に徴収される。この経費は、組合人件費などに当てられ利益はでない。

産地市場で魚をセリ落とした産地出荷業者は、築地をはじめとする消費市場に出荷する。このとき、25%ほど値段が上がるのだが、輸送費などで相殺され、ここでも利益はでない。

消費市場では、仲卸が魚を購入し、小売りに販売する。この段階で魚の値段は10%ほど上がるが、ここでも利潤はでていないようだ。

最後に小売業者が、仕入れ値の1.5倍の値段で消費者に売る。ここでは、3.6%の利潤が発生する。

この調査を見た流通業者によると、漁業者は、もっと多くとっているということであるが、真相は不明。


あと、調査にはこんな図もあった。

卸売数量が着実に落ちている。これは、まあ、そうだろう。一方、卸売価格は、最近、上昇傾向にある。こっちは、俺が聴いていた話と全然違う。「値段がつかない」「荷が動かない」という景気が悪い話ばかりなんだけど、何でこういうことになるんだろう?

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平成20年食品流通段階別価格形成調査(水産物経費調査)

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めちゃめちゃ、忙しいです

色々なところから、コンタクトがあり、いっぱいいっぱい。漁業の問題点を明らかにした上で、正面から取り組む人間がいないから、みんなが俺のところにくるのだろう。うれしい悲鳴ですが、ブログを書くゆとりがまるでない。ノルウェーの浮魚販売組合のインタビューは最高だし、ノルウェーの最低価格制度もいろいろな問題があることがわかったので、その辺も書きたい。あと、ペルー*1が先月から、アンチョビーのITQを始めたんだけど、そのことも書きたい。それから、アイスランドでITQの見直しの議論が盛り上がっているみたいなので、それも書きたい。国内では、日本海のクロマグロがあついので、それも書かねばならないし、サバも新しい枠が設定されてどうなるか、目が離せない。と、いった感じで、ネタはあるけど、時間がないというのは、何とももどかしいです。

P.S. この文章を読んで、少し心配になった編集の皆様へ
原稿は、今、新幹線の中で、鋭意、執筆中ですので、もう少し待ってください 😛

*1 チリと書いていましたが、ペルーの間違いでした。

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カキの殻むきナイフは「違法」

業務用ナイフの規制は、必要ですかね?
規制をするのは、目に見える弊害が出てからでも良いと思うんだけど・・・

三重県内のカキ養殖業者が殻をむくのに使うナイフの違法性が問われている問題で、同県警は2日、県内の2社が販売している複数のカキナイフが違法に当たると判断し、廃棄や刃先の改良などを指示した。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009070302000152.html

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おもしろい資料を見つけたよ

http://www.fish-jfrca.jp/01/pdf/pamphlet/038.pdf

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昭和55年(1980)は今の倍以上、サバをとっていたけど、大部分が食用だったんだね。サバは、煮て良し、焼いて良し、しめて良しの万能大衆魚だから、大きくしてから獲ればいくらでも食べられるのに・・・

昔、出来ていたことが、何で出来ないんだろうね。

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日本のサバ漁業は、価格破壊ではなく、価値破壊

魚の消費形態にもいろいろなグレードがある。

  1. 寿司屋、料亭などの高級食材
  2. スーパーや魚屋の一般鮮魚
  3. スーパーの特売用の鮮魚
  4. 缶詰、削り節などの加工品
  5. 養殖のえさ・中国アフリカ輸出

グレードが上の方ほど、値段が高いが、必要な量は少ない。数年前に、80年代に安い大衆魚であったマイワシが資源減少とともに高騰し、1尾1000円になったという報道がでた。マイワシの漁獲減によって、寿司屋や料亭で魚の奪い合いになった結果、こんな値段になったのであり、この値段でスーパーに並んでも誰も買わないだろう。また、寿司屋や料亭にしても個の値段では客に提供しない。寿司屋では、ネタの欠品は客足が減る原因になるので、採算割れを覚悟で、不足しそうなネタを仕入れるのである。

魚が水揚げされると、上の方のグレードから埋まっていく。高級鮮魚市場が満たされると、次に魚は一般鮮魚市場へと向かう。大中捲きが、調子に乗って千トンも水揚げをすると、鮮魚市場もいっぱいになり、鮮魚相場はガタガタになる。鮮魚市場からあぶれた魚が冷凍・加工に向かうことになる。このときに、冷凍設備や加工場がない港の余った魚は文字通り生ゴミになる。

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80年代にマイワシが豊漁の時代は、漁獲が全ての食用市場を見たし、質がよいマイワシが大量に養殖のえさになった。現在はサンマが食用需要を超える水揚げが続き、値崩れを起こしている。こういう魚は、養殖の餌や輸出を考えるべきなのだ。しかし、サンマ業界の足並みがとれず、身動きがとれていない。そうこうしているうちにサンマも減ってしまうだろう。チャンスの女神には前髪しかないのである。

90年代以降のサバ漁業は80年代のマイワシとは根本的に違う。食用のサバが不足した状態で、ほとんどのサバが最低グレードで浪費されているのだ。サバの行き先は、水揚げコンディションと大きさで決まる。

  1. 寿司屋、料亭などの高級食材→600g以上→枯渇
  2. スーパーや魚屋の一般鮮魚→450g以上→ノルウェー
  3. スーパーの特売用の鮮魚→350g以上→ゴマサバ
  4. 缶詰、削り節などの加工品→250g以上→ゴマサバ
  5. 養殖のえさ・中国アフリカ輸出→250g以下→マサバ

一番下のグレードにしかならない0歳1歳でサバを獲り尽くして、中国に輸出しているのだ。頭が痛くなるぐらい、バカな獲り方だ。

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下の図は、2001年のサバの用途別漁獲量である。みんながみんなそういう獲り方をしているわけではないんだけどね。



(↑詳しくは、https://katukawa.com/2007/07/post_160.html

80年代のマイワシ漁業は、良質のマイワシを安価で豊富に供給していた。消費者にメリットのある価格破壊である。一方、現在の日本のサバ漁業は、価値が出る前に魚を獲り尽くし、まともな魚を供給できていない。これは、価格破壊ではなく、価値破壊である。

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ノルウェーに行ってきたよん

漁業省、漁業庁、組合、輸出業者、ミール工場など、いろいろなところを見学し、昨日、帰ってきました。1週間ほどの短い滞在でしたが、今回も盛りだくさんで、勉強になったYO。近日中に滞在記でも書きたいところだが、なんか時間が無いっぽいな。まあ、期待せずに待っててください。

でもって、今日は東大の工学部で授業でした。時差ぼけ&体調不良で、後半に少し息切れをしたけれど、無事に終わって良かった。いつも思うんだけど、水産と無関係の人間に話をするのは難しいね。講演などで、俺の話を聴くために集まった人間なら、それなりに話を聞いてくれるんだが、工学部の授業だと漁業に興味も関心もない学生が多くいる。そういう学生にも聞ける話をするには、特に導入部が重要になる。そのことは、わかっているのだが、実践はまだまだ不十分だ。次は、三重大で情報科学基礎の授業だが、これも重要。漁業の改革も、授業も、チャレンジの連続ですよ。

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魚価が安いのは消費者のためか?

日本の水産資源には、大変高い価値がある。にもかかわらず、日本の漁業は利益を出せない。漁業者は、魚の値段が安すぎると愚痴をこぼしている。確かに、日本の魚の浜値は涙が出るほど安い。サバの場合、ノルウェーから輸入するとキロ単価が260円、銚子の平均単価は50円~70円だ。では、このような安い浜値は、消費者の利益になっているのだろうか。俺は、全くそうは思わない。

魚の値段が安い理由は、次の2つが考えられる。

1)質が高い魚を、安く売っている
2)質が低くなるようなとりかたして、値段相応で売っている

銚子の漁業者が、260円の価値がある魚を50円で売っているなら、消費者にとって、ありがたい話である。でも、もしそうなら、日本の商社がノルウェーから260円のサバを買ってくるはずがない。日本の漁業者が水揚げする、小サバには50円の価値しか無いのである。大きくしてから、旬に獲れば、日本のサバはノルウェーのサバに勝るとも劣らない。ちゃんと獲れば、260円以上の価値がある魚を、90年代は40円の養殖の餌にしていた。最近は、中国に輸出して、80円(送料を引いて50円)になったといって、喜んでいるのである。

現在、銚子の大型巻き網船が水揚げしているのは、0歳1歳の小型魚である。養殖の餌か途上国に輸出するかの二択である。乱獲によって、価値が出る前に獲り尽くしているのである。食用の日本のマサバを必要としていて、かつ、高い値段を支払う日本人は食べるサバがない。一方で、安ければ何でも良い養殖魚や、中国人にサバをたたき売っているのである。日本のサバは、世界最低の値段しかつかないような、世界最低の漁業なんだけど、それをあろうことに、水産庁の人間が「日本のサバ漁業の価格競争力は世界一でございます」と開き直る。これは全くの詭弁である。価値のある魚を安く提供しているのではなく、価値が無くなるようなとりかたをして、限りある資源を無駄にしているのだ。

もちろん、養殖の餌も必要だろうが、低水準のマサバ資源を使う必要は無い。北巻の連中は、90年代には「養殖の餌も食糧供給に需要だから、小さいサバも必要だ」とか言ってたくせに、最近は「中国のほうが10円も高く買うのだから、輸出は、全く理にかなった経済的行為でございます」とか、コロッと言うことが変えるから、呆れてしまうね。目先の利益のみを追求し、後付けで、屁理屈をこねて正当化しているだけだ。そもそも、養殖の餌になるようなサイズのサバを獲ること自体が、経済的に合理的じゃないだろうに。

もちろん、価値がある魚を安く提供している良心的な生産者も存在する。子供たちに美味しい魚を食べてほしいから、採算度外視で、安く給食に魚をおろしている生産者もいるが、例外的な存在である。ほとんどの場合、質が高い魚を安く提供しているのではなく、安くしか売れないような無駄な漁業をしているのである。そして、魚価が安すぎると消費者に逆ギレをするのだから、どうしようもない。税金を食いつぶしながら、限りある自然の生産力を破壊する無秩序漁業で得をする人間などいない。価値がある魚を安定供給して利益を出す漁業の方が、消費者にはよほど利益がある。

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