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勝川俊雄公式サイト

とある関係者さんへの返答

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勉強会を聞きました。

岩崎氏の講演は大変感情的で、会場の多くの人の評価も低いものだったと思います。
残念だったのは、これに対する先生の反論も感情的になってしまったことです。
ダメダメな主張に対して冷静に反論されていれば、
ダメさがもっと浮き立ってさらによかったと思います。
あれでは、同じレベルの人と思われてしまい先生にとって損です。

アドバイスをありがとうございます。
日本の漁業者は皆こまっています。その状況に対して責任を負うべき人間が、
無責任な自己弁護をしているのをみると、とても腹が立ちます。
ただ、それをストレートに表現するのはマイナスでしかないのはご指摘の通りであり、
自分自身の未熟さ故の過ちとして、反省しております。

議論を聞いていて感じたのは、先生の御提言は理論的でわかりやすいのですが、
どうも具体的イメージがわきにくいのです。
海外の事例だけではなく、これを国内の地域でどこかをモデルとして
シミュレーションし、そこの漁業がどうかわるのか、
所得はどれだけ増えるのかを定量的に示していただければ
実感がさらに湧きます。

経済学の専門家と一緒に、具体的な経済分析をこれから進める予定です。
豪州は、個々の漁業にITQを導入した場合の効果を分析し、
黒字のめどが立った漁業からITQを導入していきました。
彼らの手法を参考に日本の漁業に対応した形で進めていこうと思っています。
現在の課題は、その日の水揚げ量と魚価の関係を明確にすることです。
一日ごとの水揚げ量と魚価のデータが長期的に得られる漁業を探しています。
また、競争のための無駄なコストをどのように試算するかも難しい問題です。
統計データでは出てきませんので、現場の協力が欲しいところです。

このあたりは鶏と卵ですね。
具体的な話をするには現場の協力が必要で、
現場の理解を得るためには具体的な話をする必要がある。

また、それを漁業者に実際にお話していただく機会をもっと作って下さい。
マスコミや行政(規制改革会議も含めて)に訴えるだけでは、
現場はなかなか動きません。
逆に、現場が動き出せば社会は変わります。
どなたたかが言っていましたが、全漁連が反対すれば法は通らないのです。
でも、現場の漁業者がメリットを感じ、大きな声となれば政治は無視は出来ません。
ぜひ分かりやすい例を作って漁業者を洗脳してください。
そうではなく、漁村社会への新規参入者を主な担い手として考えているなら、
現在の漁業者への啓蒙は何の役にも立ちません

漁業者との直接対話の重要性は、ご指摘の通りです。
漁業を変えるには、漁業者サイドに味方を作らないと話になりません。
漁業を持続的に利益が出る産業に変えて、一番メリットがあるのは漁業者ですので、
利益と理屈で、現場を説得できるように準備したいと思います。
規制改革がらみで、かなり警戒されているようですが、
話を聞いてもらえるなら、どこへでも行くつもりです。

その前提として確認しておきたいのは、
先生は漁業2.0の担い手として誰を考えているかです。
私は、先生は現在漁業をしている人とその後継者に担っていただきたいと
考えているのではないかと思っています。
そうであるなら、上記のように今漁業を担っている者を
どんどん揺さぶってください。結構道は近いかもしれません。
ただ、これは規制改革会議の新規参入論とは相容れないところも
あるのではないかと思います。

私の講演を聴いていただければおわかりだと思いますが、
漁業は家業であり、子が親を継いでいくのが自然な姿だと考えています。
漁師の子供が漁業を継がない(継げない)現状で、
外から人を連れてきて解決というのは、あり得ません。

子供が後を継げるようにするには漁業が持続的に利益を出すことです。
今までのように、獲れるときに獲れるだけ獲るのではダメです。
「今年は良いけど、来年はわからないなぁ」というレベルでは、
短期的な利益しか得られず、漁船の減価償却もままならないでしょう。
漁業者は「子の代、孫の代まで」と良く言いますが、
今のやり方で、孫の代まで漁業が続くわけがないだろうと言いたい。

私はいろいろなところでノルウェー漁業を見習うべきと論じてきました。
ノルウェーでは、漁業が家業として、代々受け継がれています。
漁業者は、漁業から安定した収入を得て、豊かな生活を送っています。
日本の漁業をこのような状態にするのが、水産資源学の専門家の使命です。
ノルウェーのやり方を学んだ上で、日本にもそれを取り入れていくべきです。
一方、NZ漁業は、元手をかけずに、経済行為としての漁業を活性化して、
漁業から多くの税金を得るために良い方法です。
漁業の大規模化、大企業化が進み、全く違う姿になりますが、
資源の持続性は維持できるし、都市生活者にはメリットは多いでしょう。
本当に、漁業全体をスクラップアンドビルドをしないといけないし、
既存の漁業にとっては、失うものが多すぎます。
日本の国家財政が厳しくなるなかで、待っているのはNZ型の改革でしょう。
そこまで追い詰められる前に、ノルウェー型に移行すべきです。

規制改革は、多方面から現状への問題認識を集約したものであり、
その中で私が関わったのは資源管理の部分のみです。
公的な意味では部外者ですが、資源管理の部分については責任を負うつもりです。
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/11/post_416.html

規制改革にせよ、高木委員会提言にせよ、「資源管理をちゃんとやれ」という
以外の部分では、「正直、これはどうなんだ?」と思う点もあります。
参入自由化というのは、今すぐに、議論をすべき課題だとは思いません。
もちろん、後継者が途絶えたところは、外部からの参入も考えるべきですが、
まずは、既存の漁業が利益を出せるようにするのが先でしょう。
漁業2.0化と過剰努力量の削減が優先課題です。
ただ、参入プロセスの透明性を高めるのは、重要な課題だとおもいます。
ドアを開けっ放しにしろとは言いませんが、ドアを開けるか閉めるかの基準を明確にした上で、
第三者にもわかるようにすべきでしょう。

マスコミなどでさんざんあおっていただければいいのでしょう。
そしてその結果として改革がなったなら、それは現在の漁村社会を
破壊し多くの者の職を奪うことになります。

今まま、世代交代もままならないまま、漁村社会が衰退すれば、
同じ結末しか待っていないでしょう。
これをどう避けるのかを、議論していきたいですね。
現状を維持するための名前だけの改革では駄目なのです。

それでも日本国全体と見ればその方が得であるからそうしたほうがよい、
という主張も当然ありですし、規制改革会議を通じて何かを企んでいる
人たちの考えなのかなと穿っております。
(ただ、小松先生はその人達とは違うとも感じています。)

漁業政策の重要なポイントは、資源が持続的に有効利用されることです。
漁業が、産業として自律した上で、食糧の安定供給機能を果たすべきであり、
既存の漁業にそれが出来ないならば、他の道も模索すべきでしょう。
ただ、優先権は現在の漁業者にあるし、どうなるかは漁業者次第でしょう。

EEZ時代に漁業が産業として生き残るには、漁業2.0化は必須です。
私としては、数ある漁業2.0化の方法論の中から、
既存の漁業者がもっとも有利になる方法を提案しているつもりです。

政治的な部分に関しては、私はノータッチですので、
規制改革陰謀論については、否定も肯定も出来ません。
私はあくまでボランティアの協力者ですので、
規制改革会議が、漁業を破壊するような方向に進むのであれば、袂を分かつまでです。
(そういう風にはならないと、思っていますが・・・)

昨日の記事を削除しました

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投稿者と和解の上、昨日の記事は削除しました。
あの件に関しては、これで終わりにしたいと思います。
団体名が特定できるようなコメントは非表示とさせていただきますので、
ご了承ください。

某財団法人の学生さんへ

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次のようなコメントをいただいた。

一言。
メディアに出て、それを張り付けて喜んでいるのはちょっと…良い印象を受けません。
小松さん、勝川先生は机上。
それに反対する先生方は現場。
一学生から見るとこんな印象を受けます。

現状認識の違いは、活動しているフィールドの違いでは?
勝川先生のおっしゃることは理解できるですが、漁村文化などといった視点を欠いているのではないでしょうか?
現状、現場、漁村で暮らす人々の生活を無視した、机上の政策論争のように思います。
互いを非難し否定しあっているなんて、ばかみたいです。学生でももう少しまともに話し合えるのではないですか?
今後は現状認識を確認していくというお話があったようなので、そういうところから協力して水産業のためになる政策が生み出されることを期待しております。

ご迷惑なら削除してください

会場にきた人なら、おわかりだろうが、勉強会に学生はほとんどいなかった。
少数の学生はいずれも、顔を見知った人間ばかり。
「小松さん、勝川先生」って、何で話をしていない小松さんが出てくるのだろうか。
どうも不自然に思ってIPを調べてみた、某財団法人からのアクセスでした。
月給80万円のご高齢の学生さんですね。
ネットには匿名性はありませんので、
職場からの書き込みは100%身元が割れると考えてください。
当ブログへの書き込みは匿名でもかまいませんので、
次からは学生などと名乗らずに、ある水産庁OBとでも名乗ってください。

内容については、真摯に受け止めるべき点もあると思うので、返事を書きます。

机上の空論だというなら、どのあたりが非現実的かを示してください。
また、漁村文化、現状、現場、漁村で暮らす人々の生活を考慮するとどうなるのでしょうか。
漁業者が喜ぶから、好きなだけ獲らせてあげましょうでは、
資源は減少し、値崩れによって利益は出ません。
それを30年続けてきて、漁業は悪くなるだけではありませんか。

>現状、現場、漁村で暮らす人々の生活を無視した、机上の政策論争のように思います。
>互いを非難し否定しあっているなんて、ばかみたいです。
>学生でももう少しまともに話し合えるのではないですか?

この指摘はもっともだと思います。本当に馬鹿みたいです。
漁業者、加工業者に話を聴くと、「行政官も研究者も漁業の現場のことは何もわかっていない」と言います。
現場から離れたもの同士が、互いを非難し否定しあっても仕方がありませんね。

また、私だって、最初から、水産庁の批判をしていたわけではありません。
今と同じようなことを、何年もソフトに主張してきました。でも、何も変わりませんでした。
数人の鼻がきく行政官が「言い訳」の準備をしただけです。
北海道の日本海側のスケトウダラが減少し、全く歯止めがかかっていません。
ニシンに続き、スケトウダラも崩壊したら、北海道の日本海側は危機的な状況になります。
マイワシは史上最低水準でなお強い漁獲にさらされているし、
サバの回復の芽をつみ、日本市場はノルウェーサバに席巻されています。
漁業者も、行政も、研究者も、徐々に変化をしていますが、現状ではあまりにも遅すぎます。
こういう状況で私に残された選択肢は外圧となり、変わらざるを得ない状況を作ることのみでした。

水産という閉鎖社会のなかで、一研究者が、役所や業界団体を批判するのは、容易なことではありません。
おもしろ半分にできることではなく、将来のキャリアを投げ出す覚悟でやってきました。
欧米のように、行政官が研究者の意見を尊重していれば、こんなことはしないですんだのです。
批判される側にはおもしろくないと思いますが、仕方がないことです。

ただ、予想以上に発言の影響が大きくなってしまったので、様々な弊害も出てきています。
私の目的は、漁業を破壊することではなく、漁業を改善することですので、
今後は方向転換を図っていこうと考えています。

>今後は現状認識を確認していくというお話があったようなので、
>そういうところから協力して水産業のためになる政策が生み出されることを期待しております。

「水産業のためになる政策が生み出されること」というのは、全く同感です。
そのためには、漁業者、行政官、研究者が、漁業の問題点やその対策を、
自由に議論をできる場ができるとよいですね。

現実に苦しんでいる漁業関係者がたくさんいます。
どうやったら、漁業の危機的状況を打開できるかという観点から、アドバイスをいただければ、
取り入れられるところは取り入れて、真摯に対応していきたいと思います。

あと、メディア利用ですが、個別漁獲枠の説明にはテレビの動画が一番わかりやすいので使いました。
ただ、最後の水産庁の部分は余計でしたね。配慮を欠いていたかもしれません。

勉強会の感想

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参加者の皆様、お疲れ様でした。俺も疲れました(笑
出席者の感想のなかに「まだ、こんなレベルの喧嘩をしていたのか!」と驚かれた方もいるでしょう。
実際、あのような低レベルの会話しか、成立しないのです。

漁業が危機的状況にあるというのは、この業界の人間の共通認識でしょう。
しかし、そのことを認められない立場の人もいるわけです。
水産庁OBを呼んできても、「魚は減ってないし、漁業に問題などない」と、主張をするのは明白。
多くの漁業関係者が困っている状況をつくりながら、自分たちだけ優雅な老後を送り、
「日本の漁業に何も問題はない」と言い切られると、俺は頭にくるわけです。
予想通りの展開で、話す方は疲れるし、聞いている方は訳わからんでしょう。

今回の勉強会で浮き彫りになったのは、議論の前提として、現状認識が重要ということ。
現状認識であれば、規制改革のようなものを前面に出さない方が良いでしょう。
「今、資源はどうなっているのか」、ということにフォーカスし、
改革派・反対派などの利害関係を極力排除した上で
気楽に話ができる場所を作ってみたら、どうでしょうか。
水研の評価票担当者でも呼んできて、資源評価の結果と将来展望について話してもらう。
それを元に、黒倉先生、松田さんあたりが、パネルディスカッションでもするような感じ。
今回の勉強会より地味な会になるでしょうが、そういうものを地道に積み重ねていくのが、
水産学会らしい社会貢献になると思います。

おまけ
11月から12月上旬の銚子では3~4日おきに1000~2000トンを水揚げ。中心サイズは1尾200~300グラムで、平均価格は50~60円。大半が冷凍原料向け。(みなと新聞 12月5日)

今年は、北巻も、欧州みたいなバランス良い年齢組成でサバを捕っていると、誰かが言ってなかったか?
そもそも04年、07年年産まれしかいない時点で、安定した年齢組成はあり得ないだろう。

今日の見所

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今日の勉強会ですが、講演者のそれぞれの立ち位置を理解した上で、
その意見の違いをお楽しみいただければ幸いです。

立ち位置の違いを明確にするのは次の2つの質問です。

Q1 日本漁業に問題はあるのか?
Q2 今までの日本のやり方で問題は解決できるのか?

それぞれの質問の回答によって3つの陣営に分けることができます。

抵抗 保守 改革
Q1 N Y Y
Q2 Y N

 

それぞれの陣営は、次のような関係にあります。

081206.png

保守と革新は、漁業をよくしたいという問題は共有していますが、
そのための方法論が違います。
保守派は、従来の日本の漁業を高く評価し、これを改良していくことで、
問題解決をはかるべきという意見を持っています。
いっぽう、革新派は、海外の成功事例から謙虚に学び、
新しい産業に変えていく必要があると考えています。
保守と革新は、どちらが100%正しいということではありません。
改革をするにしても、現状がスタート地点になるわけだし、
保守派にしても今のままでよいとは思っていないでしょう。
保守派と改革派が、議論を進めることで、
日本漁業を改善するための具体的な方向は見えてくるでしょう。

講演者の牧野さんは、日本の自主管理の研究をしている保守の論客です。
私とは、方法論が180度違いますが、それでも議論は成立するだろうし、
話を聴く人間にも意味はあると思います。

一方、岩崎さんは、水産庁から巻き網、トロール組合に天下った人間で、
「日本の漁業に問題などない」と大声で主張するでしょう。
「俺の人生は、間違えていなかった」といいたいわけですが、
都合が悪いものは隠して、都合がよい事例だけを繰り返すという、
典型的な大本営発表スタイルの話しかできません。
桜本文書がサンマばかりを取り上げているのと同じやり方ですね。
そんな子供だましが通用すると思っていること自体、時代錯誤ですが、
なんで、こんな人間を呼んでくるのか、理解に苦しみます。
まあ、抵抗勢力のお粗末さがよくわかるという意味では、
価値があるのかもしれませんね。

勉強会のお知らせ

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日本水産学会勉強会
「水産業のこれからを考えるI,II」

主催:日本水産学会企画広報委員会
(企画担当:山川 卓(東大院農),清野聡子(東大院総合文化),
永田光博(道水孵化場),良永知義(東大院農))
昨年来,日本経済調査協議会の水産業改革高木委員会提言「魚食をまもる水産業の戦略的な抜本改革を急げ」や,内閣府規制改革会議の「規制改革推進のための第2次答申」「中間とりまとめ-年末答申に向けての問題提起-」などの公表が起点となり,水産業改革のための議論が業界関係者を中心に活発化しています。日本水産学会企画広報委員会では,このような動きに関する情報を学会員の間で広く共有して今後の活動の参考にするとともに,そこで展開されている議論の内容や論点を正確に把握することを目的として,以下の勉強会を企画しました。ふるってご参加くださいますよう,お願い申し上げます。

「水産業のこれからを考えるII-水産資源の管理と持続的利用-」
日時:  平成20年12月6日(土) 13:00~ (16:00頃に終了予定)
場所:  東京大学農学部 農2号館(農正門を入って左側の建物)2階,化1講義室
東京都文京区弥生1-1-1(地下鉄南北線 東大前駅 下車 徒歩1分,千代田線 根津駅 下車 徒歩8分)
講演者(敬称略):
・勝川俊雄(三重大学生物資源学部)
・岩崎寿男(漁業経済学会会員)
・牧野光琢((独)水産総合研究センター中央水産研究所)
各講演40分(質疑含む)+全体の討議 1時間程度
*  入場無料です。会場の都合上,参加ご希望の方はe-mailまたはFAXにてお名前,ご所属,参加希望人数を事前にご連絡下さい。日本水産学会会員以外の方にもご参加いただけます。ご希望多数の場合は先着120名までに限らせて頂きますのであらかじめご了承ください。
連絡先:日本水産学会事務局 e-mail:fishsci@d1.dion.ne.jp(@dの後は数字の1です)               FAX:03-3471-2054

http://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/COM/jsfs6.html
この勉強会については、正直、首をかしげたくなる点が多い。

まず、人選がおかしい。
岩崎さんは、水産庁→漁業情報センター→トロール組合→巻き網組合と
天下りを歴任した80過ぎの老人。
「サバを漁獲枠で管理しているのは日本と韓国だけ」とか発言するレベルの人間で、
海外のまともな資源管理のことを何も知らない。
枝葉末節を取り上げて、「日本漁業にはなんの問題もない!!!!」と吠えるだけだろう。
知識がなく、相手を罵倒するしかできない人間を呼んだところで、まともな議論は不可能だ。

また、時間配分にも、問題がある。
漁業改革の説明には、最低限、次の5点が必要になる。
1)漁業の現状を全体的に把握
2)日本漁業の問題点を特定
3)日本と同じ問題を克服している海外の事例を紹介
4)問題回避のメカニズムの説明
5)日本漁業に新たな制度を導入する道を探る
これだけの内容を、質疑応答込み40分で話せるはずがない。
改革サイドには、極めて不十分な説明時間しか与えずに、
その後で、抵抗勢力の枝葉末節の揚げ足取りが延々と続くわけだ。

「個別の漁獲枠で漁業復興を」 朝日新聞 11月30日(日)

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朝日新聞朝刊特設面の環境企画「環境ルネサンス」に掲載されました。

asahi081130.jpg

写真が少し怖いですね。デジカメで撮ったんだけど、日差しが強いなかで、頑張って目を開けています。
みなと新聞の写真もちょっとイケてない。
メディア用に、写真を準備するか。

とりあえず、ぼったくり価格を提示してみました

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どうやら、ある水産関係者さんのコメントがビンゴのようです。

水産庁は「IQ・ITQには金がかかるから困難だ」と大声で宣伝している。
これは、IQやITQ導入へのハードルを高くするとともに、
自らの消極的な姿勢を業界にアピールするという効果がある。
さらに、IQ、ITQの導入が回避できない場合も、
懇談会のお墨付きの元、法外な予算を要求できる。
どっちに転んでもおいしい状況を作るために、
法外な必要経費を計上したうえで、
「金がかかる、金がかかる」と騒いでいるのだろう。

しかし、他国では10分の1以下のコストで、
しかも、全て漁業者の自己負担で、個別漁獲枠制度を実現できている。
日本だけが、国民全体の負担で440億円もかかるというのは、
自らの非経済性を晒しているとは思わないのだろうか。

また、「日本の漁業者は遵法意識が高いから、公的機関の取り締まりは不要」と、
常々主張してきたのに、ITQを導入するとなると、いきなり、漁業者は泥棒扱いで、
全船監視が必要というのも、あまりにお粗末だ。

しかし、どんな法外な値段をつけたところで、
天下り&反対派をそろえたお抱え懇談会でつっこみが入るはずがない。
一般人は、計算の内訳なんて見ないだろうから、
440億円という数字を一人歩きさせることが出来る。
攻撃と防御を兼ねた、実に良い手だ。
こういうところだけは、本当に頭が働くものだと、感心する。

議事録は読んだけど、新聞記事との違いがわからない

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「新聞記事は、実態を必ずしも反映していないので、
議事録を読んでから批判をした方がよい」
というアドバイスを人づてにいただいた。
先ほど、議事録が公開されていたので、新聞記事と比較してみたが、
細かい表現をのぞいて大差がないように思う。

大きな流れとしては、水産庁の方針が次のように示されたことだろう。
● IQやITQの導入は困難
● やりたいなら、漁業者が勝手にやれ

それに対して、桜本議長は次のようにまとめている。

「IQ・ITQにつきましては、今回の論点整理にまとめていただいたように、いろいろな問題点があり、我が国への導入に関して、水産庁側の姿勢を明示していただいたところです。それに対して特に大きな反対もないということで、方向性としては妥当なものをお示しいただけたのではないかと私自身は考えております。」

ここでいう「水産庁側の姿勢」とは、ITQは困難ということだろう。
それにたいして、反対がなかったので、懇談会として認めたと言うことだ。
みなと新聞に書いてある通りだと思う。

俺が議事録の真意を全く理解できていないのか?
読者の皆様も、みなと新聞の記事と、議事録を比較してみてください。
なにがどう違うのかわかったの方は、コメント欄で指摘していただけると、有り難いです

IQ入れると440億円かかる?を検証する

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「ITQイヤイヤ懇談会」の結論としては、ITQは金がかかるから駄目ということらしい。

今の日本では、TAC制度には、ほとんど金をかけてない。
資源評価もいれて30億ぐらいでしょうか。(知っている人いたら教えてください)
漁業の未来のために、しっかりと投資をするのは大賛成だが、
ITQを導入すると管理コストが跳ね上がるというのは、おかしな議論だ。
440億円って、どっから出てきた数字なの、という素朴な疑問が沸いてくる。

水産庁の出してきた440億円の根拠は計算根拠は、次の資料の17(15)ページにある。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/yuusiki/dai5kai/siryo_18.pdf

○漁港漁場整備法に基づく第2種漁港(496港)及び第
3種漁港(101港)に検査官3名が周年駐在。

○大臣管理漁業対象漁船(3808隻・統。左図から算定)
に検査官1名が乗船。

【試算結果】
(検査官人件費×3名+事務所借料)×597港
=13,969,800千円

検査官人件費×3808隻・統=29,702,400千円
合計:43,672,200千円

一定規模以上の港に3人、一定規模以上の船に1人を常駐させる人件費だそうです。
ちなみに、船に乗る人間の費用は、一人当たり年額780万円。
港の検査員も同じ費用がかかるとすると、事務所借料が0円になってしまう。
港の検査員の方が一人当たりの費用が安くなる理由がわからない。
たぶん、人件費だけ計算をして、それじゃあまりにかっこわるいから、
「事務所借料」という文だけを加えたのだろうか。

また、2種漁港すべてに、3人も常勤する必要は無いだろう。
特定第三種には、一人ぐらい貼り付けても良いかもしれないが、
2種漁港に常勤3人は明らかに過剰である。
(参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の漁港一覧

440億円という金額自体も法外だが、これらのコストはITQだから必要なわけではない

オリンピック制度でも、それぞれの港で水揚げを迅速かつ正確に確認べきだから、
港の漁獲量把握のための行政コストは、現状でも必要なはずだ。
べつに漁獲枠を個別割り当てにすることで、発生するコストではない。
オリンピックだろうと、ITQだろうと、総量規制をしていたら必要になるはずだ。

また、ITQは出口管理だから、個別の船の水揚げを港でチェックすればよい。
よって、船に監視員を配置する必要はない。
検査官人件費×3808隻・統=29,702,400千円は不要。

水産庁は、TACやITQのような量的規制よりも、操業規制が有効であると主張してきた。
操業規制が守られているかどうかを確認するには、船に監視員が必要になる。
つまり、この300億円はITQではなく、水産庁が主張する操業規制の必要経費なのだ。
水産庁の計算によると、ITQなら、操業規制の半額で済むことになる。
語るに落ちるとはこのことだろう。
実は、隠れITQ推進派が資料を作っていたりして(笑

まとめ

漁港検査費用(13,969,800千円)
ITQを導入する、しないに関わらず、港での漁獲量の把握は必要。
これは、TAC制度を入れた時点で必要な費用であり、
オリンピック制度からITQに移行することで生じるコストではない。

乗船検査官人件費(29,702,400千円)
ITQは水揚げ量の規制なので、検査官を乗船させる必要はない。
これは、水産庁がITQの対案として主張する操業規制のコストである。

ITQをやらない言い訳づくりの一環として、法外な管理コストを試算して見せたのだが、
コスト計算の前提自体がナンセンスであり、
440億円という費用はITQの導入と関連するわけではない。
あまりに、稚拙な計算だと思う。

有識者の皆さんは、この試算に、どんなコメントをしたんだろうね。
議事録が楽しみです。

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