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勝川俊雄公式サイト

漁業管理が、領土問題を未然に防ぐ

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先日、境港のまき網船を135トンから250トンに大型化する計画が新たに判明し、周辺の沿岸漁民に不安と動揺が広がった。対馬、壱岐、見島、隠岐といった日本海の離島の漁業は、クロマグロをはじめとする漁業資源の枯渇によって、存亡の危機に瀕している。資源減少の主要因は、日本の大型巻き網船団による乱獲である。資源が減少して、主要産業である漁業が成り立たなくなれば、離島の過疎化は一気に加速するだろう。日本海の離島が無人島になれば、竹島のように実効占拠されかねず、国防上も大問題である。巻き網船の大型化は、離島の生活を破壊し、将来の領土問題を引き起こしかねない。

壱岐の勝本漁協は、資源を持続的に利用するために、自分の漁場での網漁具の使用を禁止してきた。その結果、クロマグロをはじめとする豊富な資源に恵まれ、大勢の組合員が釣り漁業で生計を立てていた。2004年から、巻き網船団がクロマグロ産卵場での操業を開始した後に、クロマグロの漁獲が直線的に減少している。2009年から、巻き網船団は産卵場に南下する前の未成魚を狙った操業を活発化している。こういう漁獲をすれば、大型個体を狙っていた離島の一本釣り漁業が成り立たなくなるのは自明である。日本海でも、マイワシ、サバ、アジなどの巻き網の漁獲対象魚種は、ことごとく減少している。沿岸漁業者が巻き網漁船の大型化に神経をとがらせるのは当然であろう。

周辺漁民の猛反発が予想される巻き網漁船大型化計画は秘密裏に進められた。計画の存在が、周辺漁民に知らされたのが8月12日。その2週間後の8月26日には、審議会を開いて、計画を承認する段取りになっていた。たった2週間では、反対意見のとりまとめもままならない。あまりにも、唐突であり、「だまし討ちされた」という印象をもつ沿岸漁業者も多い。今回の大型化計画は、山口県の猛反対により、延期されることになった。周辺漁民の理解を得た上で進めるべきという判断を下した水産庁長官の英断である。離島の一本釣り漁業も何とか首の皮がつながったという状況だろう。

日本と韓国、中国の間には数多くの離島が存在する。いくら、日本政府が「領土問題は無い」と主張したところで、相手国が領有権を主張しているのだから、領土問題は存在するのである。離島が無人島であれば、漁船や移民を送り込んで、実効支配をしているという既成事実を作ることが出来る。無人島を維持するには、海上保安庁の献身的努力や政治力、軍事力など様々なコストがかかる。それでも、竹島のように実効支配をされてしまった事例すらある。

もし、離島に大勢の日本人が生活しているなら、日本の領土であることは、誰の目にも明らかである。軍事的に侵略すれば国際社会の非難を浴びるし、移民を送り込んで乗っ取るのもむずかしい。離島に人が住むには、産業が必要になる。離島の基幹産業である漁業を守ることは、日本の領土を守る上で重要なのである。周辺国が虎視眈々と日本の離島を狙っている状況で、わざわざ離島の生活基盤を税金で破壊するのは、愚かとしか言いようがない。このまま日本海の離島の過疎化が進めば、確実に国防上の問題に発展するだろう。

離島に今後も人が住み続けるには、漁師が生計を立るのに十分な資源水準を維持しなくてはならない。所得補償をして、税金で飯を食わせればよいという問題ではない。漁業を公共事業化すれば、短期的には離島の人口減少を食い止められるかもしれないが、長い目で見れば、離島の基幹産業としての漁業を殺し、漁村の新陳代謝を失わせて、取り返しのつかない事態を招くだろう。補助金の切れ目が、生活の切れ目となり、長い目で見て島は生き残れない。離島に今後も日本人が住み続けるには、資源管理を徹底して、漁民が魚を捕って生計を立てるのに十分な資源を維持しないといけない。

資源管理コース
資源回復→離島の生活基盤安定→離島の人口維持→領土問題を未然に防げる

過剰漁獲コース
巻き網船大型化→資源の枯渇→離島の漁業が衰退→過疎化→領土問題が勃発

筆者は、効率的な巻き網漁法が、今後の日本漁業の中核を担っていくべきだと考えている。現在の巻き網漁船の劣悪な住環境を改善するには、250トンへの大型化が不可欠なこともわかる。しかし、巻き網船を大型化するのは、漁業管理を徹底し、資源を回復させた後の話である。今の資源状態では、大型化した巻き網漁船すら生き残れない。すでに巻き網の漁獲能力は、自然の生産力と比べて過剰な状態である。乱獲状態の解消には、公的資金による減船が不可欠である。その上で、個別保障とセットにした漁獲規制を行い、資源を回復させなくてはならない。そこまでやれば、巻き網漁業は利益を生むようになるし、資源減少により瀕死の沿岸漁業も生き返るだろう。

結論

今、日本がやるべき事は、巻き網漁船の大型化ではなく、資源管理・資源回復である

公的資金による巻き網船の大型化には、慎重であるべき その2

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現在の資源状態で、巻き網漁船を大型化しても、利益が出るとは思えないのだが、水産庁は、どのようなビジョンに基づき、漁船の大型化を進めているのだろうか。例として、すでに進行している波崎地区の取り組みを見てみよう。これらの取り組みをまとめているのは、白須敏朗前事務次官の駆け込み天下りを受け入れた「大日本水産会」である。大日本水産会のウェブサイトの片隅に、北部太平洋大中型まき網漁業地域プロジェクト改革計画書がひっそりと公開されている。

http://www.suisankai.or.jp/gyogyou/hasaki-keikaku.pdf

この取り組みの主目的は、網船に探索船と運搬船の機能を持たせることで、4隻の船団を3隻に減らしてコストを削減することとなっている。船の数は減るのだが、網船の大型化により、船団規模は、696トンから、734トンに増加する。今ある運搬船をそのまま温存し、大型化した網船にも運搬船機能を付加する計画なので、港に持ち帰れる魚の量は増える。計画書では、水揚げ重量を5%減らすことになっているので、船倉を拡充する必要は無いはずである。これでは、省エネを名目にした、漁獲能力の拡大ではないだろうか。

取り組みの効果としては、「高付加価値製品の生産に取り組むことにより、販売、加工等流通関連産業と一体となった改革が期待される」、「高鮮度漁獲物等ブランド製品の流通により、消費者に対し安心、安全な食材の供給が図られる」と、記述されている。計画書の水揚げ量と水揚げ高から、水揚げの単価を計算してみると、現状で1kgの単価が54.6円に対して、改革後の単価は54.9円。たったの0.3円の改善でしかない。改革後の魚のkg単価が55円というのは、養殖の餌にしかならないような最低の品質の魚の相場である。高付加価値やブランド化など論外である。この計画に27億円もの公的資金を投入する価値があるとは思えない。むしろ、この船団を減船すれば、日本の食卓にも並ぶ500g以上のサバの水揚げが増えるだろう。

現状 改革1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
水場量(t) 15,000 14,250 14,250 14,250 14,250 14,250
水揚高(千円) 819,000 780,000 781,000 782,000 783,000 783,000
単価(円/Kg) 54.6 54.7 54.8 54.9 54.9 54.9

儲かる漁業創業支援とあるが、いったい誰が、どの程度のスパンで儲かるのだろう。すでに採算がとれていない乱獲漁業を税金で延命しているだけではないか。今もとめられている水産政策は、魚の価値を高めることで、資源管理による一時的な漁獲量削減に耐えられるような経営体の創出である。薄利多売をしている船団が、漁獲量で勝負をするのをアシストしても、長い目で見れば、漁業の衰退を早めるだけである。

公的資金による巻き網船の大型化には、慎重であるべき その1

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日本近海の水産資源の減少に歯止めがかからない。資源減少の主要因は、大型巻き網船による過剰漁獲である。最新の魚群探知機・ソナーを導入し、網を大型化した、現在の巻き網船は、自然の生産力を遙かに上回る漁獲能力を備えている。過剰な漁獲能力をもてあまし、少なくなった魚群を、巻き網船同士で奪い合う状況が続いている。


日本の小型浮魚類の漁獲量(トン)↓


巻き網漁業の主な漁獲対象であるアジ、サバ、イワシは、総じて資源状態が悪い。97年から2007年の10年間に大型巻き網船によるこれらの漁獲量は、100万トンから、45万トンに減少している。絶 え間ない技術革新によって、漁獲効率が格段に高まっているにもかかわらず、漁獲量が半減しているのである。


90年代以降、漁獲に占める小型魚の割合が増えている。巻き網船団は、魚群探知機メーカーと共同で、稚魚の群れがよく見える高性能のソナーを開発し、今まで獲っていなかったサイズの小型魚に狙いを定めのである。その結果、卵の生き残りが良い当たり年の年級群も、成熟前に獲り尽くされてしまう事例が後を絶たない。去年の年末に、150g未満のサバ0歳魚が、銚子で大量に水揚げされた。今年7月には、境港で20gの超小型アジが連日200トン以上水揚げされている。単価は30~40円であった。下の図を見れば解るように、以前は親と一緒に未成魚も漁獲していたのだが、90年代以降は未成魚への漁獲圧が高まり、ほとんど親がいない状態が続いている。

アジ、サバ、イワシを獲り尽くしたまき網船は、それまで、主な漁獲対象ではなかったブリやクロマグロを狙って操業するようになった。下の図は、大中まきによるこれらの魚種の漁獲量だが、直線的に増えていることがわかる。。ブリやクロマグロはアジ・サバ・イワシと比べれば、資源量も少なく、生産力も低い。無規制なまま、巻き網漁業に晒されれば、減少するだろう。伝統的にこれらの魚種で生計を立ててきた定置網漁業者や一本釣り漁業者の生活を破壊しかねない。

今、必要な事は、漁獲圧を削減し、アジ・サバ・イワシ資源の回復を待つことである。しかし、現在の巻き網の経営状況では、漁獲を控えるのはむずかしい。このまま放置しておけば、資源を枯渇させて、他の漁業を巻き添えに自滅をするのは時間の問題である。公的資金で、適正な規模まで、減船をしなくてはならない。

残念ながら、日本の漁業政策は、逆の方向に向かっている。2007年から、「もうかる漁業創設支援事業」という名のもとに、公的資金による、まき網漁船の大型化が進められている。(http://www.suisankai.or.jp/gyogyou/shincyoku-100310.pdf)。日本近海の浮魚資源は総じて低水準であり、なおかつ、国による漁獲規制は無いも同然。この状態で、公的資金によるまき網船の大型化をしても、長い目で見て誰も得をしないだろう。

公的資金でまき網船を大型化する計画が進行中です

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読者からの投稿です。

大中型まき網漁船の大型化について
水産庁は、漁業構造改革プロジェクトにより大中型まき網漁船の大型代船建造に次々補助金をつぎ込んでおります。西日本の沖合で操業できる大中型まき網漁 船の網船を水産庁自身が135トンに制限しているにもかかわらず、境港の大中型まき網漁船について境港の関係者のみで合意が図られたとして250トンまで 大型化するのに補助金を入れようとしています。近隣の関係県、沿岸漁業者には一切相談なしです。この国の水産資源を回復するためには、実稼働している大中 型まき網漁船に対し補償金を出して減船した上でIQ制などアウトプットを規制する施策を導入すべきであるにもかかわらず、日水系など大資本の漁業に対し補 助金を出して大型代船の建造を支援し漁獲能力を増す愚策を行うことにやるせない思いです。これらの動きをなんとか止めることはできないでしょうか。

裏をとったところ、確かに、このような計画が進んでいます。

マイワシ、サバ、アジなど、西日本で大型のまき網で獲るような魚はことごとく枯渇しています。唯一の金づるの、クロマグロも今年はほとんど獲れなかったのだから、少しは反省していると思いきや、大きさが倍の新船を作るとは何を考えているのだか。

誤った経営判断で企業が傾くのは自業自得ですが、それによって、多額の税金が失われます。それ以上に深刻なことは、資源枯渇によって、日本海の離島での生活が成り立たなくなることです。対馬、壱岐、見島、隠岐といった日本海の離島の主要産業は漁業です。クロマグロをはじめとする水産資源を枯渇させて、数少ない産業を破壊すれば、離島に人が住めなくなる。そこで生活している人がいる限り、そうそう韓国人は入ってこれません。日本海の離島が無人島になれば、竹島のように実効占拠されるのは時間の問題でしょう。

離島に人が住んで、生計を立てていけることが、国防の要なのです。戦闘機やイージス艦が幾らあっても、竹島の実効支配は防げませんでした。日本海の国境を守るには、防衛費よりも、漁業管理が重要なのです。この境港漁業構造改革プロジェクトは、単なる税金の無駄遣いにとどまらず、離島の生活を破壊し、将来の領土問題を引き起こす可能性が高いです。このような補助金は納税者にとって百害あって一利なしといえるでしょう。

この手の計画は、内輪で固めた評価委員会をアリバイ的に開き、形式的な検討した後に、すぐに実行に移されるケースが多いです。波崎地区のような問題が多い計画であっても、評価委員は素通しです。すでにレールは引かれているはずなので、時間的にも、これを止めるのは、難しいですね。

資源管理は何も進んでいないのに、構造改革と称して漁船を大きくするのは、国益を損なう、誤った判断です。この計画の最終的な権限をもっている水産庁長官には、なんとしても、思いとどまって欲しいと思います。

韓国漁船は、クロマグロの産卵群を獲れません

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「水産庁がクロマグロの産卵場での操業を規制しても、韓国が獲るから意味がない」と考える人もいるようですが、韓国はクロマグロの産卵場で産卵群を漁獲していないし、今後も獲れないでしょう。

韓国漁船の違法操業問題ですが、ほとんどがEEZの縁辺部での小競り合いです。夜中に漁具を仕込んで、次の日の夜中に漁具を回収というのが基本であり、必然的に、刺し網やカニカゴなど、さっと放置して、素早く回収できる待ち漁具が主流になります。

クロマグロで問題になっている大型巻き網の場合、4~5隻で船団を組みます。まず、マグロの群れを見つけて、産卵行動で浮き上がってくるまで、ソナーを使って長時間追跡する必要があります。産卵行動で浮き上がってきたところを巻くのですが、網を入れてから、上げるまで、1回の操業に2時間はかかります。産卵場は、日本のEEZのど真ん中です。日本中の大型巻き網船団が、狭い海域でマグロの群れを奪い合っているところに、韓国の船団がノコノコ入って、暢気に操業できるはずがないのです。

韓国ではマグロをほとんど食べません。韓国で売っても値段がつかないので、獲れたマグロは全てを日本に出してきます。水産庁はこれらのマグロを水際で抑えて、どの船が何処で獲ったものか、全て確認しているのですが、産卵場での操業は確認していないようです。私が確認した範囲でも、産卵期に、産卵場で獲られたと思われるマグロは、日本には入ってきていないです。

韓国のヨコワ漁獲はたったの千トン。ヨコワだけ見ても日本の何分の1かであり、今のところは誤差のようなものですが、増加傾向にあるのは事実。今後の増加を抑える必要があります。そのために、日本がやるべきことは、資源管理を国内外で進めることです。日本海の産卵群は日本漁船しか獲っていないし、そもそも海外船はアクセスできないのだから、日本国内の規制でも十分効果があります。日本が自国の漁船に規制をした上で、米国と協調して、国際的な管理の枠組みを大平洋でも作るべきです。そうすれば、増加傾向にある韓国のヨコワ漁を押さえ込めます。

資源管理を進めようという世界的な流れを止めることはできません。そこに上手に乗っかって、自国に有利なルールを作ることが、長い目で見て国益につながります。

クロマグロの日本海産卵群は壊滅的

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日本近海のクロマグロの産卵場は日本海と沖縄の2カ所といわれている。2004年から、境港の大型巻き網船団が、日本海の産卵場に集まった成魚を一網打尽にしている。マグロは冬に餌を食べているときは広域に分布するので、まとめて獲るのは難しい。しかし、夏に産卵場に集まったときは容易に獲れてしまうのである。大西洋クロマグロ、ミナミマグロは、日本への畜養向けに産卵群をまき網で漁獲するようになって、資源は10年持たなかった。太平洋クロマグロも同じ運命をたどると見られていた。

2004年以降の境港の漁獲量をまとめると次のようになる。35kg以上を成熟、それ以下を未成熟として作図をした。なお、2008年以降は、体重のデータを隠すようになったので、2008年以降は業者の聞き取りなどで個人的に集めたデータを元に分類をした。

成熟(35kgup) 未成熟 全体
2004 1145 558 1,703
2005 2940 45 2,985
2006 1747.3 30.7 1,778
2007 1205.7 772.3 1,978
2008 1086.3 1142.7 2,229
2009 553.1 330.8 883.9
2010 227.1 365.4 592.5

図の青の部分が産卵場で獲られた成熟群、赤の部分は日本海北部漁場(能登から新潟にかけて)で獲られた未成漁である。操業が本格化した翌年から、産卵群は直線的に減っていることがわかる。6年間で7%に落ち込んでしまった。2007年から、北の方の未成漁にも手を出している。海に残しておけば、来年から産卵群に加わる群れを、根こそぎ獲っているのである。今年は、6月から漁が始まって、ほぼ2週間で未成漁の群れを獲り尽くしてしまった。

クロマグロは年によって、卵の生き残りが大きく変動することが知られている。特定の年齢を取り出してみれば、多いか少ないかは、環境変動に依存する部分が大きい。しかし、産卵群は数十年の親魚がストックされているのだから、1年、2年の卵の生き残りではそう大きく変わらない。寿命が長いクロマグロの産卵群が上の図のように直線的に減少するのは、自然現象で説明できない。産卵場でのまき網による乱獲が原因と見るのが自然だろう。

現在、日本近海のクロマグロ漁業には、何ら規制がない。漁獲枠もなければ、漁獲最小サイズも無い。早い者勝ちの獲りたい放題である。これがどれほど無駄かは、以前の記事を参照して欲しい。水産庁(の一部の人)は、規制に向けて動き出している。業界の反発が大きく、調整は難航しているようである。

テレビ朝日がクロマグロについて取材をしました。サンデーフロンティアという番組で、テレ朝系列で8/8の朝10時から、放映される予定です。関心がある方は、是非、見てください。

水中ストロボ

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の「ドラ○もーん、せっかく巻いた魚が、網の下から逃げちゃうんだ。これじゃあ、一網打尽とはいえないよ」
ド「そんなときには水中ストロボ!!
まき網の網口を閉じるときに、下からこのストロボをたけば、おどろいた魚が網口から逃げられなくなるんだ」

の「すごい。これなら、ぼくでも、一尾のこらず、一網打尽にできるね。ありがとう、ドラ○もん。」

最近、巻き網漁師の間で、「ピカ」という道具が広まっています。魚の群れをまき網で巻くときに、一部の魚が網口から逃げてしまう問題がありました。網口の外側でストロボを炊くと、ビックリした魚が網口と反対側に逃げるで、網から外に魚が出るのを防ぐことが出来る。水中ストロボを使うと、ほぼ取り逃がしがないということで、瞬く間に広がりました。詳しい仕組みは、業者のサイトをご覧ください。

さらに悪いことに、沿岸の刺し網が、これを藻場で使っているという話。藻場のそばに刺し網を仕掛けておいて、藻場の反対側からストロボを炊くと、あわてて逃げた魚が、刺し網にかかりまくるらしい。これを使えば、藻場に隠れていた稚魚も根こそぎ獲れてしまう。稚魚の成育場所でこんなことをしたら、資源の再生産に甚大な影響を与えることは明白だろう。米国は、稚魚の成育場所(Essential Fish Habitat)は、漁船が入ること自体を禁じている。入っただけで2000ドルの罰金です。まともな国なら、こんな漁法を野放しにしておくなど、あり得ない話であり、船に摘んでいるだけで違法にしても良いぐらいです。

こんな漁具は、即刻禁止すべきだと思うけど、例によって、水産庁の大部分は、こんなものがあることすら知らないだろう。研究者も、漁具の進化など考えずに、以前と同じように獲ってることを前提に資源評価をする。結果として、「小さい魚が多く捕れるから、小さい魚が増えたに違いにない。来年の漁獲枠を、ドーンと増やしましょう」とか、ピントのずれたことをする。困ったものです。

カツオ漁業における中国脅威論を分析する

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小型化が進行しているカツオの話題です。「去年も記録的な不漁だったが、今年はそれよりも悪い…」ということで、一本釣りの漁業者は危機感を強めています。例によって、産経新聞の中国批判が飛び出しました。

カツオ一本釣りピンチ 中国巻き網漁船が根こそぎ、中大型魚が激減

2010.7.17 20:52

日本の食文化を支えるカツオの一本釣りが危機にさらされている。中国の巻き網漁船が、黒潮に乗って日本近海に北上する前にインドネシア沖の太平洋中西部で、「ツナ缶」用に稚魚や小型カツオを根こそぎ乱獲。一本釣りで捕獲し、かつお節カツオのたたきに使われる中大型魚が激減しているためだ。中国が年内に、1千トン超の最新鋭船を新たに12隻導入することも判明。漁業関係者の間では、早急な漁獲規制を求める声が強まっている。

「中国の巻き網漁船の乱獲がこれ以上進むと、日本近海ではカツオが取れなくなる」

で、中国はどれだけ獲っているの?というと、これだけです。

全体で見ると、こんな感じ。

一部の島嶼国が漁獲を増やしてはいますが、まき網でカツオを一番多く捕っているのは、日本です。

この記事は、水産庁の関係者がプロデュースした世論作り記事と思われます。水産庁は、「大型化の試験操業許可」という名目で3隻の大型まき網船を作り、南方でカツオを漁獲させています。中国のまき網が乱獲なら、これだって立派な乱獲だとおもうのですが、フジサンケイグループは日本のまき網船の建造は絶賛しています。中国の漁獲はねこそぎ乱獲で、日本の漁獲は水産資源を守るためだそうです。わかりやすいダブルスタンダードですね。南太平洋のカツオ・マグロを「日本の水産資源」と言い切るジャイアニズムには、中国もビックリでしょう。

漁場確保へ マルハニチロなどスクラム

水産最大手のマルハニチロホールディングスの漁業子会社や、かつお節メーカーのにんべんなどがスクラムを組み、民間主導で水産資源外交に乗り出すことが 15日、明らかになった。9月にも、非営利団体組織の「南太平洋漁場確保機構」(仮称)を設立し、日本の水産資源を守るため、カツオやマグロの漁場確保な どを進める。

設立する機構は約2億円の資金を手当てし、諸島に水産技術協力を行ったり、冷凍倉庫を建設して、同様に船籍枠の獲得を目指す。民間主導で取 り組みを進めることで、政府に対し、資源外交を強めて中国や韓国、台湾に対抗するよう求めていく。食糧安全保障の観点から、自前で漁場を確保する必要がある。

大洋エーアンドエフ、次世代型巻網船竣工

大 洋エーアンドエフが建造中の大型巻網漁船「第二たいよう丸」が7月22日、竣工する。省エネ、省人化した改革型沖合単船巻網漁船。今村博展社長は「資源と 環境変化に適合する次世代型漁船」と強調する。もうかる漁業創設支援事業の一環として8月2日から北部海域で操業する。24日記者会見した今村社長は、衰 退する日本漁業の現状に対し、沖合、遠洋漁業の再生で持論を展開。中でもカツオ・マグロをはじめ南方漁場の確保のための「南太平洋漁業機関」(仮称)設立 構想などを明らかにしている。

「俺たちが中国に負けずに、カツオを取りに行ってやるから、国も協力しろ」という今村社長に呼応したのが、元水産庁遠洋課のドンである島一雄氏です。海外まき網漁業協会に天下った島氏は、大洋エーアンドエフの南方のまき網漁船を国策としてバックアップしろと、働きかけているわけです。

カツオ節はわが国の伝統食品であり、日では、現在、し烈な資源争奪戦が繰り広げられており、日本の海まき漁船は劣勢に立たされ苦戦しております。国はようやく重い腰を上げ、「第二ふじ丸」はじめ3隻の大型船の建造を許可されたことは後の海外巻網漁業に明るい展望を与えるものあり、一日も早い制度化を希望しています。南方漁場の確保を安定的なものにするため、現在、一部漁船の島しょ国化を進めています。また、今村社長が提唱された「南太平洋漁場確保機構」においても、その実現に向けて協会として取り組みを始めたところです。
海外まき網漁業協会会長 島一雄氏インタビュー(みなと新聞)

海外まき網強化事業は、カツオが小型化したことにより、国内の一本釣り漁業者から、強い批判を浴びています。

研究者は、例によって例のごとく、「資源に問題はない」で通すようです。遠洋水研としては、カツオ資源は悪くないということに自信を持っているような印象を受けます。何らかの情報をつかんでいるのかもしれません。「南方で小型の漁獲が増えているのは、小さい魚が増えているからで、乱獲ではない。来年は、大きくなって日本に来るから、待ってろよ」と何年も言い続けていますが、年々魚は小さくなるばかりです。

【気仙沼】宮城県気仙沼市で四日あったカツオ資源の研修会で、小倉未棊・水産総合研究センター遠洋水産研究所熱帯性まぐろ資源部長が講演後、私見とした上で、南方海域の大型巻網船の漁獲圧力増大は日本周辺に来遊するカツオ資源に影響は与えていないとの見方を示した。
小倉部長はその理由として南方海域(北緯5度ー南緯5度周辺)から日本近海までの距離を指摘。日本近海へ来遊してくる時間を逆算すれば、大型巻網船一の主漁場でない中南方海域(北緯15一25度周辺)が日本近海へ北上するカツオの供給源との考え方を示した。
みなと新聞(2010.2.18)

「中国がカツオを乱獲しているから、日本も税金で大型まき網船を造って、南方に送り込まなくてはならない」という今村-島コンビの言い分は、そもそもおかしいのです。カツオ資源が、中国の乱獲で危機に瀕しているのであれば、必要なのは国際機関による漁獲規制です。日本が、中国と一緒になって大型まき網船をつくっても、事態は悪化するだけでしょう。逆に、資源に余裕があるなら、日本近海に泳いでくるまで待ってから漁獲すれば良いだけの話でしょう。

「中国脅威論を振りかざして、税金で大型漁船を増やして、日本漁業が華やかだった時代よ、もう一度」という、前近代的なビジョンが透けて見えて、うんざりしますね。

ヨコワの成長乱獲について

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日本の捕鯨が海外から非難をされる仕組み

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The Coveは、日本への宣戦布告です。好きか嫌いかはべつにして、こういうメッセージを突きつけられているという現実を、日本人は自覚しなくてはならない。The Coveの意味を理解するための資料として、日本が置かれている状況と、我々が取り得る選択肢を簡単にまとめておきます。できるだけ多くの人に、The Coveを見たうえで、今後の対応について冷静に考えてもらいたいものです。これは、太地町だけの問題ではなく、日本全体の問題ですよ。

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