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勝川俊雄公式サイト

みなと新聞の記事をアップしました

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みなと新聞から、掲載許可をいただいたので先日の記事をアップしました。

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日本漁業「責任」時代へというのは、編集の人に考えてもらいました。
編集の人から「コピーを考えたいのだけど、どんな内容になりますか」と聞かれたので、
「漁業を未来に対する責任のある産業にするためにビシビシ書きます」
と答えたところ、このコピーに落ち着いたようです。

ノルウェーの写真 その1

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今日はブログを書いている時間がないので、写真でごまかすことにした。

スカンジナビア航空の機内食
トナカイ肉のサンドイッチ。味は普通のハムでした。
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泊まったホテル
ノルウェーではリーズナブルですが、日本と比べるとバカ高いです。
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サバ漁船
船体に比べて、網が小さい。ノルウェー漁業の置かれている状況がよくわかる。
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初日に訪問した工場の入り口
詳しくは、当サイトの「目で見るノルウェー漁業」を見てください。
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午後に訪問した輸出会社Westcoast
漁業者が優遇されすぎで、加工・流通業者には厳しいようです。
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漁業組合
近代で快適なオフィスは、日本の漁協のイメージとは全く違います。
この組合が、資源管理において重要な役割を果たしています。
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ベルゲンの町並み
とても美しかったです。
徒歩でも回れる規模の町です。人々は親切だし、良い町でした。
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ベルゲン駅
まさに、「ヨーロッパの鉄道の駅」という感じでした。
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ベルゲンからオスロに向かう特急列車
なかなかかっこよい。中のシートも快適でしたよ。
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日本の捕鯨外交に関する論文を送っていただいた

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日本の捕鯨運動について批判をしたところ、次の論文を著者から送っていただいた。

‘An Alternative Explanation of Japan’s Whaling Diplomacy in the
Post-Moratorium Era’, Journal of International Wildlife Law & Policy, 10:1, 55 – 87
http://www.informaworld.com/smpp/content?content=10.1080/13880290701229911

これは、国際政治学の分野から、日本の捕鯨外交を分析した論文なのだが、
当ブログで主張したことと、殆ど同じ内容のことが書いてあるではないか!!
引用するとこんな感じ。

We further argue that the whaling camp even does not want to lift the moratorium and is only pretending that it is devoted to resuming commercial whaling because it preferes the status-quo which favores the continuation of “scientific” whaling.

あんまりにも結論が同じなので驚いたが、良く考えると一致するのは必然かもしれない。
思いつく範囲で、日本の行動を合理的に説明できるのは、あのシナリオしかないのだから。
俺のブログは思いつきを書き殴りスタイルなので、
莫大な引用文献と論理構成によって構築された論文とは、
比較の対象にもならないのだが、同じような道筋で同じ結論に達したというのは、
それ以外の見方が難しいと証拠だろう。
捕鯨プロレス論に対する確信をさらに強くした。

俺は、無為無策とその場しのぎを繰り返して、
プロレス状態になってしまったのかと思ったのだが、
この筆者らは、現在の膠着状態は意図的に造られたものだと主張している。
メディア戦略の分析は目から鱗であり、かなり説得力がある。
大本営のメディア戦略については、じっくり調べてみる必要がありそうだ。
このあたりの比較手法は、実に、参考になります。

あと、国際法についてもいろいろと教えてもらいました。
捕鯨再開への選択肢として、

3)IWCを脱退して、沿岸捕鯨で細々とやっていく
    →南氷洋調査捕鯨とIWC多数派工作にかかる経費は不要になる

と書いたのだけど、IWCを脱退したからといって、沿岸捕鯨が出来るわけではないようです。
国連海洋法条約によって、地域管理組織の管理下でないと、沿岸であろうと捕鯨は出来ないらしい。
正しくは、

3a)IWCを脱退して、国連海洋法条約を脱退し、沿岸捕鯨で細々とやっていく
3b)IWCを脱退して、新たな地域管理組織をつくり、沿岸捕鯨で細々とやっていく

となります。
ただ、捕鯨ごときで、国連海洋法条約を脱退するのは現実的ではないし、
国際的に孤立した状況で、地域管理組織などできるはずもない。
日本のみ地域管理組織の費用を負担するのは非現実に高くつくだろう。
ということで、この選択肢は現実的ではない。

そうなると、なおのこと、①ノルウェー、アイスランドと組んで、
グレーゾーンを使って商業捕鯨をビジネスの軌道に載せるか、
②米国の理解を得られる範囲で、捕鯨再開を目指すしかない。
沿岸捕鯨ということであれば、後者はIWCの枠組みでも可能だと思う。
米国はたびたび、南氷洋での調査捕鯨を辞めれば、
日本の沿岸捕鯨は認めるというような妥協案を出している。
しかし、日本側が「一切、妥協はしない」と蹴っている状況である。
害獣クジラから日本の漁業者を救いたいなら、
南氷洋の調査捕鯨を切ってでも、沿岸捕鯨の再開を優先すべきだろうに、
ここでも捕鯨グループの自己矛盾は明白である。

日本が本当に商業捕鯨再開を目指すなら、取り得る選択肢は2つ。
日本の行動を見ると、どの選択肢も目指してない。
むしろ、どちらの選択肢も日本側が拒絶しているのである。
日本は、捕鯨国による新しい捕鯨産業の構築しようとしてはいないし、
わざわざザトウクジラの捕獲を宣言したりするのは、
どうみても反捕鯨陣営を挑発しているだけだろう。

日本は、IWCでのクジラ論争を泥沼化し、捕鯨の再開を阻んでいる。
それは、なぜか。というのは、この論文を読んでほしい。
その上で、言っていることではなく、やっていることから、判断をして欲しい。

平成18年(度) 漁業経営調査が出た

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http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/gyokei2006/gyokei2006.pdf

個人経営体(全国1経営体当たり平均)

(1) 漁船漁業
主として漁船漁業を営む個人経営の漁労収入は908万円、漁労支出は649万円、
漁労所得は259万円であった。

(2) ぶり類養殖業
主としてぶり類養殖業を営む個人経営体の漁労収入は1億478万円、漁労支出
は9,396万円で、漁労収入から漁労支出を差し引いた漁労所得は1,081万円であ
った。
また、漁労所得に漁労外事業所得を加えた事業所得は890万円であった。

(3) のり類養殖業
主としてのり類養殖業を営む個人経営体の漁労収入は1,804万円、漁労支出は
1,229万円で、漁労収入から漁労支出を差し引いた漁労所得は574万円であった。

2 会社経営体(漁船漁業:全国1経営体当たり平均)

主として漁船漁業を営む会社経営の漁労売上高は2億8,979万円、漁労支出(漁
労売上原価と漁労販売費及び一般管理費の合計)は2億9,878万円、漁労利益はマ
イナス899万円であった。

個人経営は黒字なので良いが、問題は会社経営体だ。
大規模漁業は、資源を痛めつけておきながら、赤字なのである。
大規模漁業は圧倒的に優遇されているのにね。

本来は淘汰されてしかるべき債務超過の経営体を補助金で支えるから、
資源が際限なく減り、日本漁業の生産性は低下する一方である。
魚が減れば、健全な経営体が減っていき、
業界全体が補助金頼みになるのは当然の結果だろう。

こういう漁業を補助金で支えて、
納税者にいったいどんなメリットがあるのだろう。

雑感「メチル水銀のリスク」に対する感想文

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鯨肉の汚染をしらべていたら、中西準子さんのページに辿りついた。
少し前の記事だけど、内容がディープでいろいろと考えさせられます。
こういう問題を社会に提起していくのが研究者の重要な役割ですね。

雑感220-2003.6.9「メチル水銀のリスク」
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak216_220.html

雑感221-2003.6.17「メチル水銀のリスク(2) マグロの水銀値がない」
雑感222-2003.6.22「メチル水銀のリスク(3) メチル水銀の分析値がおかしい-水産庁の発表値」
雑感223-2003.6.30「メチル水銀のリスク(4) キンメダイはscapegoatだと考える理由」
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak221_225.html#zakkan221

「誤解を招きやすい事柄ですので、部分引用はご遠慮ください」とあるので、
内容は原文を読んでください。

その上での感想なのだが、基準が不自然すぎですね。
守りたいものと、どうでもよいものがはっきりしている。
実にわかりやすいです。

もちろん、日本人のリスク感覚の無さも問題ではあるが、
だからといって、外部に隠せばそれで問題が解決するわけではない。

リスクがある→消費者は過剰に反応をする→だから隠す

ではダメ。何かを隠し通すのは実に困難な時代になっているのである。
これを徐々に下のように変えていかないといけない。

リスクがある→消費者は過剰に反応をする→冷静な反応をするように促す

このような変化を促すことこそ、研究者・行政・メディアが取り組むべき仕事だと思う。

みなと新聞に寄稿したよん

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みなと新聞に寄稿しました。
たぶん、今日の紙面に掲載されているはずです。
「漁業者を大切にする国、ノルウェー」というタイトルで、
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2007/10/post_224.html
に書いたようなことを、詳しく書きました。


あと、ITQに関するコメントが静岡新聞10月28日の5面に掲載されました。
俺のコメントはこんな感じ。

水産資源管理に詳しい東京大海洋研究所の勝川俊雄・助教は「漁船を造った時の借金を抱え、撤退もままならない漁業者が、赤字を減らすために乱獲をする。その結果、資源が枯渇し、健全な経営体がどんどん減っているのが日本の実情。ITQは去る者にも、残る者にもメリットがある」と指摘している。


昨日はテレビの取材が来ました。
研究室の掃除をするのはテレビの取材の時ぐらいなんだけど、
ここのところ月1ぐらいで取材があるので、部屋が壊滅的に散らからないで済んでいる。
放映の日程がわかったら、ここで告知しますね。
まあ、使われるのは、一瞬だとは思います。


と、いった具合で、最近は取材ラッシュです。来週も週刊誌の取材があります。
世間の水産資源への関心は高いようですよ。
皆様の生活に関わることですから、
専門家として、しっかりと情報を提供していきます。


サバの期中改定については、現在確認中なので、もうしばらくお待ちください。

現在、この辺の数字と最新の資源評価の結果をつきあわせながら、整合性を確かめています。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/tac19/siryou6-6.pdf
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/tac19/siryou6-7.pdf

水政審は、今まで議事録は公開でも配付資料が無かったので、
議論の細かい部分をフォローすることが不可能でしたが、
今回から配布資料が資源管理の部屋にアップされるようになりました。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/tac19/index.htm
とても良い変化だと思います。委員長が交替したからでしょうか?

「レジーム・シフト―気候変動と生物資源管理」という本が出ました

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レジームシフトに関する本が出たので、忘れる前に紹介しておこう。
レジームシフトに関して、物理現象→プランクトン→魚という具合にレビューしていき、
最後に管理の話もします。
俺もIII-6章で、魚種交替資源の管理理論について書いています。

この本は、執筆者が豪華です。
特に、桜井先生のイカ、帰山先生のサケ、渡邊先生のイワシは、
それぞれの生物の第一人者だけに、内容が濃厚で読み応えがありました。
生態に関しては興味深い知見が蓄積されています。

その一方で、利用・管理に関しては、殆ど何も進展がない。
生態の部分との落差に注目をして読んで欲しい。
「自然変動するから、管理の必要なし」という論調が基本にある。
それが良くあらわれているのが、P194のこの部分。

レジームシフトを前提に置く限り、マイワシにしても、サバ類にしても、資源量が現在の水準から膨大に増加することがある得るということを前提に漁船・漁具等の設備投資を考えなければならない。

減少期にも増えた場合に備えて、設備を整えておけって、過激な意見だな。
設備の減価償却のために小サバまで獲らないと首が回らない現状をどう考えるんだろう。
過剰努力量を整理しない限り、獲り切れないほど増えて増えて困っちゃう心配は無用です。
むしろ、根こそぎ獲ってしまう心配をしないとダメでしょうに。

変動資源の利用・管理に対する議論は、まだ始まってもいない段階ですね。

レジーム・シフト―気候変動と生物資源管理
川崎 健
成山堂書店 (2007/10)
売り上げランキング: 88797

海洋政策研究財団のニュースレターに順応的管理の記事を書いたYO

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すっかり忘れていたが、
海洋政策研究財団のニュースレター『Ship & Ocean Newsletter』に、
順応的管理の記事を書いたのだった。

いろんなところに頼まれるまま書いているから、
本人もあまり把握できてないです。

●水産生物資源の順応的管理
東京大学海洋研究所 助教◆勝川俊雄

われわれの海洋生態系に関する知見は断片的であり、
不確実な情報に基づいて乱獲リスクを低減する管理方策を発展させる必要がある。
近年、不確実性に頑健な管理手法として、順応的管理が注目を浴びている。
順応的管理の枠組みを適切に導入すれば、水産生物資源の持続的利用に
大きく寄与するはずである。
本稿では、順応的管理の定義を説明するとともに、
その可能性と限界についても論じる。

http://www.sof.or.jp/ocean/newsletter/170/a03.php

 

 

動画で見るノルウェー漁業 その3

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その3が目で見るシリーズの最終回です。
魚が冷凍されるまでのプロセスをフォローします。
最後に、日本漁業を立て直すための緊急提言もアリます。

動画を見るには、こちらをクリックしてください。

ノルウェーではサバは一番高い時期に一番高く売れるものしか狙いません。
漁獲枠も科学者の勧告(日本よりずっと厳しいヨ)にしっかり従います。
だから、持続的に価値の高い魚を生産できるのです。
限られた魚を高く売るために、いろいろな工夫をしています。

日本では、「漁業者には生活がある」と言っては、いくらでも獲らせてしまう。
漁業者は、多く獲ることばかり考えて、魚の質は2の次です。
結果として、単価は上がらない。
漁業者は、値段を上げる努力をするどころか、
目先の利益を確保するために、小さい魚まで獲りまくるから、ますます資源は減る。
結果として、自分で自分の首を絞めているのです。

ノルウェーのやり方と、日本のやり方のどちらが、
本当の意味で、漁業者の生活を守ることになるのかは明らかです。
日本のやり方はその場しのぎであり、長い目で見て漁業者の生活を守れません。

もちろん、それぞれの国によって、事情が違いますので、
ノルウェーの猿まねをすればよいという訳ではありませんが、
持続性を大切にすると言う姿勢は見習う必要があります。

 

動画で見るノルウェー漁業 その2

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第二弾はついに建物の中に入ります。

ノルウェーではインターネットを利用したオークション(セリ)を行い、
船上で契約をすませます。
その後、落札者が指定した港に漁獲を水揚げします。

港と工場は一体になっており、
水揚げされた魚を、すぐに処理することができます。

水揚げされた魚を処理する建物はプラントと呼ばれているのですが、
まさに、その通りでした。
工業製品をつくるように魚が整然と処理されていきます。

全てのプロセスにおいて、品質の劣化を抑えるような工夫がされています。
待ち時間がある場合は、冷蔵海水をつかって、鮮度の劣化を防ぎます。

動画を見るには「続きを見る」をクリックしてください。

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from 18 Mar. 2009

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