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水産基本計画(8) 計画と勢力図の違い

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水産基本計画にも、自給率を65%まで上げるという目標があるように、
計画というものは、なんらかの目標を達成するために存在します。
計画の中身を決めるに当たっては、目的達成に寄与する政策をリストアップし、
それぞれの政策にプライオリティーをつける必要があります。
その上で、重要度が高いものから実行していくのが普通のやり方です。
予算が不十分なら、プライオリティーが低い施策から切っていき、
目標達成に必須な施策を残すことになる。
限られた予算で目的達成率を最大にしようと思ったら必ずこうなります。

kihon9.png

例えば、上図の例で行くと、
限られた予算で目的達成率を最大にするように、
予算が少なければ重要度が低い施策Eから切ります。
目的達成に必至な施策Aと施策Bはなんとしても死守します。
水産基本計画が、自給率を上げるためのプランであれば、
必ず、こういうスタイルになるはずなんです。

当ブログのコメント欄がきっかけで興味深い発言を見つけました。
http://www.jfa.maff.go.jp/sinseisaku/keikaku_19/minute/180629.htm
これは、水産政策審議会企画部会で、「具体策はないのか?」という質問への解答。

坂井企画課長 「先ほど委員長から話がありましたように、この審議会、秋以降もまた行っていく、これまで御議論をいただいている目的は水産基本計画、新たな計画を来年3月につくるということで、そういった意味では水産施策全体の基本的な方針を定める計画ですので、やはりある程度抽象的な面がございます。もちろん、具体化できるところはできる限り基本計画の中でも具体的に書いていくということが必要ですし、そういった方向で御議論いただいて努力をしたいと思いますけれども、他方、具体的な個別の施策ということになりますと、これは毎年の予算要求で行っている予算でしたら施策になりますので、それはまた現在ですと19年度の予算に向けて検討しておりますので、そこはそういった予算を基本計画に書くということではございませんので、そういった意味では方向性をどうやって示していくかという議論が中心になってくるということで考えていただきたいと思います。」

要するに「まだ来年の予算要求が通っていないから、
具体的な話はできないよ」ということなのです。
一般常識からすると、具体的な計画があって初めて、予算の見通しが立つはずです。
もし、基本計画が自給率改善のための計画であれば、
計画開始して5年目で、具体的な話ができないということはあり得ない。
この発言からも、自給率改善計画というより、
むしろ、庁内予算配分であることは明らかでしょう。

予算配分表を、自給率改善の計画書に変換するのは、大変な作業です。
そういう観点か見ると、「基本計画」は実に良く出来ています。
役人の文書作成能力の高さがうかがえます。
ただ、やはり自給率改善計画の皮をかぶった予算配分計画なので、
いろいろとボロが出ます。
最大の問題は具体的な話が出来ないことでしょう。
具体的なことを基本計画に記述すれば、
その施策には最低でもその分の予算を配らざるを得ない。
具体的な施策の話をするのは、予算につばをつける行為であり、
余所に先駆けて具体的な内容を発表するのはフライングなのです。

基本計画の目標が自給率になった理由はきわめて簡単です。
例えば、資源回復を目的にすると、特定の部の縄張りに業務が集中してしまい、
明らかに資源回復と関係のない事業の記述が難しくなる。
水産基本計画から、事業に関する記述が抜かれたら、
それは予算打ち切りを意味するわけで、死活問題です。
全ての既存事業を盛り込みやすいように自給率を目標にしたのでしょう。
これが、「玉虫色」という奴ですね。

基本計画が、縦割り組織の縄張り争いの産物である以上、
基本計画の内容は誰にも変えられないのです。
自分の縄張りの事業の作文を少し変えるぐらいがせいぜいでしょう。
変える権限など、誰にもないのだから、変わるはずがない。
漁業白書も、水産基本法も、水産基本計画も、
縄張り争いの結果の勢力地図としての側面があり、
同じような割合で、同じような施策が盛り込まれることになる。
水産庁の文章が、全部同じに見えるのは、そういう理由があるのです。

水産基本計画から事業に関する記述が抜かれたら、
それは予算打ち切りを意味するわけで、担当部局には死活問題です。
そういう部分には、水も漏らさぬ配慮がなされていることでしょう。
その一方で、数値目標が達成できるかどうかは、全く考慮されていない。
一応、自給率65%という目標を出したなら、
それにむけて努力をしているポーズぐらいはしてほしい。
ゴールがどんどん遠ざかるのは、まずいと思ってほしい。
少なくともまずいと思っているポーズぐらいしてほしい。
あまりにも危機感がないのです。

なぜ、危機感がないか?
誰もつっこみを入れないからでしょうね。
水産基本計画は、自給率向上計画としては破綻しています。
それは少し考えればわかるんです。
でも、だれもそのことにつっこみを入れない。
メディアも取り上げないし、漁業者はあめ玉的な政策を望むばかり。
こういう状況で「危機感を持て」という方が無理でしょう。

水産基本計画(7) その正体は水産庁基本計画

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基本計画の内容を検証した結果、次のような問題点が明らかになった。

目標の設定根拠が不明
「自給率を10%上げようぜ」といって、
ゴールに向かって定規で線を引いただけというレベル。

目標が非現実的
日本の漁業生産を左右する魚種は限られている。
それらの魚種を個別に見ていくと、目標達成はかなり厳しいことがわかる。
昨日の記事は、ネットで数字を拾ってから文章をアップするまで数時間の作業だが、
水産庁では、このレベルの作業すらしていない可能性が高い。

目標をどう達成するかというビジョンがない
自給率を上げるとか、漁獲量を増産するとかいいつつも、
具体的な計画は無きに等しい
今までと同じことをしていて、V字回復はあり得ない。
目標を達成する気があるようには見えない。

目標を達成できなくても良いらしい
5年経って、増えるどころか漁獲は減っている。
にも関わらず、計画の中身が変わっていない。
目標を達成する気はないと判断しても良いだろう。

水産基本計画は、漁業政策としては、計画のレベルまで達していない。
どうやって目標を達成するかなんて考えていないし、
目標達成が難しくなっても何の緊張感がないことからも、
基本計画が自給率増加のための計画でないことは明らかです。

水産基本計画は、漁業者や国民のための計画ではなく、
水産庁による水産庁のための水産庁基本計画と考えるとつじつまが合います。

—-

水産基本計画は、財務省から予算をゲットするための文書なのです。
一応、自給率や漁業生産量の目標がありますが、アレは飾りです。

水産基本計画の正しい読み方
例として、水産基本計画の一文を抜き出してみました。

国内の漁業生産の増大を図ることを基本として水産物の安定供給を確保するためには、漁業生産が水産資源の持続的利用を確保しつつ消費者や実需者のニーズに適合した水産物を供給できるよう、漁業者その他の関係者が、水産資源の適切な保存及び管理増養殖の推進漁場環境の保全及び改善等を図るとともに安全性や鮮度等の面での水産物の品質の向上、流通の合理化等積極的に取り組む必要がある。

さらに、これら資源の持続的利用や国民の需要への対応の基礎条件として、生産コストの削減、付加価値の向上等により漁業経営基盤を強化するとともに、担い手の育成及び 確保、水産業の基盤の整備新技術の開発と実用化漁協の事業及び組織基盤の強化等の課題に取り組む必要がある。

まず最初に、当たり障りのないスローガンがきます。
「漁業生産の増大」、「水産物の安定供給」、「消費者のニーズ」などがキーワード。
これらのスローガンには、誰も反対はしないでしょうが、内容的には意味がありません。
コンビニ弁当の葉蘭(緑のギザギザのやつ)みたいなものです。
どうでも良い部分なので、灰色にしてしまいます。
スローガンの隙間に、各種の施策が盛り込まれています。
水産庁は縦割り組織ですから、どの仕事はどこの部署という区切りが明確です。
例えば、「水産資源の適切な保全及び管理」は資源管理部、
「増養殖の推進」は増殖推進部という風に、
それぞれの施策がどこの部のなわばりかを色分けできます。
詳しく知りたい人は、http://www.jfa.maff.go.jp/jfasosiki/index.htmlを見て、
自分で考えてください。

kihon8.png

これが現在の水産庁内の勢力地図になります。
個人的には赤組と青組を応援しているのですが、
やはり、緑組と黄色組が強いですね。
緑組が番長、黄色組が裏番という感じでしょうか。

水産基本計画(6) もしも神風が吹いたなら・・・

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水産基本計画は、全く機能していないことは疑いの余地がない。
しかし、水産資源は予測がつかない動きをすることが多々ある。
80年代のマイワシバブルのようなことが起こらないとは限らない。
再び神風が吹いて、基本計画の数値目標を達成できる可能性はあるだろうか。
(神風に期待すること自体、計画としては破綻しているということだが・・・)

俺の試算では、平成24年の漁獲量は478万トンまで減少する。
基本計画の目標は669万トンだから、200万トン近い差が生じてしまう。
神風が吹いて、200万トン程度の漁獲量の底上げが可能かどうかがポイントになる

主要な多獲性資源の一覧

2002漁獲
過去最高
マージン
トレンド
増産可能性
まいわし 50313 4488411 4438098
低位減少
×
すけとうだら 213254 3035285 2822031
低位減少
×
さば類 279633 1625865 1346232
低位増加
するめいか 273567 668364 394797
高位減少
×
かれい類 63812 583323 519511
低位減少
×
まあじ 196044 551603 355559
中位横ばい
かたくちいわし 443158 484230 41072
高位横ばい
さんま 205282 483160 277878
高位横ばい
かつお 301915 446318 144403
中位横ばい

単位はトン

 

過去の漁獲量の最大値 - 最近の漁獲 = 神風マージン

と定義し、神風マージンを漁獲量増産のポテンシャルと考えてみよう。
神風マージンが200万トンを超えるのは、マイワシとスケトウダラのみ
どちらも資源状態が非常に厳しいので、単独での目標達成は無理だろう。

マイワシは超低水準だから、1度の加入の成功では資源はそれほど回復しない。
加入に成功したコホートを産卵まで保護して、
そこで再び加入が成功すればそれなりの水準まで行けるだろう。
まともな漁獲が出来るようになるには、5年では足りない。
1970年代にマイワシが増えた時は、殆どゼロだった漁獲量が最初の5年で50万トン、
次の5年で200万トンまで増えた。
抜群の瞬発力を誇るマイワシの神風が吹いたとしても、基本計画の目標達成は無理だろう。

スケトウダラに関しては、300万トン揚げていたときとは、漁場の広さが違う。
また、資源動向をみても、急増は無さそうだ。
また、寿命が長い資源なので、いきなり倍増とかいうことは無いだろう。

マサバは、最近、増加傾向にある。
成長が早く、マージンが135万トンもあるので、短期的な増加も可能である。
単独で200万トンは無理だが、漁獲量回復の軸になりうる存在である。
2004年生まれがとても多かったので、これを成熟まで残すことが重要。
2004年生まれが卵を産んでいる間にうまいこと卓越が発生すれば、
高水準まで一気に行けるかもしれない。
この資源の一番の不安要因は、太平洋の大中まきだろう。
実は1992年と1996年にマサバの卓越年級群が発生したけど、
成熟前に根こそぎ巻いてしまった前科があるのだ。
去年の評価表の詳細版をみればわかるように、0歳で9万トンも獲っている。
まさに、ザ・不合理漁獲という感じで、今回も増加の芽を摘んだかもしれない。
今年のダイジェスト版の将来予測をみると、
http://abchan.job.affrc.go.jp/18pbcom/fig/1805-6.png
これから減るという予測になっているのが、とても気がかり。
増える可能性がある資源だけに、回復計画を頑張って欲しい。

スルメイカは、すでに高水準なので、
減ることはあっても、大幅に増えることは無いでしょう。
マージンが多いのは、60年代に漁場が広かったからかな(未確認)。

かれいは、このまま減るでしょう。
加入が増えたとしても、成長が遅いので、5年間での漁獲量の回復はたかがしれています。

マアジは、資源状態が悪くないので、若干増やす余地はあり。
ただし、増えたとしても10万トンとかそのレベルだと思う。

カタクチとサンマは、資源的には漁獲量を増やしても問題ないのだが、需要が無い。
サンマはすでに値崩れぎりぎりのところなので、漁獲量増産は経済的に難しいのだ。
どちらも大幅に需要が伸びるとは考えづらいので、厳しいところ。
逆に言えば、需要があればこれらの資源も、今頃低水準だっただろう。

カツオも資源状態が良いので、もう少し増やす余地はあるかな。
でも、増えて10万とかそのレベルだろう。

水産基本計画目標達成へのシナリオ
まず、マサバに神風が吹くのが最低条件。
2004年級群に卵を産ませれば、資源はかなり増えるはずだ。
最低でも50万、あわよくば80万トンまで漁獲量を増やしたい。
マアジとカツオをそれぞれ10万トンずつ増やす。
これで100万トンの増産となる。
残りはカタクチとサンマで何とかするしかない。
国を挙げて、カタクチイワシとサンマを食べようキャンペーンを実施する。
安倍さんと中川大臣がサンマを食べるテレビCMを作成。
学校給食は毎週サンマとカタクチイワシ。
これだけやっても、目標の漁業生産には届かないだろうなぁ。

とりあえず、サンマをたくさん食べて、基本計画を援護射撃しよう。
まずは、そこからだ。

水産基本計画(5) 見直し案を見直そう

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水産庁による「見直し案」を検証する

kihon6.png

上の図を見ればわかるように、水産基本計画に於いて、
「今後10年間、漁獲量を増やします」という目標を立てた。
計画半ばの5年目にして、目標に近づくどころかますます遠ざかっている。
基本計画に何らかの問題があるのは間違いないだろう。
水産庁は、基本計画の見直しを行い、中間論点整理を公開した。
http://www.jfa.maff.go.jp/sinseisaku/keikaku_19/doc/180725.htm
いったい、どこがどう改善されるのだろうか?
水産庁による見直しの内容を検証してみよう。

目標達成度の検証

水産基本計画の変更についての中間論点整理

① 水産物(食用魚介類)の自給率の検証
ア我が国漁業の持続的生産目標
食用魚介類の生産量は、近年は下げ止まり傾向が見られるが、増加には 転じていない。現状のまま推移すれば持続的生産目標の達成は厳しい状況 にある。
 生産量の変化を部門別にみると、沿岸漁業(養殖業含む)はほぼ横ばい、 遠洋・沖合漁業は減少が続いているが、生産量や資源の状況は漁業種類や 魚種によって異なることから、より詳細に、具体的には漁業種類や魚種に 着目して生産量の推移や生産目標との関係を分析することが必要である

「減ったから、その内訳を分析してみよう」では、お話にならない。
詳細な分析をするのは当たり前で、その上で問題点を特定して、
改善案を出していかなければ、見直しとは言わない。
具体的に何をどう改善するかというビジョンが無い。

生産量は下げ止まりという認識は、甘すぎるだろう。
近年、減少率が緩やかになっているのは、
90年代に急激に減少したマイワシの漁獲が殆どゼロになっただけである。
マイワシを除く漁獲量のトレンドは、30年間殆ど変わっていない。

新たな対策は?

現状では目標達成は厳しい状況。
では、政策をどのように変更するかを見てみよう。

4.政策改革の方向性
(1) 水産資源の回復・管理の推進
科学的知見に基づく水産資源の保存・管理、回復を着実に実施するとともに、我が国の排他的経済水域等の水産資源の基礎生産力の向上に集中的に取り組むこと、藻場・干潟の減少や沿岸域の漂流・漂着ゴミ問題、磯焼け問題の深刻化に対応して、早急な対策を講ずることが必要である。

① 我が国の排他的経済水域等における資源管理
我が国周辺水域の水産資源の多くが低位水準にある状況を踏まえ、種苗放流、休漁・漁獲制限や漁場環境の保全といった手法を活用した資源回復・資源管理の取組を積極的に推進していくことが必要である。併せて、漁船漁業の構造改革を進め、資源状況に見合った生産体制の再編を進めることが必要である。また、水産資源の動向や管理の状況について国民の理解を促進することが必要であり、このような観点からできる限りわかりやすい形で情報提供を行うことが重要である。

どこかで読んだような文章が続き、どこがどう改善されたのか全くわからない。
こういう文章では、オリジナルにどういう問題点があって、
そこをどう変更したかを書く必要があると思うのだが。
仕方がないから、オリジナルの水産基本計画と中間論点整理の比較表を作ってみた。

オリジナル

  1. 漁獲量及び漁獲努力量の管理により資源の回復を図る
  2. 積極的な種苗放流の推進
  3. 魚礁の設置、増殖場の造成等により資源の培養を図る
  4. 漁場環境の改善を図る


見直し案

  1. 種苗放流
  2. 休漁・漁獲制限や漁場環境の保全といった手法を活用した資源回復・資源管理の取組
  3. 資源状況に見合った生産体制の再編
  4. 水産資源の動向や管理の状況について国民の理解を促進する(情報提供)

あれ?どこが変わったの?

変更点の整理
種苗放流の順位が上がっている。
見直し案の2は、オリジナルの1と4を組み合わせたものである。
見直し案の3は、努力量の管理のことであり、オリジナルの1に含まれる。

順位や語句の入れ替えがメインであり、大きな変更は無い。
「魚礁の設置、増殖場の造成等により資源の培養を図る」が無くなった。
水産資源の動向や管理の状況について国民の理解を促進する(情報提供)が増えた

見直し案 = 元の基本計画 - 資源の培養 + 情報公開
ということになる。

この変更によって、目標を達成できるかどうかを考えてみよう。
種苗放流の効果が限定的であることは、すでに述べた。
資源管理や努力量の削減は重要だが、まじめにやれば漁獲量は確実に下がる。
情報公開も重要なテーマだけど、漁業生産の増加には寄与しない。
ということで、見直し案を実行したら、漁獲量は減る。
当初の目標である682万トンなど、夢のまた夢だろう。


総評
「現状のまま推移すれば持続的生産目標の達成は厳しい状況にある」
という状況にもかかわらず、実効性のある対策は無きに等しい。
以前の基本計画と同じことを、表現を変えて書いてあるだけだ。

この見直し案は、期待できない。
恐らく今までと同じように資源も漁獲量もズルズルと減り続けるだろう。
水産行政の柱の基本計画が破綻しているのに、危機感が無さ過ぎる。

水産基本計画って、達成できても出来なくても、どうでも良いものなの?

「ふやす」は、攻めか?

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水産総合研究センターの成果発表会が開かれるらしい。 
http://www.fra.affrc.go.jp/seika/

今年のテーマは「ふやす、とる、たべる-攻めの水産研究-」だそうです。

相も変わらず、増産のための研究しかしていないのですが、
それを攻めの水産研究と呼ぶあたりが、なかなかお茶目ですね。

ここ30年ぐらいの歴史を振り返ってみると、
「減った、獲れない、輸入-自滅の水産業-」であったわけです。

減ってしまった資源を種苗放流で回復させよう、というのが水産庁の考えです。
種苗放流には、何十年も湯水のように税金を投入してきました。
そろそろ効果が出てきても良いと思うのですが、資源の減少はとどまる様子がない。
「種苗放流って、効果がないんじゃないの?」と考えるのがふつうでしょう。

栽培漁業は効果が出る種と出ない種の差が顕著です。
栽培漁業が効果的だったのは、海草類やホタテ貝のような定着性の生物です。
張り付く場所を提供することで、安定的に生産できるようになりました。
磯焼けなど様々な問題点もありますが、これらの種にとって栽培漁業は機能しました。
一方、魚類に関しては、種苗放流はあまり機能していないのが実態です。
種苗の大量生産に成功をして、もっとも積極的に種苗放流が行われているのはヒラメです。
平成16年度でみると、生産量で39%、放流尾数で33%でどちらも一位です。
http://www.jasfa.or.jp/00kenkyu/001topics/060topics_083.html
さて、種苗生産の成功例であるヒラメの資源がどうなったか見てみましょう。

漁獲量はこんな感じです。

semenosuisann.png 

ぜんぜん、増えてません!

一応横ばいなので、一般的な底魚よりはマシといえるでしょう。
ただ、種苗放流にかかるコストをかんがえると、果たして黒字になるかは疑問です。
(このあたりは、今後、情報を集めてみます)
ヒラメは種苗の生産には成功しましたが、資源の増加には結びつかなかった。
すでに全国で大量に種苗を蒔いているのにこの程度ですから、
今後も減ることはあっても、増えることはないと思われます。

しかし、今後、種苗生産技術が飛躍的に向上しないとは限りません。
もし、放流技術が革命的に進歩をして、ヒラメ資源が増加したならば、
日本の漁業生産は回復するのでしょうか?
2005年の漁獲統計を見てみましょう。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/gyogyou-yousyoku2005/gyogyou-yousyoku2005.xls
ヒラメの漁獲量は6千トン、海面漁業は4412千トンだから、
海面漁業生産の0.136%です。

種苗生産の成功例といわれるヒラメですら、
漁業全体の0.1%程度の小さな資源を横ばいにするのが精一杯
なのです。
種苗放流で日本の漁業生産を回復させるのは、
B29を竹槍で撃退するのと同じぐらい無理があるでしょう。

漁業生産の減少は、資源の枯渇が原因です。
親を残さなければ子供が居なくなるのは当たり前のこと。
充分な親を獲り残すこと以外に、資源を回復させる道はないでしょう。
一番大切な「のこす」というキーワードが抜けているのです。

過去30年、結果を出せなかったことを今も繰り返しているだけで、
「ふやす、とる、たべる」というキャッチコピーには、何の新鮮さもない。
現状の組織を守るための極めて保守的な方向性と言えるでしょう。
資源の現状に目をやらずに、増やす、増やすと非現実的なことを繰り返している。
これは「攻め」ではなく、「現実逃避」でしょう。
従来の「多く獲る漁業」から、「ちゃんと残す漁業」へと方向転換をすることが、
本当の意味で攻めの水産政策であり、そのための研究をして欲しいものです。

水産基本計画(4) 海の中は無視ですか、そうですか

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水産基本法は、漁業の現実を無視しており、実現性がないのは明らかだ。
なぜ、このように非現実的な計画が国策となったのか、その原因を探ってみよう。

水産業は、資源→漁獲→流通→消費というような流れ構造になっている。

kihon7.png

資源を漁獲して港に持ち帰るまでが海の中のプロセス。
港に水揚げされてから胃袋に収まるまでが陸上のプロセスとなる。
また、資源は生態系であり、漁業・加工・流通・需要は人間社会に属する。

さて、この一連の流れの中で、どこに問題があるかを整理してみよう。
現在、水産物に対して、大きな需要がある。
水産物に需要はあるが、生産が追いつかないので輸入に頼らざるを得ないのだ。
流通、加工、漁獲能力は充分にある。
現在の資源の生産力からすると、多すぎるぐらいだ。
強い需要を背景に、過剰な漁獲をかけ続けた結果、資源を枯渇させてしまった。
それが漁業が行き詰まった原因なのだ。
需要、加工、流通、漁獲ではなく、資源が漁業生産を制限する要因となっている。
漁業が衰退する根本原因は、海の中の生態系の問題である。

1)水産庁の資源軽視
水産基本計画は、すべて官僚が考えたものであるが、
基本的に水産庁の人は海の中のことを知らない。
ある程度は実務に関わっている資源管理課ですら
資源に対して無知な現状を考えれば、その他の部署の人も推して知るべしだ。
水産庁が発足した1948年当時は、資源はあるし、需要もあるが、
漁獲手段がないという状況であった。
水産庁は、漁業者が漁獲を増やすのを援護するために作られた組織である。
今でもそれが自分たちの役割だと思っている。
陸上の人間社会の利害関係を整理すること以外には関心が低い。
海の中の問題(資源の枯渇)を、人間社会の問題として捉えるところに、
水産庁の根本的な限界がある。

2)委員会の人選の偏り
水産基本計画には、当然ながら、外部の人間も関わっている。
外部の専門家で作る委員会が基本計画に関する審議を行っているのだ。
外部の委員には、基本計画の問題点を明らかにして、
方向修正をさせる役割があると思うのだが、
現状では充分に機能していないようだ。
その理由は、委員のメンツを見るとよくわかる。
人間の問題を扱う専門家ばかりで、海の中の問題をあつかう人がいないのだ。

水産基本計画の見直しに関する中間論点整理(案)の最後に委員名簿がある。
まず、小委員会が「経営」と「加工」しかないというところからして、ダメっぽい。
消費者団体代表、漁協の偉い人、さかなクン、および、大学関係者。
大学関係者は、経済学やコミュニティーが専門の文系ばかり。
唯一、海の中を専門とするのは長崎大の山口さん。
ただ、山口さんは鮫の生態が専門で、漁業とか資源管理の研究者ではない。

研究者としては一流の人ばかりだが、分野が偏りすぎているので、
専門分野外の資源枯渇や乱獲といった海の中の問題に対応しきれない。

資源は獲りきれないぐらいあって、漁獲能力も十分にある。
でも、魚が高く売れない。
そういう状況だったら、現在の人選は素晴らしいと思う。
そんな資源は、サンマぐらいだろう。

ちなみに、議事録はここで見ることができる。
案の定、海の中の資源の話は殆どなく、価格や消費の話に終始している。
このメンバーなら、そういう話題になるに決まっている。
そんな中で、漁業協同組合の矢野特別委員の発言はなかなか的を射ている。

多分、現場サイドから出ているのは私ぐらいじゃないですかね。
一応、漁業協同組合の組合長をやっております。 
その観点から言いますが、今の水産基本法というのは、
まるっきり基本からなっていませんね。

有効な手立てがあるかといったら何もやらないで生産量だけふやせと、
そんな虫のいい話はないですよ。

漁業の現場を知っている人に受け入れられるような代物ではないのだ。

3)人材はいないのか?
資源のことを理解できている人材が国内にいないわけではない。
議論に参加していないだけだ。
たとえば、水研センターの資源研究者は、
資源が低迷し、厳しさを増している現状を理解しているので、
さすがに漁獲量を増やせるとは思っていないだろう。
でも、彼らは基本法に関心がない。
「水産基本法?なにそれ」というノリだ。
無関心すぎるような気もするが、
委託された業務以外によけいな口出しはしないという処世術だろう。
本当のことを言うと、自分の立場が危うくなるので、お口にチャック。
君子危うきに近寄らずなのだ。
そういう文化が水研センターには蔓延していると思う。
そうやって組織にしがみついていても、
このまま漁業が衰退すれば組織自体が消滅するかもしれない。
そういう危機感はないのだろうか?

日本漁業では、太平洋戦争末期と同じことが起こっている。
どの戦場も戦況は悪く、戦線は着実に後退し続けている。
戦略に大きな誤りがあるのは、現場を知るものなら誰の目にも明らかだ。
しかし、現場で戦況の悪化を肌で感じている人間の意見は、
国策にフィードバックされないのだ。
戦況が厳しさを増す中で、大本営は非現実的な右肩上がりの政策を発表する。
高らかと鳴り響く進軍ラッパの音に、空虚さは隠しようもない。
こうして、軍の指導者たちは国を滅ぼしたのだ。

現在の日本漁業は、資源枯渇が原因で沈没しつつある。
それでも、生物資源の枯渇という根本的な問題に目を向けずに、
従来の人間社会の問題を扱う手法で何とかしようとあがいている。
経営とか、加工とかでなんとかしようという現在の水産庁の対応は、
沈みつつあるタイタニックでデッキチェアーを整えるようなものだ。
問題の本質から目をそらし、表面的に取り繕っているだけである。

水産基本計画(3) なぜ計画は破綻したのか

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水産基本計画がいかに荒唐無稽かを見てみよう。

現行の水産基本計画の検証(18年2月)
http://www.jfa.maff.go.jp/sinseisaku/keikaku_19/doc/180223_4.pdf
の中に、下のような図がある。

kihon6.png

この図で注目して欲しいのは、目標値だ。
平成11年以降、コンスタントに増やしていく予定だったらしい。
現在は、資源の生産力以上の漁獲圧がかかっている。
このような漁業の現実を考えれば、
いきなり漁獲量を増やすという目標が非現実的なことは明白だ。
水産基本計画の正体は、乱獲促進計画に他ならない。

水産基本計画は乱獲促進計画であることの証明
1.現在の漁獲量は資源の生産力を上回っている
2.現状で漁獲量を増やしたら、資源の減少を加速させる
3.漁獲量を増やすという基本計画は、乱獲を促進させて、資源の崩壊を早める。

水産基本計画は、3行で論破できてしまいました。

「資源が低迷しているときにどうしますか?」→「漁獲量を増やします」
この解答があり得ないことは、自明だろう。
このあり得ない解答が、水産基本計画の本質なのだ。
水産資源学とか以前に、常識の問題だろう。
水産基本計画はどう見ても非現実的であり、「計画」と呼べるレベルに達していない。

日本は、漁業大国で、水産物消費大国で、GNPが世界2位の先進国。
その国の漁業政策の大黒柱が、このレベルというのは由々しき事態ですぞ。

水産基本計画(2) 漁獲量は増えた?

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基本計画が発動してから5年が経過し、今年は途中見直しが行われている。
当ブログでも、勝手に水産基本計画の達成率を査定してみよう。

基本計画策定後の漁獲量のトレンド

最近の漁獲率のトレンドは以下の通り。
今までと同じようにだらだら減っているように見える。

kihon1.png

基本計画策定後にトレンドは変わったか?

基本計画開始前後で、漁獲率のトレンドに変化があったかどうかを詳しく見てみよう。
基本計画策定前の(1979-2000)のマイワシを除く漁獲量を直線回帰してみた。

kihon2.png

回帰式は240394 – 117year であった。
直線的な減少傾向が統計学的にも有意であった。
毎年11.7万トンずつ減っていることになる。

では、この回帰直線と基本計画策定後の漁獲量を同じ図に書いてみよう。
kihon3.png

青い点が基本計画前、赤い点が基本計画後の漁獲量である。
直線は基本計画前のデータ(青い点)から求めた回帰直線である。
赤い点が回帰直線の上に載っていることから、
基本計画の開始前後で漁獲量の減少傾向は変わっていないことがわかる。
正直、ここまできれいに一致するとは思わなかった。

以上の結果から、わかることは

  1. 基本計画開始前と同じペースで漁獲量は減少をしている
  2. 資源量もだらだらと減り続けている
  3. 水産基本計画は、漁業にも資源にも影響を与えていない
  4. 5年前と比べて、資源量が減少したので、目標がさらに遠ざかった

漁獲量を積極的に削減しなかった当然の帰着といえるだろう。
おそらく、今回の中間見直しで、数値目標を下方修正するだろう。
お家芸のムーンウォークだ。

今後の動向

水産基本計画策定後も、漁獲量は以前と同じ割合で減少している。
今後も同じ割合で漁獲量、および資源量が減少すると考えるのが自然だろう。

kihon4.png

黒線が今後の漁獲のトレンド。
青線が2012年に達成予定であった海面漁獲量。
赤点が現在までの漁獲実績。

回帰直線に従って漁獲量が減少を続けるなら、平成24年の漁獲量は478万トンである。
これは海面漁獲量の目標値の71%であり、目標を3割も下回ることになる。
582万トンから、669万トンに増やしますと公約した。
87万トン増やすつもりが、104万トンの減少になるわけで、 
水産基本計画の達成率は、-120%となり、C評価ですね。

おそらくはこの線で進むと思うのだけど、
最終年あたりに目標漁獲量に近づけるために漁獲率を上げさせそうな予感がする。
そうなると、資源的に非常に厳しくなるので、それだけは止めて欲しいな。

水産基本計画(1) 計画の概要

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漁獲量が長期減少傾向にある場合には、
資源を回復させるためには一時的に漁獲量を下げる必要がある。
その場合、漁獲量が元の水準まで復活するには10年程度はかかる。
ということを簡単なモデルで説明した。

このことを頭に入れた上で、漁業政策の大黒柱である水産基本計画の内容を見てみよう。

水産基本計画とは何か?
昭和38年に制定された沿岸漁業等振興法が時代にそぐわなくなったので、
1999年に水産基本政策大綱が策定された。
日本国として、今後の漁業政策をどのように展開していくつもりかを表明したわけだ。
水産基本法は理念や原則を示したものであり、
実際の政策を決定するためにはより具体的なプランが必要になる。
そのアクションプランが水産基本計画なのだ。
水産基本計画にしたがって行動をすれば、
結果として水産基本法の理念は実現されるというわけだ。
この水産基本計画が、日本国の漁業政策の本体なのだ。

水産基本計画の具体的な中身
具体的な目標があるのは、漁獲量と自給率のみで、資源に対する目標は一切無い。
その漁獲量の目標が大幅増加というすごい内容だ。

我が国漁業の持続的生産目標
   上記のような課題が解決された場合において、資源を枯渇させることなく持続的に実現可能な我が国の漁業生産の水準(持続的生産目標)は、第1表のとおりである。なお、これらの目標を設定するに当たっては、漁業生産活動に関する国際的な枠組みが、基本的には現在のような状態で継続することを前提としている。

11年度 (参考)12年度 (目標)24年度
魚介類(全体) 595 574 682
うち、食用 461 453 526
[魚介類(全体)の内訳]
遠洋漁業1) 83 86 79
沖合漁業2) 280 259 342
沿岸漁業3)(海藻類を除く) 149  146  170 
海面養殖業(海藻類を除く) 70 70 78
内水面漁業・養殖業 13 13 13
海藻類
採藻・藻類養殖業  68  65  67 

沖合は22%増加!
沿岸は14%増加!

この大幅増加が、資源を枯渇させることなく持続的に実現可能な
我が国の漁業生産の水準(持続的生産目標)らしいのだが、
この数字は誰がどうやってはじき出したものなのだろう?

日本の漁獲量を10年後には大幅に増やします?
しかも持続的に?
どういう計算をしたら実現可能なのだろう。
根拠となった計算についてどこかに公開されてないのかな?

昨日、説明をしたように、漁獲圧が過剰な状態で、
漁獲量をV字回復することは不可能なのだ。
まず資源を回復させて、その後、徐々に漁獲量も回復していくしかない。
現在、だらだら減っている漁獲量を、人為的に下げる必要があるのだ。
漁業者は、漁獲量を増やすことには積極的だし、協力もするだろう。
でも、漁獲量を減らすことには反対するだろう。
かなり毅然とした対応をとらないと、資源の減少を食い止めることは不可能だ。
この基本計画を見る限り、水産庁としては、
漁獲量を減らすつもりはないようである。

水産基本計画を一言で言うと、
「漁獲量をとにかく増やしますよ」ということだ。
まるで60年前にタイムスリップしたかのような計画である。
日本の漁業の現状を見れば、
持続的に漁獲量を増やせる状況には無いと思うのだが。
何か秘策でもあるのだろうか?

2006 9/26 漁業法→沿岸漁業等振興法に訂正

漁獲量削減計画の重要性をモデルで検証してみた

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とても単純な数理モデルで、漁獲量削減の重要性を検証してみよう。
資源の生産力と漁獲率はほぼ拮抗しているが、漁獲の方がやや強いという現状を
単純な数理モデルで表現してみよう。

単純のため全ての資源をひとまとめで考えてみる。
資源の年間増加率を20%、現在の漁獲率を22%としてみよう。
年間2%の割合で減少していくことになる。
20年で2/3に減少することになるので、最近の減少傾向と値は近い。

さて、この仮想資源を最初の10年間は22%で漁獲をして、
最後の10年は別の漁獲率で利用する場合を考えてみよう。

4つのシナリオ

現状の漁獲率(22%)
資源量維持(20%)
漁獲率増加(28%)
漁獲率減少(12%)

4つのシナリオの資源量と漁獲量を示そう。

stocklevel.png

yield.png

シナリオ1 現状の漁獲率

漁獲率を変えなければ、今と同じ割合でだらだら減っていく。

シナリオ2 資源量の維持

資源量を維持するためには、漁獲率を下げる必要がある。
漁獲率を下げた年は漁獲量が減少するが、その後は安定するため、
5年後には、管理をしない場合の漁獲量を追い抜く。
シナリオ1では今後も漁獲量は減っていくが、
シナリオ2では永続的にこの漁獲量を確保することが出来る。

シナリオ3 漁獲率増加

漁獲率を増加することで、一時的に漁獲量は増大する。
しかし、資源の減少を早めてしまうので、すぐに頭打ちになる。
そして、減少に転じた後は、高い割合で減り続ける

シナリオ4 漁獲率減少

最初はがつんと漁獲量が減少するが、
資源の増加に合わせて、漁獲率も増加していく。
管理開始10年後に、管理開始時よりも漁獲量が増えるのはこのシナリオのみ。
このシナリオでは、資源量が増えていくので、持続的に漁獲量も増やすことが出来る。

 

管理開始10年後の漁獲量と漁獲率の関係を図示してみよう。

yield2.png

現状(22%)よりも漁獲率を上げれば、それだけ10年後の漁獲量は減少する。
短期的な漁獲量増産は長期的には裏目にでるのだ。
一方、漁獲率を資源量の維持できる水準以下に下げれば、資源が回復し、
結果として、漁獲量は増加することになる。
今の半分ぐらいの漁獲率にすると、10年後の漁獲量はピークになるが、
一時的に漁獲量が半減することになる。
それでも管理開始時の漁獲量までなんとか回復するかという線である。

結論

  1. 資源の減少に合わせて漁獲量を減らしても、じり貧
  2. 頑張って、漁獲量を増やすと、長期的には裏目にでる
  3. 漁獲率を減らして、資源を回復させると10年後には漁獲量は回復する

「いきなり漁獲量半減」みたいな厳しい管理は難しいから、
まずは資源量を減らさないようにするところから始めるべきだろう。
今の資源量よりも減らさないという体制に10年程度で移行し、
その後、徐々に回復させていくというような数十年スケールで考えないと出口がない。

プログラムのソースは以下を参照

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from 18 Mar. 2009

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