損益分岐点が2500円で、えさ代が5000円はないだろう

クロマグロを死守せよ:「獲る」から「育てる」に活路-漁獲規制で – Bloomberg.co.jp.

採算性についても、三重大学生物資源学部生 物圏生命科学科の勝川俊雄准教授は「マグロを1キログラム太らせるには、サバやイカなどの生餌が15キロ程度必要。損益分岐点が1キログラム当たり 2500円にもかかわらず、餌代だけで5000円程度かかる」と指摘。その上で「完全養殖であるなしを問わず、ブリやマダイなど日本の養殖業者が衰退した 歴史を繰り返すだろう」と懐疑的だ。

餌代15kgで、5000円とかいって、笑うところですね。これだから学者先生はダメなんだよな。普通に考えれば、1kgあたり70円ぐらいのジャミサバを15kgで、えさ代は1kg当たり1000円前後、自分で獲ってくる経営体も多いからさらに安くなる場合もある。5000円というのはあり得ない価格だ。というか、えさ代が5000円で、損益分岐点が2500円というのがあり得ないことぐらい、誰だってわかるだろう。バカな学者もいるもんだ。って、俺じゃねえか!!!

この記者は、飲み屋で多数で雑談をした時に名刺をもらった。その場で、「日本の養殖政策にグランドデザインが無くて、今のままでは産業として育たない」という話はしたような気はする。取材というような席でも無かったし、えさ代5000円なんて、酔っていてもそんな間違いしないだろう。飛ばし記事を書くのは結構だが、俺の名前を勝手に使うんじゃない。内容はいい加減だし、確認もなにもなし。取材のやり方として、問題があるんじゃないのか。とりあえず、抗議のメールを送ることにする。(→追記:bloomberg社の対応は、丁寧で素早かったです)

水産庁も、メディアも、「マグロ養殖の未来はバラ色」と言わんばかりに煽っているけど、近い将来、立ち行かなくなると見ている関係者は少なくない。マグロの養殖は、需要を見極めた上で、利益が出るような規模を維持しながら、徐々に拡大させていく必要がある。また、大規模化は、完全養殖が軌道に乗ってからでも遅くない。天然魚も減っている中で、猫も杓子もマグロ養殖を始めて、ヨコワ争奪戦が発生している現状を放置しておいたら、養殖が育つどころか、漁業がつぶされてしまう。こいうことで、こういう記事が出ること自体は、意義があるのだが、内容が・・・ですね。

それはそうと、ノルウェーの養殖戦略というのが、また、凄いんだよ。これが。今年、ノルウェーの漁業庁の人間から、養殖政策についてもみっちり聴いてきたんだが、実に興味深い内容だったなぁ。ノルウェーの養殖サーモンが伸びる理由がよくわかったよ。時間があったら、これについても書きたいです。

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損益分岐点が2500円で、えさ代が5000円はないだろう への2件のフィードバック

  1. 県職員 のコメント:

    記事は訂正されていましたね。

    昔親父に言われたことですが,「公務員は良いなあ。頑張るだけでいいんだから。」
    =頑張るだけ(ルーチンを一所懸命こなす+結果を出さなくても良い+責任を問われない)

    漁師に言っていることを理解させる,魚を増やす,経営を安定させる,etc
    結果を出さないといけません。しんどいですが

    • 勝川 のコメント:

      国レベルでの調整が何もない中で、県レベルで出来ることは、限られます。国が、漁獲枠を妥当な水準まで下げた上で、県ごとに配分すれば、県レベルでもいろいろ出来ると思います。そうなるまではもうちょっと時間がかかりそうですね。といっているうちに、クロマグロも、マイワシもいなくなりそうですが・・・

      >結果を出さないといけません。しんどいですが

      研究者も同じことです。先日、大本営の中の人から「お前はブログで吠えているだけじゃないか」と言われました。確かに、その通りですね。漁業が産業として生き残れるように、世の中に変化を起こせないなら、水産学の存在意味はありません。

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