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海水が「不検出」でも、魚の汚染は進みます

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文科省の沖合の海水調査では、海水から放射性物質がほとんど検出されなくなりました。5月以降は、ヨウ素だけでなく、セシウムもほとんどが「不検出」です。しかし、魚の汚染がすぐに収まるかというと、そうではありません。

水産物の検査データから福島のヒラメとマコガレイのセシウム濃度をまとめたのが次の図です。データが少ないのですが、上昇傾向を見て取ることが出来ます。

正確な捕獲場所は不明ですが、いわき市沖、四倉沖ということは、下の図のJAMSTECの定点8,9,10の周と思われます。定点9は最初のヒラメが捕獲されたと思われる4/22の段階で、既に海水からの放射性物質は不検出でした。その後も、時々、セシウムが検出されたりしますが、基準値以下の低い値です。

海水がクリーンになっても、捕食魚の汚染が進行しているは、餌が汚染されていると考えるのが自然です。食物連鎖を通して、捕食魚の汚染が時間遅れで進行するという現象は、日本を含む世界中の海域で観察されています。海水が綺麗になれば、すぐに放射性セシウムは排出されて、魚がクリーンになるというような単純な話ではないのです。

多くの魚の餌と成るコウナゴやシラスに、既に放射性物質が取り込まれています。ヒラメやスズキのような捕食魚は、これから放射性セシウム汚染が蓄積されていくことを前提に、しっかりとしたモニタリング体制を整えていく必要があります。

No. 魚種 捕獲場所 公開日 セシウム(Bq/kg)
141 ヒラメ いわき市沖 2011/4/23 82
217 ヒラメ いわき市沖 2011/5/5 134
218 ヒラメ いわき市沖 2011/5/5 116
257 ヒラメ 四倉沖 2011/5/13 350
258 ヒラメ 四倉沖 2011/5/13 207
259 ヒラメ 四倉沖 2011/5/13 197
260 マコガレイ 四倉沖 2011/5/13 330

Comments:2

メダカとトクサ 11-05-18 (水) 18:14

補償金を圧縮したい水産庁は、ホームページでΓ魚に放射性セシウムは蓄積しない。生物濃縮しない」と科学的根拠がないことを言っていました。
必要なのは、国民の安全を第一に、汚染データ公開と規制をすること。被害を受けた第一次産業をきちんと補償することと思います。
ありがとうございます。参考になりました。

Yoko Kobayashi 11-05-19 (木) 11:18

初めまして。一週間前に下記の内容のメールを送りましたが、戻ってしまいました。先生の回答からリンクフリーとの事が分かりましたので、小出先生のコメントと共にどんどん拡散することにします。
よろしくお願い致します。
________________

貴重な情報をありがとうございます。

地震の一日前に日本を出発し、それ以来、時間の許す限り原発の動向を追い、カリフォルニアから情報発信しているブロガーです。
最初は日本と海外との情報の差を埋めるべく、こちらで拾える情報を多く掲載してきました。
そうこうする内に、京都大学の小出先生にたどり着き、やっと安心してお話を聞ける場所を得ました。

勝川先生のお話も同様です。先日、最初の記事を紹介させて頂きました。
これからも随時、紹介記事をアップして行きたいと思います。
リンクも含めて、御了承戴ければ幸いです。

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5/22 まとめ5:海洋放射能汚染2:これを理解すれば魚介類への汚染を予想できる!

ここでは、「まとめ4:海洋放射能汚染と魚介類への影響1:基本的な内容」の続きを書いていきます。主に海洋モニタリングのデータの読み方とその考え方を記載するつもりです。

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