さて、マサバの歴史に何が起こったかを振り返るために、
年代別の平均漁獲量とその組成をまとめてみた。
漁獲量が減少するのと並行して未成熟個体の割合が大きくなっている。
典型的な乱獲スパイラルだ。
- 資源が減少する
- 漁獲量を確保するためにより多く獲ろうとする
- 大型個体が獲り尽くされる
- 小型個体の割合が増えていく
- 単価の下落を漁で補うために、ますます多く獲ろうとする→1へ戻る
現在は乱獲が行き着くところまで進行してしまった状態。
卵の生き残りがよい年があると、「豊漁だ!豊漁だ!」と言って、
0歳、1歳の未成熟で根こそぎ獲ってしまう。
確かに、90年代以降のマサバの生産性には目を見張るものがあるのだが、
大中まき網の漁獲能力は桁違いであり、マサバ太平洋系群は完全にフタをされた状態だ。
乱獲によって、
①資源の低迷 ②漁獲組成の小型化 ③漁獲率の上昇
が同時進行し、漁業の生産性が失われる。
管理をしない漁業は生産性が下がるという良い見本だろう。
マサバ太平洋系群は、水産資源学の教科書に見本として載せたいような典型的な乱獲だ。