- 2007-11-12 (月) 0:39
- その他
日本は商業捕鯨再開を本気で目指しているとは思えない。
米国の反対を押し切って、商業捕鯨を再開するというのであれば、
捕鯨国のアイスランド、ノルウェーと共同戦線を張る必要がある。
下関までは、日本はこの路線を目指していると思っていた。
その後の、グダグダな展開をみると、どうもそうではないようだ。
日本は鯨肉の輸入をしないことで、同盟関係を破棄しようとしている。
逆に、強硬路線はとらないということであれば、
捕鯨再開は国際世論の変化を待ってからと言うことになる。
国際世論の変化を促すためにも、
風当たりの強い調査捕鯨を続けるべきではない。
ホエールウォッチングのシンボルであるザトウクジラをわざわざ公海で獲って、
反捕鯨陣営を挑発するのは百害あって一利無しだろう。
日本は、捕鯨陣営からも、反捕鯨陣営からも、孤立しつつある。
こういう中でのIWC脱退の示唆は、1933年の国際連盟脱退を彷彿させる。
何のビジョンもないまま、その場しのぎを繰り返し、打つ手が無くなると、自暴自棄。
大本営は、今も昔も行動パターンが同じである。
今の日本のやりかたでは100年たっても捕鯨再開は無理だろう。
日本の行動は、捕鯨再開という目的からは非合理的である。
捕鯨再開は建前であって、本音は別だろう。
IWCで米国と派手に喧嘩をして、国内での捕鯨への世論を高めつつ、
調査捕鯨利権を確保したいのだろう。
俺には、そういう風にしか見えない。
これを邪推だというなら、日本の捕鯨関係者は、
どのようにして商業捕鯨を再開するかというビジョンを示すべきである。
そのためにどれぐらいの時間とお金がかかるかも、併せて示すべきである。
説明責任を一切果たしていない以上、邪推されても仕方がない。
俺個人としては、捕鯨自体には大賛成である。
クジラは持続的に利用可能な資源であり、利用しないのは勿体ない。
だからといって、日本の捕鯨関係者を応援する気には、到底なれない。
やるならちゃんとした戦略に基づいて、真面目にやるべきだし、
やる気がないなら止めるべきである。
日本の捕鯨運動はポーズだけのプロレスである。
捕鯨を再開したノルウェー、アイスランドに比べて、なんと情けないことか。
プロレスとガチンコの見分けも付かずに、
何のリテラシーもなく捕鯨陣営を応援をし続ける人々にも失望している。
ポーズをポーズと見抜けずに、踊らされる人間に支えられて、プロレスは続くだろう。
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